深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Des éclats de la culture Edo~富岡八幡本祭2012~

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【撮影データ】カメラ:EOS1DsMKII 絞り優先AE ISO100 レンズ:Apo-Rodagon75mmf4改EOS 全コマ開放
さて、今宵のご紹介は、夏祭りシリーズ集大成、深川の総鎮守、富岡八幡宮の三年に一回の大祭からのレポートです。

お祭り自体は毎年夏のお盆前後に行われているのですが、丁度その頃は、知行地でのお盆供養のため帰ってしまうため、日程が合わず、なかなか撮影するチャンスに恵まれなかったのですが、今回は、お盆迎え火の前日、12日が神輿巡行の日となったので、意を決して、撮影に臨んだのです。

機材は、前回の洲崎弁財天社でのお祭りでの散水被弾の経験から、防水性の高いボディと水に強いレンズ、且つ、50mmより長いレンジのもの、という観点から、元よりプロ用機材でシーリングのしっかりしているEOS1DsMKIIと前回のAPO-Rodagonの長焦点距離バリエーション且つ、マルチコーティング版であるプラ鏡胴の75mmf2.8を組ませて唯一の得物として苛酷な祭り撮影に向かいました。

しかし、よくよく考えてみれば、普段使うことが多く、前回の洲崎でも出動したR-D1sでは焦点距離が1.5倍換算ですから、フルサイズのEOS1DsMKIIで75mmを使うのと画角的にはイコールとなるワケです。

この富岡八幡宮のお祭りは、まさに日本の祭りの中の祭り、日本三大祭として、神田祭、浅草三社祭と相並び、歴史、格式、そして人気を誇っています。

今回の本祭ではエリアトータルでは大小100基を越す神輿が練り歩き、最終日の永代通渡御では50数基の大神輿が、見た目も美しい金棒曳きの小姐連や手古舞に先導され、絢爛で煌びやかな姿を白昼の元、飛び交う水の下、威勢良く競い合うという、夢幻の如き夏の一日だったのです。

普段は地味で淡々と人々の暮らしが息づくここ深川も、まさにかつては絢爛豪華な粋といなせさを誇る江戸文化の中心地であった、という連綿たるDNAが一気に開花したかのような一日でした。

しかも、今回は東日本大震災復興祈念に関わる特別招待ということで、被災地からの代表として奥州平泉の神輿社中がやって来て、この神輿一行が控える八幡宮と深川不動の間の道を通り過ぎる度に地元の各神輿社中は手を振り、心からエールを送り、傍から見ていても、祭りを通じての心の通い合いのようなものが垣間見え、とても暖かいものを戴いた気がしました。

では、個人的な感想などはこのくらいにして、早速実写結果を見て参りましょう。

まず一枚目。

永代通り南側で待ち構えていたら、次々と金棒曳きの小姐を先導に絢爛豪華で勇壮な大神輿がやって来ては、惜しみない喝采と放水を浴び、目の前を通り過ぎます。

そんな中、目にも眩しい紫の法被を纏った赤い提灯の一団、東陽町四丁目の金棒曳きの小姐達が神輿の魁としてしゃらん♪、しゃらん♪と金剛杖を打ち鳴らしながら独特のリズムで歩いてきます。

カメラを構え、さぁ、どの小姐にピンを合わせようかなと思った瞬間、ファインダー越しの物凄い目力に射すくめられ、殆ど反射的にシャッター切ったのがこの一枚。

ピンはこの小姐の眼そのものに合わせていますが、肩口から手にした金剛状の先まで被写界深度内に入っています。

子供の持つあどけなさと、思春期の女性が持つ健全な艶やかさが極めて微妙なバランスで同居し、何か不思議な雰囲気を漂わせた小姐でした。

佐原、川越、栃木、成田そして太田と美しい小姐の舞や踊りが評判の祭りを色々と巡りましたが、地元深川でこのような稀に見る美形の小姐の姿に巡り合えるとは、まさに「青い鳥」の寓話のようだと思ってしまいました。

