深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Fukagawa Extra Anastigmat TypeII 50mmf1.9

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【撮影データ】カメラ:Epson R-D1s 絞り優先AE 露出+1/3、ISO 200、全コマ開放、ロケ地:川越
さて、海外からキブンを切り替え、今年3発目のアップは、秘密結社ノンライツRF友の会/新宿西口写真修錬会の恒例行事、新年川越撮影ツアーから、深川精密工房の新作レンズの試写結果をご紹介していきます。

このレンズ、一見、何の変哲も無い、Lキャノン50mf1.8ですが、さにあらず、中身は全くの別物で、手を加えなかったのは、絞りの羽根のユニットくらいで、殆ど全てに手を入れて、オリジナル光学系としています。

構成は4群7枚、前群がゾナータイプ、後群はガウスタイプのハイブリッド構成ですが、ただ二つくっつけただけでは、球面収差や、コマ収差がとんでもないことになりますし、周辺の像面歪曲などいわずもがなです。

実を申せば、この川越当日の試写結果は、前日の土曜日のお昼過ぎからちゃちゃちゃ♪と5時間程度で組んだもので、レンズ間のクリアランス、エレメントの選別もかなりイイ加減で、とにかく中央部のピントしか見てないで組んぢゃったのが、これです。

しかし、今、この撮影結果ご覧になって、「オレ、これ好きだわぁ~」と言われても後の祭り・・・もはやこの光学系は地球上に存在しません。

何とならば、このレンズ、川越ツアー翌日には分解を受け、L1、L2間のクリアランスを極限まで詰めるとともに、フレアの原因となるL2+L3+L4の貼り合わせエレメントをより新しく、内面反射の少ないものに換装し、更にこのL1+第二群と絞りを挟んだ第三群とのクリアランスも物理的に可能なレベルまで詰め、フレア、像面歪曲のミニマイズを図ったからです。

では、早速、試写結果を見ていきましょう。

まず一枚目。

朝10時過ぎに本川越駅改札前に集合した一行は、まず途中のコロラドという茶店でモーニングなど食べてから、撮影に向かいました。

第一撮影スポットは喜多院、入口は色々とありますが、いつもの通り、「どろぼう橋」経由のルートで進みます。

何とならば、その途中に森を背景に従えた児童公園があって、小さいながらもなかなかイイ画が撮れることが多いからです。

当日も、芋虫をデフォルメした遊具に童子が跨り、新春の陽光を浴び、楽しいそうにたゆたっています。

そこで、至近距離に居られ、見守る親御さんに声掛けてから一枚戴きました。

撮ってすぐ、背面モニタで一発目の試写結果を確認しましたが、まぁまぁの出来だったので、ここ喜多院での撮影は、この新作レンズで行うこととしました。

ピンはさすがに申し分ないですが、周辺が相当怪しいのと、ハイライトは飛びまくりでどうしようもありません。

最初の組み立て時に使用した前玉はコーティングがしょぼかったのと第二群の後端周辺の形状が良くないため、リング状の内面反射が大きく、画面にちょっとでも太陽が入り込もうものなら、すぐに半月状の盛大なゴースト大会で、それが出なくとも、画面全体がフレアでどうしようもなくなってしまうので、極力、コントラスト稼ぐべく、アンダーめに撮るよう心がけたのです。

そして二枚目。

親御さんにお礼を述べ、一行はチャボの後を追うように「どろぼう橋」方面に進み、境内へ入りました。

ここから、50分程度の自由時間での各人撮影タイムとなりました。

工房主は勿論、単独行動、だいたい、何処へ行けば人物が撮れるとか、発色テストが出来るとか、頭の中にテストパターンは入っているので、悠々たるものです。

そして、このレンズで一番見たかった、中遠距離での結像と赤の発色を同時にテスト可能な、東照宮下の弁天島の架け橋に向かい、撮影しました。

ピンは橋の手摺の中間部頂点に合わせていますが、中央部周りはピンも発色も申し分ないようなのですが、やはりこの距離になると、周辺が大甘で、四隅どころか上下まで、タイムマシンから眺めた景色の如く、激しく崩れて流れてしまっています。

