深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A true story of sixth sense~M-Rokkor40mmf2~

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【カメラ】R-D1s、 絞り優先AE、 露出+1/3、ISO200、全コマ開放、ロケ地:月島~深川
さて、今宵のご紹介は予告通り、通常ローテに従い、工房附設秘宝館からのコレクションになります。

このCL用ロッコール、実は工房設立当初に或る目的が有って購入して、ずっと保有していたのでしたが、実は、興味が有ったのが、メーカー純正の傾斜カムのプロファイルで、光学系にはあまり興味がなかったので、上下泣き別れ状態で4~5年を過ごし、今朝、えいやっと再び合体させたものです。

まずは簡単なプロフィール紹介から。

この日独合作の4群6枚の極めてコンパクトな40mmの準広角レンズは、1973年のライカ社と当時のミノルタの共同開発/マーケティング目的で世に送り出された、Leica CL、Leitz Minolta CLのうち、日本国内向けに販売された後者の標準レンズとしてセットで販売され、ドイツほか海外ではLeica CLとSummicron40mmf2の刻印付きのものが売られました。

この比較的お手軽価格でコンパクトな日独合作のユニークなカメラは、1976年には生産中止となり、この後継機として、ミノルタ単体でCLEという絞り優先AEのMマウント機が販売され、レンズもこのCLのものとは、基本的に光学系hが変えず、ただ、カムの連動機構を個体により微妙なマッチング差の出る傾斜カムから、Wヘリコイドのライツ標準形式を採用したものに変えました。

ついでながらCL系列の交換レンズについても少し述べておくと、標準に当たる40mmがライツ銘とミノルタ銘のもの、90mmがライツ製ながらC-Elmarit、M-Rokkor銘の二通り出ており、その他、ライカの従業員向けともいわれるC-Ermarit40mmf2.8というモデルも極僅かながら発売されました。

さて、レンズの能書きはこのくらいにして、早速、作例見て行きましょう。

今回のロケ地は、深川のお隣、月島から深川不動尊近傍にかけてです。

まず一枚目。

本当は土曜日にお仲間と楽しく路地裏徘徊やって、スナップ三昧の予定だったのですが、あいにくの雨、仕方なく、今日、お昼前に家を出て、買物とランチ前の腹ごなし的意味合いで、月島まで大江戸線で出かけたワケです。

昨日は雨の直後ということもあり、人影もまばらな佃島の船溜まりに、もしやと思い、足を運んでみれば、あにはからんや、お子さん連れのマダムが優雅にベンチで読書なんか楽しんでいます。

そこで、ブランコで遊ぶ小々姐の後ろに回り込みながら、一枚撮らして貰いますよ、あ、そのまま気にしないで遊んでてね♪とか声かけ、シャッター切ったのがこのカット。

シネレンズや引伸ばしレンズみたいな暴力的なシャープネスはないですが、そこはかとなく優しげで、発色も素直でかといってダルな写りでもなく、これだけ空が入っていても、結構なコントラストと解像感を発揮してくれます。

背景の摩天楼はあまり気にならないですが、ブランコの少し先の桜の枝はちょっとざわざわして煩いボケになってしまったのがやや残念な気もしました。

そして二枚目。

ブランコの小々姐と木製ベンチのマダムにお礼を述べ、また先に進みました。

佃島一番の名所である、真っ赤っかの佃小橋と銭湯を過ぎ、公園に向かうと、異国の小々姐が大和の童子達と楽しく遊んでいました。

そこで「ハロー、遊んでるとこ一枚撮らしてね♪」と声掛けたら、大和の童子達は蜘蛛の子を散らすように笑いながら逃げ去り、度胸の据わった、異国の小々姐のみが、はぃ撮って~と、こんなポーズ。

その嬉しい心遣いと心意気に感謝しながら、シャッター切ったのがこのカット。

ここでも、それほどシャープさは感じさせられませんが、それでも小々姐の白い顔こそ、陽光で若干飛んでますが、衣服のテクスチャは忠実に再現しており、背後の植え込みはやや暴れ加減ながら、ボケており、こういったシーンには剥いたキャラのレンズだなぁ・・・と感心するに至りました。

それから三枚目。

この心優しい異国の小姐に手を振りながらお礼を述べてその場を後にし、また公園内を徘徊していたら、来ました、来ました・・・まさにメンインブラックの一シーン、グレイという宇宙人が黒い服を着たエ-ジェントに両腕を捕まれ、歩くシーンの再現が・・・

そこで小走りに駆け寄り、フランス語は判らないのでドイツ語で写真撮らしてね♪と頼んでみたら、流暢な日本語で両方のヲヂサマ方から、「どーぞ、どーぞ」「ほれ、しゃっきり立ちなさい!」とか下町交流モード・・・

そして、お言葉に大いに甘え、頃合と呼吸を図ってシャッター切ったのがこのカット。

全体的な雰囲気としては、お江戸のど真ん中、千代田のお城から石を投げれば届くくらいの場所なのに、何となく、ヨーロッパの何処かの地方都市の公園みたいに上がったのではないでしょうか。

ここでは、遠景がかなり距離があるので、ボケは比較的なだらかできれいにまとまったカンジでした。

続いて四枚目。

ムダな抵抗はやめ、日本語で丁寧にお礼を述べ、その場をあとにし、相生橋経由、越中島から門仲へと戻りました。

まずは何はなくとも腹ごしらえということで交差点そばのネパール人経営ノインド料理屋でお気に入りの豆カレーなど頂き、しかるのち、お買物してから、いつもシャッターチャンスが多い、永代寺跡の公園経由、工房に戻ることとしました。

