深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Even small zanthoxylum stimulates extremely ~Dallmeyer Dalmac2"f3.5~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s ISO200 絞り優先 AE 全コマ開放 ロケ地:仙台~山形
さて、今週火曜日からいよいよ、我々の秘密結社"ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会の第五回写真展が半蔵門の財団法人日本カメラ博物館別館地下一階附設Club25ギャラリーで開催されますが、その前にもう一発更新行きます。

今回のご紹介は、工房で手掛けた3本面のDallmeyer Dalmac2"f3.5のL39改造レンズです。
3本も持ってるなら、一本くらい売れよ!とか怨嗟の声も聞こえてきそうですが、実は、3本がこれまた別のレンズと思えるくらい仕様が違うのです。

先の2本はそれぞれ、CX、Sと旧コンタックス系のマウントに改造して、その性能はここでお披露目しましたが、今回の個体は先の2本とレンズの銘柄は同じでも全く別物のレンズに思えます。

まず、同じレンズとしては有るまじきことなのですが、このレンズの方が先の2本より若干ではありますが、まだフランジバックが短いのです。

そもそも、前群1枚目直後に絞り板を配したエルマー型(テッサー型も同様)は、その構造上、主点が後ろに来るのでで焦点距離が50mmもあれば、ちょっと器用な人であれば一眼レフですら無限まで出るような改造が可能で、中途半端にフランジバックの長いCXやSなど比較的容易に改造出来るという寸法です。

しかしながらこの個体は、見たときからヘンなレンズで、そもそも硝材とコーティングが全く先の2本(一号機;ブルー、二号機;ノーコートに近い極淡いブルー)と異なっていて、この写真で見て明らかに判るように、新種ガラスに近い硝材とブラウン+パープルマゼンタのコーティングになっています。

精密検査をしたわけではないので、ここから先はライツのエルマーの系譜からの類推でしかないですが、もしかすると、この個体は何らかの特殊目的用に製造され、硝材も当時のチャンスピルキントン社のメニューでは足りず、独ゲルツが開発した、当時の「高屈折ガラス」を用いて製造されたスペシァルモデルではないか?という妄想が湧いてきます。

高屈折ガラスを用いたのであれば、透過光バランスが青スペクトル域を吸収し易いため、このような、淡いブラウン+ブルーマゼンタコートの組み合わせであることも納得できます。

何れにせよ、仕様が違おうと、稀少であろうと、描写性能が悪ければ全く意味がないので、今回はインダスター22の余剰ヘリコ&マウントパーツと組み合わせ、L39化したのです。

なお、小生がR-D1sやM8でテストすることから、いつも「インフキャッチャーはどうしてます?」という質問をされることがあるので、先回りしてお答えすると、「殺してます、その孔には、手製のサファイアカボとか、オニキスカボを埋めてゴーヂャス感醸し出してます」ということです。

では能書きはこのくらいにして、早速作例行ってみます。

まず一枚目。
今回は、月初から写真秘密結社の主要メンバーがフラチャイズである山形市内で堂々2回目の個展を開いているというので、2月22日からの写真展でのピン立て対決の事前偵察もあるので、行かずばなりません。そこで3連休の初日を使い、スーパーひたち君、在来快速を乗り継ぎ、北山形に乗り込むこととしたのですが、腹が減っては勝負は出来ぬ、ということで、街撮りも兼ね、仙台で一旦下車し、駅の周辺をカメラ提げ、徘徊していました。

すると、有った、有った、好いテスト対象が・・・
そう、エスニック料理店だかの看板を兼ねたオブジェが真っ赤っかな姿を通りに晒しているでは有りませんか?
ここで、赤の発色傾向を見るテストをやらせてもらいます、というか、このレンズの実写第一発目です。
地元で一枚も撮らずに旅先でテストするのは、工房主の悪いクセですが、最短そこそこでこのディテールの描写、そして赤の発色はなかなか満足いくものだったといえます。

そして二枚目。
赤の発色とディティールの描写に満足した工房主は、何とかいたいけな美小姐を撮らねばならないと、ヘンな義務感に燃え、裏通りからまた駅前のペディストリアンデッキ方面に足早に戻ります。
すると、かなり高そうなホテルのエクステリアとして、ガス灯みたいなデザインの照明と、ちょっこしレトロなデザインの黒染めの金物が目に留まり、しかも、立っている位置からだとちょうど逆光になってしまう位置なので、敢えて、ここで黒の締まりと、逆光への耐性を見るため、シャッターを切りました。
すると、どうでしょう、空は曇り気味とは言え、盛大に光っていますし、シネレンズでもヘタしたらハームムーン状のニジが出そうなところですが、何ともありません、最新のコンパデジで撮ったみたいにガス灯もどきもエクステリアの金物もディテールを再現しています。