それから、三枚目。

弁天島での試写を終え、また境内の露店中心に人物を狙います。

徘徊しながら、鵜の眼、鷹の目、被写体を探していたのですが、陽が燦々と照る境内のテント下で、かなり美形の小姐が、ダルマ販売をしているではないですか。

周りに何人ものアマチュアカメラマンが取り巻き始めたので、遠慮など要りません。

真っ先にベストポジションを確保した工房主は、商売の邪魔になって小姐の機嫌を損ねないよう、細心の注意を払いながら、シャッターチャンスを狙いました。

そして小姐の栗色の柔らかな髪の毛に微かに陽光が射した瞬間、シャッターを切ったのがこのカット。

さすがに店先の白いポリ袋が高反射率だったため、不用意なフレア源となってしまいましたが、なかなかどうして、小姐はシャープに捉えていて、個人的には満足行くカットになりました。

続いて四枚目。

目が合った小姐い軽く黙礼し、その場を去って、また境内を徘徊し、次なる獲物を探します。

ここ喜多院では五百羅漢の見物に、あろうことか、喜多院の庫裏の入場とセットの券しか設定しておらず、確か700円だか800円だか支払わなければならないようです。

しかし、何処の世にも抜け道というものは有って、柵の中に入らずとも、写真を撮れるくらいの距離から石造群を見る方法があるのです。

その茶店横の抜け道に向かう途中、茶店の日除け下で屋台の飲食物を買い食いしている、いたいけな小々姐が居て、ふと目が合ってしまいました。

そこで蛮勇を振り絞り、横におわしますお婆ぁに「食べてるとこ、一枚撮らして貰ってイイですか?」と声を掛け、
「ホラ、撮ってくれる言うとるんやから、おっちゃんのカメラ見ぃ!」とか強力な行政指導・・・小々姐は突然のことで、食べるのを忘れ、カメラをじぃっと見つめてきたので、これはこれでアリ、と思いシャッター切ったのがこのカット。

中遠距離では歪曲収差が酷く、ハイライトはかなり盛大に飛ぶ、この生まれたてのレンズですが、日陰の最短撮影距離付近での描写はかなりまともに見え、寧ろ、ポートレート用には、優しい描写、と言えなくもない写りになったようです。

最後の五枚目。

お婆ぁと小々姐に鄭重に礼を述べ、その場を後にし、そろそろ集合時間も近づいて来たので、皆と約定のポイントへ足を急ぎました。

12時半に集合してから、境内を抜けて、蔵作り通りの馴染みの寿司屋に向かうのですが、またしても移動途中に、格好の被写体を見つけてしまったので、小走りに駆け寄り、露店の中の親子のうち、親御さんに「一枚撮らして貰いますよ」とか声掛け、気を利かした親御さんがさっと後ろに身を引き、カメラの射線にもろに曝される形になった小々姐は少し表情が硬くなりましたが、それでも、次の刹那、かなり柔和な表情でモデルさんの大役を務めてくれたのです。

う~ん、この小々姐は大成するぞ・・・第二、第三のマルモリ小々姐か!?とか思ったりしました(笑)

今回の感想としては、やはりレンズ製作は難しい、どんな安物でも市販レンズはそれなりの設計や品質管理が行われているから、個体間のバラつきもなく、きちんと写るのだなぁ・・・という極めて当たり前のことを改めて実感した次第です。

さて、来週は、川越で活躍したもう一本、これも10年以上前から保有していたのに秘宝館には登場して来なかった西大井産まれの銘玉行きます。乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2012/01/22(日) 22:00:00|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
<<Absolute power of innovation~Nikkor35mmf1.8~ | ホーム | 사진을 찍어도 괜찮습니까?~釜山ツアー'11後編~>>

