深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Coraggio Giappone!~佐原ツアー'11後編~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE 露出補整+1/3、レンズ:1~3枚目;RTH Cooke Speedpanchro32mmT2.2、4~6枚目;Wollensak Oscillo-Raptar51.6mmf1.5 何れも開放
さても日曜の夜が巡り来て、感動の余韻も醒めやらぬ、佐原のお祭りの思ひ出から、後編をレポート致します。

毎年恒例というか、結局は1人でも同行メンバーが居ても寄っている、佐原の鰻割烹の銘店「山田屋」にて鰻重上2500円(肝吸い付)を戴き、相当、マターリした気分で、当日の仕上げ、夜間撮に総勢三名で出かけました。

あちこちの露店では灯りが煌々と灯され、それに惹き付けられた祭り装束の老若男女の姿を見ていると、同じ年の春に未曾有の大災害が起こり、この街でも家が傾いたり、瓦が落ちたり、川底が液状化の影響で吹き上がったりと想像を超える被害を受けていた、とは到底思えませんでした。

辛い出来事も笑顔で受け流し、今日を精一杯生き、明日も佳き日であれと願う・・・そういった江戸庶民のメンタリティのようなものが、150年余の時空を超えて、この"江戸勝り"の佐原の地には脈々と生き続けているような気がして、"産地偽装"の深川っ子の小生としては、とても眩しくさえ見えました。

夜になると、元々宿泊施設のキャパも少なく、電車の便も決して良くないこの街では、観光客は激減し、街の人々と近隣住民だけのお祭りの顔を見せてくれます。

では、早速、続きを見て参りましょう。

まず一枚目。

「山田屋」を後にした一行は、路傍の風景を適宜撮りながら、大通りへと向かいました。人出が依然多いのと、証明が充実し、写真撮影には好環境だからです。

山車が幾つか整列していたので、手近なものに歩み寄ると、先導役の年輩男性2名が、伝統的な提灯に灯を点そうとしている姿が目に留まりました。

光線加減からしても、背景の祭り装束の群れの位置からしても、このような好都合の被写体配置はなかなか有りません。そこで、一枚戴きました。

ピンは手前の男性の頭の輪郭で合わせていますが、背後の男性以下はなだらかにボケてなかなか雰囲気有るカットになったのではないでしょうか。

カリカリするカンジではないですが、手前の白髪頭の毛の一本一本まで精緻に描写しています。

そして二枚目。

更に獲物を求めて歩いていたら、一昨年の太田尾島ねぷた祭りで撮った肩車越しの山車のカットを毎日がお祭りみたいな東北地方在住の某氏にパクられてしまったので、またそのリベンヂをしっかりとやらねばなりません。

強い光源が入ってしまい露出には苦心しましたが、AEロックという便利な機能を駆使し、ほぼ、ドンピシャの露出に近いセンで捉えることが出来たようです。

投光機の白色光が小々姐のツインテからほつれた髪を透かして届いていますが、その横のフードのフェイクファーのテクスチァといい、開放でこの描写ですから、シネレンズの性能たるや、やはり伊達でも佐竹でもましてや最上でもないと思います。

それから三枚目。
10時近くまで思い思いに撮影し、そろそろ成田の宿に戻ろうかい、ということで駅方面に歩いて行くと、ちょうど踏切りの遮断機が降りていて、様々な格好の老若男女がその前に佇んでいました。

そこで、お祭り衣装の小姐グループも居たので、彼女らをモチーフに「遊び疲れた家路」みたいな雰囲気を漂わせたカットを撮りたくなって、シャッター切ったのがこの一枚。

踏切直上のナトリウムランプとやや離れた水銀灯、そして、近くの露天商の裸電球、かなり混み入ったミックスライト条件でしたが、M8の優秀な露出計は、TTLと外光測光を上手く判断し、カラーバランス、露出レベルとも鑑賞に堪えうるレベルの画として捉えてくれたようです。

