深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Coraggio Giappone!~佐原ツアー'11番外編~

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【撮影データ】カメラ:ZeissIkon ZM 、露出 絞り優先AE、+1/3、レンズ:Super Lomo50mmf2、フィルム:Kodak Ektar100、全コマ 開放
さて、週末を待たずしての臨時更新です。驚いた愛読者の方がおられたらゴメンなさい。
何故、急に翻意して週半ばに更新を思い立ったかと言えば、ひとえに佐原の人々の心意気と、もてなしの心に応えるためにほかなりません。

まだ地震被害から復旧し切っていないのにも関わらず、お祭りを敢行し、自分達の立ち上がる姿を世間に発信しようとし、また本番での観光客の多寡に関わらず、祭りの今を楽しむことで自分自身にも、観る者にも元気を分け与えようとした、街の人々のその心意気に対して、自分が何が出来るかと思い、公開可能なカットは出し惜しみせず全て公開してしまい情報発信で援護射撃しよう、と思い立った次第。

レンズはそのうち公開しますが、未発表の高性能改造レンズということで・・・

まず一枚目。

吉庭の至上のヴュッフェを腹一杯戴いた後、本格撮影に入り、被写体が一番多そうな、街のメインストリートに歩いて行きました。
すると、或る商店前で、祭り衣装もびったり決まった親子が目に留まり、お父さんが山車の解説パンフを拡げて、目の前にやってきたのはどこの街のだよ、とか幼い娘さんに説明し始めた途端、娘さんはお父さんの肩に圧し掛かり、「あ、これ、マィちゃんとこの街のだよ!」とか指さして説明しています。

本当は、嬉しさの余り、破顔したかったであろうに、渋い表情で決めているお父さんの様子が面白くて、一枚戴きました。

さすがに黙って立ち去るのも流儀に反するので、「今、イイ表情だったので、一枚戴きました」と声掛けましたが、その時、渋い顔のお父さんが初めて破顔し、「おぃ、今の写真撮ってくれたんだってさ♪」と娘さんに言って聞かせていた表情が印象的でした。

ピンを置いた娘さんの鉢巻周辺は極めてシャープでリアルですが、ボケもなかなか芯もない、なだらかでイイ案配のボケになっています。

そして二枚目。

父娘に鄭重にお礼を述べ、その場を立ち去り、伊能忠敬記念館方面に歩いて行きました。
すると、ちょうど、山車の年番交替とやらで二つの町の町会長さんを含めた顔役が揃い踏みして、厳かな儀式の後、二台の山車のお囃子衆合奏による手古舞が始まりました。

その儀式の際、後ろの方から、お揃いの染め抜きの着物も粋なおぢさま方が並んだ様をそぉっと撮らせて戴いたカット。

何せ、厳かな引継ぎ式の時、「卒璽ながら、貴殿らの写真を撮らせて戴きたい」などと声でも掛けようものなら、空気を読まない振る舞いに対するストレートな怒りを買って、簀巻きにされて、小野川にでも投げ込まれかねないでしょうから(笑)

ここでも、髪の毛一本一本を余裕で解像するシャープなレンズは、後ボケに芯をも残さず、ぐるぐるもなく、極めてナチュラルに遠景が故の街並みの風情を描かせています。

それから三枚目。

儀式も一段落したので、他の見物人同様、その場から蜘蛛の子を散らすが如く足早に立ち去り、次なる獲物を求め、大通りを徘徊していました。

すると、さすがお祭りも二日目の昼過ぎにもなると、幼な子には疲れが出るのか、身なりはびしっと決まった優しげなお母さんの背中で眠りこけていました。

そこですかさず、類は朋を呼ぶ状態で眠った小児を背負ったお母さん達が集まって、路上意見交換会みたいなことをやってる背景から音も無く気配も消して近寄り、見事一枚仕留めたカットです。

それでも、余りにも小児が気持ち良く休んでいたので、ついついお母さんに「相当お疲れみたいですね、なかなか微笑ましい姿なんで、後ろから一枚戴いちゃいました♪」とバカ正直に名乗り出たら、「こんな地味なカッコでも良ければ、お祭りのPRに使ってやって下さいね」と嬉しいお返事。

お~っと、このカットでは背景にぐるぐるボケがは発生しています。端正な写りを旨とするこのレンズにしては珍しい現象です。

続いて四枚目。

若いイナセなお母さんに心からお礼の言葉を述べ、その場を後にし、更なる獲物を求め、大通りを彷徨い続けます。

すると、また髪のセットも揃いの法被も決まった小姐達が一糸乱れぬ手古舞を舞っていました。

何せ、年に2回しかない佐原のお祭り、しかももうひとつは夏の盛りなのでなかなか来られないし、心行くまで堪能出来るのは、実質的には年に一回の土日二日間だけということになります。

