深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A return of Lucky~CP+α'13~

さて今宵のご紹介は予告?通り、愉快な仲間達と横浜パシフィコで開かれていたCP+及びその道すがら撮った画でいきます。

で肝心の機材ですが、先般ご紹介したFujimoto50mmf2.8が距離計連動カムのプロァイルというか位相そのものが30度近く無限側にずれていて、中近距離が大甘だったのを見破られてしまい「f5.6くらいで撮った方が良いかも・・・」という工房の存廃に関わるような?コメントなども頂戴してしまったので、敢えて再登場し、名誉挽回のチャンスを与えた次第です(笑)
カメラは前回同様、R-D1s、絞り優先Autoの全コマ開放での撮影、JPEG撮って出しです。

Lucky_000.jpg
まず一枚めのカットですが、これは会場に出かける前、大久保の名人のところへ寄って、ちょいとした用足しをする必要があったので、飯田橋の乗換えを考慮し、工房から一番近い木場から乗らず、門仲まで歩いて行く途中、ちょいと試写をしたかったので、富岡八幡宮の裏に出る、鉄橋が有るルートを辿る際、オール木造の材木問屋さんの建物の壁際に掛かっていた赤い花の鉢を最短付近で撮ったものです。

先般の中野の路地裏の浮き玉のカットと比較して戴ければ、ピントのシャープさの違いが一目瞭然ではないかと思います。

Lucky_000a.jpg
二枚目のカットは同じく、富岡八幡裏のルートに手作り家具工房みたいなお店があって、よく店頭で作業している人に話し掛けて、製造、もしくはレストア途中の家具を撮らせて貰うのですが、今回もイイ案配に時代が出ている鉄板製の椅子が有ったので、色調、テクスチャの再現性を確認すべく、お願いして撮らせて貰ったものです。

ピンは真ん中の錆の残るオフベージュの菱形ドットが綺麗な椅子の背もたれ部に合わせています。
やはり、カムを切り直しすると、別物のレンズのように素晴らしい写りになったのではないかと自分では感じました。

Lucky_001.jpg
三枚目は15時過ぎに横浜パシフィコのCP+会場入りし、速攻で並んだにも関わらず、45分以上も行列させられた富士フィルムのX100S&X20体験コーナーの後、せっかくの無料モデル撮影会みたいなもんですから、眉目秀麗の小姐を求めて、会場をあてどなく徘徊し始め、派手なアナウンスとライティングが目に留まったパナソのブースでのショータイムみたいなステージでのカット、其の壱です。

やはり写実性命の産業用レンズですから、こういうシーンでは距離計さえしっかりしていれば、現代の最新レンズにも負けない素晴らしい写りを見せてくれます。

Lucky_002.jpg
四枚目は同じステージからのカットで、今度は3名のモデルさんがセットでステージ狭しと歩き回り、ポイントポイントで、写真家の先生の指示で立ち止まって、ポージングするという、商業ベースの広宣ブースのイベントでは考えられないような出欠大サービスで、運良くステージのすぐ近くのポジションを確保出来たため、R-D1sの即写性をフルに活用し、横の最新のAF・AEのデジSLRにも負けない勢いで撮った中からの其の弐です。

このカットでも、シャープさは云うに及ばず、発色の艶やかさ、コントラストの高さは、いかなR-D1sがデジタルカメラであるとは云え、セミクラシックレンズと10年近く前に登場した600万画素そこそこのCCD機で撮ったとは思えない気がします。

lucky_003.jpg
五枚目はこのステージでのベストショット。ピントも露出もさることながら、真ん中の個人的には一番美形と感じたモデルさんがストレートに目線送ってくれています。

しかし、今、撮影したものを見直して、改めて関心したのが、これホントデジタルで撮った画なの???ということ。

何とならば、かなり強めのスポットライトを浴びた若い小姐の陶磁器の如き艶やかな肌はかなり反射率の高い被写体ですから、ハイライトはぶっ飛び、テクスチャどころでなく、大フレア大会になってしまうところです。

少なくとも、今、電子湾で10万円くらいするシネレンズでも、このシーンであれば、フレアかクレセント状のゴーストが発生し、モデルさんの肌のテクスチャなどと戯言を言うどころではないものがあります。

