深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Ein Beispiel der japanischen Geistes mit westlichen Lernen~QBM Color-skoparex28mmf2.8~

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【撮影データ】カメラ:EOS1DsMKII 絞り優先AE ISO400、全コマ開放、ロケ地:米軍座間基地
さて、今宵のご紹介はこの夏直前に海外から届いた、Rolleiflex SL35用の玉、即ちQBMマウントの交換レンズ、Colorscoparex28mmf2.8です。

このColorskoparex28mmf2.8というレンズはとても興味深い玉で、ここのサイトをご覧になるくらいの方であれば、半ば常識化していると思いますが、VoeigtrenderのブランドでRollei SL35用QBMマウントレンズとしてリリースされてはいますが、その実、構成は7群7枚のレトロフォキュタイプ、即ちツァイス系統の広角レトロフォキュですから、中身はDistagon28mmf2.8そのものなのです。

更に興味深いことにこのレンズは日本製ですが、何とその製造元がマミヤ光機ということで同一構成のレンズがマミヤオート銘のM42だかで国内では販売されていたということらしいのです。

ところで、この謎多きレンズが何時くらいに製造されたか?ということですが、"Vade me cume"をはじめ関連サイト情報が殆ど皆無なので、Rolleiの35mm一眼レフと傘下のブランドであるVoigtlaenderの同一マウントの一眼レフの製造時期より間接的に類推するより他ありませんが、恐らく、1976年前後ではないかと読んでいます。

それにしても100ドルかそこらでこんな面白いもんが買えてしまう、電子湾での夜釣りはやめられませんね(笑)

では早速実写例を見て参りましょう。今回のロケ地は今を去ること8月第一週の座間基地での念仏踊り&花火大会でのものです。

まず一枚目。

基地の中でも居住エリアは、普通の米国の住宅地とはたいした相違はなく、日本とは明らかに違った都市計画における美意識がそこかしこに垣間見えます。

その一端が黄色の本体に緑の帽子の消火栓です。日本ならば、真っ赤かの無骨な機能一点張りの設備ですが、この米国のものは、造型といい、配色といい、緑多き住宅街への調和も念頭に置かれているらしく、そこはかとない洒落心を感じてしまいました。

ピンは緑の傘のエッジで合わせていますが、背景の通行人の男女はかすかにボケるカンジで、また周囲の芝生、木々もそれほど流れや崩れが認められず、スナップに利用するくらいであれば、充分過ぎる性能を今でも持ち合わせているレンズであることを示してくれました。

そして二枚目。

芝生のエリアを少し進むと真夏の行事である基地開放デーの風物詩とも云える野戦給水車が、その本来の勤務地とはかけ離れた平和な極東の地で幸せそうな家族連れに冷たい新鮮な水を振舞っています。

禍々しいカモフラージュ模様と色とりどりのカジュアルウェアの子供達とは如何にも不釣合いですが、一方、レンズノ再現性能を見るには格好のモチーフですから、ホントは浴衣の小姐達が美味しそうに水を飲むところでもバッチし撮りたかったのですが、待てど暮らせどやって来ないので、痺れを切らし、ミリタリールックもどきの幼い兄弟にモデルさんになって貰って一枚戴いた次第。

ここでも、ノーフードで撮りながら空の入った構図でフレア、ゴーストが皆無、更に給水車の艶消し塗装の質感再現性、そして画面の隅に至るまで歪みない均質性がこのレンズの優秀さを物語っています。

それから四枚目。

露店、模擬店が軒を並べるメインストリートでやはり名物になっている、士官、軍属合い乱れての無礼講的行事のバーベキューファクトリーでお店の横を通ってヘリコ広場へ抜けようとしたら、焼き方さん達と目が合ったので、通り過ぎる時に「Hello!! Have a nice day!!」とか適当に挨拶しながら通り過ぎようとしたら、フォトグラフ
、フォトグラフとか陽気に騒ぎ出し、自分達を指で指してニコニコ笑うので、よっしゃ行きまっせ!と一枚戴いたのがこのカット。

