深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

新たなる楽天地発見~鹿沼祭り(前編)~

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【撮影データ】カメラ:Fuji X-Pro1 絞り優先AE ISO Auto、レンズ:不二技研製Cine-Prominar50mmf2改L39(距離計非連動)、全コマ開放
さて、今宵のご紹介は秋のお祭りシリーズ第二段、鹿沼まつり初見参のレポート第一回です。

今回のミッションは、翌週に控えた佐原祭りでの祭り撮影のカンを取り戻すというヲーミングアップのほか、不二技研様からご依頼のレンズの試写及び、レポートという目的も有りました。

今までは当工房にはミラーレスが装備されていなかったので、試写出来るレンズは距離計連動のL、M、SそしてCXマウントだけに限られていたのですが、秋口に導入したX-Pro1のおかげで、世界中の殆どのレンズを利用出来る様になったので、それでは、ということで実写例作成とレポートをお受けしたという次第です。

歴史やら光学系やら詳しい説明はオーナー様のブログに譲るとして、小生が聞いている範囲では、コルゲンで名高い興和が米国の映画産業用として、ミッチェルやアリ用としてレンズブロックのみ供給した個体であり、基本的な光学系構成はR&TH社のスピードパンクロを手本としたとのことです。となると、時代にもよりますが、50mmf2であれば、5群7枚のいわゆるズマリットタイプではないかと思われます。

ところで、ここ鹿沼はJRでは宇都宮駅から日光線で2駅、古い町並みと自然が息づく素晴らしい街です。
この鹿沼祭りは何と400年の歴史を持つ、由緒正しい祭りで、確かに山車と神輿の違いはありますが、金棒曳きの流儀やら、祭り衣装、そして江戸系のお囃子など、深川八幡祭、神田祭、そして佐原祭、川越祭、栃木祭、石岡祭などとのDNAの濃さを感じさせてくれます。

では、速実写例行ってみましょう。

まず一枚目。

土曜日の10時過ぎに深川を出たのですが、JR東北本線が東大宮~蓮田間で人身事故、大宮で足止めをくらい、その後1時間以上して動き出しはしたのですが、ダイヤが大幅な遅れで頼りにはなりません。

そこで、東武線に乗換え、動物公園経由、鈍行列車で鹿沼駅に着いたのは16時前、陽の沈みの早い当節、秋の傾きかけた陽光が迎えてくれました。

艱難辛苦の挙句やっと着いたこともあり、ほとほと疲れ果てていたし、お泊り用荷物も肩に掛けていたので、そのまま市内を突っ切り、JR駅まで歩いて、宇都宮の宿に一刻も早くチェックインしてそのままベッドに倒れ込みたいキブンではあったのですが、一応、と思い、Cine-Prominarを装着したX-Pro1を首から提げ、駅から市内に歩いて行こうとしたら、駅前の祭り案内所の方々に声を掛けられ、今の時間もなかなかイイ画が撮れますよ、まだ有名ぢゃないこのお祭りをどんどん撮って宣伝して下さい!とか励まされちゃったので、気合い入れなおし、よっしゃ日暮れまで・・・

ということで初日はお預かりしたレンズのテストを行うことにし、手始めにメインストリートで美味しそうにラムネをラッパ呑みする小々姐を発見、ダッシュで接近し、傍らの親御さんに「ワイルドだぜぇ!ですね、一枚撮らしてね♪」とか声掛け、お婆さまがほらもっと横向かないと写真撮れないだろ、とか、はぃその角度で止めて、とか演技指導までして戴いたので、そのまま甘えて撮らせてもらったカットがこれです。

さすがシネレンズ、カリカリにはならず、精緻に愛くるしい小々姐の表情、肌の色、活き活きした黒髪、全て余すことなく捉えています。

またAPS-Cの撮像素子ではありますが、ここでは四隅に流れ、崩れ等の異常は認められず、均質性も申し分ありません。

ただ、その解像力のお釣りか、背景は2線ボケ気味です。

そして二枚目。

小々姐ご本人、お母さま、お婆さまに心より御礼を述べ、その場を後にしました。

すると、またまた宜しいシチュエーションが・・・

そうお揃いの祭り衣装に身を包み、小さい妹さんの手を引いたリンリンランラン留園みたいな小々姐がこちらに歩いてくるではありませんか。

そこで、早速歩み寄り、出演交渉。え~うれしい!とか云われ、こちらも途惑いながらも、しっかりと背景に制服の女子高生が通るタイミングを狙ってシャッター切りました。

ここでも、推せば弾き返すが如き小々姐の若々しい肌の様子や健康のシンボルとも云えそうなハリのある黒髪、全て余すところなくシャープにクリアに描き切ってはいますが、このローパスレスのX-Pro1であってさえもカリカリとした描写にはなっていません。

