深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A little but powerful optic gear from USA~Baltar 35mmf2.3 no-coated mod. M~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE 露出 +1/3 全コマ開放、ロケ地:深川~晴海~佃島
さて、またしても日曜日の夜の帷が降りて来て、あぁ、明日は月曜、憂鬱な一週間が始まる・・・というサザエさんのテーマ曲的刷り込み効果すら出てきた感すら有る、当工房ブログの更新です。

今宵のご紹介は、作例は何度かご紹介し、写真展でも作品を大伸ばしにして発表していますが、御本尊様のご開帳がまだ!ということに先々週気付いてしまったため、急遽の登場です。

まずはこのレンズの氏素性のご紹介から。

このレンズは兄弟というかファミリーがこのサイトでも、あちこちでも出回るようになったので、もはや珍しくも何ともなくなってしまった感無きにしもあらずですが、それでも、この玉、個体は珍しいのです。

何とならば、1960年代の終わりから、70年にかけてUSゲルツがボシュロム社のためにOEM製造したこのミッチェッル用のレンズブロックは、他の個体と以下の点が異なっています、

①時代的にコーティングが施してあってしかり、なのにノーコート
②前後のエレメントの曲率が明らかに緩い
③レンズブロックのハウジングが他の35mmのものと較べて異様に大きい

このレンズ、電子湾の夜釣りで米国の業者から買ったのですが、何とその鏡胴のキャップ、プリント基板の茶色い積層紙レジンみたいなキャップには「Walt Disney Production」という文字が線刻で刻まれていました。

因みに同ロットで買い求めた、FMAOレンズの元になった、Baltar 40mm f2.3も同様のパッケージングでしたが、そちらは、コーティング付きでした。

構成は4群6枚、35mmf3.5のズマロンとか、ヤシコンのGプラナー45mmf2などと良く似た対照型Wガウスです。

時代に逆行するようなノーコートは写りにとってハンディキャップになるのか・・・では早速、撮影結果を見て行きましょう。

まず一枚目。

今回の作例作りは、佐原、川越と遊び歩き過ぎ、くたびれてしまったこともあるのですが、たまには地元にも目を向けてみようぢゃまいか?ってことで、門仲の駅まで歩きながら撮って、大江戸線を勝鬨橋で降り、そして晴海~月島~佃島というルートで深川に戻ろうと考えたのです。

そこで家を出てすぐに富ヶ岡八幡宮の鳥居があるので、その麓付近に敷設された、酉の市の提灯を試しに撮ってみました。

ピンは手前から二本目の下段の提灯の赤文字に置いていますが、質感再現の忠実さもさることながら、周辺光量落ちも相俟って、画としても雰囲気出たのではないかと思いました。

前ボケもなかなか素直で受け入れ易いのではないでしょうか。

そして二枚目。

大江戸線に乗って、都庁方面で二駅目で降りるとそこは晴海の手前、勝鬨です。

この晴海通りに降り立ち、晴海方面に歩いていたら、思わず、年初に亡くなった父親と弟と3名で小学校高学年の頃、晴海の見本市会場で開催された「スーパーカーフェスティバル」とやらにのこのこ上京してきて、艱難辛苦の果て会場に着いたは良いわ、入場者が殺到して、結局入れず、何も見ないで帰って来たというほろ苦い思ひ出を思い出しました。

そんな感傷を心の奥底に再びしまい込み、見本市会場に代わって建てられた、トリトンスクェアを目指します。

ビル自体も趣向が凝らされ、しかも麓の低層建築や造園なども凝っているので、ちょっとしたテーマパークのような佇まいの街区です。

しかも当日は中央区観光祭りとやらでガーデニングコンクールみたいのやら、ミニ演奏会みたいのやらやってて、会場には、ミス中央区とかいう赤いおべべの小姐が3名も区の役職者と同伴で仏頂面で立ち尽くしていました。

そんな会場内を適当に徘徊しながら、もう一台の銀塩一眼レフと交互に撮って、小一時間も過ぎた頃、次の撮影ポイントたる月島へ移動すべく、傾きかけた陽射しを逆手にとって逆光のテストとして撮ったのがこのカット。

ピンは花で形作られたイルカの胸鰭の先端に合わせていますが、歩道の窯業系素材からの照り返しもものかわ、フレアを全く生じていません。

ただかなりの俯角を付けて撮ったためか、後ボケは何となくざわざわしたカンジになってしまっています。

それから三枚目。

トリトンスクエアから東側の橋を渡ると、昭和のかほり漂う街、月島です。

裏通り中心に満遍なくシャッターチャンスを探しながら歩いていたら、何と、名物、レトロ交番前の通りを女子高生の小姐が歩いてくるではないですか・・・しかも、渋谷とか新宿界隈に出没するような種族とは違い、極めてまともないでたちです。