32mmのレンズにしては、けっこう被写界深度が狭く、小姐3名組の一番手前にピンを置いたら、一番奥の娘さんは、既にオフフォーカスとなってしまっていました。

しかし、後ボケには芯も残らず、ましてやグルグルなど生じず、M8と組ませれば、まさに街撮りスナップにはオールランドの相棒ではないかと思った次第。

続いて四枚目。

翌朝は10時9分成田発の銚子行きで佐原には10時半過ぎの"出勤"でした。

本当は前日の夜間撮影の出撃予定だったOscillo-Raptar51.6mmf1.5が、あろうことか夜間撮影が有る事が判っているのに、ISO100のフィルムとF2以下のレンズしか持参して来なかった、メンバーの一名に貸したままとなってしまい、結局活躍の場が与えられず、また、同行のI運営委員殿がノクチ50mmf1.0を朝っぱらから通しで使われるということなので、その心意気に感じ入り、当日はM8の眼はこのOscillo-Raptar51.6mmf1.5が務めることとなったのです。

佐原の駅に着き、またしても大通りを目指して歩いていたら、赤い祭り装束の小々姐3名組と目が合いました。

そこで、まずは一発目の人物撮影ということで、「ちょっこし、そのフリフリポテトをノリノリで食べてるとこ撮らしてくんない!?」と声掛けたところ、食べてるとこはヤーダヨ!でも写真ならキレイに撮って!ということで、いかにも気立ての良さそうなお姉ちゃん格の小姐と交渉成立、朝っぱらからテンション高く一枚撮らせてもらった次第。

この日も朝から相当天気が良く、路上もこの時間からかなり明るかったですが、アスファルトの路面に千葉名物?の"ヤンキー座り"しててくれたおかげで、M8の露出計は反射係数が程好い路面から拾ったようで、かなり上手いこと露出が合ったようです。

大口径特有の全体的な柔らかさと、個々の部位に於ける、瞠目すべきシャープネス、こういった二律背反の共存がこの稀有なる運命を辿って深川に舞い込んだこのレンズの魅力ではないかと思います。

まだまだの五枚目。

朝からモデルさん役を快く引き受けてくれた小々姐3人組みに心からお礼を述べ、その場を立ち去り、また、鵜の目鷹の目、大通り界隈で獲物、もといモデルさんを探します。

すると、山車を曳く大綱の先導役の童子達が小休止でへばってます。

その山車の社中全景をざっと見て、ぱっと思ったのが、ははぁん、やはりどこの町会も、先導は童子を据えるにしても、やはり、眉目秀麗な幼子を据えてくるなぁ・・・ということ。

個人的な感想ですが、親御さん了承のもと、今回のモデルさんになってくれた小々姐だって、器量という点では、テレビに出まくら千代子状態の「A田M菜」ちゃんくらいであれば、スクラッチでも楽勝ではないでしょうか。

ほんと、佐原には、そのくらいの器量良しは掃いて捨てるくらいあちこちに居るらしく、お祭りの際に大量発生してくるのです(笑)

ここでも大口径の優しげな柔らかさと、内に秘められたシャープネス、クリアさがいたいけな幼子の今を力一杯捉えていると思います。

最後の六枚目。

傍で見ていたお母さんに心より協力御礼を述べ、またその場を後にしました。

最終日である当日は、17時9分の電車でお江戸に戻りたかったので、同行の1名と足早に駅を目指しました。

しかし、どうしても、目に付く光景が有るもので、お祭りとは関係なく、切り抜き細工で自分オリヂナルの小物だかが作れる、とかいうお店の店先に傾きかけた秋の陽を、さらさらの美しい髪で弾き返す凛とした小々姐が居たので、足を停め、その美しい横顔を一枚戴いた次第。

前後ともオフフォーカスの部分はフレアが残りますが、一番残したかった、小々姐の横顔、特に陽の当たる横顔の髪の周りには、あたかも空気すら逃げて真空になってしまったかの如きクリアさでフレアの痕跡すら有りません。

またボケもかなりマイルドに蕩けるが如き描写となっており、肉眼で見たら少し雑然とした感も有った背景は、小々姐の佳き引き立て役に回ったようでした。

今回もそれこそ朝から晩まで、げっぷが出るほど、レンジファインダ機でお祭りとその周辺風景を人物中心に斬り取りましたが、ここで思ったのが、撮影結果、特にレンズ毎の被写界深度に関わる前後ボケや露出加減が或る程度シャッター推す瞬間には予想つく一眼レフに比べ、レンジファインダ機はM8の如きデジタルでも、帰ってからモニタで確認しないと、作品の出来栄えは予想が付かないし、そこが面白くて虜になるのでは、ということ。