そして二枚目。

会心のショットの余韻も冷めやらぬまま、次々と手古舞と神輿の一団はやって来ます。

水掛け児童団の活躍も撮りたかったので、神輿社中の流れが一旦薄くなった辺りで永代通を北側に渡り、自らも返り水を浴び、ずぶ濡れになりながらも嬉々として水を掛け続ける、富岡界隈の小姐達の横で、彼女達の所業を捉えんと狙い、ちょうどやって来た霊厳島からの神輿に背後からも放水したところを撮った一枚です。

神輿ではなくその担ぎ手の諸兄の表情を捉えんと、EOSのファインダ越しに狙っていましたが、水が掛かり、気持ち良さそうに一瞬身を縮め、その次の瞬間、おーっしゃ!ってなカンジで気合いが入ったところでシャッター切ったのがこのカット。

まさに150年以上前の江戸の粋とか威勢の良さ、そんなものが遥かな時空を超え、担ぎ手の兄ちゃんに宿ったかのように見えました。

それから三枚目。

いつまでも彼女達の仕事ぶりを横から眺めているのも能がないので、また、いつものように出演交渉です。

はぃはぃ、写真撮るから、三人、なるべくコンパクトかつ一直線に並んでね、そうしないと、一番キレイな娘がボケちゃうからね、とか好き勝手なことを並べたて、彼女達も、重いバケツでの水掛け作業の小休止とばかりに"観光客"への撮影サービスに応じてくれたということです。

真ん中の小姐にピンを合わせたら、う~ん、残念、向かって左端の小姐、彼女もなかなかの美形だったのですがアウトフォーカス且つ、このプラ鏡胴の影響によるものか、周辺の流れでパーフェクトに写っていなかったのです。

炎天下、濡れ鼠になって、持ち場の職務に専念する勤勉な小姐達に心から御礼と励ましの言葉なんかをかけ、ところでお客さんどこから来られたんで?とか聞かれたんで、「500m以内よん♪」とか云ったら、え~なんだジモティのヲヂサンだったんだ、とかちょいがっかりされてしまいました。

続いて四枚目。

また何物かに憑り付かれたかの如く、やってくる神輿目がけて水をかけ、自らもずぶ濡れになりつつ、底抜けに笑い転げる、極めて幸せそうな小姐達と別れ、次なる獲物を探して永代通沿いを徘徊しました。

すると、居ました、居ました、世に云う「お祭り親子鷹」が。

予め、移動手段を親子の肩車と想定しているらしく、ヤングパパそっくりの極小姐の髪には陽光に燦然と輝く、巨大な濃オレンジのコサーヂュみたいなものが付けてあります。

そこで、如何にも気の良さそうなヤングパパにお揃いの晴れ姿、一枚撮らして!と出演交渉、二つ返事でOKしてkれたお二方は、お揃いの半纏になかなか渋めの表情でピースしながら、撮影に応じてくれたってことです。

さすがEOSの等倍ファインダにスプリットマイクロのスクリーン入りではこういう静物撮影でピン外れなど起こしようもないですが、その描写はなかなかシャープながらカリカリとまではならず、えも云われぬイイ雰囲気を醸し出しているのではないでしょうか。

バックのボケは若干芯が残り、ちょっと煩いかな、という感もなきにしもあらずですが、一番、非点収差の影響が出易い木立の葉に微塵もぐるぐるが出ないのは大したものだと感心してしまいました。

更に五枚目。

この気立ての良い親子鷹に心から撮影協力の御礼を述べその場を後にし、またしても水掛の「砲台陣地」を発見し、そこの守備隊の水掛け児童団の奮戦振りを狙うこととしました。

こういう時は、やはり、周りの監督官である、大人に一言断っておかねばなりません。もしかしたら、気が向けば区の観光写真展にも出すかもしんないから写真撮らして!とか云うだけ云ってみたら、はぃご自由にどうぞ、でも子供達のやることだから水を頭からぶっ掛けられても恨みっこ無しね!とか念を押され、比較的安全なポジションを見定め、子供用塩ビプールで楽しく混浴状態の童子達のお姿を戴いたのがこの一枚。

しかし、次なる賑やかな神輿の一段がやって来たら、さっきまでのじゃれ合いぶりはどこへやら、一段と高いところに据付けられた貯水タンク兼散水オペレータ冷却ユニットであるプールからは、バケツと云わず、水鉄砲といわず、四方八方水を播きらかし、さっきまで写真を撮っていたポジションにまで、子供用バケツで威勢良く水なんか播くもんですから、そのまま居たら、完全に頭から濡れ鼠になるところを間一髪、脱出したのでした。

