深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

関東三大祭り・先鋒~石岡のお祭り2012前編~

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【撮影データ】カメラ:LeicaM8 絞り優先AE ISO Auto レンズ:T2 Sonnar38mmf2.8 全コマ開放、ロケ地;茨城県石岡市
さて、今宵のご紹介は予告編から急遽変更、秋祭りシーズンの先鋒、関東三大祭りの一角を占める「石岡のお祭り」からのレポートをお送り致します。

実は、このお祭りのことは、去年辺りから気にはなっていたのですが、結局、何やかんやで行くことが出来ず、その後の佐原秋の大祭、川越祭りをいつも通り訪ね、そして三年に一度という栃木祭りの本祭に運良く巡りあい、すっかり頭の中から消えかかっていたのでした。

ところが、先週の三連休の前の金曜日、中途半端に長い三連休に何しようかな???と出張と外回り、そして残業で疲れ果てた頭でぼおぉっと考えていたところ、ふいに「石岡のお祭り」という概念が浮かび、ネットで調べてみたら、まさに今週の三連休がその開催日だったということなのです。

佐原の例で経験を積んでいますので、今回も泊り掛けで訪問することとし、狭い街の宿泊施設は前日では予約など取れよう筈もないので、佐原での成田のように、今回は最寄りの大都市、土浦で宿を探し、ここでもラッキィなことに格安のビジネスホテルが一室だけ空いていたのを滑り込み、万事揃って、土曜日の午後一に北千住経由、石岡市を初訪問したのです。

写真の説明に入る前に、この「石岡のお祭り」にも少々触れておかねばならないでしょう。

正式には「常陸國總社宮例大祭」といい、佐原、川越と並び「関東三大祭」に挙げられ、菊の御紋の使用を許された神輿や、絢爛豪華なお囃子、神楽舞付き山車や幌獅子車など40数台が夜まで賑やかに街中を運行するという、極めて興味深いお祭りなのです。

では、早速、実写例見ながら、行動を追っていきましょう。今回の前編は土曜日の15時過ぎから日没まで、M8で撮ったものをお送りします。

まず一枚目。

石岡駅に着いてからまずは戦前の腹ごしらえとばかり、駅前の「福々食堂」さんに入り地元産の石岡ポークの生姜焼定食などを戴き、気力を満たしてから、鬼の撮影行に入ります。

大通りに出ると、数十メートる行った辺りで、山車を停めて、その社中の小姐集団が即席歌劇団よろしく、お囃子に乗せて、「うちのかしらはイイ男♪~」とか、どっかで聞いたような歌詞を大声張り上げて歌い、派手な扇子を振り回してのパフォーマンスです。

しかも、踊りに加わらないメンバーは周りで「ハィ、カメラマンの皆さん、撮って、撮って、撮ってやって下さいね!」とかしきりに宣伝・勧誘なんかしているものですから、ついつい立ち止まり、あ、佐原囃子のパロディ~ぢゃまいか?とか思いつつ、一枚戴いちゃったという次第です。

ここでは、やはりT2ゾナー、午後の傾き出したオレンジ成分の多い陽光に照らされる扇子や小姐の顔、表情を臨場感豊かに捉えていると思います。

そして二枚目。

呼び込み小姐に「有難う、頑張ってね、また市内で皆んなに会ったら、声掛けて撮らして貰うよ」と挨拶し、その場を後にしました。

駅前を伸びるメインストリートを西に向かって歩いていたら、山車を何台か追い越し、ふと振り返ると、入道雲の浮いた青空をバックに屹立する賢覧豪華な山車の姿が目に留まりました。

そこでカメラを構えて撮ろうとしたら、ほぉら、中島みゆきにも松本伊代にもちょっと似た母親が、こっちで写真を撮ろうとしているのに気付き、自分はカメラ目線で、いかにもやんちゃげな息子にカメラの方へ目線向けるよう注意を促しています。

このカット、日本国内の霞ヶ浦の北の地方都市で撮ったにも関わらず、このスカっとした青空と全体的な空気の雰囲気が、何故か空が高く感じるヨーロッパの何処かで撮ったような印象を得ました。