ここでもやはり程好いシャープネスで人物を捉えていますが、背景の焼き方さん達のなだらかなボケ、そして画面全体に亘る均質な描写がとても魅力的に思えました。

続いて四枚目。

一番手前の兄ちゃんにEOSの背面モニターで実写結果見せて上げたら、小さくて良く判んないけど、皆んな笑ってるところが撮られているから、それでイイんぢゃね、と云われ、お互い、サンキュー!と云ってその場を離れました。

開放区一番奥の芝生広場では何組もの童子達が思い思いに遊んでいたということは、先般のレポートで書いた通りでは有りますが、その中で仲良く水鉄砲で水かけっこしていた小々姐、極小姐の3人組が居たので、ちょい待った休戦、イッツショータイム♪だ!とか適当に因果を含めて芝生の前に整列させて撮らせて貰ったのがこのカット。

やはり欧米の子供達は、「えっ、あたい達を撮ってくれるの!? 嬉しいナァ!!」てなカンジがアリアリでポーズの注文も特段つけていないのに、このノリです。

後から戻って来て、ニコニコ笑い撮影の様子を見ていた基地従業員の若いヲヤヂさんにも鄭重に礼を述べ、童子達ともども撮影結果を背面モニターで見て貰い、「やはり日本のデジタル製品は優秀だ、ほら見ろ! お前ら、実物よりずっと可愛く撮られているぞ!」とか真面目そうな顔で云ったもんですから、3名の水鉄砲から顔と云わず体と云わず集中砲火を浴びたのは云うまでもありませんでした。

まだまだの五枚目。

水かけ合戦にうち興じる幸せそうな一行に別れを告げ、また被写体を求め、基地内を徘徊し、ヘリコ広場へと戻ってみれば、先ほどまでは居なかった、野戦服に身を固めた兵士二名が体験試乗の手伝いをしながら、英語が判りそうな人間には、機の解説というか、装備自慢みたいなことやってました。

そんな退屈そうなお二方の様子をしらっと一枚戴いたのがこのカット。


ここでも、この"覆面ディスタゴン"は素晴らしい性能を発揮してくれました。

それは、何処かと云えば、画面上部やドア横辺りのヘリの外装の質感描写は云うに及ばず、更には機内のシャドウ部も余すところ無く捉え、そのラチチュードというかダイナミックレンジは、特段、画像処理ソフトでγなどいじらないのに、IPEG撮って出しでここまで捉えてしまったところなのです。

最後の六枚目。

この日は上空の大気が不安定で会場でも小雨が降ったりやんだりで、雷雨でも来たら目も当てられないので日暮れ前よりもだいぶ早くお暇を頂戴しようとしたのですが、メインストリートを正門に戻る途中の露店、模擬店街に如何にも気の良さそうな若い黒人ママがベイビーをあやしていて、通り過ぎようとしたらベイビーが熱線追尾式ミサイルみたいに工房主をじっと見詰めていたので、一旦立ち止まり、可愛いベイビィだねぇ、一緒に一枚撮らしておくれよ!と頼み込んでみたら、シュア、ノープロブレム、プリーズと云ってこっち向いてくれたので、ハィお言葉に甘えて一枚戴いたのがこのカット。

ベィビィの眼でピントを合わせていますが、特に感心したのが、ベィビィの腕の肌の質感、色合いの再現性です。

その直後のお揃いの緑の幼児服のベィビィはマイルドにボケていますが、それより後の通行人各位はちょっとざわざわしたボケになってしまったのが少し残念ではありましたが、これだけ撮れれば上出来でしょう。

このまだ物心もつかないうちから、バカでかい真っ黒なカメラについた真っ赤っかなコートのおっかなげなレンズを真っ直ぐ見つめ返すこのベィビィのの強い目線に、まさにアメリカという国の、基本的に国民は国を頼りにしない、という個の力の集合体、合衆国の強さの片鱗を垣間見た気がした、と云ったら大げさでしょうか。

今回の感想としては、やはりお買い得感満載でした。イイ玉はマイナーマウントに隠れている!という確信を深めるに至った次第です。


さて、来週は久々に工房製品のご紹介でもいきましょうか。乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2012/09/02(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

