深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great heritage from G.B.~Speedpanchro25mmf2 mod.M~

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【撮影データ】カメラ:Leica M8 絞り優先AE 露出+1/3 ISO Auto、全コマ開放、ロケ地:浅草
さて、今宵のご紹介はローテからいって、工房謹製レンズとなりますが、また製造に没頭し過ぎちゃって、作例撮りに出られなかったので、撮り置きからのお披露目です。

今回のレンズ、見覚え有る方も居られるのではないでしょうか?

そう、昨年、潮来のあやめ祭りをレポートした際に活躍したのが、この25mmの兄弟機、24mmのスピードパンクロなのです。
このレンズも電子湾で回遊していたところを折り良く目に留まり、このところ、高騰を続ける広角系のシネレンズ、しかも、35mmフォーマットのレンズとしては、相場の半値程度で入手することが出来たのです。

ところが、手許に着いてみれば、ノーコートのレンズエレメントはほぼ全群汚れ放題に汚れて、しかも薄っすらと乳白色に曇っています。

汚れは如何ようにもクリーニング出来ますが、クモリはそうは簡単に行きません。

そこで、24mmに引き続き、このところ、難易度が高い、特にシネレンズ系の光学ブロック再生をお願いしている、川崎八丁畷の業者さんにお願いして、工期2ヶ月でフルレストアをして戴く事としました。

待つこと2ヶ月弱、先方のチーフエンジニアが半ば趣味も兼ね?心血を注ぎ、抱えっきりでレストアして戴いたというこのレンズはまさに生まれ変わったかの如き美しく凛々しい姿で、再び深川の地に舞い降りました。

このレンズ、4群6枚の典型的Wガウスタイプで、この時代には既にコーティングが有ったはずなのに何故かノーコートです。

とても気になったので、修理をお願いした業者さんに、コーティングの痕跡も調べて戴きましたが、どうやら、生まれてこのかた、ノーコートで60年近い年月を過ごして来たというのが真相のようです。

しかし、手許にもノーコートのハンデ?を感じさせないような魅力的なレンズは複数有って、パッとみたカンジでは硝材は、エクトラエクター50mmf1.9やバルター24mmf2.3のノーコートのものに酷似している印象でした。

また、一見、ノーコートの面相は古めかしく見えますが、少なくともL1とL6の曲率は、兄弟機である24mmよりもだいぶ緩い曲面になっている印象でした。まぁ、焦点距離が1mm違うので、厳密な比較にはなっていませんが・・・

さて、今回の撮影は8x10組合の会頭のTさんと、二人きりでしっぽり?と、浅草、上野界隈を撮り歩いた12月17日の回顧録であります。

まず一枚目。

地下鉄銀座線の出口から地上に上がってみれば、尾張屋の前辺り、人力車のたむろする歩道の傍らで、仲睦まじい家族連れが陽光を浴びて、楽しそうに憩いのひと時を過ごしていました。

一見コワモテのヲヤヂさんがお揃いのピンクのお洋服を着た小々姐に飴菓子か何かを授与しているように見えます。

男は青、女性人はピンクという、明らかに二分化された衣装の色遣いも面白く、この陽光下幸せそうな家族のカットを一枚戴いた次第。

このノーコートのシネレンズは合焦点域では、コントラストもシャープネスも申し分なく、前後のボケの領域で極めて心地好いフレアを発生させています。

そして二枚目。

家族連れに会釈して通り過ぎ、雷門を潜り、仲見世を徘徊しながら撮り歩くこととしました。

すると、周辺光量落ちのテストには格好のモチーフが・・・

そう、遥か昔、キネマトグラフ2"f1.9の試写でも撮りましたが、空中に浮かんだ凧のモチーフは中心部のシャープネスが際立ち、周辺光量が落ちる傾向の有るレンズには、この上ないドラスティックな被写体です。

早速、シャッターを切り、M8の背面液晶で確認してみれば、青~濃紺までの上品なグラデーションの中心に赤地に白文字の凧が浮かび上がるが如き描写で捉えられており、浅草では、普段、人ばっかり撮っている工房主も、これには得心した写りとなった次第。

それから三枚目。

暫く歩いて、スカイツリーが良く見える辻、そう、伝法院通りと"早田カメラ通り"が仲見世通りとクロスする地点まで来たら、国籍不明の白人ヲヤヂ2名様が意味も判らず、日本語の鉢巻を締めて、昼からエライハイテンション状態です。

そこで、このヲヂサマ2名に対し、写真を撮らせて欲しい、と申し出たところ、待ってましたとばかり、このノリノリポーズでモデルさんになってくれたという次第です。

何でピースの指3本なのか?とか根本的な疑問はさておき、このピーカンでの白系統の衣装ではさすがにフレアが出ましたが、それでも、ノーコートでここまでフレアが抑えられているというのも、よくよく考えてみれば凄い話です。

続いて四枚目。

陽気な外国人のヲヂサマ方に鄭重に御礼を述べ、その場を後にし、お昼前だったので早田カメラがまだ開いていなかったので、時間潰しに伝法院通りから、六区の方に抜けようという話しになって、その方面に歩き出したところ、何と、観光番屋の前で、花魁みたいなカッコした小姐が極めてクールな表情で一発、決めてくれちゃってるぢゃないですか!?