そういった意味では某新宿のカメラ屋の棚の奥でひっそりと持ち主を探していたこの天涯孤独の未確認レンズが恩返しをしてくれたのかも知れません。

Lucky_004.jpg
六枚目のカットは、パナソのステージから離れ、たぶんニコンさんではなかったかと思うのですが、ブースの受付前を通った時に目が合って、微笑み掛けてくれた小姐の表情がカンジ良かったので、お願いして撮らせて貰ったカットです。

ここでも、このレンズの得意領域である、最短付近での撮影です。

ライティングが頭上高くからのハロゲンなので髪とコスチューム襟元のスカーフは程好い照り加減ですが、ちょっぴりボーイッシュで愛くるしい小姐の笑顔はちょっと翳り加減なのが勿体無い気がしました。う~ん、次回はレフ板背負った助手同伴で来ようか(苦笑)

Lucky_005.jpg
七枚目はそろそろ展示も店仕舞いの17時ちょい前になり、今回のイベントを仕切る大親分のところへ再び顔を出しに寄ったところ、「このブースの前の通路をずっと行くと、若くてキレイな小姐の写真が撮れるやも知れません」とのご託宣を受け、喜色満面、意気軒昂でカメラ2台を下げ、相当早足ながらキョロキョロ見回しながら歩くヘンなオサーン状態だったのですが、行けども、行けども中小ブースはうらぶれた男子社員ばかり、或いは上海から来たというアヤシゲなマウントアダプタ屋のブースでは口角泡飛ばし、店員同士がディベートに打ち興じて、こっちがせっかく改造レンズ2本も提げてこれ見よがしにブースの様子伺っているのに、まさに傍若無人状態の完全シカト。

仕方なく、またいたいけな小姐を求め、鵜の目鷹の目状態で索敵していたら、居ました、居ました、ハッセルのブース内のテント中で、ハッセルブラッドの妖精がそのままスウェーデンからほうきに跨って飛んで来ました、みたいな風情の白色小姐がプライベート撮影会みたいなのをやってたので、隙を見て、何枚か撮っちゃったうちの一枚です。

ここでも、オリジナルのブロンドの髪のしなやかさ、抜けるように白い柔肌の質感、そして、ローマ時代の彫刻のように弛みひとつない美しい造型の横顔の輪郭を余すところ無くシャープに捉えています。

今回の感想は、やっぱり、幾ら難加工でも、最後の点検を忘れちゃダメね・・・ってこと。ミラーレスならいざ知らず、距離計連動式カメラではやはり連動機構の精度がレンズ性能をどれだけ引き出すか、というキーファクターですから、今後は十分気をつけます。そーいや、今回のカムプロファイルの異常を指摘された方からは、だいぶ前にスピードパンクロの32mmに間違って40mm用のカムプロファイルを装着したヤツのミスも指摘されたような記憶が・・・笑

さて来週は、工房新作レンズの発表行きましょう。乞うご期待!!

テーマ:何気ない日常の写真 - ジャンル:写真

  1. 2013/02/03(日) 21:03:30|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

あれ、そうでしたっけ?

そう言えばコメントしていたかも知れませぬ。
今回の作例は、前回のアレが嘘のような出来栄えですね。
絞り解放でも肌のきめ細かさや髪の毛一本まできれいに見えます。
それにしてもカムの位置だけでこうも変わるとはレンズって怖いですね。
この前感じた違和感がなくなってましたもの。

その代わりに最後の外人さんの肌はきれいに出ているのに、化粧をしているコンパニオンの方の化粧の下の肌が見えるくらいの切り込みかたでして、移りすぎる産業用レンズってのも案外ポートレートではくっきり出過ぎるのかもしれませんね。

まあ防犯用としてはくっきり犯罪者の顔が判別できる方が良いわけですから、そっち方向に振った性能なのでしょうし。それにしてもこんな性能の良いレンズが新宿の場末で二束三文で売られていて、このレンズと比べれば箸にも棒にもかからない様な品が高値で一般の店頭に並ぶってのもおかしな話ですよねえ。
こういう作例を見てしまうと、過去のレンズを探したくなるので目の毒でもありますが(笑)
  1. 2013/02/04(月) 21:33:22 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

さすが

さすが944さん
この様な色乗りの画像が撮れなくて四苦八苦です。
私はふわーとした映像しか撮れませんがそれはそれ、徐々に設定やデジタル馴れして移行と思います。
CP+でエプソンのフイルムスキャナーを担当者から色々聞いていましたが4x5までスキャン出来るフイルムスキャーナーが出ていたので大いにこれは触手が伸びそうでした。
  1. 2013/02/05(火) 12:38:07 |
  2. URL |
  3. hiro #xPR/ZykM
  4. [ 編集]

Re:あれ、そうでしたっけ?