まだまだの六枚目。

散水の「砲台陣地」脇をほうぼうの呈で逃げ出し、陽も西に傾き出し、影も長くなってきたので、少し開けたところで金棒曳のご一行を捉えようと思い、神社からは離れ、門仲交差点の手前まで移動しました。

すると、やって来ました、歌舞伎の助六みたいな扮装の小姐がすました表情で、先導を務める平野三丁目の社中がしゃらん♪しゃらん♪というリズムで歩いて来ます。

観客で込み合い撮影ポジションもままならない神社周辺と違い、交差点付近は路上はもちろん、歩道上にも観客はそれほど密集しておらず、かなり自由なアングル、そして演者との間合いで撮れます。

ここで75mmという普段はあまり使うことがない比較的長い焦点距離が威力を発揮しました。

引き付けるだけ引き付けて先導を狙い打ちすることも出来ますし、或る程度距離をとれば、標準並みにはパレード全体を画面に収めることも出来ます。

そこで、この助六小姐の右側、つまり南西方向から傾き出した午後の陽光が小姐を照らした瞬間を狙い、何カットか撮ったうちの一枚です。

このカットでは、まだそれほど引き付けてはいないので、後続のパレードの全貌もおぼろげながら眺められるという一粒で二度美味しいカットになったのではないかと思います。

もっとアップの写真は秋のJCIIのノンライツRF友の会写真展で展示しますので、お楽しみに。

最後の七枚目。

先導の助六小姐が通り過ぎた後もこの平野三丁目の金棒曳パレードを眺めていましたが、「平三睦」の白提灯をこちらに真っ直ぐ向けて歩いてくる、端正な顔立ちの極小姐が目に留まったので、抜き打ち的にシャッター切ったのがこのカット。

路面からの照り返しを受け、EOSはドアンダーの露出条件を決めてしまいましたが、むしろ、この表情がかすかに判るくらいの"シルエットロマンス"系の描写の方が印象的で面白いのではないかと思い、採用した次第です。

今回はお祭り撮影とか云いながら、結局、初めから終わりまで金棒曳のパレードばかり撮って上げてしまいました。

でも、この21世紀の日本でこんな江戸時代からの伝統と格式に満ちた祭りが目の前で見られるなんて、とても素敵なことぢゃないですか。

来年もお盆供養とラップしなければ、渾身の撮影に臨みたいと思いました。

さて、来週は久々に新しく買ったレンズを秘宝館からご紹介しよっと♪ 乞うご期待。

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2012/08/26(日) 21:00:00|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

一枚目の写真が素晴らしいです。

私も、何年か前に深川の祭りを見ましたが
美少女確立の高さに感動した覚えがあります・・・笑

でも
そんな時に限って
変なレンズ(キノプテックのボケボケレンズ)しか持ってなくて
こんなシャープな写真が撮れなくて
悲しかったですよ・・・・(^_^.)
  1. 2012/09/01(土) 07:33:20 |
  2. URL |
  3. わたなべ #mQop/nM.
  4. [ 編集]

わたなべさん こと やまがた さん
ご無沙汰です。

へへへ、今回は、水に強く、なかなか良き画を吐き出す組み合わせで、フランチァイズの強み発揮でした。

そりゃそーと、来月は月初から、中旬まで、行事目白押しですね。

上旬の日、月(祝日)とその翌月は年に一度の総決算?佐原秋の大祭!です。

今回はM8とX-Pro1の二台体制で昼夜フルに撮りまくり、土日で2000枚以上撮りたいと考えてます。

折角ですから、駅前に在る浴衣の気風良い姐ちゃんが給仕してくれる九州料理やみたいな旨い喰いもんと格安で快適な宿が在る成田に金、土、二泊で気合い入れて撮りましょうよ!!