それから三枚目。
駅が見える交差点の真上付近まで歩いて来たら、いました、いました、いたいけな女子中学生の小々姐2人組が・・・
早速、声を掛け、街をぼーっと眺めながら携帯しているとこを撮りたいんで、ハィ、そのままでね、ぢゃ、いきますよ!とか、お願いして2回ダメ出しして撮ったのがこのカット。
約2mの距離からですが、合焦した小々姐は程好いシャープネスで捉えられていますが、背景は極めて心地好い蕩けるが如きボケとなりました。

まだまだの四枚目。
小うるさい注文つけたにも変わらず、好演をしてくれた小々姐2人組に懇ろに礼を述べ、もうそろそろ腹も減ったし、かといってどこでメシ食うか考えるもの面倒くさくなってきちゃったんで、目の前のパルコの食堂街に上がり、望外のタイ料理セミバイキングを戴いてきました。
その後、また駅に戻り、仙山線で目指す、北山形に向かうこととしました。
しかし、何が幸いするか判らないものです。
仙台街撮りの時は声掛けても正面からのどアップでピース姿なんかの写真を撮ってみたい、と思う小姐には巡り合わなかったのですが、仙山線で座ったボックス席に直後に乗り込んできて占領してしまった図々しいおばさん一行が居なくなって、初めて気がついたのですが、那覇か石垣でもスカウトされるくらいのハイレベルの美小姐が向かいに座ったお友達と楽しくガールズトークなんかしながら、おのおのの携帯のカメラで撮りっこなんかしているのです。
もう、これは今回のハイライトになって貰うしかない、と悲壮な決意と日頃の会社生活では絶対出来ないような建設中のスカイツリーからバンジージャンプするくらいの蛮勇で、声を掛けてみた次第。
ところが、意外とあっさりOKしてくれて、縦横計2カットを撮らせて貰ったのですが、格段の美小姐ぶりが判るのはこっちのカットだったので、こちらをアップした次第。どうもご協力有難うございました。もし連絡戴ければ、ほんのささやかなお礼代わりに大きく伸ばしたプリントをお送り致しますよ。

最後の五枚目。
盟友の写真展を背筋の凍りつく思いで見終えたあと、その日のうちに江戸表に戻りたかったので、陽が傾きかけた山形市内の雪道をひとりてくてくと北山形駅へと歩いていきました。
そこで、また面白いオブジェが目に留まりました。
そう、広葉樹の幹にまた別の蔓植物が寄生していて、その葉が枯れたままくっついていて、何か古生物の遺骸みたいな雰囲気になっているのです。
しかし、なかなか下の積雪からの照り返しも有って、難しいカットになりました。色はかなり青転びしています。
樹の表面は程好いシャープネスで捉えられていますが、やはり背景のボケはなだらかに融け、工房主の好みのレンズであることが判りました。

今回の感想は、やはり当然のことながら英仏比較ということで、前々回のAngenieux G10との描写比較となり、シャープネスでは劣位に回り、コントラストでは優位に立ったということです。

しかしながら、実はこのレンズ、急いでシェイクダウンに持ち出したので、関東カメサのフロントの方からアドバイスを受けるまでもなく、後玉以降の内部反射対策を全くやっていないので、それを終えた後、Kodak Ektarフィルムで真昼の決闘といきたいと考えています。

さて、来週は22日から始まる写真展のネット上公開いきたいと思っています。乞うご期待。

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2011/02/20(日) 20:00:00|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

わざわざ遠いところから来て頂いて
申し訳ありませんでした・・・・
次の日ならご案内できたのですが
メールを確認するのが遅れてしまいました・・・(^_^;)
(自分の携帯は仕事関係にも使っているので
普通の日はメールは確認しないと開かないように
設定してたので・・・(^_^;)