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

或る意味、貴兄の辛口?コメントがこのレンズの生命を救ったのかも知れません。

なんとならば、いっぺん改造したものは余程のことが無い限り、再改造やら改善など手掛けることはないからです。それが、開放では使えない、ということであれば、原因を調べますし、それが比較的判り易い凡ミスだったため、再度、精緻にカムのプロファイルをボディの連動コロ位置に合わせ切り直したということです。

ほんの小一時間の修正作業で、ほれ、ご覧の通り、ツァイスの玉もかくやあらんというばかりの高彩度、ハイコントラストのモダーンなレンズに大化けしてくれた、という顛末です。

しかし、貴兄も奇しくも言われましたが、まさにレンズってのは店頭に並んでいる値段で性能は判断出来ない、ってことです。

特にクラシックレンズで、やれグルグルが良いの、ほわぁっと柔らかめのフレアが良いの、周辺の歪みまでも味のうち、だの小生には到底理解し難い価値観で語られるケースが多々ありますが、やはり写真は写実が第一義である以上、どのレンズも、ピント面のシャープさ、或る程度以上のコントラストを狙って設計、製造されている筈なので、設計上の目的とは異なる収差の発現、或いは経年劣化を味とかいう、本来の性能評価とは異なる尺度で語るのは今でも、どうかな・・・と思ってやみません。
  1. 2013/02/05(火) 22:30:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #-
  4. [ 編集]

Re:さすが

hiroさん
有難うございます。

これで、このレンズの株がぐ~んと上がったカンジではないでしょうか。

たぶん、こんな数千円のレンズでも、数万円のレンズで描写性能が敵わないものは幾らでもあると思います。

まぁ、お手許の個体も全く同一仕様なので、時間を掛けてじっくり調理して、ご賞味下さい。

それからスキャナですか・・・この頃、あまりフィルムを使わなくなり、撮っても、現像と同時にフジのフロンテアで以てフォトCDにしてしまうので、あまり興味持ったことはなかったですね。

でも、フォトCDを焼いていなかった昔のネガを読ませて、この場で発表してみたいような気もしないではないですね。
  1. 2013/02/05(火) 22:36:56 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

エッジ描写がとても高く、二枚目の椅子がとても特徴ある写りだと思います。

たしかに人物ではその際立ったエッジ表現で、顔の皺とか輪郭とか凹凸とか描写し過ぎる様子で、世にある『特定な目的を写し取るレンズ』という品物の様子が推測できる感もあります。

外人サンは、それでもまだまだ顔・表情・輪郭があいまいな様子もあり、でももしかしたら、このブースはデュフーザー付きの照明でも奢って使っていたのかなんてカンジもしました。(国産カメラのブース照明は何故かスポットが多かったようですね)

こんかい一枚目・二枚めは、影がやや薄いデイライトなので、曇り日の外での撮影には使いやすいのかな?なんて思いました。

*

とおもって古い写真の掲載をみたら、やっぱりブツ(硝子の浮き球)撮りの描写はすごかったんですね。

これだけ特徴あるレンズは、やっぱり面白いです。





  1. 2013/02/06(水) 00:30:25 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

実は大化けしたこのレンズの真の実力もそうなのですが、R-D1sという、デジタルの世界では十分クラシックと呼べる暗箱の凄さにも驚いているのです。

奇しくも貴兄が指摘された二枚目の椅子のカット。
実はここは、微妙なア-スカラー系中間色の色再現性とシャープネス、コントラストをいっぺんにチェック出来るような素晴らしい被写体で、驚いたことにこの数千円のレンズと10年近く前に設計された650万画素の旧式電子レンジのコンビがほぼ撮影者の意図した通りに描写してしまうのです。

前にも何かのレンズの時に経験しましたが、ほぼ倍弱の画素数を誇るM8ですら、R-D1sの吐き出す画のリアリティには屈せざるを得ないことが多々ありました。

そういった意味では、今回のように隠れた銘玉を発掘するためにはR-D1sは極めて優秀な検知器なのかも知れません。
  1. 2013/02/07(木) 22:19:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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