その凛とした後姿に惹かれるものがあって、踊りの隊列の邪魔にならない程度まで近寄って撮ったのがこのカット。

背中から陽を浴びて輝く黒髪が魅惑的ですし、この小姐は祭りの常連なのでしょうか?洗い晒された法被の生地の素朴な風合いが却って「江戸勝り」の粋を強く感じさせてくれたような気がしました。

なお、このカットでもよくよく見てみれば、背景の柳の木?がいまにも渦巻きに巻き込まれそうな雰囲気を湛えていたのでした。

まだまだの五枚目。

撮ってばかりいると、喉も渇こうというもので、物販のお店の方に足が自然と向きました。

ところが、先客の祭り装束の小姐がオレンジジュースだかまさにを買わんとしているシーンに目が行き、その次の瞬間にはフレーミングを決め、シャッターを切っていました。

とっさのことだったので、ピンは売り子の別嬪さんまで繰り出せなかったですが、何とか被写界深度で救われたようです。

これがもう一本のf1.5の50mmクラスだったら、完全アウトだったかも知れません。

決定的瞬間が撮れたと思い込んだ小生は喉の渇きも忘れ、るんるん気分でその場を立ち去り、また別のカットをものにすべく歩き出していたのです。

最後の六枚目。

ジュースのお店から小野川方面の十数メートル歩いた辺りの別のお店の軒先でも、またドラマが繰り広げられていました。
小姐の一団が普段から付き合いの有る馴染みのお店なのか、リーダー格の小姐がおばさまと楽しげに談笑しています。

その表情があまりにものどかで牧歌的だったので、黙って一枚戴き。

あまりにもお話しに夢中で、「撮りましたよ、イイですよね」とか声掛けるのが申し訳なさそうなので、黙って立ち去りはしましたが、取り巻き連中はこの距離でこれ見よがしにカメラ構えてたのをニコニコ見てただけだから、文句の言われようもないですね、と勝手に状況証拠から判断し、万事一件落着。

ここでは、やはり手前の小姐がオフフォーカスで写り込んでいますが、前ボケが優くマイルドなボケであることが良く判るのではないかと思います。

さて、今週末は、夜の佐原祭りから始まり、最終日のクライマックスまでご紹介致します。乞う御期待!!

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2011/10/13(木) 23:36:00|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
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コメント

うっは。これは凄い。
傑作のオンパレードといいましょうか...これは凄い。

と、文面読まずに写真だけ見ての感想です。凄い。
  1. 2011/10/14(金) 04:57:21 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

日曜以外に更新されていると驚きますね!
未発表のレンズとのことですが、こってりとした色あいで後ろ姿の三枚にはかなり引き込まれます。
レンズの紹介も楽しみにしています。
  1. 2011/10/14(金) 08:55:04 |
  2. URL |
  3. ktf_design #-
  4. [ 編集]

全てが素晴らしく、また懐かしい。

いつものシネレンズが濁った色に見えるくらい、くっきり・すっきり・懐かしい風景の写真のオンパレードじゃないですか。

これデジタルかとおもったらフィルム、しかもレンズとの相性や天気の相性が崩れれば一気にどこかが破たんするかもしれないエクター100でこれだけの写真が撮れるとは、どれだけのパワーのあるレンズ、そして天気だったのでしょうか。

人も含めて焦点が合わない部分のボケも優しい映りでうるさくないし、流石ですね。

もしかして、このレンズもロシアからの刺客なのでしょうか??
  1. 2011/10/14(金) 22:36:13 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
NEXの遣い手の方から過分のお褒め戴くと次が困ってしまいますねぇ・・・汗

な~に、今回は、M7、MPを凌ぐとも言われる優秀なファインダを搭載したZeiss Ikon ZMと或る方から、ちょっとしたEKTARフィルムの選び方を伝授して戴いたこと、そして何よりもレンズが予想以上に性能良かったことに大いに助けられていると思います。

実はこのレンズ、皆さん、写真、カメラに通暁された方々から「女子供の遊びカメラ」と揶揄され、また或る時は「写るンです」以下のとんでもカメラとも罵倒されるLOMO製の秘密兵器なんです。名実ともに。

いずれヴェールを脱ぐと思いますので、今暫しお待ちを・・・
  1. 2011/10/14(金) 23:11:35 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ktf_design さん
有難うございます。

