深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An amazing half-breed in optics~M-Rokkor40mmf2~

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【撮影データ】カメラ:Fuji X-Pro-1 絞り優先AE ISO Auto、ロケ地:深大寺 全コマ開放
さて、9月も最終日となってしまい、超大型台風は来るわ、明日からクビになったのではないのに会社は変わるわで、結構大変な晩ではありますが、今宵のご紹介は、結構、今では珍品の部類に入ると思われるCLE用のWヘリコイド仕様のM-Rokor40mmf4のご紹介行きます。

このレンズは1981年に先にエルンストライツ社との共同開発で生まれたCLの後継機、CLE用レンズとして、CL用のレンズがかなり大きな傾斜角を持つ傾斜カムだったのを機種、ないし個体ごとの微妙な距離計連動コロの大きさ、マウント内での円周上の位置の違い等々で距離に狂いが出る可能性が有ったため、そういった問題を防ぐため、Wヘリコイドを使った平行カムに設計変更したモデルと言われています。

ただ、光学系は、オーソドックスなプラナータイプの4群6枚構成のCL用をそのまま踏襲したとも、硝材、コーティングを変更したとも云われており、実のところ、数もあまり出ないマイナー機種だったため、判っていないことが多いようです。

では、早速、実写例行ってみましょう。今週土曜日は比較的イイ天気だったので、新そば賞味も兼ね、午後からX-Pro1持って深大寺に出かけて行って撮って来た新作撮りおろしです。

まず一枚目。

御塔坂下のバス停で降り、まずは腹ごしらえのため、「湧水」さんへと足を急がせました。

しかし、急ぎ足とは云え、カメラを持つと人格が変わるとの下馬評もこれ有り、常に周囲の様子を物色しながらの高速移動であることは疑う余地もありません。

ちょうど、別のお店の前を通り過ぎようとしていた時「みゃぁーぉ」とか鳴き声がして、顔を向けたら、ネコが閑そうなお店の前にちょこんと座り、こっちを向いています。

ごめんね、ネコちゃん、おっさんはもうメシ喰う店決めてんだよ・・・とか呟きながら、でも一枚いっただきま~す、とか何故かネコに言い訳なんかしつつ、摺り足で近寄り、EVFのクロップ拡大モードを利用して撮ったのがこのカット。

さすが解像感が売り物のX-Pro-1、ネコの良い毛並みも周囲の石段も素晴らしい質感で描写しています。

また、背後のボケも蕩けるが如し、で文句の付けようがない、午後のたゆたうような時の流れを切り取ったかの如きカットではないでしょうか。

そして二枚目。

健気にも営業中?のネコちゃんにタダ出演の侘びを述べつつ、その場を後にします。

大急ぎで「湧水」さんで盛りそばの大盛と名代そば豆腐なんかを戴き、まず一番はじめの撮影スポットである、深大寺城跡へ向かいました。

ここは、いつも、だいたい陽が傾きかけた時刻が撮り易く、深大寺で撮る時は、時間と太陽の位置を見計らってここに登って来ます。

今回、惜しかったのは、とても珍しい、可憐なそばの白い花がそば畑一面に咲いていたのですが、機材がRF用の1m弱しか寄れないレンズだったため、このX-Pro1のM-Rokkor40mmf2で撮った画も伴走機であるR-D1sとニッケルショートエルマー50mmf3.5で撮った画もあまり作画的には面白みの有るモノが撮れず、ボツにせざるを得なかったのことです。

で、ここでは、秋の風物詩と化している「メガ昭和枯れすすき」こと「バンパグラス」が午後の陽光を浴び、伸びやかに屹立する姿を撮ってみました。

このカット、一見すると何の変哲もない、空を背景にしたすすきの写真みたいですが、さにあらず、背景の空はまだかなり明るく、今回も殆ど逆光に近い条件下での撮影だったのです。

しかし、空は飛ばず、ギリギリのところで踏ん張り、反対にすすきは暗部までかなり緻密に描写しているのが、このX-Pro1の凄いところなのではないでしょうか。

それから三枚め。

当日は、城跡の芝生で若い青少年男女がヤンヤヤンヤとフットサルもどきの激しい球技みたいなことをやっていたので、隅で細々と撮らねばなりませんでした。

しかし、いつも撮るパターンは決まっているので、一番手前の柱跡石から遠方に伸びるラインで一枚撮ってみます。

ピンは一番手前の柱跡石の手前のエッジに合わせています。

磨き上げられた天井面はまだ明るい空を写し、テクスチャは完全に飛んでしまってますが、それでも合焦面と同一距離にある周囲の芝生は、やはり驚くべきシャープな結像を見せています。

背景の石、芝生も品位の無いぐるぐる模様が殆ど認められず、なかなか宜しいボケになったのではないでしょうか。

続いて四枚目。

16時を過ぎると深大寺城跡、そして水生植物園は入場を締め切ってしまい、16時半には完全閉門となってしまいます。

それ以上に茶店街の小姐達は夕方になると、人の出が少なくなるのを見計らって、軒先の営業用の小道具なんかを片付け始め、閉店モードに気持ちが切り替わってしまいますから、灯火が点り、まだ人の往来が残っている頃合を見計らって、撮影に入らねばなりません。

お目当てのお店は「八起」さんというだるまさんから名前を取ったような、蕎麦と茶菓子などを売り物にしているお店で、いつも美形の小姐各位を店頭配置し、蒸篭で蒸した蕎麦まんじゅうやら、団子類を対面販売しています。

