深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

昭南島Endless vol.2

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【撮影データ】カメラ:1、2、3、6枚目;Leica M8 ISO Auto 露出+1/3~+2/3、4、5枚目;ZEISS Ikon ZM Kodak Ektar100 露出+1/3、レンズ、1~3枚目;Baltar35mmf2.3、4、5枚目;FMAO40mmf2.3、6枚目;Speedpanchro24mmf2、全コマ開放
さて、全国津々浦々、深川精密工房ファン各位、今週も先週に引き続き、当工房の海外進出第一弾、東南アジアきっての大都会、昭南島からのレポート続編です。

到着2日目は、朝から、アラブ人街と言われるBugisから始まり、そこでマクドのモーニングを戴いてのち、観音廟、ヒンドゥ寺院界隈で撮影を行い、気の向くまま、道に迷っても、戻れそうなところまではとことん進み、とにかく、撮る、人と出会えば、人を撮り、神と出会えば神を撮り、鬼と出会えば鬼を撮る!そんな気迫で撮り歩きました、ハィまた来週ってとこで終わっちゃいました。

そこで、今日はインド人街とは正反対の位置に立っていたツインタワーのふもとで乗り込んだタクシーで、やっと入口まで辿り着いたインド人街、その名も"Little India"での触れ合いスナップから、中華街までの様子を写真と共にご紹介したいと思います。

まず一枚目。
親切な華僑のタクシー運転手に「ここがインド人街の入口だよぉ」と教えられて降り立ったのが、大通りから、細い、生活臭漂う小路が幾手にも伸びる見晴らしの良い道端。

そこで、首からはM8、左肩にはZeiss Ikon ZMを提げ、目には炎をめらめらと燃やし、まさに鬼の戦場カメラマンの如きオーラを纏い、目に付いた光景をバシバシ撮っていきます。

大通りから一本入った生活道路では、電髪+脱色ロングヘアの小姐と手を繋いだ華僑のおぢさまが前を通り過ぎていくうちに向こう側からは眼光鋭い、民族衣装のサリーも鮮やかな印僑の小母様が悠然と歩いて来られたので、程好い頃合いを見てシャッター切ったのがこの一枚。

まさにM8の吐き出した画か?と疑いたくなるような派手目の発色と超高性能レンズのみが実現する細密描写こそが可能とする登場人物の位置感、かなりの強い日差しの下での撮影であったにも関わらず、なんとも長閑な午後のひと時をリアルに捉えているのではないかと思います。

そして二枚目。
生活道路から路地裏まで鵜の目鷹の目で被写体を探して歩いていたら、面白いオブジェというかスタチューを発見したので、しかも運良く(悪く!?)横で楽しげに携帯でギャルズトォクなんか楽しむ印僑の大姐が居ましたので、電話が終わるのを待ち、かくかくしかじか、それがしは、東京から来た、自称有名ブロガー兼、少し有名なシネレンズ写真家なり!と名乗りを上げ、「ぢゃ、何でもイイから、その有名ブログでこのお店紹介してくれる?」と大姐から交換条件を切り出され、即座に交渉成立、小生の"言いなり聞く蔵"状態でポーズをとって貰ったのがこの一枚です。
え、お店の名前ですって・・・う~ん、そもそもウルドゥ語を英語標記に直したものなので、読めなかったですし、大姐の巻き舌英語で店名だけウルドゥ語の発音で説明されたんで、三歩も歩くうちに忘れちゃったんです・・・

でも、このおっさん(グレートシェフとか言ってましたが)のオブジェが目印なので、皆さん、昭南島に行くことがあったら、是非、ブログで見たとか述べて寄って上げて下さい。もしかしたら、何かサービスがあるかも知れませんぞ。

背景が漆黒の店内で、かなり色黒(失礼!)の大姐が清潔な白衣に身を包んだ姿を撮ったかなり難しめの画ですが、シネレンズを装備したM8はかなり忠実に撮影者の意図通りの描写を果たしてくれています。

それから三枚目。
気の良い大姐に鄭重にお礼の言葉などを述べ、再び、界隈での被写体探しに出掛けます。
今度は、道を渡って、駅に近い方の大通り際をローラー作戦で獲物探しすることにしました。

すると居ました、居ました。
如何にも、男尊女卑のヒンドゥ社会において、自分達は西欧の男女平等主義を"三世の近い"の裏書とする、といった趣きの仲睦まじい初老の夫婦の姿が目に留まりました。

