深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Real story of a miracle lens gone in a memories~Cine-Cristar4cmf2~vol.2

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【撮影データ】カメラ:Zeiss Ikon ZM フィルム;Kodak Ektar100EX36 絞り優先AE 露出+1/3、全コマ開放
さて、今週は、秘宝館から何か実写してご紹介しようと考えていたのですが、某所でフジ熱が再燃しているのと、デジデータだけに公開になってしまうと、この稀代の銘玉がシネフィルムの民生スピンアウトフィルムでどんな写りをしたかが、永遠に公開される機会を逸してしまう可能性が有るので、旅行前の機材調整で日没まで出歩き出来なかったこともあって、急遽テーマ差し替えとさせて戴きました。

実は、R-D1sでテストする前週に、柴又帝釈天まで出掛けがてら、フルサイズであれば、しかも、銀塩であればどんな写りになるのか、暫くしたら永遠に手許を離れて、元の持ち主の元に戻ってしまうこのレンズの全てを知りたくて、初試写をEktarフィルムで行った次第です。

では、早速、作例いってみます。

まず一枚目。
門前仲町の名所といえば、富岡八幡宮と深川不動こと成田山新勝寺富岡支店の二つが上げられます。
さすがにまだ亡父の一周忌が終わっていない身分なので、八幡宮へ撮影のためとはいえ足を踏み入れるのは憚られたので、いつもの撮影スポットのうち、不動尊参道でいつもセンスの良いオブジェを飾っている和菓子屋さんが在るので、そこへ向かいました。
しかも、この時は一番、願ったり、叶ったりで赤い番傘と信楽焼の渋い花器です。
早速一枚頂きました。
番傘の赤の発色と信楽焼の重々しい質感が巧みに再現されていますし、近距離の撮影のためか、周辺が絶妙に光量落ちして、えもいわれぬムードの一枚となったのではないでしょうか。


続いて二枚目。
カメラを提げて歩くと、たいていは撮らせて貰う、佃煮屋さんの前に差し掛かると、店先ではまぐりか何か焼いてるおぢさんが「あれ、今日は撮らなくて良いの?」とかふざけ半分に声掛けてきました。
いつもの下町の職人然とした髪型から、ロカビリー世代の生き残りみたいな、はっきり言って、ここには場違いの髪型だったので、知らんふりして通りすぎてしまおうかと思っていたのですが、ご機嫌損ねるのも得策ではないので、デジの方でおためごかしに一枚撮って、そそくさと立ち去ろうかと思った矢先、ふと隣の店舗で犬と戯れる、童子2名と祖母の姿が目に留まりました。

これは撮らしてもらうしかないな、と勝手に納得し、その場を仕切っていると思しき犬、もとい、お婆さまにに「ちょいと一枚撮らせてもらいますからね」とか断ると、しっかりと孫?たちにやれ、笑えだとか、レンズの方を見るのだ、とか個別具体的な指示を飛ばします。
そしてやっとOKが出て撮った必殺の一枚がこのカットです。
後ろの小々姐の目にピンを置きましたが、ほんの数センチの男の童子、犬がアウトフォーカスのやわらかなボケになっているのが興味深いです。

そして三枚目。
お婆さまと孫と思しき童子2名に懇ろに礼を述べ、地下鉄駅に向かいました。
地下鉄と京成を乗り継ぐこと30分強、今回の最終目的地、葛飾柴又までやって来ました。
この日は、まだ桜が残っていたので、天気も良かったことから、参道には露天商各位がお店を構え、暗澹たる日本の現状も暫し忘れて楽しくお花見気分です。
その様子を眺めながら参道を徘徊していたら、桜の樹の下に真っ赤かな屋台を出しているお店があり、しかもそこでは親子連れが異国の珍味を堪能しているではありませんか。
ここまでお膳立てが揃えば躊躇することなどありません、早速一枚頂きました。
やはり、シネレンズとEktarの組み合わせだけあって、赤系統の発色は格別です。かといって、桜の淡い色合いがどうにかなっていないというのが、このレンズの凄いところなのでしょうか。ただ、空が入ったパートは内部汚れの影響で白っぽくなってコントラストが落ちてしまっているのはやむなしです。

それから四枚目
ここから参道を少し進むと、店先で焼き鳥焼いていたり、もつ煮状の塩分と動物性脂肪の多そうなごった煮みたいなのを大鍋で売っているお店があります。
この店先で焼き鳥が上がるまで待っていた、子守オヤヂ、今風に言えばイクメン氏が居て、ふと目が合ったので、一枚撮らしてもらってイイすか?子守パパってのもカッコイイですからねぇ・・・とか適当なこと言って一枚撮らせせてもらったのがこのカットです。
日なたでの撮影だったので、イクメンパパ全体に微妙なフレアがかかって、これはこれで、何かイイ雰囲気を醸し出しています。
ただ、背景はシャープなレンズの代償としてか、2線ボケ傾向となってしまいました。