しかしその前にお店の小さな庭園の通路際に見事な蹲が在って、これがいつもながら人工光と自然光のミックスがなかなか宜しかったので一枚撮りました。

ピンは一点狙い、蹲の手前の角、水が滴り落ちる口を狙いEVFのクロップ拡大モードで精密射撃です。

まさに実際に眼で見ているような臨場感ではないでしょうか。

ただ、この最短撮影距離域では、このレンズ、かなり被写界深度が浅く、合焦点から5cmも前後にずれると、もうボケの域に入ってしまっています。

まだまだの五枚目。

カメラの背面モニターで見ても、はっとするようなピンのキレだったのに気を良くして、いよいよ、美小姐が店頭を華やかに飾る現場に向かいました。

ここで、「お姐さん、饅頭一個頂戴、差し出すとこ一枚撮らして貰いたいんで・・・」といつもとは変わったスタイルの出演交渉を行い、隣の小姐もそこはかとなく、撮影のオファーに心揺れている感無きにしも有らずだったので、ご担当の串だんごの代金収受、商品引渡しを終えてから、2人揃ったら撮ろうね☆とか云ってたら、ファインダ覗くか覗かないうちにピース!とかしてアハハとか居直ってしまうので、やーだ、まだ撮れてないよ、とか云い、それでも慌てて、EVFの精密射撃をせず撮ったら、ほーら、この通り、被写界深度浅いんで、ごく僅かにお1人様がボケてしまいました、ゴメンなさい。

また今度別のレンズとカメラ持って11月にでも行ったら撮り直して、写真送って上げますから、カンベンして下さいね。

いけいけの六枚目。

小姐2名に名刺なんかお渡しし撮影協力の御礼とまんじゅういっただきま~す、とか延べ、大ぶりお蕎麦饅頭を口に頬張り、茶店街を西方面へと向かいます。

すると、ありましたありました・・・またまた面白いオブジェが。

「八起」さんの隣は楽焼なんかを観光客相手にやっている「深大寺窯」というお店で、その軒先に藍染磁器製の風鈴があまたぶら下がり、夕暮のベタ凪にも微かな音を立てていました。

そこで、被写界深度と前後のボケを見るため、1.5m程度の距離から、この「全部音色がちがいます」と褐色の木の板にピンクの文字で書かれた札にピンを合わせて一枚撮ってみました。

やはり予想通り、札のすぐ手前の風鈴までは描かれたブルー&ホワイトの模様が明確に認められますが、それ以外は前後ともボケと化し、意匠はただのおぼろげな文様としてしか認識出来なくなってしまいました。

最後の七枚目。

茶店街での撮影をいったん切り上げ、境内へと被写体を探しに登ります。

すると、居ました、居ました、色とりどりの錦鯉が遊弋する池の周囲で小児連れで楽しそうに観光している一団が・・・しかもどうやら中国からのお客さんのようです。

はじめは親御さんの様子を見ながら、ピンクのベイビー服に身を包んだ、おてんば極小姐の遊んだりしている様子を遠慮しぃしぃ撮っていたのですが、彼らが引き上げる素振りを見せたので、お婆ちゃんに軽く会釈し、笑顔で「サンキュー」とか云ってみたら、相手は、母親、父親、そして当のお婆ちゃんと三人して「サンキュー」とか云ってきて、とてもカンジ良かったので、ここぞとばかりに可愛いベイビーだっこして三人で撮りましょうよ♪とか声掛けたら、相当嬉しかったらしく、すぐに集まり、ポーズ付けてくれたのがこのカット。

お三方の表情がとても良いのは云うまでもないのですが、驚くべきはその背景。

向かって左側は夕暮の木陰ですから、完全なシャドウの筈なのに、なんと、低い潅木の葉が薄っすらと識別出来るのです。

このベィビィの白いズボン、そしてピンクとホワイトのシャツの白部分は明らかにハイライトで飛ぶ寸前まで粘っていますが、この構図、露出条件でここまでダイナミックレンジが広い、X-Pro1の輝度分布対応性には改めて驚きました。

さて、来週は、佐原の前哨戦、北関東(南東北?)某所のお祭りにでも潜入し、また、今日の昼間にミラーレス用に開発した面白いレンズでもテストして来ようと思います。

乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2012/09/30(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

さすがに、声掛け撮影でも不自然な感じがしないのは、そうとうこなれてきたようですね。

むかし、懲りずに二度目にライカCLを購入した時に40mmが付いていましたが、ヤッパリ手放してしまいましたが、慣れないと難しい焦点距離だと思いました。

APS-C辺りだと、一本だけなら40mmもよさそうですね。

フイルム時代とちがった色傾向な感がありますが、ライカレンズ風のカタイ感じが、モノクロフイルム(今更ですが…)によさそうな感じがしました。
  1. 2012/10/07(日) 18:12:32 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

まぁ、声掛け撮影はもう通算で100名や150名ぢゃきかない数やってますから、単に断られないというだけでなく、相手に撮影者の意図も判って貰えるようにはなって来てます。

今回の鹿沼など、その際たる例かも知れませんね。

時に40mmって、頻繁に使われる50mmと35mmのまさに狭間でどっちつかずの中途半端なカンジしますし、ライカM方ではブライトフレームもないですから、カンで撮るか、わざわざ外付けのサードパーティ製ファインダを付けるしかなさそうです。

ただ、対角線43mmの135判を基準とすればまさに文字通りの標準レンズであり、50mmだと被写体との距離や構図によって、意図しない圧縮効果が出て望遠っぽく写ってしまったり、反対に35mmだと、妙に間延びして周囲が空き過ぎで緊張感無い画になってしまうことも有って、馴れてさえしまえば、オールラウンドでこんなナチュラルな描写の玉は使い易いのではないかと思います。

う~ん、モノクロはスナップの臨場感って観点からは問題外なので、近所ならいざ知らず、遠出してまで撮りたいとは思ったことはありません。
  1. 2012/10/08(月) 19:58:58 |
  2. URL |
  3. charley944 #-
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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