ただ、ここでも背景はグルグルこそは出ませんが、シャープさのお釣りか、かなりの2線ボケ傾向が認められ、ざわざわとした感が有ります。

それから三枚目。

フレンドリーで素直そうなリンリンランラン小々姐に心より撮影協力の御礼を述べ、再び、メインストリートを進みます。

すると、居ました、居ました、ママとママ友、そして娘の極小姐が旨そうにアイスなんか食べてるぢゃないですか。

そこで駆け寄って、「すいません、東京から今朝出てきた、若干カリスマブロガー的アマチュアカメラマンです!」とかみょうちくりんな自己紹介すると、さすがに笑わざるを得なかったのか、一気に打ち解け、早い話、三人で旨そうに食べてるとこ撮らして!とか頼んだところ、それぢゃ☆ってことで一世一代の演技をやっちゃってくれたのがこのカット。

ここでも、Cne-prominar50mmf2はひたすらシャープでクリアです、しかも優しい描写です、あたかも市井の名も無き人々の日々の暮らしに寄り添って見守り続けるが如く。

でもバックはやっぱり暴れこそはしないものの、ざわざわとするのですね。

続いて四枚目。

お三方に熱演の御礼を述べ、今後も幸多かれ、と心の中でエールなんか送って、その場を後にしました。

すると、見ぃたぞ!金棒曳きの小々姐軍団が徒党組んで買い食いなんかしてるぢゃないですか!?

江戸時代の深川やら神田だったら、金棒曳きに選ばれるくらいのお嬢がそんなことをしたら、勘当もの、お付の女中も間違いなくヒマ出されていたでしょう。

でも、平成の御世になり、現代っ子は気儘なもんです。

そこでこちらも気軽に声掛けたら、おいおぃ集まるわ、集まるわで、当初のターゲットの倍近く人員が膨らみ、50mmの玉で撮るにははみ出し放題につき、かなりバックしての一枚です。

ここではシャープさやクリアさもさることながら、発色の艶やかさに目を奪われました。

これが解像度最優先のマルチコートタイプのシネクセノンならもっと醒めた、若干寒色系に転んだ発色でしょうし、スピードパンクロならもっと重めの締まった発色になるところですが、この陽気な発色は米国のモノコートタイプのBaltar50mm辺りに近いカンジがします。

しかし、このくらいの距離でも合焦した被写体が浮き立って、このカットも簡易3Dみたいに感じるのは小生だけでしょうか。

更なる五枚目。

小々姐軍団に心より御礼を述べ、メインストリートを更に奥へと進みます。

すると、居ました、居ました、橋が転んでも笑い転げるお年頃の小姐3名組がご多聞にもれず、ケラケラと往来のど真ん中で陽気に笑い、はしゃいでいます。

その波の途切れる頃合を見計らって、撮影のオファー、三名並んで、ささ、早くとか適当にこっちのペースに巻き込んぢゃって、勢揃いさせといて、はぃ、3、2.1、0、ハィ有難うござぃましたぁ!と一丁上がりです。

一応、拙ブログの名刺はお渡ししておきましたから、もしご覧になってて、このカット記念に送って!ってことでしたら、メールでも貰えればデータ送りますよ♪

ここでは、小姐達のライトブラウンの巻き髪に斜め後ろから夕陽が差し込んで光り、とても美しく描かれたのではないでしょうか。

至近距離に近い撮影ですが、四隅の流れ、崩れを全くと云って良いほど認められず、画面の均質性は申し分ありません。

なお、このカットでは背景を選んだワケではないですが、2線ボケはそれほど気にならないようです。

まだまだの六枚目。

ノリの良い小姐三人組にお礼と別れを告げ、その場を後にし、またしてもメインストリートで日没前の追い込みとばかりモデルさんを追い求めました。

すると、お祭り広場みたいなとこのすぐ傍で、かき氷なんか美味しそうに賞味している小々姐2人組を見かけました。

そこで早速出演交渉、美味しそうですな、食べてるとこ一枚撮らしてよ♪とか軽いノリで頼んでみたところ、二つ返事でOK、2人してカメラをガン見です。

ただ、ここで残念だったのが、このカメラの特性か、近距離になると、フィルム以上に被写界深度が浅くなってしまい、1m内外の撮影でも立ち位置が10cmほど後ろになっただけで、愛くるしい小々姐はボケと化してしまいます。