そこで、雑談に打ち興じていた時計露店商のヲヂサマとの話しを一旦打ち切って、Tさんともども、おっとり刀で、このタイムスリップして来たような小姐のミニ撮影会に飛び入り参戦です。

さすがに専属カメラウーマン?が居るためか、目線は貰えなかったですが、それでも、背景の良さ、そして姿勢、表情の良さも相俟って、なかなか雰囲気有るカットに上がったのではないかと思います。

それにしても25mmという超広角域のレンズでこの立体的描写、やはり産業用であるシネレンズの中でもこの25mmf2のスピードパンクロは別格と申さざるを得ません。

まだまだの五枚目。

また花魁さんに会釈をして、その場を後にします。

飲み屋街、花やしき前を通り、また奥山方面から浅草寺境内を目指しました。

すると、年末の何かのイベントか、本堂西側のエリアでは、色々な屋台やら出店が所狭しとひしめき合っており、そこで、笑顔がなかなか決まっている、黒い長髪の小姐と目が合い声を掛けて撮らせて貰うこととなりました。

その条件は、ただひとつ、谷中からネコグッズのお店を出しているので、お店の宣伝にもなるようなカットを載せてくれる、ということ。

そこで、「谷中堂」さんのお店の前に移動し、売り物の招きネコのポーズでお二方並んで貰ってシャッター切ったのですが、あらら、周辺光量落ちがかなり効いちゃって、向かって右の小姐は殆ど、ブラックアウトしてしまていますね。

ここでも、後ボケは極めて僅かですが、自然な融け方となっており、数メーターの配置差ですが、主題の小姐を浮かび上がらせるのに一役買っています。

最後の六枚目。

快く撮影に応じ、取っておきのポーズまでして戴いた、店主の小姐に鄭重にお礼を述べ、必ずブログで宣伝しましからと約束を新たにし、その場を後にしました(こんなに遅くなってゴメンなさい・・・でもTさんのブログですぎ紹介して貰ってるから、時間差で一粒で二度美味しい効果が出て、これはこれで良いでしょう、とか苦しい言い訳 T_T;)

そうこうするうちにお昼も回って、そろそろおなかも空いてきたので、ここはTさんお勧めの和食屋さんに同道することにしました。

今まで予想もつかなかったのですが、舟和の工場が、駒形地区の裏通りに在り、その前に結構な穴場のランチスポットが在るということで、適当に撮りながら気もそぞろに歩いて行ったのです。

そしてちょうどお店の前に差し掛かった辺りで、人力車が通り掛かり、しかも、お店やら何やらの説明なんかしながらですから、微速前進、まさに光を読みながらシャッター切るのに絶好の条件に出くわしたのです。

まさにここでも、シネレンズも最も得意とするカット、光で輪郭を光らせたシルエットを遺憾なく捉えています。

Zeissがやれば、Cookeもやる・・・シネレンズの描写力競争は、それなりに撮影者の注意力と技能を求めますが、とっさの居合いみたいなスナップでも、先のプラナーによる富岡八幡宮の逆光シルエット小姐、そしてこの人力車小姐と、ドラマチックなカットをプレゼントしてくれるのだと思います。

今回の感想としては、やはり、シネレンズが使えるというのは、写真をやる上ではこの上ない、天賦のチャンスではないかと思いました。

きっかけは数年前、銀座の某牛鍋カメラ店のショーケースに転がっていたシネクセノン50mmf2のサイズを見て閃いたこと。

ここから、自分自身も、そして周囲を含めた大勢の人たちがシネレンズワールドに惹き込まれていくのではないでしょうか。

さて、来週は、また工房附設秘宝館のコレクションからご紹介致します、何が出るか?乞う御期待!!

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2012/02/19(日) 19:59:55|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

四枚目は別格、描写にゾクっとさせられますね。
そしてこれ、多分難しいレンズだろうな、と思いました。
イメージサークルもそうですが、なんというのかな、ピントの置き具合が。
  1. 2012/02/20(月) 00:58:30 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
確かに4枚目、何か鬼気迫るものがあり、他の写真とは風合いが異なります。

まさに掛値なく、この撮影現場でも、無口にして目線で語るこの異形の小姐は、あたかも江戸時代の花魁が乗り移ったかの如き、緊迫した雰囲気を纏っていたのです。

まさに、特殊なシチューエーションと特殊なレンズが目に見えない磁力で引き合って、このシャッターチャンスをもたらしてくれたかのようでした。
  1. 2012/02/20(月) 22:23:10 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

銘板のデザインが好みだったので、たしか川越のコロラドで試写をさせて頂いたと思いました。
nex5だったので全く周辺光量は落ちていなくてフツーの写りだったと思います。(不二さんのページに出そうかな~)

戦前でダブルガウスでf2とは、オーピックはやっぱり凄いと思います。当時の新種ガラスを読み込んだリーさんの卓越した読みだったのでしょうか・・・。

全くのコート無しなんて妙なものですが、スタジオ用とか使用条件が限られていたからでしょうか?その辺りが興味深いです。
  1. 2012/03/03(土) 20:46:46 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
そうでしたね、川越ではお味見して戴いたんでしたっけ・・・

しかし、M8で周辺落ちて、NEXでは落ちない、というのは、マイクロレンズシフトの効果云々というか、寧ろ、APS-Hと同Cという撮像素子の大きさによるものでしょう。

なお、このレンズ、ノーコートで古めかしい佇まいですが、小生の調べでも高輪の御大の見解でも戦後も戦後、たぶん50年代末、ひょっとすると60年代くらいになってからの玉で、ノーコートは当時のカラーフィルムの性能の悪さを考慮し、カラーバランスの濁りや偏りを避けるため、あえてユーザーの注文仕様でノーコート出荷としたのではないかと・・・
  1. 2012/03/03(土) 23:36:16 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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