深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

The most reliable snap lens from USA~Duplication Velostigmat 2"f2.8~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s 絞り優先AE 露出+1/3 全コマ開放、ロケ地:川越
さて、予告通り、今週は工房作品のご紹介を行います。
実はこのレンズ、年明け早々の操業で完成し、その翌週には川越で新年の街の晴れがましい様子をしっかりと捉えていたのですが、公私ともに色々と出来事が有って、公開が先延ばしになっていたのを、先般の夏の浅草の様子みないなものでも、今、渇望されている「平穏な生活」のアイコンのような捉え方をして戴いた方が多かったので、世間の雰囲気とは逆行しますが、作品としてネット上公開致します。

まずは、このレンズの紹介ですが、電子湾でたびたび取引有る米国の業者から、昨年12月に入ってすぐ、マイクロニッコールみたいなキャラのレンズが好きなら、面白いのが入ったから、買わないか?とオファーがあり、送られてきた画像みたら、何の変哲もないヴェロスティグマット2"f2.8だったので、「持ってるから要んないわ」と返事したのですが、相手もさるもの、「いやいや、ミスター、このヴェロは銘板がヴェロだが、そんぢょそこらのクララスとか、パーフォレックスにくっ付いてるヤツなんかとは違って、中身はエンラージングラプターよりもっと性能イイエレメントが詰まってる複写用のスペシァルモデルだそうなんだ」とか、滔々とセールス文句を打って来たので、あ、そうか、連中は12月が年度末だし、クリスマス商戦も縁無さそうだから、とにかく売り上げ上げたいのね、と思い、あまりアテにせず、値段も格別高くはなかったので買うことにしました。

2週間ほどして着いた品物を開けてみると、確かに新品同様との謳い文句どうり、使った痕跡が無く、しかも、硝質とコーティングが先にSマウント改造したものと微妙に違っている気がします。特にランタン系の高屈折ガラスは青の透過特性が良くないので、淡いブラウンゴールド系のコーティングにするとのことですが、まさにこの個体は、先のエンラージ用というヴェロスティグマットとも異なっていました。

ひょとすると、ということで、年明け早々改造してみたのですが、ズミターのヘリコ&マウントアッセンブリに付けてみたら、か、かっこイイ・・・改造レンズというと、ショッカーか何かのおどろおどろしい怪人の姿を想像してしまう方もおられると思いますが、ローレットのピッチが若干違うことを除けば、正規品でも通ってしまうこうくらいの出来栄えです。
ただ、残念ながら、精度確保と耐久性向上の観点から、沈胴はしない仕様としました。

さて、早速作品紹介行ってみましょう。

まず一枚目。
川越には、工房主の所属する写真秘密結社「ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会」のメンバー+JCIIカメラ博物館の某運営委員殿にもご一緒戴き、年明け第二週の日曜日に行ったのですが、まずは恒例の喜多院での初詣客目当てのスナップです。
11時過ぎに現地で散開し、メンバーは皆、思い思いの被写体を探して、境内を餓狼の如き気迫で徘徊します。
そんな中、川越地区固有種と思われる、目がぱっちりして鼻筋が通った色白の小々姐が居たので、親御さんがあさっての方向向いているスキに手なんか振って、笑ったとこを一枚戴いたものです。
被写体の小々姐がそれほどカリカリにエッヂ立って写ってはいないので一見柔らか目に見えますが、よくよく見れば、髪の毛の一本一本ま、襟元の人造羽毛の一本一本までR-D1sの600万画素の限界見合いで解像しています。
このカットではマイクロニッコール云々というよりは、良く整備されたゾナーみたいな写りにも見えます。

そして二枚目。
喜多院で期待通りのスナップを撮れ、気分上々の一行は、お腹も満たし、内外面から幸福になるため、馴染みのお寿司屋さんを目指しました。
その途中で、土蔵の手前に赤い南天の実がなっていたので、こんな観光絵葉書みたいな構図は逃す筈もなく、工房主にしては珍しく人物抜きでのスナップです。
右手前の実の房は非点収差の影響と思われる流れが出てしまっていますが、それでもピンを置いた一番奥の実はかなりシャープに捉えられており、奥の土蔵も、若干ニ線の傾向は認められますが、それでもイイ案配の後ボケとなり、重厚な脇役を演じています。