さっそく交渉し、顔を出さない約束で後ろからついて行って、一枚撮らせて貰いました。

このレトロな雰囲気のカットには匿名希望の御本人もなかなか満足されてはいましたが、う~ん、背景のオレンジのタクシーと黄色のトラックが大幅減点してしまいました。

この島では、タクシーは禁止して駕篭か人力車、トラックは禁止して大八車と、灯りもせめてガス灯くらいにすべきでしょう。

続いて四枚目。

モデルになって頂いた小姐に心より御礼を述べ、佃方面に足を急ぎます。

暫く歩いていたら、子供たちのはしゃぐ声が聞こえてきて、路地を曲がったら、ホロウィンの大行列に出くわしました。

行列と逆行する形でいつもの撮影スポット船溜まりを目指していくと、何とこのコスプレ集団の巣窟は、倉庫を改造してスペイン料理屋だとか、色々業態転換している地区の大手の子供向け英語学校主催らしく、その建物の下には、異国人の先生やら、父兄やら、子供達が思い思いのコスプレでノリノリでした。

そこで、かくかくしかじかのカリスマブロガーでたまには本職写真家につき、今回のイベント出くわしたからにはお遊びで撮らして♪と、恰幅良さそうなおぢさまにお願いしたところ、どーぞ、どーぞ、もし何なら、コスチューム余ってますから、スパイダーマンでも着込んで一緒に回りながら撮りますか?とか、タイの洪水並みにご好意が溢れ出すような有り難きお申し入れも戴きましたが、そこまで熱意はないんで、出発前後でちょこちょこっと撮って、ハイおしまい。

カメラ目線の小僧さんにしっかりピンを合わせたカットをお披露目です。

最後の五枚目。

ハロフィン行列で盛り上がるスタッフ各位に心尽くしのお礼を述べ、船溜まりに向かいました。

そこで何枚か撮った後、赤くてチャーミングな佃小橋を渡り、メインストリート?の方向を目指しました。

すると、居ました居ました。

ここ佃島は、古来の地域コミュニティと高所得層の住む高層マンションの住民が理想的に融合した稀有の住環境らしく、平屋の古民家に住む小々姐も、高層マンションで星が手に届きそうな生活をしている小々姐も日暮れまで仲良く遊んでいます。みんな仲良しの下町っ子なのです。

そこで、よろづやの前でおやつ食べて盛り上がっていた、小々姐集団に「美味しそうなおやつ食べてるとこ、しら~と撮らせてね♪」と声掛けた途端、「お~ぃ、写真だってよ、みんな集まれ、集まれ、ほれ、そこ、オレの顔隠れるぢゃね、よけろよ!」とかひと騒ぎです。

結局、自然なカンジのカットは諦め、下町の小々姐達のバイタリティ溢れるカットを掲載することとなった次第。

しかし、結局、こんな無邪気でオープンな子供達に元気を貰ったような一日でした。これだから下町のスナップはやめられないのです。近いうちのプリントしてみんなに配ってあげよう♪

さて、来週はこのBLATAR35mmf2.3と同伴して撮影を行った、銀塩一眼レフズームのレポートをご紹介致します。

乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2011/11/06(日) 21:00:00|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
<<La terribilità delle figure prestazioni appaiono in~Leitz Vario-Elmar R 21-35mmf3.5-4.0 ASPH~ | ホーム | Das langen speer vom Wetzler~Leiz Vario-Elmar70-210mmf4~>>

コメント

35mmでダブルガウス...一眼レフには無理だ...。
と、そんなことを考えてしまう私がいるのですが、つまり35mmで対称型とかそれだけで羨ましいな、と。しかしシネレンズというのは現代においてもスチルよりもコストをかけて制作しているぶんよく写るのでしょうけど...この古さでこれは...と。そういえば某エンジニアの嗜みのブログ主が盛んにシネレンズを薦めてきましたっけ。もちろん現代の、お高いヤツで無理なヤツですがw

それはそれとしてシネレンズ、スチルだけでもアレなのに、おそらくは海溝どころか地獄の一丁目一番地まで見えそうな危険な場所のように思えるのですが、どうにもそれが魅力的に見えるのが不思議なところです。

って、あぶない。私はせめて引き伸ばしレンズくらいにしておきます。

しかしノーコートでこれか...(二枚目
光源を直接いれたらわかりませんが、この状況下でなにも無しなら充分優秀ですよね。
  1. 2011/11/06(日) 23:17:03 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

シャドウの出方が自然で良いですね。

今回の写真はハロウィン気分と祭りの雰囲気を伝えていて、良いですね。

特に4~5枚目は、子供の顔が良いのですよ。
表情良くて。

ただ、3枚目の写真にも惹かれるものがあるのは、自分も父親だからかもしれませんな。
で、あの界隈だけ大八車に駕籠でガス灯?
そんなことしたら観光客が大挙して押し寄せるは、三脚担いだマナー違反のカメラマンのオンパレードになってしまって、撮影禁止ゾーンになっちゃいますよ。

それこそ今までテレビ神奈川で見ていたウルトラゾーンみたいにカオスな空間になってしまますわ。
  1. 2011/11/06(日) 23:33:58 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

(こうした改造への熱意には頭が下がる思いです。)