まだまだの五枚目。
参道を歩ききって、帝釈天の境内に入ると、格好の撮影スポットがあります。しかもここは午後の遅い時間でないと価値が半減してしまうのです。
それは、西のはずれに在る、水掛け不動尊ならぬ、水掛け薬師如来?で、太陽が西に傾く頃になると、差し込んでくる光に石像が金色に照らされ、水掛けて洗う人々のシルエットも浮かび上がるが如く撮れる場合が多いからです。
獲物を待つマタギの如く、この水掛け薬師の前で待つこと暫し・・・親子連れが数組やって来ましたねぇ。
ここは礼儀なので、一応、水掛けるとこ、何枚か撮らして貰いますよ、何枚だぶつって言うくらいだから、これも供養ね♪とか楽しいジョークで笑いをとってから真剣に撮影に入ります。
その栄えある一組めがこの黒尽くめ小姐達で、ちょうど夕陽のシルエットになるように撮った画がこのカット。
衣服の輪郭が夕陽を浴びて光のラインを形作っているようです。
このテクニックは、かなりイイレンズでしか試みませんでしたが、これだけの上がりなら合格以上です。


最後の六枚目。
はぃお待たせ、次はボクの番だね、ってことで、エメラルドグリーンのコスチュームの童子とその保護者の組がご奉仕する様を頂きました。
このカットでは、夕陽を浴びて輝く濡れた石像を正面から捉え、また夕陽を全面に浴びて一心不乱にたわしがけをする童子の健気な姿を捉えましたが、フレアが出て欲しいところに出て、要らないところには殆どか全く出ないという、極めて理にかなった描写性能を発揮しました。

ということで、善意と熱意の情熱で再び陽の目を見た稀代の銘玉はこんなにも素晴らしい性能を見せてくれたのです。

フジさんもX100なんて思わせぶりなモデル出してくれたんですから、一刻も早くレンズ交換式の上位モデル出して、その標準レンズとして、最新のテクノロジーでこのレンズを甦らせてくれませんかねぇ・・・案外、本体よりも高くなっちゃったりして。


さて、来週はGWで旅に出てしまいますのでお休み戴きます。
さあ、戻ったら何が出てくるのかな???
乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/05/01(日) 22:00:00|
  2. Arri改造レンズ群
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

需要があるかと言うと・・・。

うーん、X100のレンズ交換式が出るかどうか考えると、ちと今の情勢では厳しい様な。
出てほしいとは思いますけどね。
今の技術でフジノンレンズを再生したらどうなるか見てみたいですよ。

今回の写真では1枚目と3枚目が良いですね。
何だろう、前回と違って今回はフルサイズだからか、後ろのぼけ方がざわつくと言うか、手ぶれに見えるのですよ。

APS-Cサイズの方が七難隠すのかも?
  1. 2011/05/01(日) 23:45:12 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:需要があるかと言うと・・・。

有難うございます
旅先なもので、カメレス失礼致しました。
確かに、フィルムによるフルサイズ撮影では、特に近距離での球面、非点収差等が抑え切れず、周辺が大甘になってしまっているカットもありますね。
でも、やはり、このレンズ、自分にとっては夢のレンズなのですよ。
こんな完全とは程遠い状態で、一緒に比較したカールツァイスの戦前とは言え、一時代を築いた銘玉を軽々と下す・・・
いつかは、完全な状態のもので、フィルムでとことん撮りこんでみたいと願っています。
しかし、このレンズの性能を余すところなく引き出す、R-D1sというカメラも、改めて考えれば、M8以上の凄いカメラなのかも知れませんね。
  1. 2011/05/05(木) 21:51:06 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

(シネ初心者の感想です。)

つい先日、やっとシネ関係・イギリス人撮影カメラマンによるシネキャメラ・テクニカル指南書を見つけました。

大体「大魔神さん」日ごろの進言に近いですが、やはりそこでも拡大率の事が述べられていました。

今回のボケ具合の様子が、フイルムの方が顕著に輪郭を残すのが、非常に興味深いです。

そういえば、件のテクニカル書にも、写真用転用とシネ設計との違いを明確に指摘していました。

今回は周辺減光も大きいですが、非常にドラマチックな印象を受けました。

斜陽や逆光等、光の加減も大きいですが、背景ボケの荒さに、大きなアマイぼけで単なる人物描写とは違う、それぞれの人物像の印象を高める効果もあると思います。

非常にシネレンズの特徴を捉えたと思える、そんな感想です。(まだまだ研究途上ですが・・・、じっさい魔人に読まれるとコワイ!!!)



  1. 2011/05/05(木) 23:45:07 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre  #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難ございます。
シネ関連の奥義書を発掘されるとは・・・某東北の避難所暮らし?しながら、健気な少年少女の今の写真を撮ることで、「頑張れニッポン!」を具現化しようとしている御仁とどっこいどっこいのシネ沼への漬かり具合いで、傍から見ていても、非常に清々しいものです。

くどいようですが、シネレンズは、殆ど受注生産で一品一様の仕様ですから、興味を持って探求に当たれば、次々と、高輪某所の混沌の中から、或いは世界の何処かから、未知のレンズがその熱意に引かれるように集まってくる筈です。

求めよ、されば道は拓かれん・・・さぁ、一緒に海溝の底まで降りて行って、そこに何が待っているか突きとめようぢゃありませんか!
  1. 2011/05/07(土) 09:02:01 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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