さて来週末こそ、お待ちかね秘宝館からご紹介しましょうね、乞う御期待。

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2011/10/16(日) 21:00:00|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

こちらはいつもの写真ですね。

前回のブログを見て「とうとうCharley944さんもくっきりレンズに宗旨替えか?」と思ったものですが、安定のソフトフォーカスで何よりです。

夜間撮影も含めてM8って露出計が良いのでしょうか、その場の雰囲気を破たんすることなく捉えてますね。

こういう祭りの情景は、佐原とかに行かないと見られなくなりましたし、都市部だと撮影条件が厳しかったりするので敬遠しておりますが、雰囲気良いですね。

で、前回のLOMOレンズでも夜間カットは押さえておられるのでしょうか。
  1. 2011/10/16(日) 21:31:26 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

Pan-Tacharの5cmはF1.8のほうでしたので、F2よりも明るいレンズもちゃんと持って行っていましたよ~・・いや、Oscillo-Raptar51.6mmF1.5無償レンタルありがとうございました!お陰様で夜祭が撮れていました。ピントもバッチリで流石の改造と改めて感心いたしました。佐原では私はようやくMマウントの恩恵を享受できた思いました。
Oscillo-Raptar51.6mmF1.5の作例は、往年の大口径レンズの描写の柔らかさと巧みな構図でとても好ましい作画になっていますね。女の子の衣装の赤もキレイです。
  1. 2011/10/16(日) 22:35:18 |
  2. URL |
  3. 情報の庭師 #-
  4. [ 編集]

Re:こちらはいつもの写真ですね。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

え~、全然ソフトフォーカスなんかぢゃないですよ・・・御冗談を(汗)

前回のSuper Lomoが異様にカリカリな描写のレンズなので、普通よりややマイルド(特にOscillo-Raptar51.6mmの方)なのがソフトフォーカスに見えてしまったのかも知れません。

東北の某氏が柔らか路線、小生が解像力番長の"目の付けどころがシャープでしょ♪"路線と、まるで、学校演劇の「泣いた赤鬼」みたいに明確の役割分担が決まっています(笑)

で、かのSuper Lomoですが、まだ夜間撮影テストはやっていなくて、そのうち、落ち着いたら、浅草寺の宵の口の夜店でも撮りに行こうかな、とか思っています。

なお、今日は川越祭りに行きましたが、写真撮影に関しては、佐原以上にオープンで、手古舞の小々姐達など、カメラを向ければ、黙ってても、こっちに目線と笑顔くれましたし、お子様の撮影を申し出ても、親御さんは皆、好意的で協力的で気持ち良く撮影出来ましたよ♪
  1. 2011/10/16(日) 23:31:50 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

情報の庭師さん
有難うございます。
泊りがけでの撮影おつかれさまでした。

傑作はモノに出来ましたでしょうか?mixiの方ででもアップして戴ければ、と思います。

そーでしたなぁ、f1.8の骨董玉をお持ちでしたなぁ・・・失礼致しやしたwww

そーいやぁ、I運営委員殿からもお借りした例のGXRでの撮影結果はどーなったのでしょうか?

んんん、結果を発表する前に、中野のぺこちゃんカメラにこっそり買いに行った???