これも日本企業に買われたとは云え、ツァイスが気合いを入れて設計を行ったというT2ゾナーのマジックなのでしょうか。

それから三枚目。

また西に向かってメインストリートを歩いていたら、山車を引っ張る、健気な小姐、小々姐、極小姐の部隊が居て、ひとり、祭り衣装でない美小姐が必死に綱を引っ張っています。

本来なら、手助けのひとつもしてあげたいところではありますが、そこはそれ、宗教行事たる山車曳きによそ者が手出しをすることは出来ません。

そこで、精一杯、笑顔で「頑張れ、頑張れ!」など横で声援を行いがてら、一枚戴いたのがこのカット。

いかなT*コートと云えど、午後の斜めに射し込む陽光には抗いようがなかったのか、オレンジの円弧状のゴーストが2条出てしまいましたが、このいたいけな美小姐の必死の労働にほだされ、採用とした次第です。

ゴーストが発生し、全体的にも極僅かですがコントラスト低下は起こっていますが、それでも、午後の傾きかけた陽光に照らされた小姐のしなやかなポニーテールの髪の一本、一本の煌きがとても美しく、心惹かれたカットになったと思います。

続いて四枚目。

メインストリートの西の突き当たりまで着くと、南北に走る大きな街道と交わります。

そこをまず南方向に歩いていたら、これもまた若い頃の平山あやに良く似た小麦色のきめ細かな肌が魅力的な小姐がリーダー格と思しき三人組が歓談しながら、楽しげにゆらり、ゆらり歩いているのが目に留まりました。

そこで、いつもの通り出演交渉、三人並んで撮らしてよ、というと、真ん中の小姐はさすが容姿には相当自信有ると見え、イイ~っすよとふたつ返事で立ってくれたのですが、あとの2人はなかなか集まってくれず、何だらかんだらおだてすかして、集まってもらい、シャッター切ったのがこのカット。

が、しかし・・・やっぱゴメンなさいでした。意図したワケではないのに、やっぱりリーダー格の目立つ小姐にのみ陽が射し、スポットライト状態になって、残りお二方は「日陰の花」になってしまったのでした。

まだまだの五枚目。

小姐達に元気良くお礼と惜別の言葉を述べ、その場を後にしました。

そして街道を次なる被写体を求めて徘徊していたら、居ました、居ました、渋いカンジのお爺さまが孫が相当可愛いらしく、顔をくしゃくしゃにして頬擦りなんかしたりしています。

そこで「あんのぉ、お二方一緒のとこ、一枚撮らしちゃくれませんですかね?」とか声を掛けてみると「おれ、高いぞぉ」とか茶目っ気たっぷりに答え、こんなカンジでポーズをつけてくれました。

上がったカットは空が盛大に入り込んでいたため、ドアンダーでしたが、画像処理ソフトで明度とガンマをちょこちょこっと直し、何とか見られるようにしたのがこのカットなのです。

実は、今日はお昼過ぎから外出しようとしていたのですが、家で洗濯ものを乾燥機に叩き込んでいる最中に携帯が鳴り、ディスプレイには見慣れぬ携帯からの着信であることが示され、誰かと思い取ってみれば、このお爺さんがお孫さん可愛さにメールもインターネットもやっていないが、孫との写真が欲しかったので、送ってくれないか?という旨をお渡しした名刺を頼りにわざわざ電話してきて戴いたのでした。嬉しくて、ふたつ返事でお送りする旨約束した次第です。

更に六枚目。

夕暮まで南北の街道を何度も往復して写真を撮りまくっていたのですが、日没のちょっと前、外人さん一行が観光しているのが目に留まり、こりゃ、歴史的な街並みに海外からのお客さんてのは、「震災復興支援」って観点カラも良いネタだわぃ、と1人ごちて、案内役っぽい雰囲気の中央向かって右よりの黒髪ショートの美小姐に「Excuse
me, May I ask you a Favor? I would like to take a photograph of your company.」とか早口で声掛けてみれば、「あ、私、日本語、完全に判ります、写真撮ってくれるんですか?」と聞き返されたので、あこりゃ失礼しました、ぢゃ、撮りますから、お友達は集まってね♪とかソフトに云ってみれば、おそらく関係ない、野次馬の若者まで十重二十重に集まり、入ってくるのがいれば、小生の横で勝手に撮るヤツもいるわで、写真を通じての束の間の国際交流の場となったのでした。

