深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

大人の冒険☆八重山ツアー'12 前編

yaima_01.jpg
yaima_02.jpg
yaima_03.jpg
yaima_04.jpg
yaima_05.jpg
yaima_06.jpg
【撮影データ】カメラ:1~2枚目;Leica M8 絞り優先AE、ISO Auto、3~6枚目;Zeiss Ikon ZM、フィルム Kodak Ektar100、レンズ;1~4枚目;Baltar40mmf2.5 FMAO、5,6枚目;Cooke Kinatal50mmf1.8、全コマ開放
まずは、次回は工房作品ですよ~~~とか予告しておきながら、工房主は捨扶持貰ってる奉公先のお仕事が、意外に忙しくて、結局、そのまま旅行に突入しちゃったんで、一週間サボっちゃったというのが真相です、深くお詫び申し上げます。

さて、本題ですが、今回は3月の17日から20日までの飛び石連休に有休を一発くっ付け、4連休にした上で、昨年は地震やら何やらで断念した、八重山ツアーに今年は何とか出かけることが出来たので、そこで撮影したものから、今週、来週と前・後編に分けてご紹介致します。

まずは今回の旅程ですが、17日、朝8時半羽田発の那覇経由の便で石垣空港に入り、午後1時半前にはホテルにチェックイン出来たので、そのまま、定期観光バスによる島内一周観光に出ました。

ただ、これは前回の朝9時半発に較べると、時間も短いためか、島の北部の山岳地帯の展望台行きが無かったり、少々コースが違っています。

それでもあえて再び同じようなコースに出たのかと云えば、要は朝出るツアーと午後出るツアーでは光の加減が異なるからです。

角度も違えば、色温度も違う、そんな条件の違いの下、石垣の風景に再びチャレンジしてみたかったからです。

しかも、ガイドさんが違えば、また新しいハナシのネタが仕入れられるし・・・

そんなこんなで、途中の海の見える素敵なレストランでのお茶&おやつタイムを挟んでの島内観光で初日はスケジュールを終え、翌18日は、朝9時半発の高速船で波照間島に向かい、朝から夕方迄自転車を漕ぎまくって島内を駆けずり廻って写真を撮り、また最終の船で石垣に戻り、19、20日と竹富島に通って、ひたすら赤瓦の街並みと、水牛車を撮りまくった、というのが今回の大まかな旅程です。

そのうち、初日の島内観光と翌日の波照間を前編として今回、レポート致します。

では、さっそく、写真の方を見て参りましょう。

まず一枚目。

午前発も午後発も、島内観光の第一目的地は、やはり島の西海岸に位置する、唐人墓地となります。

ここの訪問は前回に引き続き2回目となりますが、何処となく沖縄的な雰囲気を漂わせた絢爛豪華な霊廟は今も静かに佇み、遠い海の彼方を凝視しているようにも見えます。

まずは墓前に一礼し、数枚写真を撮らせて戴きました。

その中でもこの南国らしい棕櫚の木を手前に配置し、青空をバックに物静かに佇む霊廟の姿を捉えたカットが一番気に入ったのでご紹介する次第です。

詳しいエピソ-ドはここではあえて触れませんが、この墓地には、異国の不遇な民を弔うという琉球民族の優しさと、観光資源として目一杯利用するというしたたかさが秘められているような気がしてとても興味深い思いでした。

そして二枚目。

唐人墓地を後にしたバスは沖縄県きっての景勝地、加平湾へと向かいました。

ここは何でも、ミシュランの観光地ガイドで、日本でも稀有な「☆☆☆」、即ち、わざわざ見に行く価値有りとの評価を下された稀有な名勝で、確かに青い海と空、そして白い砂浜は、あたかも説話に聞く楽浄土を思わせる好ましい様子です。

その美しい浜辺を見下ろす木陰で地元の若いカップルが楽しそうに語らい合っています。

思わず好機とばかり、そのシルエットを一枚戴きました。

Baltar40mmf2.5FMAOは、思ったより被写界深度が深く、5~6m離れた被写体を撮ったら、開放でも、背景の雄大な景色をややボケ加減ながら、ばっちりと捉えていました。

