深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A Happy New Year in Seoul③

さて、今宵のご紹介は諸般の事情によりアップが遅くなってしまいましたが、予告通り、先般のソウルツアー第三回目、最終回の更新です。
二日目の朝から、再び金浦空港経由、帰国するまでの出来事のハイライト的に写真アップして参ります。
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まず一枚目のカットは、二日目の朝、着いた時から決めていた、フルに使える中日は歴史景観地区を重点的に撮りませう、というアイデアに基づき、まずはホテルから程近い、昌慶宮跡からスタートした際撮ったものです。
このカットは宮殿前の石畳広場に敷設された「位階石標」です。何かと云えば、日本史でも出てきた、「九品中正法」の九品を表しており、これは、王様に使える家臣の位によって座る位置が決められていたことを表す石碑なのです。
要は王様に近いほど位が高く、下がっていくほど下座になるということです。
機材はM8+Cine-Xenon50mmf2改M6号機で絞り優先AEでの開放撮影です。
ピンは当然のことながら、最前列の「正」の文字で合わせましたが、その後の「従一品」以下が滑らかにボケているのは、なかなか風情有って宜しいカットになったのではないかと思いました。

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二枚目のカットは小一時間くらい昌慶宮で撮っていて、今回会心のカットを撮って、小躍りしたいキブンでその故宮を後にし、次なる目的地、「北村韓屋村」(ペクチョンハノクマウル)に移動してのものです。
昌慶宮と慶福宮という二つの故宮に挟まれ、かつ骨董街の北に位置するこのエリアは、まさに京都の何々小路とか、小江戸佐原の小野川界隈みたいに李朝末期から戦前くらいまでの古い韓式住宅が密集していて、一大観光スポットとなっているところです。
恥ずかしながら、25年前に会社の同期と3人でソウルオリムピック翌年に訪れた時は、こんな素敵な場所が有ろうとは夢にも思いませんでした。
機材はM8+Cine-Xenon50mmf2改M6号機で絞り優先AEでの開放撮影です。
この韓屋村で一番眺めが良く、そのため、雑誌等メデアで一番紹介されることが多い下り坂を中国人のモノホン小姐が下っていく様を撮ってみたものです。もちろん、正面からも声掛けて撮らせて貰ってはいますが、まぁ、趣味ぢゃないとか、心ないコメントでも書かれても不本意ですから、お友達限定の公開としましょう(笑)
「解像力番長」の異名を持つCine-Xenon5号機にしては割合にしっとりと描写しているのではないかと思いました。

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三枚目のカットは同じく韓屋村の隅々まで気の向くまま散策しながら、ふと足を踏み入れた路地裏の家の軒先に、如何にも冬の風物詩、いや、横着にもクリスマスのデコを片付け損なったようなキラキラ系のオブヂェがあったので、高く青い冬の空をバックに撮ってみたものです。
機材はX-Pro1+PO3-3M50mmf2改Mで絞り優先AEでの開放撮影です。
背景の洋風住宅の二階窓サッシ枠中央部辺りには僅かに2線ボケの傾向がありますが、それでも、この、極寒の本場ロシアでドイツシュナイダの技術を元に独自の自然科学を取り入れ改良され続けた異形の高性能レンズは「本家の当主」たるCine-Xenonと対マン張っても充分渡り合える互角の実力を備えていると云わざるを得ないのではないか、とも思いました。

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四枚目は韓屋村での撮影を一通り終え、次なる目的地である景福宮隣の国立博物館エリアにある、十二神将をモチーフにしたと思しき、石造のミニストーンサークルみたいなオブヂェで遊んでいた、白人のいたいけな童子を撮ったもの。
石造エリアに歩み寄ったら、この童子と目が合い、すかさず横に居たヲヤヂさんに「写真撮っても宜しゅうござるか?」などと問いかけ、「どうぞ、どうぞ、ウチのガキで良けりゃ、気の済むまで撮ってやっておくんなさいよ!」とか快諾を得て、そぃぢゃ♪と「Hey Boy Look at me!」とか声掛けて、表情がやや硬かったのでカメラ構えながら、「Is it a statue of your broter?」とか思いっきしからかってやったら、ほれ、この通り、No,No, Don't be kidding!とか云いながら笑ってくれたので、戴いた一枚。
機材はX-Pro1+PO3-3M50mmf2改Mで絞り優先AEでの開放撮影です。
ここでも、白人の国ロシア生まれのこの玉は、いたいけな幼子の肌のテクスチュアのみならず、活き活きとした表情まで余すところ無く描写していると思いました。