ここでは主役の海外からの若人の遥か後方にやんわりとボケた古風な建築物が控えめに歴史的な街での華やかな撮影であることを主張しています。

まだまだの七枚目。

南北の街道を何往復かしているうちに陽が沈む時刻となってきました。

ここ石岡の街は地名に岡が付くだけあって、街の西側が緩い傾斜となっているようで、見通しの開けた長い通り越しに沈む夕陽が見られるスポットが何箇所か有るようでした。

それを事前に調べよう筈もなく、たまたま歩いているうちに、大通りに交差する小径越しに夕陽が長い影を作っているのが目に留まり、何とか太陽本体を遮蔽して影だけ撮れないかとファインダを覗きながら左右に歩いたり、しゃがんだり、三歩進んで二歩下がるみたいなことを繰り返した結果、探り出したベストポジションでの必殺カットです。

ここでは、目の前10m弱の地点のマンホール付近での置きピンですが、影の輪郭といい、石畳状の舗装材のテクスチャといい、極めてシャープでクリアな画を描いており、T2ソナーのまさに真骨頂ではないかと思いました。

まさに10年近く前に御宿の夕暮にモノにした浜辺のカットを彷彿とさせてくれました。

最後の八枚目。

その夕焼けを撮った小径と大通りの曲がり角辺りで如何にも大家族という雰囲気の一家が楽しそうにお祭りの思ひ出などを語らい合いながら、子供達は子供達で大人の話に聞き入るでなく、適当に飽きたら、子供達同志で遊んでいます。

そんな中、お姐ちゃんがまだ小さい従弟を持ち上げてあやしているところが目に留まり、ダッシュで近寄り、近くの大人に「これ最高、抱っこしているとこ、一枚撮らして下さい!」と声掛け、返事が有るかないかの際どい瞬間に戴いたのがこのカット。

夕陽に照らされた柔和な表情の幼い少女の表情、そしてその後方で羨ましそうに見上げる幼子。個人的には谷内六朗画伯の画をトリビュートしたカットになったのではないかと思います。

今回、このカットが撮れただけでも、初めて出掛けてきた価値が有ったとさえ思いました。

さて、来週は、石岡のお祭り後編、X-Pro1の実戦初の作例も登場致します。乞うご期待。

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2012/09/18(火) 00:27:08|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

M8で撮影したからでしょうか。

同じT2抜き出しレンズなのに、色合いが微妙に異なるのですよね。
1枚目はこのまま某所のふるさとフォトコンテストに出しても良さそうですけどね。
地方の祭りの特色を捉えてますし、キレイどころで固めてますし。あとはこの飛扇会という踊り連が地域でも有名な団体であればグッドかなあと。

でも、個人的には7枚目の方が好み。
CCDが焼け付こうが、目が痛くなろうが、こういう夕暮れ時の写真はノスタルジーに誘われるのですよね。

さて、次回以降のX-Pro1がどういう色合いになるか楽しみですね。R-D1ともM8とも違う富士フィルム独自の味付けがレンズとどう相乗効果を出すか、期待してます。

それはそうとこの年末もまた新製品ラッシュですよ。
ニコンとキヤノンの廉価フルサイズ機種対決の行く末も面白そうですし、ミラーレス界隈が今後どう動くかも面白そうです。
まだまだ開発力あるのですね、大手は。ここに富士フィルムがどう食い込むかも楽しみであります。
  1. 2012/09/18(火) 20:35:51 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

RE:M8で撮影したからでしょうか。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

確かにM8は最高速に余裕有るだけあって、いつもアンダー目に写る傾向が有るので、コントラストと彩度が相対的に高く見えるのかも知れません。

ただ、それ以上にそもそも赤外光方向に感度のピークがずれているシリコンフォトダイオード系撮像素子でもM8のコダック製のものは、青側の感度をブーストするため、インジウム燐系の鼻薬をドープしているみたいなので、コーティングとのマッチングの関係でこういう華やかな発色になるのかも知れませんね。

