深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A great treasure hidden without fame~Canon FD24mmf2.8 SSC~

canon_FD24mm.jpg
さて今回のご紹介は予告通り、工房附設秘宝館からで、Canon FD24mmf2.8 S.S.C.となります。
このレンズは1978年登場で、F-1を頂点とするキャノンの一眼レフ軍団の主力兵器、赤鉢巻の"L"シリーズを補完する高性能レンズ群S.S.C.シリーズのうち、広角サイドの要、21mmと28mmというレギュラー画角の間を埋める重要なポジションを担っての登場でした。構成は8群9枚でマルチコートの緑も美しい重厚なレンズです。

が、しかし・・・現在の中古市場では、その評価たるや惨憺たるもので、今回のこの個体も外観には殆ど手擦れもなく、エレメントも傷はおろか、カビ、クモリ等も認められない、かなりの上玉ながら、1万円前後で取引されているのです。

何故かと云えば、この銀色の鏡胴根元のリング、そうスピゴットマウントで、機構上、ロックが無かったので、使用上の緩みを嫌ったプロからは敬遠され、程なく登場したロック付きのN-FDマウントレンズですら、完全電子化の錦の御旗のもとにEFマウントの登場と共に見捨てられ、デジタル化の潮流から完全に置き去りにされた以上、この老兵になど目を向けよう好事家など居よう筈もなかったのでしょう。

それでも、時代はこの至極真面目なものづくりの結晶とも言えそうな銘玉に再びチャンスを与えました。そう、ミラーレスカメラの勃興です。この画期的な仕組みはショートフランジバックとマウントアダプタの組み合わせで、ライブビューにより、如何なるレンズをも撮影可能にしたのです。

工房でも昨年のX-Pro1導入を契機に距離計連動機構の呪縛から開放され、面白そうなレンズで手頃なものは極力買うようにしていたので、今回のテストと相成った次第です。

では、早速その往年の銘玉の実力を見て参りましょう。

今回は、業平橋からスタートし、大横川親水公園、錦糸町、亀戸経由、ソラマチ、浅草という豪華お登りさんツアーです。カメラは全てX-Pro1によるISO Autoの開放撮影です。

FD24mm_01.jpg
一枚目のカットは木場から乗ったスカイツリー駅行きの都バスの終点で降り、まずは水面の写るスカイツリーを撮りたい!との一心でめくらめっぽう、歩こうとまずは目の前の大横川親水公園に下り、そこでミニお花畑みたいなのが有って、犬を連れた妙齢のご夫人の方をおっかなびっくり見ている近所のいたいけな極小姐達の様子が面白かったので、一枚撮らせて貰ったカットです。しかし、まだ実質一枚目なので、24mmという画角に馴れていないため
少し寄りが足らず、インパクトの薄いカットになってしまいました。
さすがに開放では四隅が少々甘いカンジもなきにもあらずではありますが、中央部の解像力とコントラストの高さはさすがです

FD24mm_02.jpg
二枚目は同じく大横川親水公園を南方向に見当付けて歩いていたら、偶然、浅いクリークの水面にスカイツリーが映り込んでいるお姿を発見、ここぞとばかり喜び勇んでシャッター切ったものです。
ここでも、線の細いすっきりした描写とコントラストの高さ、そして艶やかな発色には目を奪われてしまいます。

FD24mm_03.jpg
三枚目は、大横川親水公園から横十間川まで歩いて移動し、そこで本式に川面に映るスカイツリーとご本尊様を一緒に撮ろうと企んだものです。
が・・・無情にも、APS-Cの画角乗数1.5倍が災いし、川に掛かる橋と橋との間隔の制約でタワーの上部が両方入る位置が取れず、こういう水面の方が少々頭切れになるアングルでしか撮れなかったのです・・・ああ、残念。

それでも、正面に鎮座ましますタワーの凛々しいお姿と、冷たそうな冬の十間川の水面の雰囲気は余すところ無く上手く描写しているのではないかと思いました。

FD24mm_04.jpg
四枚目は、十間川での撮影スポット墨田区文花から、押上まで歩いて移動し、やっとソラマチに足を踏み入れたので、その余勢を駆って、ソラマチのビルの4階だかのスカイツリーの発券場、及びエントランスが有るところまで階段を駆け上がり、目の前に広がる絶景をそのままファインダに収め、シャッター切ったものです。

ここでは、画面いっぱいにスカイツリーの構造物が写っていますが、夕陽を浴びて仄かに金色を帯びたオフホワイトベーヂュの超高張力のパイプ達が何故か柔らかな古来の伝統工芸品のように見えたのは不思議でした。

