深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

遇到意想不到的快樂~栃木祭り'11~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE 露出補整+1/3、レンズ:1~4枚目;Astro-berlin Pantachar35mmf2.3改M、5~6枚目;Fastax-Raptar51.6mmf2改L39、全コマ開放

さて、波瀾の空模様に加え、北関東では大きな余震まで有った週末を乗り越え、やっとブログ更新の晩がやって参りました。

今宵は今月初めに栃木市へ数十年ぶりに訪問、しかも写真撮影を目的とした来訪では初めてで、幸運にも、2年にいっぺんの11月初旬の土日2日間のお祭り、しかも雨が降り出す前日の土曜日に偶然遭遇出来たので、極めてラッキーだったとしか言いようがありません。

ここ栃木市は、浅草から急行で約1時間、直線距離にして東京から約80kmの栃木県南部に位置する都市で、かつては、市内を流れる川と、例幣使街道沿いの宿場町で栄え、宇都宮に県庁が移るまでは、県庁所在地として、その名の示す通り栃木県の中心地だったといっても過言ではないでしょう。

しかし、同じく小江戸として名を馳せる佐原のケースと同じく、巴波川経由の江戸との直接の物流が衰退し、またJR、自動車道でも幹線から外れてしまったが故、商業的には衰退してしまいましたが、それでも、戦災に遇わなかった美しい街並みと、素朴で優しい「江戸の人情」が脈々と息づいています。

世界最大級の航空機産業の興隆と共に各地からの人口流入を招き、その挙句に昭和20年3月の大空襲で、街は焼かれたものの、その後も自動車産業に転換した大企業のお蔭で、北関東屈指の豊かな街とは言われるようにはなったが、それと引換えに古い町並みと古くからのコミュニティ、そして人情のようなものを失ってしまったような上州の故郷を思うと、この美しい街並みと豊かな心が根付く栃木、佐原の方がよっぽど羨ましく感じることがあります。

余談はさておき、今回の栃木ツアーは、ほんの思いつきでした。

佐原は最低、年2回、川越も3ヶ月に一回は撮りに行ってるし、小諸はちょいと一日仕事で遠いし、佐倉はいつでも行けるし、ということで、近場で面白そうな写真が撮れそうなところはないか、逡巡していたところ、昔、日立製作所さんへの営業の用で月一回通っていた栃木のことを思い出し、秋なら天気も良いし、川面に映る雲と蔵作りの街並みも良いんぢゃね♪とか、そのくらいの軽い気持ちで11月初旬の土曜日、ふらりと日比谷線経由東武電車でお昼前に栃木駅に着きました。

駅に降り立つと、川越でも佐原でも良く見られる、法被を着た観光組合の人がカウンターを出し、その傍らで地図とか観光パンフを配っていました。

早速、情報収集のため、近寄り、街の街路図を戴き、撮影スポットについて情報を求めました。

すると「お客さん、偶然やって来たとしたら、物凄く運がイイです♪ 今日、明日と二年に一回の秋祭りなんです!
どうか、イイ写真一杯撮って、全国に宣伝して!!」と励ましのお言葉を頂戴しました。

そこで、M8を相棒にレトロな街を撮るに相応しいクラシック、ネオクラシックレンズが活躍です。

まず一枚目。

駅から真っ直ぐ前に伸びる街を進んでいくと蔵作りの街が並ぶメインストリートに行き当たるところは、川越と良く似ていて、ふと既視感を覚えそうになってしまいました。

蔵作りの建物がちらほら見えてくる辺りになると、道路を封鎖して歩行者天国状態にして、路上にテントや即席の売店を設け、産直野菜などを商っていました。

イイ被写体はないか、キョロキョロと見回しながら歩いていたら、偶然、八百屋の店先で品物を並べようとする若くて美しいお母さん(ちゃんと宣伝しましたからね!)と一緒にお手伝い?をするいたいけな小々姐がこっちを見てて、目が合っちゃったんで、つかつか歩いて行って、一枚撮らしてね♪と声を掛けて、ハーィ♪と答えた瞬間にシャッター切ったのがこのカット。

このあと、へぇ、江戸表からふらっと来て偶然お祭りだったとは運がイイですね、一杯楽しんでいって下さいね♪とか、少しお話して、丁寧にお礼を述べ、お店を後にしました。

戦後すぐに作られたと思しき、このPantachar35mmf2.3はかなりフレアっぽいですが、それでも必要かつ充分な解像度は有しており、この緩い出会いの雰囲気を良く伝えてくれるような気がしました。

そして二枚目。
メインストリートを進むに従い、お店やら、子供のど自慢小会とか、だんだんとお祭り濃度が高まってきます。

しかし、佐原、川越の祭りと違うのは、観光客、特に年配者の写真団体、小集団が皆無で、レンジファインダ機はおろか、大きな一眼レフを持って、気合入れて写真撮ってる人も殆ど見かけませんでした。