このお姐ちゃんたち、地元では有名なのかなぁ・・・何せ初めて出かけた祭りで完全にアウェイでの試合みたいなもんでしたからねぇ・・・

夕陽はまさに粘り勝ちってとこかも知れません。

しかし、某電気の故郷コンテストに出す作品はやはりホーム同様の佐原から選ぶこととします。

そりゃそうと、今回のフォトキナはX-Pro1の廉価版は出るし、ライカはM-Eとかいう小憎い機種を出すし、ライブヴュー付きのデジタルMとかいうのも出すとか云うし、もしかしたらシグマもDPのレンズ交換式のプロトくらいは発表するかも知れないし、結構、明日の夕方が楽しみですね♪

  1. 2012/09/19(水) 00:44:16 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

石岡への撮影とはご苦労様でした。

(・・・貴殿の撮影翌日でしょうか、連休最後の日に写真展会場へ来場、後かたずけまでキッチリとは、ボサッとしたわたしの連休ボケを他所に、その活力にただ驚くだけでした・・・i-201。)



今回もT*38mmf2,8でしたが、わたしも今回は全く違う色に驚きました。それと、38mmf2,8の開放がこれほど深度が浅いとは、改めて写真に見入ってしまいました。

2枚目は比較的人物が点景だったので周りから浮き出している様子ですが、遠景シルエットを除いたら、どのカットもピントがシビアなのですね。

わたしもT2を手放した方ですが、たぶんこの深度のシビアさで手放したかもしれません。
だからって、更に広角になったといってもT3には全く興味がなかったので、前回の写真も含め、このレンズは意外と使い方が難しかったのだと結論するしかありません。

電池を使わない機械式のカメラだったら、再び手元に置いていたい気持ちはありますが・・・。

最新のデジカメへの言及がありましたが。
今では駅前の中規模電気屋さんにもデモ機が置いてあり、ミラーレスさえ非常に身近になり、馴染みを持つためにもこのVTR監視社会にあっては非常に結構な事だと思います。あとはカメラ屋さんでしか売っていない高級カメラがもう少し商品寿命の長い製品であってほしいものです。
そして、オモシロく先進的なレンズでもついたコンパクトデジカメでもあれば、更に良いのですが。





  1. 2012/09/19(水) 01:35:05 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

確かにこのレンズ、若干天邪鬼なところがあって、手持ちのMマウント系デジでは一番派手な発色を期待されるX-Pro1のVelviaモードでも、オレンジやら蛍光黄緑の発色はそれほどでもなく、寧ろ、一般的には彩度低めで締まった発色で線の細い描写傾向のM8でご覧の通りなのです。

そして、被写界深度の浅さというか、ピントのシビアさはまさにこのレンズの特徴の最たるもので、感覚的には50mmf1.4と同等くらいのカンジです。

機械式のカメラだったら再び手許に置いておきたい・・・そうなると答えはひとつです。

それはヂャンクもしくは機能に異常有るか、或いは外装にキズ等で廉価な中古を買い、Mマウント化手術を受けさせることです。

今回の外観活かした高精度、高耐久性の改造ノウハウは弟子の竜宮オプチカルサービスにあますところなく伝えるつもりなので、ご希望とあらば、一生添い遂げられるツアィスの銘玉に生まれ変わらせることも可能なのです。

それから、フォトキナ、結構、どっかーん!といきましたね。やはりライカはMのニ桁は避けて来て、ナンバー無しの"M"をぶつけてきました。

値段もM9横滑りでRレンズ対応も万全に為されているとは、とても魅力的に思えました。

また廉価版のM-Eもとてもチャレンジングで、フルサイズMを手の届く価格で、という志の高さには共感出来るものがあります。

一方、日本勢は、う~ん、マーケッティング上のロードマップの為す業なのか、あまりにも小出しで、想定範囲内なので面白みに欠ける嫌いがあります。

そんな中で唯一注目したのがNEX-7のパッケージングに評判良いNEX-5Nの撮像素子を組み合わせたNEX-6は実際の購入選択枝としても魅力的に思えた次第です。

しかし、それにしても電子事務機器化して久しい昨今、カメラの(商品としての)寿命は短くなってしまいましたね。
  1. 2012/09/20(木) 23:18:42 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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