背景はもちろん、ここでもざわざわとした芯の残ったものとなってしまっています。

最後の七枚目。

お二方にお食事の邪魔をした非礼を詫びつつ、撮影の協力御礼を述べ、明日も会ったら宜しくネ♪とか厚かましいことを述べその場は別れました。

今回のお祭りの祭神たる今宮神社へと向かうと、17時の山車の出陣を前に勢揃いしていました。

20を越す山車が境内狭しと並んで灯火を点しお囃子を奏でる様は圧巻です。

そんな雰囲気に気圧されまいと、気合いを入れ直し、本殿に参拝してから撮影に入りました。

すると、早速のご利益か、今回の山車練り歩き先陣の銀座一丁目の山車の前に床几を出し、金棒曳きの極小姐達が休憩を取っていました。

そこで、はぃご免なさいよ、とか人を掻き分け、金棒極小姐隊の前に躍り出て、ハィ撮りますからね、こっち見ててね、レンズから白いハトみたいなのはたぶん出ないと思うけど、とかつまらない冗談を云ったら、このをぢさん、何を云っているのやら、とかつぶらな瞳で見返されちゃったので、すかさずシャッター切ったのがこのカット。

このカットももちろん、申し分なくシャープでクリアに余すところなくいたいけな極小姐の見たままを捉えていますが、一点、その手のヌンチャクならぬ拍子木にご注目。

別に彼女が(元)卓球少女、福原某みたいにスナップ効かせて超高速で両手を動かしているからではなく、普通の速度で拍子木を打ち始めたというのに、この時刻、相当暗くなりかけているので、被写体ブレを生じているのです。

また、距離のせいでしょうか、背景の曳き縄はイイ案配、ゾナーのそれみたいに蕩けるようなマイルドなボケを見せてくれました。

さて、来週は二日目のお昼前からのスタートです。当工房製のミラーレス用レンズ新製品の試写も有ります。

乞うご期待。

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2012/10/08(月) 01:27:25|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

うーんやはり

うーんやはり依頼してよかった。
私には撮れない状態で見事な表現です、
レンズ特性が程よく出てカエルレンズ性能が見事ですよ、
やはりRの発色はよさそうですね?この発色はバルターに近いものを感じますが?

ご苦労様です

  1. 2012/10/08(月) 16:24:12 |
  2. URL |
  3. hiro #xPR/ZykM
  4. [ 編集]

Re:う~んやはり

hiroさん
有難うございます。

とても貴重な玉、しかも手作りのまさに"掌中の玉"にも喩えられるべきものを、信頼してお預け戴き有難うございました。

そして、拙実写例を気に入って戴けたのであれば、尚更嬉しく思います。

他のレンズやらボディでこのブログに上げる時は、意図的に極僅かに画像処理ソフトでRとYを上げることも有りますが、今回は正真正銘撮って出し、リサイズくらいしかやっていません。

拙作のBaltar50mmf2.3改L39での実写は来週載せますが、まさに兄弟レンズという趣きだったのではないかというのが、テスターとしての総括的な感想です。
  1. 2012/10/08(月) 20:06:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

1、2枚目がずいぶんと鮮やかなので、最初は何のレンズかわかりませんでした。
内容を読むとシネ・プロミナーと書いてあったので、後半くらいの多少色褪せた気がするの位に名残りがありそうですが、とても驚きました。

50mmf2の開放といっても、意外とみかけのピント深度があるものだと、しっかりとした人物描写があるのを拝見して感心いたしました。



  1. 2012/10/11(木) 01:12:24 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

X-Pro1の素性も良いのでしょうか。

色が素直に出ているし、ボケもうるさくないし、良い感じじゃないですか。
しかも3枚目とか4枚目は例のコンテストに出してもいいとこ行けるんじゃないですかね。

自分も川越小江戸を撮りはじめたのでその内載せますわ。
  1. 2012/10/13(土) 16:55:34 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #liuN1Pm2
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。日曜日はおつかれさまでした。

このレンズ、X-Pro1よりもI大先生のGX-Rのセンサーの方が更に相性が良かったらしく、EVFを通して覗いた像では、例のロシアンモンスターよりもまだシャープだったそうです。ただ、コントラストは抑え目、そして発色も欧米のレンズほどは原色をブーストしないので、やや色褪せた地味な結像との印象を持たれたのかも知れません。

出来れば、距離計連動化してM8やR-D1sでも試してみたいところです。
  1. 2012/10/16(火) 23:00:00 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:X-Pro1の素性も良いのでしょうか。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

このレンズ、X-Pro1でもイイ線行ってますが、GX-RのMマウントユニットで徹底的に試してみたい、とのことで、佐原にてオーナーからI大先生のもとへ引き渡されました。

果たしてどんな活躍をして名を挙げることやら・・・

川越シリーズ楽しみにしてます♪
  1. 2012/10/16(火) 23:02:48 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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