そこで、この場合は後ろからそぉっと近づき、至近距離でぱぁっと撮って、それでも奥方がシャッター音に気付いて振り返ったので、笑顔で目礼してその場を立ち去ったのです。

この生活臭漂う一見何気ないスナップですが、実はこのカット、シネレンズのとてつもない性能をそこここに鏤めているのですね。
例えば、逆光となっている奥方の巻き髪、良く目を凝らせば、かなりの解像度で毛髪一本一本を捉えていることが判りますし、これだけの近接解像度にも関わらず、4~5m後方を歩く印僑2名の姿も、100m近く彼方の道の向こうの建物も、柔らかく、滑らかなボケとして表現しています。

続いて四枚目。
さて、ここから、インド人街の次の来訪地、中華街からの作品です。
地下に在るMRTの駅から中華街の街に出ると、そこは、如何にもアジア的というか、見ようによっちゃ、見慣れたアメ横とか、吉祥寺や高円寺辺りの裏通りの商店街みたいな雰囲気で、まずは、何も考えずに街の空気そのものを捉えようと考え、撮影を開始しました。

すると、或る交差点で目の前のプラナカン様式の古い建物ごと露店の活気を捉えようとカメラを構えた途端、目が合った白人の大々姐がこっちに目線飛ばし、いきなり両手上げピースして笑顔を浮かべたので、勢いに呑まれ、シャッターを切ってしまったのが、この一枚です。

この一枚も雑踏の中のひょうきんな外国人旅行者のお茶目写真と片付けてしまいたくもなるところですが、やはり、シネレンズの異能を示す痕跡をあちこちに残しています。

例えば、大々姐とそのガイドたる現地女性の姿は、妙に輪郭が立っている上、コントラストが背景とは異なり、あたかも3D写真のように浮き出て見えますし、白人女性の肌、そして持ち物のカバンの質感描写は到底40mmクラスのレンズの開放撮影のものとは思えない細密描写です。

また背景も建物の特徴的なパーツは確認出来るくらい姿を残してはいるのですが、決して2線ボケではなく、なだらかなボケでありながら、作画に必要なレベルのディテールの情報は残している、ということで、さすがアメリカンシネレンズのエースと実感しました。

また、35mm用のシネレンズは135判フィルムを実用上全く問題なくフルカバーする、ということの証でもあるのがこのカットなのです。

まだまだの五枚目。
この思いがけない飛び入り参加の熟練?モデルさんに鄭重にお礼を述べ、旅の安全を祈る旨述べその場を離れ、一本北の比較的人気の少ない通りを歩きながら、ネタ探しをしていました。

しかし、面白いもので、マクロレベルの目線できょろきょろと歩いていると、全体としてのダイナミックな風景など目に入らないものですが、ふとしたきっかけ、今回は、或る華僑一家が小生を地元民と間違え、車の窓から顔を出し、目の前の大きなビルを指差し、あそこに行くにはどこをどう通っていけば良いのか?とか聞いてきたのですが、判らんもんは判らんので、そう答え、車が走り去った後、ふと人々の個々の生活の営みとは視点を変え、通り全体を広角的な視点で捉えなおしたら、やはりこれは日本に無い、エキゾチックな光景だ!と閃き、人気の殆どない裏通りから富の象徴たる黄色い高層ビルが見下ろす姿を捉えた次第。

これは、人間の目で見たより、実際は狭い長方形に切り取られた被写界でこそダイナミック感と異国情緒が漂ってくるカットではないかと思います。

これも135判フィルムによる撮影です。

最後の五枚目。
大通りと交差する辺りの街角に、時代がかった漢字の金文字看板も趣深い、なかなか素晴らしい建物が目に留まったので、適当な通行人が寄り付いた辺りでシャッター切ったれ、と思い、ファインダー越しに獲物を待ち構えていたら、来ました、来ました、良いカモが・・・

ただ、このカット、建物が主役で手前の道路を横切る人物はあくまで助演でしかないので、オフフォーカスの前ボケでも、美しくボケてくれるという条件付きなので、この白人カップルが通り掛かるまで、結構待ちました。

男性の姿は半分以上フレームの外になってしまっていますが、手を引かれ、颯爽と画面を横切る白人小姐の姿は、ブレと前ボケによるピンの甘さが却って躍動感を醸し出したのではないか?と工房主は自画自賛してしまいました。

このカットはやはり35mm判のシネレンズですが、M8でも、四隅に若干の影が認められるかどうかくらいのレベルなので、殆ど実用上支障が無い、イメージサークル、画面全体の均質性を備えていることが判ります。

さて、来週は、いよいよお楽しみの「まぁライオン!」の勇姿が登場致します。02年に今の場所に移動して以来、日夜フル稼働で海の水を文字通り怒涛の如く吐き出すその勇姿は、もう二度と「世界三大がっかり」とは言わせません。乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2011/07/31(日) 21:00:00|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

ご苦労様です~~~

ごく個人的な意見ですが
1枚目は、横須賀とか横田の米軍基地周辺の商店街を髣髴したり
最後の写真は、ヨコハマの中華街を連想してしまう自分は
一度外国に行かないとダメかもしれませんね・・・・(^_^;)

