
今回はまた、工房附設深川秘宝館からのコレクションのご紹介。
このカメラは、今はもう倒産の憂き目に遭い、現存していない、故田中光学が、昭和33年から34年にかけて1000台弱製造したという、いわば珍品ノンライツの類いに入るのですが、まぁ買った時のお値段は、ちょっとキレイなキャノンVILと同程度かちょっと高いくらいで、その10数倍も作られて、相当数が市中に出回っているNikonSPに較べれば6掛けくらいというような庶民的な幻のカメラだったわけです。
しかし、ヤフオクで落札し、家に来たとき、一回巻き上げただけでシャッターも切れなくなり、ヘリコイドも、冷蔵庫に三年以上も放置したジャム瓶の蓋を回すが如く硬く、とても撮影など出来る状態ではなかったので、工房の外注先の川崎の某カメラ総合病院で大手術を受けさせました。
待つこと2ヶ月、見違えるように快調になり、手許に戻ってきたこのタナックとタナー5cmf1.9のコンビは、予想を裏切る、素晴らしい写りを見せてくれました。
確かにシャープネスやコントラストでは、完調なキャノンVIL+キャノン5cmf1.8のコンビには到底敵いませんが、この希少な開放値を持つタナーは同じゾナータイプでは、開放からニコンSの5cmf2よりも暖色系の発色バランスに優れ、像全体に歪みなどない均質な描写で、しかもゾナー固有である、近距離からの後ろボケがなだらかに芯を残さず写り込み、上質な絵画的イメージを与えてくれました。
また、ハイライトは殆ど飛びませんし、さすがに最後発のゾナータイプだけあって、逆光にもキャノン、ニコンの大手メーカーの同クラス品と同等以上に強かった印象を覚えました。
この時点で、大メーカー、有名メーカーの製品だけが優秀なのではなく、市中や歴史の陰にも銘品は埋もれている・・・という確信を持つに至り、それが先にご紹介したサン・ソフィア5cmf2等の発掘にも繋がったのだと思っています。
テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真
- 2008/03/23(日) 19:58:01|
- 深川秘宝館
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