仙山線の美少女ですが
いいじゃないですか~~~~w
今度から深川の美少女写真家と呼ばせてください・・・笑
  1. 2011/02/20(日) 21:08:09 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
有難うございます。
いやぁ、連絡しないで発作的に出かけた当方も当方なので、どうか、お気になさらずに。
それはそうと、某運営委員殿の豊富な学識経験?に裏付けられた、「美人ほど声かければ撮らせてくれる」という学説がだんだんと現実味を帯びてきましたね。

美人だから誠心誠意交渉するので、結果的にOK貰えるのか、或いは、美人は撮られ慣れているから、あまり違和感なくOKしてくれるのか、その本当の理由を調べるのが今後の課題となりそうです。

それにしても、東北地区の美小姐というよりは、那覇の石畳の道とか、竹富島辺りのハイビスカスの下で巡り合いたかったくらい、南の島の開放的な雰囲気を漂わせた気立ても良い素晴らしいお嬢さんでしたね。
  1. 2011/02/20(日) 21:39:56 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

今回は1枚目と4枚目で。

1枚目の赤の出方がなかなか良いですね。
これレンズの性質なんでしょうか。
立体感があってグーです。

4枚目については最近子供が携帯欲しがるもので、こういうシーンが目が離せなくなるのですよ。
コミュニケーションツールとしてはそれなりなんですけどね、それ以前に会話力とか文字の書き方なんてものを身につけてほしい気がします。
30超えても駄目な人って結構いるのでねえ。
難しいものですが。
  1. 2011/02/20(日) 23:26:30 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

目の付け処が違いますなぁ

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
赤のオブジェは好みの問題として、4枚目の携帯をもて遊ぶ美小姐に娘さんの携帯の問題をオーバーラップして考えてしまうところが、やはり親御さんの目線ですね。
しかるに小生はまだそういう視点では見られないので、ただ単に降り積もる車窓の雪を背景に東北の物静かな美小姐が携帯で思いを綴る、という意図で構図して撮ったまでです。
  1. 2011/02/21(月) 22:38:03 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ダルメイヤーは、ツァイスからテッサーが発表されるまで非常に個性的なレンズ・ラインナップでしたが、その後は色彩や描写に個性をとどめるだけという印象でした。

色彩や描写のクセがかつての栄華をしのばせる僅かな気配と感じますが、バカデカイ写真館用の様なレンズを持ち出すと思えば、こういった今回の改造もやはり貴重な試みです。意外と、ダルメイヤー小さいレンズは少ないです。

「携帯を持っている少女」という現代の風景や気軽に「風景描写」に望める、そんな視点もダルメイヤーから見ると新鮮で、ことさら現代のレンズ描写とのズレを覚醒してくれます。
モノに呪縛されているかも知れませんが、微妙で僅かな違いを吊り上げて新たな表現意図に結びつけて行きたいものです。


とりわけ、ダル・・・のコンパクトレンズは貴重ですからね。(そりゃあ、大判ならいくらでもアリマスガ、機動力が・・・。)

  1. 2011/02/25(金) 00:59:19 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
そして、今日もお疲れさまでした。
その後、プレ打ち上げパーティはかなり盛り上がり、
お店が21時で看板になった後、会場を麹町のエクセシオールカフェに移し、和やかにお話しは進み、22時ちょうどにお開きになりました。

某運営委員殿も、「シネレンズを楽しむ」ブログに関心を持って戴いたようで、最後は万事丸く収まったという帰結でした。

さて、本題ですが、このダルメのレンズ、まさにタイトルの「山椒は小粒でもピリリと辛い」の通り、小さな外観、しかも、絞りの羽根が前玉のすぐ真後ろにあるという、構成上はあまり高級そうでもない見てくれですが、それでも、R-D1sとのコンビでこれだけのダイナミックでありながら精緻な写りを楽しませてくれます。

さすがに、5群6枚、新種ガラス使い放題のAngenieux G10には解像度こそ敵いませんでしたが、貴兄ご慧眼の通り、赤の発色、オブジェの妙な立体感、そして逆光もものかわの、レンズに求められる基本性能に忠実な描写は、希少価値に胡坐をかかない、掛値なしの銘玉で、親の仇同様、出会ったら、何も考えず、討ち取ることを強くお勧めする次第です。

万が一、レンズヘッド入手の暁には、多摩川や江戸川を超えることなく、しかもかなり短い工期でL39、ないしCX/Sマウント化出来るのではないか、という予感がします・・・
  1. 2011/02/27(日) 00:54:17 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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