さすがお目が高い。このレンズ、全く評価されたことがなく、恐らくフィルムでの作例が挙がったのは世界初ではないかと思います。

或る意味、米国製レンズがもう既に評価が定まって来てしまったことに対する深川からの新たなパラダイムシフトの提言です。

詳細は今暫しお待ちを。
  1. 2011/10/14(金) 23:14:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:全てが素晴らしく、また懐かしい。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

実はこの佐原大祭での出番前に、湘南にて、M氏、H氏と3名でシェイクダウンテストを実行しており、M8での凄まじい最近接撮影での解像力、そして、T*コートのツァイスレンズも道を譲るが如き耐逆光性能に一同びっくらしまくら千代子状態だったのです。

そして、今回は、一般論的に述べれば、焦点面が光沢で反射係数が高いCCDに対し、暗茶色で反射防止コートも施されているフィルムの方がより描写性能が上がる筈、という目論みで、現地撮影を敢行したのです。

このレンズ、すぐにも素性を公開して、生家の長年の汚名を晴らしてやりたいのですが、今は一番安いシネクセノンの3分の一程度の値段で比較的容易に入手可能なので、こちらのサイトの常連愛好家の方を含め、仲間内に行き渡った頃に発表しようかな、などとも考えています。

何せ、発表したら、すぐに値が上がっちゃうでしょうから・・・笑

もう、既にM氏もH氏も早々と入手しているのですよ、実のところ。
  1. 2011/10/14(金) 23:25:14 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ブログアップご苦労様です。

1枚目がすごくシャープですね。
光線の当たり具合も良くて
目を引き付けられます。

35mmだと、周辺がちょっと足りなさそうなので
M-8あたりが最高なのでしょうね。
ボケは3.4枚目が独特で
好きな人が多いパターンのボケなのでしょうか
レンズの描写ってのは千差万別ですね♪
  1. 2011/10/15(土) 10:52:30 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがた さん
有難うございます。
事有るごとに「挑戦状」とか「果し状」みたいなカットを載せてくれちゃったりするんで、出し惜しみしてる間なんかなくなっちゃったんですね・・・www

それはそうと、このレンズとその兄弟、今はまだ無名で電子湾でも誰も釣り上げようとしないですが、詳細を発表したら、わぁ~っと値段が吊り上がってしまうのでしょうね、かつてのスピードパンクロ、最近のバルターのように・・・

H14さんも、愉快な海の仲間も、既に1~2本ずつ、内緒で調達し始めていますから、やまがたさんもここらで一本、逝っときますか!?
  1. 2011/10/15(土) 19:27:24 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

個人的には
プロミナー50mmF1.4か
オシロラプターのほうが欲しいです・・・笑

50mmは、結構持っているので
最近は、軽くてNEXの標準に使える
30mmくらいのパンケーキレンズが欲しいと思ってます。

なにせ
うちにあるのは、巨身兵かオームのようなレンズばかりで
ナウシカのような可憐なレンズが欲しいですよ~~~マテw
  1. 2011/10/17(月) 20:54:55 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
再び有難うございます。
実は、オッシロラプタは、仲間内でも密かに隠し持ってて、改造出来ずに持て余している人が小生が知る限りでも3名は居ます。

みんな、ロシアンシネレンズを買うお金の捻出に四苦八苦しているようなので、mixiの連絡網で「う~ウォンテッド!」やってみれば???

また、お姫様みたいにぺったんこ(どこが!?)な良く写るレンズがご入用であれば、例のフレア大会のパンケーキレンズを価格応談で一本(一枚?)作って上げましょうか?

あれなら、R-D1sで50mmちょいの換算画角ですから、NEXならちょっこし撮像素子の面積が大きいようなので、50mmジャストくらいになるんでねーでしょうか???

或いはもっと良く写るシャープなのが良ければ、ロシアンシネの28mmを買って、海洋生物センセにパンケーキタイプに改造して貰ったらいかがでしょうか(笑)
  1. 2011/10/17(月) 21:28:23 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

お返事ありがとうごさいます~~~

次回上京したとき
フレア満載のレンズについて
お願いしたいと思いますよ~~~~~笑
(アメリカ製のバルターみたいな写りの
トランジスタグラマー(死語w)も好きですけどね・・・笑)
  1. 2011/10/17(月) 21:40:35 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
お布施の申し入れ、有難うございます。
では、先祖伝来の田畑や牛馬を売って、札束持って、夜汽車に乗って出てきて下さいね。
大フレア大会の世界で一本のペッタンコレンズを作ってお待ちしてま~す♪
  1. 2011/10/18(火) 19:48:14 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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