NEX-7とX-Pro1の雌雄を決しなければならないこともありますし・・・笑
  1. 2012/09/02(日) 02:03:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

50mmのアポ・ロダゴンと違って、適正拡大サイズが厳密なのか、使い方がムズカシそうですね。

深川さんも意見していますが、やっぱり周辺について、画像によっては流れる特徴が気になっていました。

ロールぺーパー大1000x1300位の画面までが適正撮影距離と厳格化されている、という印象すらあります。たしかローデンには、特大拡大用の引き伸ばしレンズもあるので、50mmモノよりも、より厳密に拡大サイズ規定しているとか・・・。

とてもシャープな画像ピント合致部は、ほかのサイトでみた近接撮影のボケ部分エッジまでシャープさが50mmよりも向上している感で、引き伸ばし適正サイズまでについての凄味を思わせます。コントラストも50mmよりも高い感がありますが、カメラも違うのでなんともいえません。

ともあれ、一般距離での撮影サンプルも余り他にありませんので、とても貴重な見本になっていると思います。

わたしも機会があれが、69用とか45用のアポクロマートの世界に入り込みたいです。

(EL-APO-NIKKORなんてあるのも最近知りましたが、どこで使われていたのか、それも高いですね~。)
  1. 2012/09/02(日) 02:34:39 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

相変わらず祭りの迫力が。

こっちも昨日35mmのX100で頑張ってみましたが、ズームが欲しいときが何回かありましたねえ。

こちらは75mmで頑張って、距離感も頭の中に入っているのか、間合いが遠すぎず近すぎず、ということで流石だなと思うのですよ。

ちゃんと目線も合わせてもらっているし、一度横で観察したいものですねえ。撮影風景を。
  1. 2012/09/02(日) 16:19:32 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん

有難うございます。

昨日は遅くまでお付き合い戴き有難うございました。

このレンズのたまに発生する周辺の流れ、距離によって出たり出なかったり、ホント不思議なんですよね。

でも、ピンも光線加減もビシッと決まった時の息を呑むようなシャープネスとクリアさは、まさに2Dの域を超え、3Dの領域に足を踏み入れんばかりの主被写体の浮き上がり感をもたらしてくれます。

ただ・・・深川の所蔵レンズで申せば、全域歪みも無く、発色、シャープネス、クリアさ、エッジのキレといった評点でも、実はこの下位グレードのRodagon80mmf4の方が一枚上手なのです。

従って、個体差とも考えられないこともないため、出来れば、もう一本、状態の良い個体を入手し、このボーグヘリコに装着し、これからシーズンに入る佐原、川越、栃木の何れかの祭りでツァイスの誇るPlanar85mmf1.4をf4に絞った状態とで比較をしてみたいなどとも考えているのです。

何れにせよ、来月の佐原へ同行願えれば、僚機のApoR0dagon50mmf2.8改L39を貸し出し致しますのでNEX5NなりZeissIkonZMで存分に楽しんで戴けるのではないかと思います。
  1. 2012/09/02(日) 22:39:43 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:相変わらず祭りの迫力が。

出戻りフォトグラファー さん

有難うございます。

たぶん、この祭りを含めた居合的スナップの間合いの勘みたいなものは、一に築地場外市場、二に浅草仲見世、三、四が無くて五が川越の駄菓子屋横丁といった光線状態が難しく、被写体も全く挙動が予測出来ない中での接近戦で鍛えられたのではないかと思います。

R-D1s導入以前から、M型ライカ、キャノンVIL、ニコンSP、キャノンF1N、そしてライカREなどを持ち込み、或る時は歩きながら、或る時は店の物陰に潜み、また或る時は人ごみの切れ目に体を滑り込ませ、瞬時にピンを合わせ、シャッターを切る・・・こんな地味な修錬ですが、やはり役には立っているのかも知れませんね。

ましてや、デジRFやSLRになってから枚数気にせず、しかも撮った結果が瞬時に確認出来るようになってからは、厳しい家庭教師と一緒にマンツーマンでレッスンを受けているようなもんですから、その勘はだんだんと研ぎ澄まされていったのではないかと・・・

来月の佐原、ご一緒しましょうよ。昼に徹底的に撮って、皆で一杯やりながら(酒でなくともOK)品評会やるのもまた楽しきかな、というとこですか。

川越祭りももちろんお邪魔しますが、何せ、人出が多くて多くて、夕方なんか駅方面への大通りは満員電車並みでしたしね(苦笑)
  1. 2012/09/02(日) 22:54:40 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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