こんばんは

せっかくの日曜日も秋雨になってか気のせいか、鬱な此の頃です。
今回は、そんな気分を晴らすような下町スナップが楽しげで良かったです。

すこし地味な映りは、レトロな交番の写真が好みです。

じつは、これとソックリなデザインのボシュロム・ツァイスパテント・プロター5類という8x10のレンズを持っていますが、此方にはレンズ前面のドットが2つ付いています。年式は戦前という感じはしますが、今回のバルターも戦前という事はないのでしょうか?
製造番号での時代検索が計られれば直ぐに判るのでしょうけれど…。

いずれにせよ、描写傾向が即座にわかる明確なデジタル再現には全く頭が下がる思いです。もちろん、(ミッチェル・マウントの多い)改造無しには簡単にデジ再現も成し遂げられないようなバルター一族ではありますが…。


  1. 2011/11/06(日) 23:42:07 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

さすが、東京の下町っ子ですね~~~
昼間から
スルメを肴に
日本酒で宴会とは・・・・・・笑


と、冗談はさておきw

出戻りフォトグラファーさんと同意見ですが
最後の写真が
子供の表情が良く出ていていいと思いますよ~~~

3枚目の写真は
流石ですね~~~
私には、声掛けて撮らせてもらうなんて無理ですよ~~~(^_^;)

(おまわりさんの目線が怖いですし・・・)
  1. 2011/11/07(月) 15:22:17 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
確かに焦点距離35mmで完全対照型のWガウスはショートフランジバックのレンジファインダ機用レンズの特権ですね。

でも、このレンズは元々は「Mitchel」っていう映画撮影カメラ用の巨大な交換レンズのハウジングの中に鎮座ましましてたので、生まれつきレンジファインダ用ってワケでもなかったんですよ。

なりは小さくて可愛いですが、このレンズをはじめ、シネレンズの独特の写りってのは、いったん、ツボにはまるとマヂやばい気がします。

初めは独から始まり、英、仏、米まで来ちゃったら、もう残すところは極めてレアな国産品か、未踏の大陸「ロシア」ものしかない・・・

でも、地獄の一丁目一番地の入口だけ覗いてみますか?

19日の深大寺でぱっくりと口を開けてお待ちしております(笑)
  1. 2011/11/07(月) 21:57:56 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:シャドウの出方が自然で良いですね。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
遠出から気分を変えて、たまには近所で撮ってみたら、イイ笑顔に巡り合えた、という一種の予定調和説みたいな「青い鳥」のスナップ編といったところです。
都内、或いは近郊では、子供にカメラを向けると当然の如く、警戒心剥き出しにしたり、はたまた親御さんがヒステリックな声を張り上げてやめさせたり、なかなか難しいですが、今さらながら、ここはまさに沖縄や佐原みたいにとてもオープンでした。

大八車や駕篭への切り替え、ダメですかねぇ・・・そうでしょうね。
確かにお気楽観光客が集まり過ぎて、またマナー悪い爺婆カメラマンが大挙して押し寄せ、修羅の巷になることは想像するに難くないから、まぁムリでしょうねぇ・・・残念。

でも、この子供達の無邪気でオープンな心はいつまでもこのままでいて欲しいものです。
  1. 2011/11/07(月) 22:05:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

(こうした改造への熱意には頭が下がる思いです。)

treizieme ordre さん
有難うございます。
たまには地元に目を向けてのスナップ三昧もイイものです。

そもそもの動機はふたつ有って、ひとつは某T'ngさんがM9にBaltar35mm付けて近所を撮ってて、なかなかイイのが撮れていたこと、もうひとつは、今般の合併相手の本拠地、トリトンスクエアの私的視察をしたかったからです。

その読みはずばり当たり、もう一台の撮影結果と併せ、今回はかなり満足行く出来だったと思います。

ところで、このレンズの製造年代ですが、ミッチェル自体が戦後でしょうから、戦前のレンズってことはないでしょう。

実際に高輪の名人は「戦後の結構遅い時期」と云われてましたし・・・

そして、そろそろデジの利便性に感心された貴兄も、M9とは申しませんから、GXRのMマウントユニットA12でもお買い求めになられてはいかがでしょうか。
  1. 2011/11/07(月) 22:12:43 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

やまがたさん
そちら恐山の亡者達といたいけな下町の小々姐達を一緒にしないで下さい。
そんなお巡りさんにパクられるようなマネはしません(苦笑)

ホント、最後の写真は声を掛けた段階では、こんな成り行きになるとは想像すらつかなかったですよぉ・・・

え~やだぁとか云ってそっぽ向かれるのも覚悟してたのに、このノリですから・・・笑

それから、交番が目の前だからこそ、声を掛けて撮らして貰ったんです。

もし、黙って後ろから付いてって、シャッター切った途端に騒がれ、それを交番のお巡りさんに見咎められでもしたら、補導ぢゃ済まないですしねぇ・・・

でも実際は気さくなお姐ちゃんでしたし、交番みたいに見えるこの建物は交番ではなく地域の交通安全指導・防犯拠点みたいなもので、中に詰めているのも、ホントのお巡りさんではなく当の昔に引退したOBの爺っちゃんでした(汗)
  1. 2011/11/07(月) 22:20:43 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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