写真のほうは
2枚目が、インパクトありすぎです・・・・笑
カルロスゴーンが、コックの格好をしているのかと
一瞬思いましたよ~~~w

4.5枚目の写真はいいですね~~
フィルムでの色合いとかの違いもありますが
シャープだし、ボケもバルターより私は好きですよ~~~

そういえば
うちにもバルターちゃんが居ましたが
神奈川のほうに行ったきり帰ってきません・・・・
赤い靴を履いていたので
異人さんに連れて行かれてしまったのですかね・・・・・・・マテw
  1. 2011/08/01(月) 20:15:32 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
有難うございます。
そうです、やっと気付きましたか!?
やっぱ、夜行バスに乗ってでも海外は行かにゃあきまへん。

例えば、G13メH14さんが産まれ故郷のマイニラにやまがたさんをお連れして、ご両親の前で「お父さん、お母さん、会って欲しい人が居るんです・・・」とか俯き加減で紹介するとか >_<\☆★ばっきぃ!!!

とまぁ冗談はさておき、4,5枚目も実はBALTARですよw
ただ、エレメントを全部開けて、鏡胴内部をアセトンでクリーニングし、グラファイトの無反射塗装までやって、エレメントを回し積みして組み直した光学ブロックをシネレンズ同等の固定法でヘリコイド&マウントアッセブリに装着し、超精密加工の傾斜カムを施し、システムフードを与えたモデルをFMAOと呼んでいるのですよwww

ところで、確かにやまがたさんの虎の子とも言えるバルチャン30mmは赤い靴だかズロース(死語?)を履いていたんで、多摩の山奥のひい爺さんにさらわれて竜宮城に逝ってしまいましたね。

きっとそのうち、ヤオフク経由戻って来るのではないでしょうか >_<\☆★ぼっこぉ!!!
  1. 2011/08/01(月) 21:59:26 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

街に注意が行き届いた国とは聞いていましたが、とてもキレイな町並みに驚きます。

薄っぺらいく高いビルには恐怖感を覚えるものの、そこかしこに目立つ建物の雨どいや、コテでモルタル使って仕上げたのか、造りものに塗装したのか、建物外観装飾もそれなりに凝ってますね。
現代美術の先駆者が「フランス窓」を飾っていたのを思い出すくらい、写真の中にはソレ風の窓扉が多く見られるのにも気になりました。
電線はほぼ地中埋設の様子だし、下手するとテーマパークとも見かねない位の雰囲気に、集客への配慮をとても感じたりもします。

色彩感覚も濁った感じが面白く、一枚目「コチラに歩くインド人女性」サリーの色が、町並みに溶け込んでいるのがたのしいです。

そんな風に現地に溶け込んで、観光誌に記載しえない雰囲気を楽しみたいものです。(こうして、写真の細部を見てゆくのに、非常に快感を覚えます。)


4,5の写真がコントラストが強く、それ以外はしっとりした感じで、使い分けが出来そうですね。
1,2,3,6の描写は、コントラストが低い割には描写力を感じますので、アジアのどんよりした雰囲気を其のままに引き出す気がして好みです。


(Yさんがマニラなんかに行ったら、特定な女性以外は全てに難癖がつきそうな気がして心配です。でも、建物の工作や改造は、ご趣味のレンズ改造に通ずる所もありそうなので、そういった面ではご一緒に散策出来るかもしれませんね。)

このペースで、944さんお好みのポルトガル風景も拝見したいものです。nhkで急坂の路面電車や町並みは放映していましたが、やはりムービーとスチルの視点の違いは大きいです。

細部を見分けられるスチル写真の醍醐味を、今回再発見した次第です。
  1. 2011/08/03(水) 12:14:00 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

まさにこういう、色や形や様々な概念が入り乱れ渾然一体となった東南アジアの街の風景にこそ、超細密描写を得意とするシネレンズの活躍の場が有ると思います。

確かに言われてみれば、動画より静止画の方が、その物理的な属性、即ち、いつまでも動かないから、納得行くまで画面の端から端まで嘗め尽くす、という鑑賞法が可能ですね。

そういった意味では、10数メーターの銀幕に投影するポジの元となるネガを撮影しているシネレンズの透過情報量、そして、悪条件でもそれなりの作品に仕上げてしまう懐の広さは、21世紀の電子暗箱M8と組んだことによって、スナップにはまた別の水平線が有る事を示唆してくれたのではないでしょうか。

勿論、フランチャイズ?の沖縄にはこれからも通いますが、その何分の一かの情熱と資本投下で、貴兄の産まれ故郷?マイニラを含め、今後は海外での情景描写にも精進したい、と思った次第です。
  1. 2011/08/04(木) 00:09:28 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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