それから三枚目。

石垣について二日目の朝、高速船に乗っての波照間初上陸です。

今回は、かなり訪問者が多かったためか、通常一艘の高速船が満員になり、仕方なく、西表島の大原港経由の連絡船での波照間入りとなりました。

考えようによっちゃあ、同じ船賃で西表島の港の様子も見物出来たので得したと云えば、云えないこともなかったのですが・・・しかし、その甘い考えは、小浜島沖を過ぎてから無残にも波濤に砕け散りました。

とにかく揺れる、揺れる・・・揺れるなんてもんぢゃなく、船が飛び上がって、水面に叩き付けられる、そんなことの繰り返しです。

船員さんが、黄色いポリ袋を手に何度も船室を行ったり来たりしているのは、こういうシチェーションだと、払い戻しをしてしまう乗客が多発するからでしょうか。

渡名喜島行きの経験から、こういう時は何も腹に入れておいてはいけないと思い、朝飯抜きで乗ったのが幸いし、何とか無事、島に辿り着きました。

そして島では交通手段が皆無なので、何か確保しなければなりませんが、ここで致命的なミスをしでかしました。

そう、自転車には、100%人力式と電動アシストの二種類有って、前者は一日1000円ポッキリ、後者は2000円もするのです。

スクーターがガソリン代込みで2500円なのに、たかが自転車に2000円も払えるか!ってんで、貸し自転車業者には真っ先に着いたのに、ケチって100%人力式を借り、港近くの業者さんから集落へ繋がる道のすぐ近くの坂で、もうアゴを出しての立ち漕ぎです。

平坦な島のようで結構な坂が有り、イイ運動にはなりましたが、脚もパンパンに張りました。

そんな自転車旅の途中、集落に入ってすぐのところで、遊んでいる子供達に声を掛け、写真を撮らせて貰おうとしたら、まず女の子がヤダァ~と逃げ、二人いた男の子のうち小さい方が、一緒に逃げ、一番上の男の子だけが覚悟を決め、赤瓦の家の前でモデルさんになってくれたって次第です。

で、自分だけ逃げ遅れたカッコになっちゃったんで、ちょっと固い表情なのでしょう。

続いて、四枚目。

童子に心からお礼を述べ、また自転車に颯爽と跨り、集落の中を巡ります。

すると、リアカーを曳いた生徒みたいな人々がこちらに向かってくるではないですか?

こんな時、土日の朝の下町巡り系の番組だと、阿藤海とか、車団吉が、声を掛けて、インタビューみたいな展開になると相場が決まっているので、それに倣い、声を掛け、リアカー曳いているとこを撮らせて貰えるよう交渉します。

胡乱なおぢさんの唐突な申し入れですからムリもない、不承不承?了解して戴いたはイイが、やれ前向けだの注文付けて、やっと撮れたのがこのカット。

それでも小姐2名はやはり恥ずかしいのか俯き加減で、男子のみが、カメラ目線でこっちを向いてくれています。

少年少女達、見てますか?
どうもありがとね! もしメールくれれば、このカットをメールに付けて送りますよ。

まだまだの五枚目。

リアカー曳きの生徒達に名刺なぞ渡し、お礼を述べてから別れ、また自転車の一人旅は続きます。

すると、何処からともなく、牛の鳴き声が聞こえてきました。

まさに牧歌的な雰囲気とはこのことです。

声のする方を向いてみたら、うちの実家のチョコラブにそっくりの若い黒毛牛が、人恋しいのか、だらだら坂をちんたらちんたらと自転車推して登る小生を見掛けて、啼いたのかも知れません。

尻尾を振って歓迎の意を示しているようなので、牛の繋がれているガジュアマルの樹の近くまで歩み寄り、ロープのアウトリーチから一枚戴きました。

因みに小生は、もう12年以上も牛肉は食べないようにしているので、牛の方は、この人間は敵ではなさそうだな、と思い、啼いてみたのかも知れません。

そんな取り止めもないことを考えてしまったほど、この仔牛はつぶらな瞳で尻尾などを振りながら、小生に歓迎の意を表していたのです。

さすがシネレンズ、EKTAR100フィルムのように映画用フィルムからスピンアウトしたフィルムでの撮影では、仔牛の鼻先にピンを合わせて撮ったら、合焦部は浮き上がっているかのように見えます。