だいたいはコンパデジか携帯、しかも撮る対象は身内か知り合い、赤の他人様の一挙手一投足をスナップと称して面白がっている小生は極めて稀有な存在と思い知らされました。

しかし、わざわざ出て来て、しかもせっかくのお祭りですから、いつものスタイルで撮りまくらねばなりません。

そこで、前を歩いていた、お揃い半被の小姐3人に心臓が口から飛び出すくらいの緊張感で恐る恐る声を掛け、撮らせて貰ったのがこのカット。

髪の毛に一本一本が区別出来るくらいの解像度は出ていますが、やはり白い半被はフレア気味で背景も流れ気味です。

それから三枚目。

小姐3人組にへへへ、お江戸から来たとは言っても、ホントとはお隣り群馬産なんだよ♪とかネタ明かしして、な~んだ、そうだったのぉとか、打ち解けたところでお礼を言って別れ、また通りを進みました。

すると暫く行った先で、昼から一杯引っ掛けてるのでしょうか。イイ色に赤熱したお爺さんが、藍染の半纏なんか纏い、腕を組んで、知り合いでもあるのでしょうか、若い夫婦の乳幼児の頭を撫でたりしてゴキゲン状態です。

そこで、ちょいとごめんなさいよ、記念に一枚撮らして貰いますよ、はぃはぃ、自然にね、とか、適当に注文付けながら、歩道際からメインストリート側に回りこみ、神速でシャッター切ったのがこの一枚。

やはり白が飛び加減ですが、赤い顔で上機嫌の爺サマの表情は余すところ無く捉えていると思います。背景もやはり大胆に流れ気味です。

続いて四枚目。

メインストリートも真ん中より少し先に進むと、やっと、お祭りの主役、山車が見つかりました。

佐原や川越のように、絢爛豪華なものが数十基も揃った様は筆舌に絶するくらいの一大ページェントですが、ここ栃木市では、小ぶりなものが3基寄り添うように並び、これはこれで牧歌的なイイ雰囲気を醸し出しています。

そこで、携帯で自分達の町の山車の勇姿を捉えんとする、半纏姿の小姐の後ろに音も無く近寄り、愛する?山車をバックにそっと一枚戴いたのがこのカット。

耳からあごの線でピンを合わせていますが、髪の毛までは完全に合焦範囲で解像力を発揮していますが、背景の山車はぐずぐずに崩れかけてしまっています。

まだまだの五枚目。

メインストリートから一本入ったところにイベント会場みたいなのがあって、そこで、特設テント村のようなところで、特産品やら、ファストフードのようなものを即売していたのですが、地元のケーブルテレビみたいなものがブースを出していて、多少ハデな目鼻立ちの小姐が風船なんかを配って、愛想を振りまいていたのです。

そこに先刻、風船を貰ったと思しき小々姐がつかつか歩み寄り、「ねぇ、さっき貰った風船、あそこ飛んでるんだど、何処まで行くの?」とか、如何にも子供らしい純な質問をしていました。

自然科学系の知識に疎そうな小姐がう~んと答えあぐねている刹那、戴いたのがこのカット。

よっぽど、或る高さになったら、圧力差に耐え切れず、風船はあぼ~んと破裂してしまうのだよ!とか人生の厳しさを教えて上げようかとも思いましたが、こんな牧歌的な町で世知辛い現実を披瀝するのも無粋なので、半被の小姐に一礼をして通り過ぎました。

最後の五枚目。

会場であるメインストリート奥まで到達したので、また元来た道を引き返していたら、先刻通り過ぎた、軽食店舗の前のベンチで買い求めたばかりのアイスクリームをいっぱしの食通ばりの苦みばしった表情で吟味している童子が居ました。

こりゃ面白いとダッショで駆け寄り、保護者と思しきおばぁに一声掛けて撮らして貰いました。

だいぶマイルドでフレアっぽい上がりにはなりましたが、こういった極めて緩い牧歌的なカットは、カミソリの如きシネレンズよりは、まだまだフレア対策が不十分なヲーレンザック製の特殊産業用レンズの方が相応しかったような気がしました。

さて、来週は、秘宝館のコレクション玉を使って、栃木市の水の町としての素顔をご紹介致します。

乞う御期待。

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2011/11/20(日) 23:55:48|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9
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コメント

酔った爺さんが

良い感じに赤くなってますね。

幸せな祭りの風景に癒されますわ。

何かこう、地域の力みたいなものも感じさせてくれますね。

こういうのがもっと見たいですわ~。
  1. 2011/11/21(月) 21:42:15 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

Re:酔った爺さんが

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

そうですね、佐原、川越が、完全に観光客を意識した外向けのお祭りと化しているのに対し、同じ"ハレ"の舞台でもこちらは、まさにローカル色爆発、巨大な村祭り然としていて、"お~らの鎮守の神様わ♪"てなカンジでした(笑)

でも、どうしてでしょうね、規模も、演者も全然違うのに、佐原も川越もこの栃木も・・・どこもまた戻って来たい気持ちにさせてくれる不思議な祭りです。

早く本復して下さいね、そしたら、近郊のお祭り、みんなでガソガソ撮りに行きませう。
  1. 2011/11/21(月) 22:27:25 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