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五枚目のカットは歴史地区での撮影も満足に終え、腹ごしらえも兼ね明洞地区に一旦戻り、腹を満たして後、市場休みを承知で向かった南大門市場での一コマです。
機材はM8+Cine-Xenon50mmf2改M6号機で絞り優先AEでの開放撮影です。
人通りの殆ど無い市場の裏通りで、乾物か何かの露店に鎮座ましますアヂュモニと世間話がてら値切り交渉をする、韓国人観光客とのやりとりがとても暖かく見え、通りすがりに一枚戴いたものです。
Cine-Xenonのシャープさがこの距離を置いたアヂュモニとオモニ、そしてアガシのやりとりを何故か牧歌的に見せてくれました。

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六枚目のカットは二日目の夜の明洞の街頭、旧正月の元旦相当日ということで、あちこちでイベントみたいなものをやってて、その中で、何処かのTV局の中継ロケが入ったらしく、みんなバシバシ♪スマホンとかで撮っちゃってたんで、拙者も便乗して戴いちゃったものです。
機材はX-Pro1+PO3-3M50mmf2改Mで絞り優先AEでの開放撮影です。
このくらい暗くなってくると、暗視スコープ並みに明るいEVFはかなり役に立ちます。
この手が切れそうなほど目鼻立ちがシャープな小姐というかアガシが寒い中、ロケに駆り出されて、しかもワケ判らんまま、周りから撮られ放題に撮られて、機嫌良くなさそうなのが滲み出てしまっているカットになってしまいました。

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七枚目のカットは、帰国日である滞在三日目の朝、寸暇を惜しみ、再び景福宮まで出かけた際、地下鉄から一番近いゲート付近でコスプレ楽しんでいた香港からの小姐2名を見つけたので、すかさず声掛けて撮らせて貰ったものです。
機材はX-Pro1+Rodagon80mmf4で絞り優先AEでの開放撮影です。
このカットを撮った時間は10時半を回った辺りでしたが、それでもまさに雲ひとつ無い晴天の下、陽射しは結構強く、また、周囲の積雪の照り返しもありましたが、コスプレ自体がなかなか決まっていることもあり、背景の時代がかった極彩色の太鼓もこれあり、釣りの浮きみたいな蛍光色のヤッケを着た警官さえ背景に写り込まねば、結構満足行くカットになった筈なのにちょい残念でした。

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八枚目のカットはそろそろタイムアップになって来たので、宿に荷物取りに戻る途中、景福宮の門の前を通りがてら、知らん顔して通行人を入れて撮ってみたカットです。
雲ひとつ無い青空を背景に雪の積もった道、そして荘厳な李朝の建造物、その前を寒そうに通り過ぎていく市井の人々・・・旅情という言葉が当てはまるカットになったかも知れません。
機材はX-Pro1+Rodagon80mmf4で絞り優先AEでの開放撮影です。
日本国内では比較的鮮やかな発色を見せてくれるこのレンズですが、乾いた空気の大陸性の環境ではかなり抑え目の発色での写実的な表現になったと思います。

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九枚目のカットは16時半のフライトを待つ空港のゲート前待合室で、ふと目の前を早足で通り過ぎていったカラフルなチョゴリのアガシを追い掛け、ターミナルビルの果ての「Staff Only」のエリアまで歩いて行って、待つこと10分強、やっと荷押し車と共に出て来た眉目麗しい民族衣装のアガシに精一杯の笑顔で声を掛け、撮影に応じてもらうことに成功したものです。
機材はX-Pro1+Gausstachar320mmf2.3改Mで絞り優先AEでの開放撮影です。
まさにこのカット、燦然と輝く滑走路とB747をバックに控え、やや暗めの室内で、ノーストロボ撮影に成功したのは、EVFみながら、露出補正が可能なX-Pro1のみ為せる技で、まさに持ってて良かった♪となったのでした、ちゃんちゃん♪

さて、来週は何行こうかな・・・久々に修理頼んで上がって来たレンズの上がりが予想以上の出来だったので、その紹介でも行きましょうかね。乞うご期待!!

テーマ:旅行の写真 - ジャンル:写真

  1. 2013/02/25(月) 23:21:58|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

Rodagon80mmf4にかぎらずですが
80mmくらいになってくると引き伸ばしレンズは画角とボケのコントロール難しくて
画角がとれてもボケが汚すぎて「むむむ...」となって絞ると暗くて...。
望遠域になればなるほど「カメラ用の設計」というものの必要性を再確認させられるのですが、
こんなのをよく開放で...と感心させられます。私にはまだちょっと無理ですね。

しかしCine-Xenonはいいですね。
私最初はカタログデータからRodenstockのほうが優れてるんじゃないかと思ってましたし
実際そうなんですけど、使ってみるとSchneiderのほうが好きだったりするんですよ。
これは、カタログの透過率を過小評価していた結果なんだと最近気づいたのですが
ここらへんはデジタルとアナログでも差が出てくるかもしれません。

そういえばRodenstockってシネレンズってあまり聞きません。
なんかあったりするんでしょうか。
  1. 2013/03/01(金) 11:48:52 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

シンガポールとかマカオの方の子ですかね?