それから三枚目。
お寿司屋さんで、美味しいランチを戴き、またメンバー皆んなでお茶しながら放談していたら、あっと言う間に時は過ぎ、足の速い冬の日はもう傾き始めていました。
そこで、第二のスナップポイントである、駄菓子屋横丁に足早に移動し、またそこで皆、思い思いのスナップ三昧です。
もうお腹一杯ってとこで、横丁を後にし、結構面白い写真が撮れることで仲間内ではブームになっている、通称「化け猫屋敷」に向かいます。
すると先客が数組いて、その中に、いたいけな小姐達数名の組が有り、ノミやら何やらもものかわ、ネコを抱きかかえたり、頬擦りしたりしての精一杯の動物への愛情表現の模範演技です。
そこで、元来小心者で、カメラを提げていないと、同僚の女性社員にも満足に声を掛けられない工房主は、大胆にも、「あっのぉ、猫と戯れているところをブログネタに一枚撮らして貰えませんか?」などと、周りが聞いたら赤面しそうなセリフを口にして、まんまと戴いたのがこのカットです。
傾きかけた夕陽がちょうどイイ案配のスポットライトのようになり、つぶらな瞳で見つめ返してくる小姐の心の内面まで映し出しているかのようです。
しかし、この当日の象徴的なカットでこのレンズは、ラプター(米国産猛禽)ではないのに、やっと爪を見せてくれたのです。
小姐の髪、セーターの袖、そしてまんだら模様のネコの毛・・・素晴らしい解像力で余すところなく、質感を描き出しています、しかも、高解像力のレンズに有りがちな、カリカリ感がなく、この点は明らかにゾナーなどとは二味も三味も違うカンジです。

まだまだの四枚目。
ナイスショットを撮らせてくれたであろう、心優しき小姐に丁寧にお礼を述べた後、屋敷敷地内を見回したら、この小姐一行に可愛がって貰っているまだら子猫を心配そうに見つめていた同じような模様の猫が居ました。
大きさからすると、きっと母猫なのだろうと見当をつけ、気配を消しそっと近寄って撮ったのがこのカット。
実は、ここではM8+BALTAR50mmf2.3で猫を被写体として凄まじい解像力を見せつけたカットを撮っていたのですが、M8とR-D1sの解像感の違いからすれば、かなり肉薄した性能とも思えました。
ここでも、背景の雑多な景色が後ボケとしてなかなか面白い構図となったと思います。

最後の五枚目。
満足行くカットが撮れた「化け猫屋敷」を後にして、また蔵作り通りでスナップを繰り広げるべく、間道を歩いて行きました。
すると、いつも何枚か撮るコーヒー豆屋さん店頭で休んでいた親子連れと近所の犬を連れたご婦人が意気投合して、小児もその雰囲気を機敏に察知して、場を盛り上げようと、蛮勇を奮い起こし、いかにも獰猛な面構えの犬に歩みより、その愛くるしい手を差し伸べます。
しかしながら、そういった勇敢な小児の心の葛藤みたいなものは画面には反映し得ず、全体的には、冬の夕暮れのどこにでも有るような微笑ましい子供と動物のスナップになってしまったのは少々残念ではありましたが・・・
ここでは、また解像力はそれほど目立たす、白い買物袋からのフレアも有って、かなりソフトでメローなタッチの上がりになったと思います。

今回の感想としては、う~ん、やはり、米国産レンズ侮るべからず。ヲーレンザックにしても、ボシュロムにしても、勿論コダックにしても、ドイツ、英国、そして日本の光学製品と遜色ないほどの性能の製品が作られていたわけです。
これが80年以降に殆ど姿を消してしまったのは、やはり経済戦争という戦場で安くてそこそこの性能の日本製品に光学メーカーが駆逐されてしまい、別分野に企業存続の活路を見出したからなのでしょうか。
そうであれば、少し複雑な心境です。

さて、来週は攻守交替、附設秘宝館からのコレクション紹介といきます。乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/03/27(日) 21:15:01|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

特別な記載の無い、通常の名称ですね。

遠景の背景ぼけや近接の(とくに)手前右側の流れぼけなど、やはり接写関連の特殊仕様なんて気がします。

それにしてもこのサイズで1:1仕様なんて考えられません。

たぶん「拡大用」だとかで、それならレンズを逆に用いたら遠景については通常の描写に近くなったり、なんて・・・?
  1. 2011/04/01(金) 14:55:10 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre  #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
昨日は激務によるお疲れの折にも関わらず、遅くまでお付き合い戴き有難うございました。
さて、このレンズですが、今日アップしたエルマー代用品と較べると、やっぱり粗削りな感じがしてしまいますね。
開放値を0.7明るくするのに、テッサー/エルマー型から、クセノター型に変えたのにも関わらず、オフフォーカス部の挙動が不安定になってしまっている感なきにしも有らずで、反対に考えれば、f3.5のものの性能が飛び抜けてイイと言えないこともないのかも知れませんね。
因みにこの50mmf3.5のものの写りは、このライカマウントでブルー・パープル・マゼンタの擬似マルチコートみたいなエルマータイプのものも、同じくf3.5でブルー単色系コートのデトローラ400のものも写りは見分けがつかないくらい近似しています。
  1. 2011/04/03(日) 22:10:06 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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