深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Eye of Führer~Cine-Biotar3.5cmf2 Mod.M~

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【撮影データ】カメラ:R-D1s、絞り優先AE ISO200 露出+1/3 全コマ開放 ロケ地:藤沢~江ノ島
さぁ、寄ってらっしゃい観てらっしゃい、回る因果は風車、親の因果が子に報い、可哀想ななぁこの子でござい、と一週間が巡り、また日曜の晩とあいなりました。
今宵のご紹介は工房の春の新作レンズのご紹介いきます。

まず、このレンズはなかなか撮影が難しく、横から撮ると、極端な奥目のため、前玉及び銘板が見えなくなってしまいますし、前から撮るとこのカットのように全景が見えなくなってしまうという困ったちゃんなのです。

このレンズは元々は、ここでもおなじみ、ドイツのアーノルドアンドリヒテル社製の不世出の名ムービングピクチャカメラ、アリフレックス35用の交換レンズです。

工房主は、やれ番号帯がどうだ、とか、タイプ何々と何々は何が違うとか、描写性能に一切関係ない由緒・因縁系薀蓄は興味もないですし、研究するのもうんざりですが、一応、入手した際、このレンズの氏素性を調べてみたら、どうやら、戦中の早い時期のTコートらしく、ことによると映画「ワルキューレ」劇中でも活躍していた軍用のアリフレックスの標準レンズの可能性も否定出来ないのではないでしょうか。

構成は4群6枚のプラナー型、イメージサークルはフィルムはまだ試していないですが、M8のAPS-Hくらいなら実用になるレベルではないかと思います。

さて、作例の解説いってみます。

まず一枚目。
JR東海道本線で藤沢に着き、そこから江ノ電に乗り換え、江ノ島を目指すことにしましたが、ホームい駆け込んだら、発車ベルが鳴り響き、もうムリっぽかったので、気分を撮影モードに切り替え、うぐいす色の電車に駆け込む地域住民各位のお姿を謹んで捉えさせて戴いたものです。
車掌さんをピン目標にしましたので、その周辺はシャープかつクリアな描写になっていますが、電車の連結器やホームの端など、周辺はやはり大甘になってしまっています。
発色は渋めながらなかなか見たままに忠実ではないかと思いました。

そして二枚目。
江ノ島についてから、まず「衣食足りて礼節を知る」と共に同行の人間とともに、必須訪問先となっている「たこ島」に向かいました。
地震直後で、当日も途中の電車の中で大音響で緊急地震速報が鳴り響いたのにも関わらず、このお店だけはいつもとそれほど変わらず大繁盛、正午過ぎだったこともあり、30分近く待たされました。
ただ、口をぽけぇと開けて待っているほどマヌケでもないので、店頭で何かレンズ描写のテスト出来るモチーフはないか鵜の目鷹の目で探します。
すると、へへへ、有りました。そう、ラインヘッセンの白ワインの瓶みたいに真っ青でキレイな「シラスビール」の瓶が見るも冷たそうな氷の床に寝かされているではないですか・・・
早速その真夏先取りの画を一枚戴き。
最近接距離に近い位置にも関わらず、キンキンに冷え、汗の如き水滴を浮かべた青い瓶の質感を余すところなく捉えています。
この構図では周辺の甘さはそれほど目立ちません。

それから三枚目。
旨い生しらす小鉢&海鮮かき揚げ丼など戴き、すっかり満腹になってからのプチ登山です。
まず江ノ島の正面のお宮の左から島を回ろうということになり、歩き出そうとしたら、いたいけな小々姐がどういうわけかご機嫌斜めになり、親御さんを困らせています。やじうまとは気楽なもので、これはイイシャッターチャンスが貰えるわいとかほくそえみながら暫し傍観します。
すると、親御さんの必死のご機嫌取りが功を奏しやっと微笑が戻りました。その瞬間をすかさず捉えたカットです。
かなりのピーカンでしたが、フレアもゴーストもなく、登場人物の心の動きまで映すような描写になったのではないでしょうか。

まだまだの四枚目。
関係修復が叶った親子を観てホッとした我々は、また島を周回する坂道を登ります
すると、たぶん中ノ宮でしょうか、おみくじを結ばんととするいたいけな小姐の姿が目に留まりました。
そこで太陽光の加減を見つつ、小姐が伸びきった瞬間、シャッターを切ったのがこのカット。
かなりピーカンの下での紅白だんだらモチーフですが、鑑賞を妨げるようなフレアも出ず、程好いシャープネスがそこはかとなく臨場感を盛り上げてくれます。
しかし、背景がいけませんでした・・・注意深く見てみたら、植栽の葉がぐるんぐるんに渦巻いちゃってますねぇ・・・これさえなきゃイイレンズなんですけどね。