最後の六枚目。

ランチ前の最後の撮影地、最南端の碑近傍です。

碑自体は、コンクリート製だかの凡庸なものなので、ガイドブックの類いに任せておくとして、その反対側の珊瑚石を積んで拵えたという、ミニ万里の長城みたいな小径の方が気になりました。

遥か後方には、天文台も見えますし、叢の緑と空の青のコンビネーションも最高、適当に構図を取り、迷わずシャッターを切りました。

手前の珊瑚石の石積みに合焦し、その背景はあたかも油彩の風景画の如く、こってりとした色ノリでボケてくれています。

まさに燦燦と降り注ぐ陽光の下だからこそ、気難しいEKTAR100フィルムの実力発揮といったところでしょうか。

この後、工房主は、貸自転車業者のお姐さんの「ランチは1時かっきりで終わっちゃうとこがだいたいだから気を付けてね」というセリフを間に受け、立ち漕ぎの連続で島周回道路を疾風の如く駆け抜け、集落に大急ぎで戻り、メシを食べさせてくれそうなところを主に鼻を頼りに探し廻り、ついには民宿の賄いを食べている現場に踏み込み、やっと紹介して貰ったお店「ぶどまれぇ~」さんで美味しい八重山そばともち黍おにぎり、そしておまけの自家製バナナなんかを御馳走になり、また、体力の続く限り集落内を自転車で駆け回り、鬼のように撮りまくり、さすがに3時半も過ぎたら、日焼けがしんどくなってきたので、ターミナルで休もうと、自転車を返しに港の近くまで戻り、自転車を返してのち、ターミナル内の食堂で、なんと幻の泡盛「泡波」が一杯300円で好きなだけ飲ませてくれるってんで、2杯ほど美味しく戴いて、帰りはベタ凪の海路を再び石垣に戻ったって次第です。

さて、来週は八重山ツアー後編行きます。

乞う御期待。

テーマ:旅行の写真 - ジャンル:写真

  1. 2012/03/25(日) 22:00:00|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<大人の冒険☆八重山ツアー'12 後編 | ホーム | Resurrección de la caja de basura~Ai-Nikkor28mmf2.8~>>

コメント

zeissDistagonなんかは同じ銘でも焦点距離によって随分写りが違うのですが、それでも共通項は多かったり...でもなんというか、charleyさんのBaltar40mmと私の50mmはなにか違う、別種のレンズのような気がします。私のは、もっと...んー。シブいというか、なんというか。でも、肌のグラデーション...というべきか、メリハリはBaltar特有な気がします。なんとなく...Baltarはコントラストにメリハリがあるような気がして、またそこがピーキーな理由かな、と思いはじめています。ここらへんも高輪の御大に訊いてみたいかなーと。

そしてKinatal。さすがにライカ判では四隅がケラレてしまっていますが、APS-Cならば問題なくいけそうですね。しかもEktar100との相性がまた。

しkし、沖縄いいなぁ。行きたくなってきました。
  1. 2012/03/27(火) 10:23:33 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。

まぁ、一口にBALTARと言っても、基本的に一品単位で仕様や光学特性のチューニングは異なっているようですからねぇ・・・

あと考えられる理由としては、この40mmはロスの業者から届いた時は、前後玉の汚れや中の薄曇り、そして絞り羽根の油浮きが気になったので、一旦、パーツを全部バラして、レンズは超音波洗浄かけたのちにコバ塗り、鏡胴は絞りを外せないんで、シリコンリムーバーを多めに吹いて中の汚れごと劣化塗料を洗い流し、その上で、例のグラファイト無反射塗料を要所要所に筆塗りしたあと、また組み直したものです。

たぶん、その内面反射の軽減策がコントラストの改善に繋がっているので、パッと見、違うテイストに見えるのかも知れません。

沖縄、良いですよ・・・特にGWには、那覇他でハーリーレースなんかありますし、まだ暑くないし、お勧めですね。

それから、Kinetal、やはりシネフィルムからのスピンアウトテクノロジーの産物であるEKTAR100での写りはやはり特異です。

フィルム自体の性能では、たぶんフジのREALA100の方が良いのかも知れないですが、定量化出来るかどうか判らないですが、レンズの「表現力」を引き出す能力としては、こっちの方が一枚上手のような気がしました。