FD24mm_05.jpg
五枚目はソラマチでの撮影を終え、直ぐ真下の旧業平橋、今はスカイツリー駅から一駅だけ東武本線に乗って、浅草駅まで戻り、仲見世でのスナップで撮ったものです。
仲見世には何店か、煎餅やら人形焼やら店頭で焼いて実演販売しているお店がありますが、その中のひとつの前で、いたいけな童子達が、熟練の職人達の手仕事に魅了されたか、口を半開きで眺めていたので、さぁさ撮るよ、と親御さんにも聞こえよがしにカメラを構えて列の前に乗り出し、「わっママ、すっげぇ~」とか振り返ったところをハィ戴きましたです、のカットです。

ここで感じたのは、ハロゲンと蛍光灯という相当条件悪い人工光のミックスライト状態だったにも関わらず、このいたいけな極小姐達の柔らかな肌の色、質感は上手く描写しているということでした。

FD24mm_06.jpg
六枚目は伝法院通りを上野方向に目を転じればすっかり冬の暮れ色になっており、その黄昏の雑踏を冬支度のカップルが仲睦まじげに歩いていく後姿が目に留まりました。
そこでEVFの照度増幅機能を活かし、クロップ拡大で合焦しながら追尾し、えいやっとシャッター切ったのがこのカット。傍で見ていたら、ストーカーまがいの変なおさーんの如く映ったかも知れませんでしたが、24mmの視覚はこのように黄昏時の雑踏を物語的に見せてくれたのです。

FD24mm_07.jpg
七枚目は浅草寺の境内に移動し、そこでいつもの定点観測スポット、おみくじ売り場に立ち寄りました。
そこで、何が幸いするか判りませんが、何と、いたいけな外国人の子供がおみくじを引いて、内容が判らないのは当たり前として、折り紙に打ち興じていたのです。
そこで、驚かさないようにそっと歩み寄り、「Excuse me, Can I take your picture?」と囁き掛け、笑顔でウンウンと頷いてくれたので、ぢゃ、ハィ、拙者見て笑ってね♪とシャッター切ったのがこのカット。
撮った後、サンキュー、邪魔してゴメンな!と声掛けてその場を立ち去ろうとしたら、後ろに控えていたオモニからも笑顔でサンキュー!とか声を掛けられ、一日の締め括りとしてはとてもキブンの良いカットになったのです。

この白人の童子達の愛くるしいお姿、これだけで、このレンズを持ち出した甲斐が有ったと云っても過言ではないような気がしました。

さて、来週は、もしかして気が向けばCP+辺りに出没するかも知れませんので、そうなったらなったで、会場駐屯のコンパニオン女史各位の釣瓶打ちになるかも・・・乞うご期待。

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/01/27(日) 21:03:14|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

しまった、24mm撮り忘れてた!

今回の記事を拝見して、「そう言えばあっしも川越撮影会で持って行ってたなあ」と思い記録を見返すと、1枚もありませんでした・・・_| ̄|○

35mmと100mmだけ使っていて、FD24mmSSCでNEXとX-Pro1の比較をせぬとか馬鹿ですわ~。
次回は気を付けませんと。

それはそれとして、迫力あるスカイツリーの写真ですね。こういうのはやはり広角ならではですねえ。
しかも色合いも落ち着いてますし。
しかも最後の子供たちのカットが良いじゃないですか。X-Pro1の暖色系エンジンの方向性と相まって良い感じの肌色ときれいな青色の目が出てますね。

てっきり絞ったのかと思ったらこれで絞り解放ってのが驚きです。
EVFが苦にならなければ、EマウントレンズよりもFDマウントでそろえた方が良いかもしれませんね。
値段も手ごろですし。
  1. 2013/01/29(火) 21:18:00 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

RE:しまった、24mm撮り忘れてた!

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
そうそう、このレンズ、35mmf2よりもまだ安いんですが、スカイツリーみたいな、ただやたら大きい構造物みたいなのをモチーフに写真撮るのには最適なんですよね。歪みも少ないし、解像力も悪くはないし。

しかし・・・24mmでいたいけな外人のスナップ撮るのは、結構近くに寄らなきゃいけなかったんで、一緒に持って行った、謎のロシア製レンズ35mmf2改Mに交替させりゃ、もっとお気楽に撮れたか!?なんて後知恵も働いたりしました。

そうそう、拙者は、これと同じニッコールも有ったのですが、持ち出しませんでした。同じAPS-Cなんだから、お仕事用のD2Hにくっつけて同伴させりゃ比較出来て面白かったんぢゃなかったかと、今思いました^^;

そりゃそーと、今週土曜日午後はCP+に乗り込んで、夕刻はI運営委員殿と楽しいデナーの予定ですよ♪
  1. 2013/01/29(火) 22:02:31 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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