それともロシア?
四枚目の童子の笑顔には引きつけられるものがありますね。
三枚目のクリスマスオブジェもピシッと空気が固まったかのような鮮やかな印象を受けます。

それと、6枚目と9枚目のカットは対比が面白いですね。不機嫌な女性と営業スマイルの女性。
ただ6枚目の写真の方が表情がくっきりと写るのは光の加減なんでしょうかね。それとも夜景の方がEVFの見え方がクリアになるのでしょうか。

それはそれとして、8枚目のカットは「コンパクトのフィルムカメラで撮った写真だよ」と言われても頷いてしまうような仕上がりですね。
それだけフィルムに近い仕上がりになってきているのかもしれませんが、これなら往年のフィルムカメラが修理不能で使えなくなっても大丈夫かもしれませんね。
  1. 2013/03/02(土) 22:48:50 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

アクの強そうな、ハングル文字だけの路地裏生活感が興味深いです。

そして、飛行場やらこれらの旧い意匠のこのような寒い地方の民族衣装が、路地裏買い物女性連のキルトと比較して、どれだけ実用的に出来ているかというのにも興味を持ってしまいます。

po3は、かなりモダンな描写ですね。kinetalよりもコートが明快な気もします。(色感が違うだけでしょうか?)
  1. 2013/03/03(日) 12:01:32 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
な~に、80mmの引伸ばしレンズを撮影道具として使うのに必要なのは、割り切りと鈍感力ですって(苦笑)
小生も含め、スナップ派は概して、シャッターチャンス優先を旨として、その背景には目を瞑る傾向が大きいようです。

それはそうと、Cine-Xenon50mmf2は一本買っておいて損のない玉ではないでしょうか。
Cooke一族より安くてシャープだし、リセルバリューも腐っても鯛の独製レンズですし、独特の前玉が銘板のツライチギリギリまで出ている独特のデザインさえ気にならなければお買い得です。

ところで、もう一方の雄、Rodenstockですが、当然、シネレンズは作っています、Arri用もMitchel用もCameflex用も・・・

ただ数が少ないのと、Apochromatが標準仕様で新品当時は値が張ったので市中には殆ど出回らなかったようです。
勿論、シネレンズ改造のパイオニアである当工房には、程度の良いものが動態保存されています。
  1. 2013/03/04(月) 22:00:05 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:シンガポールとかマカオの方の子ですかね?

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
この童子は英国籍の子だったようです。ただ、何処をどうみても白人種であるヲヤヂさんのご尊顔しか拝していなかったので、もしかすると、オモニの方にアジア系の血が入っていたのかも知れません。
それでも、素直でハキハキしたカンジ良い童子でしたよ。

ところで6枚目と9枚目の上がりの差ですが、6枚目は夜間とは云え、撮影用のライトが斜めから当てられた順光に近い状態、それに引き換え日中の空港ビルでの窓をバックにした撮影は逆光に等しい、劣悪な光線状態ですから、その差が出たのだと思いますよ。

それにしてもFujiのXトランセとかいう撮像素子、今回の撮影でだいぶ良さが判ってきました。

次回の外遊は5日間かけてみっちり撮りますし、夕暮の風情が売り物の観光地にも出かけますから、レンズを厳選し、是非とも写真展向けのネタをゲッチュしたしと思っています。
  1. 2013/03/04(月) 22:10:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordreさん
有難うございます。

ソウルオリムピックが行われる前、そう70年代から80年代半ばにかけて、「ハングル酔い」という言葉が流行ったようです。

これは何かと云へば、殆ど日本の路地、裏通りと同じ風景にも関わらず、そこの掛かっている看板、電信柱の広告の文字、道行く小姐のTシャツ、どれもこれも異形の文字、ハングルなので、風景の中のギャップに神経が参ってしまう現象のことを指したようでした。

しかし、拙者、自慢ぢゃないですが、バンコクで一年暮らし、もっと難解なデザインの象形文字みたいなのに囲まれて暮らしていて、免疫ありましたから、結構、スムーズに溶け込めた自信があります。

それはそうと、チマチョゴリを着て外出する女性は例外なく、キルトというかダウンのロングコートみたいな召し物を羽織っています。
そうしないとマイナス15℃近くありますから、風邪ひくどころの騒ぎぢゃありませんから・・・

でも、今回、そんなダウンのロングコートの小姐に声を掛けたら、ダウンを縫いで、御付の人に渡してチマチョゴリだけで寒空の下、皆撮影に応じてくれたのです。

その心意気というか優しさに心打たれました。
また来年も旧正月の日にソウルを訪れたいです。
どうですか?ご一緒に。
  1. 2013/03/04(月) 22:20:12 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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