なかなか良い心がけです(爆)
  1. 2011/10/16(日) 23:37:11 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

スピードパンクロは、相変わらずシャープですね。

個人的には
オシロラプターはつぼです・・・・笑

写真のほうも
ポニーテールも捨てがたいですが
やはり4枚目かなぁ~~~~~~~~笑

もう
なんか技術的とか病者性とか上手い下手とかの話じゃなくて
自分の好みの意見ばかり書き込みしている自分です・・・・・・(^_^;)
  1. 2011/10/17(月) 20:59:11 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
有難うございます。
やっぱ、巷の下馬評通り、やまがたさんの"清き一票"は4枚目でしたか・・・小生は5枚目かと思ったんですけどね。。。www

オシロラプターは仲間内でも改造し切れずに死蔵されているのが3本ほど有ったはずですから、まずは熟年フリーター?の熱湯さんを手始めに個別撃破で当ってみてはいかがでしょうか?
  1. 2011/10/17(月) 21:35:22 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

夜撮影というのはノイズ、暗いファインダ、スローシャッターという三重苦が付き纏うので私なんかは写真にできる率が激減するのですが...見事です。

というのも私事ながら、今しがた夜撮影の地獄を味わってきたばかりなので...その労苦が骨身にしみてわかっているのです。といっても私はEVFでちゃちゃっとやってしまうだけなのでちょっと...いやかなり違うのですが、それにしても...。

一晩で六枚か。

そして僭越ながら、やはり一枚目が好きです。落とした目線を見やると提灯があって、その、少し過敏であろう人格がよく出ている...気がします。そういう想像をさせる写真は、ずっと見ていても飽きないものです。
  1. 2011/10/17(月) 22:13:53 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
奇しくも貴兄も夜間撮影をされてのお帰りですか。
どんな機材を使ってもなかなか難しいですが、それだけにバシィっと決まった時の満足感は高いですよね。
実は今回は同行して戴いた方は、M9にノクチのf1.0という、まさに鬼に金棒しかも虎の皮の褌付きみたいな決まり過ぎの装備で夜間撮影に臨まれたので、対抗し得る高速レンズたるOscillo-Raptarをほいほぃ貸し出してしまったのは正直痛い、と思いましたが、Speedpanchro32mmT2.2は全く問題なく、代役を果たしてくれたので、これはこれで良しと思いました。

ところで一枚目には面白いエピソ-ドがあって、ここ佐原では、いまだに江戸っ子気質とともに、江戸の下町訛りが残っていて、このお二人のご老人ともども、近所の深川の銭湯辺りに居る御老人と寸分違わぬ、きれいな下町言葉を話していたのです。

気が短くて、神経質だが情に脆い・・・そんな下町っ子そのものが纏う雰囲気まで感じ取って戴けたのなら、撮影者としては本望です。
  1. 2011/10/17(月) 23:08:41 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

佐原にて

東京からバスや電車で2時間近く離れている割には、祭りの衣装が本仕込という様子に感心しました。本仕込といったって、別に本式が在る訳ではなさそうではありますが、普通に祭りの衣装になっているのが「懐かしい」という感じになります。

17時には暗がりが重く成って来る季節ですが、暗い割には祭りのけん騒が良く伝わります。街灯は多くありますが、どの程度の照度なのかわかりません。しかしながら、フイルム撮影時代にはなかなか成し得ない「明るい暗闇」という気もするから、ワタシも古いですね。

諸外国からみれば、フクシマから300km程度離れているったって危険だろうなんて思われるような、関東近辺でのニュース・ネタ、昨今の「放射性物質の除染」問題が嘘のような景色が展開しています。

地震から早6か月以上。運河の護岸が未だに崩れていたりもしていましたが、そんな危惧の微塵も感じられない今回のお祭りパワーには、確かに地域の強さを感じました。

そうした、人々の平穏な様子を良く伝えていると思います。

  1. 2011/10/18(火) 23:32:39 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

フクシマのプレッシャや風評にもめげない、下町の心意気とかバイタリティーのようなものが、今回の一連のカットから感じ取って戴けたら、掲載の目的は半ば果たされたようなものです。

思うに昭和の御世の高度成長期に入り、佐原が交易の要衝という地位を失い、それとともに経済的にも沈滞の一途を辿ってしまったようにも見えますが、どっこい、同じ時代に本家お江戸で時代の波に洗われ、物質文明や拝金主義に蝕まれてしまった、江戸の心、そう、特に粋とか、人と人との絆みたいなものがこのタイムカプセルみたいな辺境の地にはまだまだ脈々と生き続けているような気がしました。

これが毎年の秋祭りは言うに及ばず、事有るごとに足を運びたくなる原因かも知れません。
  1. 2011/10/19(水) 22:31:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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