こんばんは

QBMご専門の方は、強烈にマニアックな方々が多いので、日本製qbmまではナカナカ入れないでいます。
一度入ると止めどもなくなりそうなのも、その
理由の一つですが・・・。


それにしても、ヤシコン28mmf2.8が同じ構成とは、少なくとも外観上では全く信じられませんでした。(いまでも)

コドモの記念写真風スナップなど見ると確かに唸ってしまいますが、いったいこの色はドコノレンズなんだろうと悩んでしまいますね~。ヤシコンの端正な世界からは考えられないです・・・。
色の押し出しが強いので、こいういった軍事色強い被写体も、今回の色特性の強いレンズと合っている感もあります。(キャノン・デジの特性も多少はあるとは思いますが)

MAKINONと刻印のQBMテレコンを、付属のレンズマウントキャップ欲しさに、唯一日本製モノとして入手しましたが、『それほど安ければ』再びもう一本ゆきたいです。

景気がこうワルイと、安酒にナガレルという気分ですね~。

voigtlanderや、たとえばおなじみのsteinheilなんか、創業当時は非常に個性の強い強烈なブランドでしたから、「安い」なんてまったくもって申し訳ありませんが・・・。

  1. 2012/09/03(月) 23:10:51 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

悪いこと申しません。

このレンズ、見かけたら即買いです。

買っといて、もう一本、M42のMamiya Auto28mmf2.8も買えたら、銘板スワップしてしまい、
それをフランジリング経由アサペンのLXとかK2辺りで使ったらオシャレではないかと・・・

とまぁ物欲勧誘はさておき、確かにヤシコンYCマウントのディスタゴン28mmf2.8も当工房にはありますが、コーティングから硝材まで全くの別物に見え、ただ、最前群の巨大な凹レンズと最後端の小さな凸レンズ、そして奥の方に見えるちっちゃな絞りユニットくらいしか共通点はなさそうです。

でも海外の幾つものサイトでColor-Skoparex(Rollei Distagon)28mmf2.8とか書いているので、たぶん本当のところぢゃないかとも思います。

また、身びいき的に申せば、70年半ば当時の純国産設計の28mmクラスのレトロフォキュでは開放での撮影では恐らく周辺が大甘になるでしょうが、これはご覧の通り、フィルムより更に平坦度がシビアなCMOS単板素子でここまでキチンと写っています。

ということで、大Carl Zeissが何らかの形で設計に関与しているとみてもあながち妄想ではないような気がします。

今度はまだ安いうちにRolleinarでも手を出してみますか・・・笑
  1. 2012/09/04(火) 22:28:09 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

あたかもコダックカラーのような色のりがたまりませんな。

特に4枚目の子供たちの写真の色合いなんぞ、往年のコダックHD400とかを彷彿とさせます。

6枚目の親子の写真も背後に同じシャツを着て泣いている子供との対比が出来ていいですわね。

こういうのを撮りに行きたいと思いつつ、未だに引っ越し後の片づけもままならず、ニッセンで安い棚を探している状況です。
棚の設置が終わったら除湿庫も買い足さないとなあと思うところです。
いい加減、引出ケースでカメラとレンズを保管するのも限界っぽいので。
  1. 2012/09/09(日) 20:58:39 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

Re:あたかもコダックカラーのような色のりがたまりませんな。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

このマイナーレンズ、なかなかイイ仕事してくれるんです。

どうでしょうね、Kodak Ektar100で撮ったら?

比較的見た目に近い色を再現するEOS1DsMKIIでこのポップカラーですから、彩度が高く、発色も濁らないEktar100でお祭り写真でも撮ったら・・・なんか考えただけでワクワクしそうですね。

ところで新居はまだまだ落ち着かないようですね。
こういう趣味の世界に属するものは、経済合理性やら住居の収納効率みたいなモノでは割り切れませんですから、困ったもんですよね・・・

ま、引越しの後始末が落ち着き、体調が安定したら、川越で徹底的に撮りまくりませう。
  1. 2012/09/09(日) 23:58:51 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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