最後の五枚目。
島の裏側、ちょうど陸から伸びるへその緒の反対側の高台に展望コーナーというか、フードコートというか、とにかく海を眺めながら、何がしかの飲食を楽しむことが出来る、テーブルとイスを設置したスペースが有って、そこの入り口付近で貝状の物体を醤油のような液体に浸漬しながら加熱して販売する女性が居ました。
なかなかの美形の上、表情豊かに鈴を転がすが如き美声で巧みな口上を述べるものですから、年齢を問わず、男性のお客がひきもきりません。

ここでも、ピーカンのもと、一番、良さげな表情の瞬間にシャッター切ったのですが、フレアやゴーストは皆無で、こと女性の青いお仕着せの輪郭が際立って、立体感の有るカットとなっています。

今回の感想としては、70年近く前のレンズでも、適切にクリーニングし、距離計連動機能を最適設計してやれば、最新のデジタル機器との組み合わせでもこのように開放からのスナップ用途にバツグンの性能を発揮してくれるのが判り、産業用レンズの底力に改めて感心した次第。

さて、来週は工房附設秘宝館から、このところマイブーム化している単焦点大口径の何か行きませう♪乞うご期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/06/12(日) 20:21:26|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

シラスビールって
ビールの中に生シラスが入っているんですか~~~マテw


と、冗談はさておき
なんか普通の映像になって(フレアの無い)
ほっとした次第です・・・笑

最後のカットのような
綺麗なおねーさんが売り子をしていたら
絶対に買ってしまいそうですよ~~~
江ノ島って、写真を撮りに行くっても
美味しいものを食べてだべっていそうで怖い場所です・・・・(^_^;)

ちなみに
おみくじ少女の写真は
立て位置で、全身が見たかったなぁ~~~~マテw
  1. 2011/06/12(日) 23:15:19 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
まだ江ノ島のお店は行ったことなかったでしたっけかね~
シラスは搾りたてのエキスがぎょうさん入っておりやす(笑)

やっぱ、フレアの無い画がイイですねぇ・・・でも、ゾナー型であんなにフレアがひどいのはニッコールとタナーくらいでしょう。

やっぱり、一回、やまがたさんを江ノ島に拉致ってあげなければいけないですねぇ・・・
貝焼売りのお姐さんも紹介して上げなきゃなんないですね~

因みにおみくじ小姐は残念ながら縦位置無いですよ~。

その代わり、今日撮った刺激のきっつ~ぃのを今度上京出来たら見せて上げますからね(爆)
  1. 2011/06/12(日) 23:55:12 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ビオターなら、58mmf2でお馴染みですが、それと同様の色濃い色彩に眼を奪われます。
わたしの手持ち58mmf2M42タイプでは開放近くでは色が濁る感じですが、この35mmではそれほど感じないです。しかしながら、当時では35mmf2という大口径であるためか、周辺が距離条件によっては大きく収差が目立ちます。(それでも「江ノ電」や「ビール」という撮影条件では、殆ど気に成りません。)

シネに使っていたのでは、多分それほど気に成らないアウト・フォーカス部でしょうけれど、いずれにせよ当時これだけの機材があったというドイツへの脅威を今更ながら感じてしまいますね。単に機材を生産出来たというだけでなく、それを使う必要があった条件をも備えていたわけですから。
(いずれにせよ、特に戦中・前後に開発された機材の先進性や能力には驚くものがあります。)

  1. 2011/06/13(月) 17:19:34 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

上には上が居るものです・・・

treizieme ordre さん
有難うございます。

このレンズ、ここではかなりの威力を発揮しているようにも見えますが、それでも同時期に実機化に成功したシネクリスタ40mmf2の中カビ、クモリ有りと較べたら、線の細さ、発色バランスの自然さ、そして歪みの少なさで負けてしまったのですね。

やはり、少なくともコスト制約の無い産業用レンズは新技術の恩恵をありのまま受けられますから、設計新しい方が性能良いのでしょうね。
  1. 2011/06/13(月) 22:30:13 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

レンズの影響でしょうか?

いつもよりウォームトーンで仕上げてますね。
今日友人の写真展に神谷町まで行ってきましたが、彼のポートフォリオにあったR-D1の写真も色合いがソフトで情緒的に映していたので、対比が面白いです。

これくらい天気のいい日であれば映えますね~。

今日は曇天+小雨なので、DPシリーズで撮ってもなかなか良い感じにはなりませんでしたわ。
  1. 2011/06/18(土) 17:07:25 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #-
  4. [ 編集]

Re:レンズの影響でしょうか?

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
レンズもさることながら、小生のR-D1sはかつてフォトエクスポで直属の部下の方の手で電話経由の指示による"枝常セッティング"をして貰っているので、メーカー出ままの個体とは、コントラスト、発色がだいぶ違って見えるようです。

しかも、戦中のツァイスレンズですから、もともと、暖色系の発色傾向ですしね。

反対にこれまでどんなレンズを使っても、東北地方の御仁のような、やや寒色系で彩度とコントラストも低めの"高緯度地方的"描写は出来た試しがありません。

ま、本人の好みに合っているといえば、合っているので、このボディが逝っちゃったら後が無いですが・・・
  1. 2011/06/19(日) 22:34:20 |
  2. URL |
  3. charely944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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