すると、居ました、居ました。お昼過ぎの高い陽光を浴びたカラフルなプラスチック製遊具にとりついて、頑是無き童子達が、楽しげに遊んでいます。

ここで何枚か撮っていたら、突然、またしても異国の小々姐が現れました。

まさにこの日独混血レンズの呼ぶ超常現象のようです。

そこで、お~ぃ、一枚撮らしてもらうよ♪とか声をかけて近寄り、カメラを構えていたら、お友達も友情出演とばかり、丁度いいポジションに入り込んでくれたので、すかさずシャッター切ったのがこのカット。

しかし、惜しむらくは、中間域での傾斜カムのプロファイルがベッサ系のカメラと微妙にマッチングが悪いのか、ちょっと甘めの前ピンになってしまっています。

また、この巨大なフードをつけての撮影だったにも関わらず、かなり明るいシーンだったため、画面には薄っすらと弧状のゴーストが入ってしまいました。う~ん、残念。

まだまだの五枚目。

小々姐2名にお礼を述べ、その場を後にし、もしかしたら、青空骨董市でも、と思い富岡八幡を目指します。

すると、だいぶお店は畳み始めていましたが、骨董市開催中でした。

古陶磁や武具にも関心が無いワケでもないので、ほどほどに見て周りながらシャッターチャンスを探します。

すると、面白いものを見つけました。そう、時代劇には良く出てくる、「鎖帷子」です。

ただ、この横の足軽鎧ともども、「勝手に触らないで、店主に一声掛けること」と木の札が下がっていたので、恐る恐る、お店の品物を片付けていた、傍らのヲバサマにあの鎖帷子珍しいですね、一枚撮らせて貰ってイイですか?と伺ってみたところ、どうぞ、どうぞということで、あ、ちょっと待ってね、ということで、木の札も外してくれて、それからシャッター切ったのがこのカットです。

どうでしょう。最短撮影距離に近いレンジでこれだけシャープでイイ発色もしてくれます。

後ボケもやや芯が残って二線っぽいカンジも無きにしもあらずですが、これだけの描写をしてくれれば、言うことないでしょう。

最後の六枚目。

女店主に鄭重にお礼を述べ、その場を後にし、一路、工房への帰路に就きました。

しかし、目はやはりシャッターチャンスを求めて泳いでおり、いつもの通勤路、東富橋のたもとで、ちょうど家族連れが渡ってくるのが見えたので、逆光に等しいシーンですが、鋼製の橋と、幸せそうな家族連れはどのような対比で写るのだろうという好奇心からカメラ構えて待ってて、渡りきる寸前のシャッター切ったのがことカット。

なかなか、午後の陽光の暖かなカンジと橋のどっしりとした質感、家族連れの軽妙なステップが上手く同居出来たのではないかと思いました。

今回の感想としては、う~ん、オレが悪かった・・・4~5年もバラバラにしたまま使わないで。

今回の試写結果を元に、もう一回、カムのプロファイルを点検して、再び活躍の場を与えて上げたいと思った次第。

次回は工房作品から何かご紹介致します。乞う御期待。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2012/02/26(日) 23:56:23|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

この日、光の加減がものすごく悪くて、撮るの大変だったでしょうに...と、まずそれを申し上げておきます。ええ、私は「無理!」と諦めましたので(苦笑
写真というのはつまるところ光をどう捉えるかなので、ピーカンでは光が直射すぎて不可、光がまわりすぎて短調になってしまうようなこの日のような光も、苦戦しますよね。

と、本文と違う評価をしてしまってすみません。そしてこれは...ええ、またしても前フリですw
アレ、見てしまっていますからね。

しかしこのレンズには、それ以上になんというか、歴史というかそういう重みみたいなものを感じます。おそらくはネットに撮り比べた作例なんかはやまほどあるとは思うのですが、LEITZとミノルタが同じ設計、しかしまったく別の場所で作っていたというその思想の違いには、言わずもがな、興味が湧いてしまいます。SMCPentax28mmf/2とDistagonT*2.0/28くらいですかね、同設計で別会社って。変形ダブルガウスやロシアコピーは別として....って私が無知なだけでたくさんあるのかもしれません。それにしても、ロシアのシネレンズからメジャーレンズから、どれだけ研鑽されているのか...ちょっと防湿庫見学に行きたい気分ですw
  1. 2012/02/27(月) 11:43:54 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。

す、鋭い・・・前の晩のタングステン灯下での真っ赤っかゲストの写真に引き続き、日曜はどーしょもないピーカンだったんで、空なんか入る構図、特に地平線にスカイツリーが生えてるなんて構図はみんな真っ白けであぼぉ~んだったわけで、ホトホトR-D1sのダメな子ぶりに泣いてしまいました。

でも絞ったら、なんか今までの写真人生を全否定してしまうようなキブンでそれも出来なかったし(汗)

このレンズに限らず、日独両方で生産されたものって、調べると結構面白いですね。

特に、前にも記事書いた、ヤシコンSonnar85mmf1.4なんか、まだモノがふんだんに有る時代に、顔が利くフジヤカメラの店員さんにムリ云って、委託も含め、店中のブツを全部かき集め硝材やらヘリコのフィーリング、外観の仕上げ、そして何よりもコーティングが、一番最後の富岡光学のライセンス品が一番光沢の無い、深緑のまさに艶消しで、最初期のドイツ製のものが、緑色にギラギラ光るメッキ付きかと思ったほどです。

また、工房で登場したライカRズームのドイツ製35-70mmf3.5と何故か同じような焦点域で同じようなF値でラインナップされていた、日本製の28-70mmf3.5-4.5なんか、コーティングの色調もレンズの構造も全く違いますが、それでも、ライツ一族の締まった発色と繊細で端正な描写をするから不思議です。
  1. 2012/02/27(月) 23:14:30 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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