栃木と茨城って、区別つかなくなるんですよね~~~

たしか、餃子が栃木で、納豆が茨城ですよね・・・笑

(栃木は日光しか行ったこと無いです。)


写真のほうですが
パンタッカーは、ちょっとフレアがかかっているようですが
内面反射のせいなのでしょぅか?
背景のボケも相まって、結構くせがある仕上がりに見えます。

でも
2枚目の可愛い子か゜写っているので
全然気にならなかったりもしますね・・・・・笑
ちなみに
半被の文字は、何語なのでしょうか?・・・・・・・(^_^;)


  1. 2011/11/22(火) 23:39:25 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

こんばんは、出張ご苦労様です。

どんより天気のせいか、ファスタックスがすっきりした感がなくソンをしている感じです。替わって、パン・タッカーはガラスが少ない所為か、特有の収差にも関わらず狙いが見えて来るようです。

三枚目、ねじりハチ巻きの親父さんと若夫婦という組み合わせがなにやら関連を思わせますが、謎のままなのがいまひとつ残念です。

四枚目、山車の渋い色合わせがなかなか女性を背景にして気にさせます。こういった文様柄色・ゴージャスさは都会では廃れて残念なので、なかなか目を見張らせるものがあります。

なんだか全体が小豆色に支配されたような感がありますが、そのような点ではアストロに分があったと思いました。
今回は、小型古典レンズを使う際の参考になりますね。
  1. 2011/11/23(水) 00:52:35 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

やまがたさん
有難うございます。

千葉とならまだしも、茨城の人は栃木と一緒にされるのを極度に嫌がりますw

良く云うぢゃぁないですが、グンタマ、チバラギってww


まぁ、冗談はさておき、今回のパンタッカーは、R-D1sならまだしも、M8で使うとクセが全開になっちゃって、結構大変でしたね。

でもまぁ、これをバリバリソリッドな写りのロシア製シネレンズとか、キネタルでやっちゃったんぢゃ、栃木の持ち味が半減なので、これはこれでアリでしょう。

因みに良く写りそうな外観と裏腹に全然ダメダメレンズのFastax-Rptarは、この後、深大寺の前日に再度の内面反射工事の結果、だいぶまともに写るようにはなりましたwww

ところで、二枚目の小姐達の法被の文字は、勿論、日本語で、「都賀 臍諧上乃大会」ってなことを隷書体で書いてあるようです。
都賀というのは隣村ですが、以下の意味は判りませんが・・・
  1. 2011/11/23(水) 20:37:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

確かに今回、Fastax-Raptarの登板はちょっとムリがあったような感なきにしもあらずです。

ソフト過ぎて、芯が弱いんですね。

これなら、まだしも、東北地方の復興向け?に某氏に貸出し中の新開発の改良型パンケーキレンズの方が歩が有るような気もしました。

しかし、再工事後の深大寺でのテストではだいぶ良くなって来たカンジです。

それから、画面で小豆色が多いのは、ホントの小豆色とM8の赤外線ピックアップによる黒から小豆シフトのものが混ざっているからでしょう。

曇天でも長波長の赤外線は、雲にも吸収されず通ってきますから、結構目立つのかも・・・

また、山車のカットは、出来れば、今回、深大寺で投入した新開発レンズを使えば、もっと面白いことになったのに・・・とやや惜しいキモチです。
  1. 2011/11/23(水) 20:46:29 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

>深大寺で投入した新開発レンズを使えば
うひw愉しみにしていますw

と、レスにレスから入って申し訳ない感じなのですが、
とりあえず書き込めるかテストしたくて。

いけるかな?w
  1. 2011/11/24(木) 23:07:39 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

書けましたー。

ということでアレなんですが、本題のほうを。
といっても、今回は珍しく苦戦した跡がみれて、
charleyさんでも苦戦することがあるんだなぁ、と感じた次第で。
もっともこの写真を見る限りはレンズ云々というより天候が...
もうちょっとメリハリのある光であったらフレアが出るにせよ、
なにがあるにせよまた面白い絵が撮れるのかもしれませんし。

ということで、リベンジに期待してみます。

  1. 2011/11/24(木) 23:11:22 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。

さすが・・・良く見破られましたね。
実は、天候に恵まれず、数枚撮ってはM8の背面モニタで確認して、溜息をつきながらも、枚数こなしてったってカンジです。

ホント、栃木の方々には申し訳ないと今でも思っているのが、佐原、川越と絢爛豪華?は極彩色の祭り模様を発信出来たのに、ここ栃木では、薄らボンヤリして如何にも眠たげなカットのオンパレードで、あたかも寂れたお祭りであるかのようなイメージを植えつけてしまったのはないか?ということです。

秋祭りは再来年まで無いですが、夏祭りは毎年有るみたいなので、今日発注したMig29レベルの高性能レンズ2本をモノにして、万全の体制でリベンジに乗り込む所存です。

いっそのこと、JYさんもご一緒に、複数名で泊り掛けの企画でもブチ挙げますか???
  1. 2011/11/24(木) 23:51:32 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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