コメント

3,4,5なんてとても個性的で秀逸な描写なのに、『今は無い・・・』なんて残念ですね。いわゆ「『上品な滲み」といった感があります。(まるでアンジェニュー50(55?)mmf1,5というとオオゲサでしょうか)

比較的近接でシャドーという条件が、このレンズに対してのわたしの好みです。

メキシコ料理店の地下で試写させて頂いた時の絞った場面の画像は、周辺は残念ながら流れていましたが、それ以外はフツーに良い描写です。(今回と違った印象は、意外とハイライトが弱いですが、これは露出オーバーのせいでしょうか?)
おどろいたのは、開放で滲みのあるセンター付近もNEX-5での拡大でもちゃんとピント芯がありました。

色もゾナータイプ・Sニコン50mmf1,4(40xxxx辺り)よりも格段に温和な印象です。


狙いを絞れるような撮影意欲を沸き立てるクセのある描写も大歓迎なので、改造品はせめてデーターでも残してさらに改良に邁進してくださいね。
  1. 2012/01/23(月) 01:08:33 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
なーに、作ろうと思えば、幾らでも作れますって♪

要は何にも考えず、ガラガラポン状態でとりあえずテキトーなエレメント組み合わせて、50mmf2クラスのレンズを作っちゃいましたってことなんで、キャノンのL50mmf1.8とヂュピター8さえ適当に組み合わせれば、これに類した写りのものは、それほど難しくなく出来ると思います。

ただ、面白いと思ったのは、ハウジングをキャノンのものに替えただけなのに、先般、深大寺で使った、TypeII壱号機よりも格段にシャープネスも発色も良くなっていて、地道な改良の跡が見て取れるということです。

恐らく、今回の弐号機のリニューアル後はフレア&ゴースト対策と周辺の流れが格段に改良されている筈ですから、より好ましい方向の描写になっているものと推定されます。

こんなカンジで深川でのオリジナル光学系へのチャレンジはまだまだ続きます。

この技術は確立次第、日本農園中原園芸場加工処改メ竜宮オプティカルサービスに伝授する予定ですから、皆様気軽に楽しめるようになると思います。
  1. 2012/01/23(月) 23:01:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

聞くところに拠ると元々のキャノンのこのレンズは状態が悪い玉が多くて硝質の関係か曇って居る物が多いそうですね?
私の持っているのは曇りも無く綺麗な物ですが,No304403のナンバーでは硝質が違っているのでしょうか?
私はちょっと調べ用が有りませんがこの個体は硝質を変えてあるのかもしれませんね?
深川工房らしい特異なレンズをでっち上げる努力には敬服しきりです。
もっと変なレンズでも製作して下さい。
  1. 2012/03/02(金) 18:03:18 |
  2. URL |
  3. hiro #xPR/ZykM
  4. [ 編集]

hiroさん
有難うございます。

確かにキャノンの50mmf1.8は銀色の鏡胴のものから、このアルミ&真鍮折衷の鏡胴のタイプI、タイプIIに至るまで、L4、即ち、絞り直後の凹レンズの空気界面が白濁し、酷いのになると、軽石みたいな状態になっちゃったものもあります。

ただ、このガラスはエレメントの供給メーカーもレシピも特定出来ていたので、キャノン自身も或る程度は対策部品を用意していたらしく、それに交換されているものはキレイですし、K東カメサでもエレメント交換で完全に直してくれるのは有名な話です。

なお、もっと過激な自家製レンズのリクエストですが、今、同時に幾つかのタイプを奇想天外なエレメントの組み合わせで研究中なので、桜が散り、つつじやあやめでも咲く頃には、出来上がっているでしょう。

その新作でも持って、有志で潮来のあやめ祭りでも出かけますか???
  1. 2012/03/03(土) 23:28:39 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
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  1. 2012/04/10(火) 07:02:52 |
  2. |
  3. #
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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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