願わくば、やはりFujiのX-Pro1で試してみたいものです。
  1. 2012/03/27(火) 18:22:45 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

デジのほうがしっとり感があります。
フイルムのほうがコントラストあるなんて妙ですね。

kinetarのみずみずしさが良いですが、最後のカットでは周辺光量落ちが気になります。
kinetarからみると、baltarも赤黄色かぶりにみえます。

それにしても、すべての写真で日本ばなれしていますね。むかしは石垣なんて台風銀座なんて思っていましたが、たしかに屋根瓦とか雨戸とかしっかりしている感があります。現代ではどうなのでしょう。
大阪はじめ地方が主張を始める時代。そういわれれば実際のところ、東京なんかのほうが地域的な崩壊が激しいなんて寂しい事を云われかねませんが・・・。

今だったら、石垣にゆくとロケット問題での警戒が厳しそうですね。

では。


  1. 2012/03/28(水) 00:35:06 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

イメージサークルの大きさを度外視すれば、Kinetalがシネレンズの正典(カノン)であることは疑いようがないでしょう。緑濃い自然を撮っても、金属光沢が煌くメカを撮っても、勿論、乙女の柔肌を撮ったとしても・・・

しかし、よくよく考えてみれば、フィルムも、M8の撮像素子もKodak製なんですね・・・それで、こんな描写傾向の差が出るとは、いやはや味付けとかチューニングとは面白いものです。

ところで、沖縄本島を含めた先島諸島では、収入、そして就労率については、統計上は日本でブービーメーカーレベルの低迷ですが、街全体の表情は概ね明るいですし、医療的には恵まれない筈の離島でも、お年寄りは元気に暮らしていますし、子供の姿を見かけることも多いような気がします。

或る意味、人口漸減、そして人口構成の上方シフトによる逆ボーナスにより、先々、閉塞感溢れる日本国の立直しとは云わないまでも、進むべき道のひとつは、南の島に隠されているのではないか、とも思いました。

今度、長い休みが取れたら、マイニラへの帰省も宜しいかも知れませんが、ご自分の目で、沖縄の今をご覧になってみて下さい。
  1. 2012/03/28(水) 23:11:02 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ベタ凪の海路って

眺めていると怖くなりませんか?

自分も波照間は何度か行きましたが、ベタ凪の海路を小舟が切り進んでいく様子を見ていると、何ら変わることのない空と水平線と海、その変化が起きないことに恐れすら抱きますねえ。あっしは。

そんなところでクジラでもジャンプしようものなら間近なければほっとしますけど。

それはそれとしてこういう作品群を見ているとシネレンズって八重山とか沖縄のあのピーカンの日光と白い砂浜のある地域で一番力を発揮できるレンズなんじゃないかと思うのですよ。
元々レンズが使われていた海外の空気と微妙に似ているからかもしれませんが。
  1. 2012/04/01(日) 16:53:28 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

Re:ベタ凪の海路って

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
確かに、前にも云われていましたね。

小生は、そこまで感性が研ぎ澄まされていないので、遥か彼方の島影やら、たまに船の横を飛び抜けるトビウオなんか見て、子供みたいにウキウキしているだけですが、昔、米国駐在の大学の先輩が、アリゾナだかネバダだかの砂漠の一本道のハイウェィを自分の車一台だけでいつまでも走っていたら、頭がおかしくなるような恐怖感に駆られ、思わず、ふと見かけた道端の一本木にクルマをぶつけてしまった、とかいう話を思い出しました。

翻って小生はと申せば、休日は一日中、旋盤とにらめっこして真鍮やら超ヂュラルミンを削ったりして、単純作業に慣れっこになっているので、変化が無いことに鈍感になっているのかも知れませんね。

それから、シネレンズと景色の相性ですが、確かに低緯度で、色温度の高い環境だと、植物などの赤や緑といった原色は勿論、珊瑚石の塀やら、コーラルサンドの小径みたいな中間色もメリハリある描写になるから不思議ですね。
  1. 2012/04/01(日) 20:28:02 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/tb.php/265-5cdfb2c4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる