深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A spear of lay~Fujimoto80mmf4.5 mod.EF~

さて今宵のご紹介は、工房作品は工房作品ですが、またまた安価仕入れの謎?のレンズ試写結果いきます。
焦点距離が80mmで開放値がF4.5、構成はどうやら反射面の数からテレテッサー型、但し絞り位置がL1直後にあることから、エルマータイプと見るべきと考えています。
ただ、判っているのはここまでで、コーティングの色から少なくとも新種ガラス採用であることは判りますが、売ってた当のお店でも、引伸ばしでもなさそうだし、何のレンズなんでしょうね?とかいうカンジで、どうやら産業用のレンズヘッドであるらしいとアタリをつけ、先に贖った50mmf2.8の驚異的な描写性能を信じ、再び新宿の裏通りの店から数千円で買い取って連れ帰り、本体よりも何倍ものヘリコやアダプタでEOS用いリフォームしたという次第です。
では、早速実写結果見ていきましょう。今回のロケはICS見物前の上野公園近傍での早撮りカットです。
ボディはEOS20Dによる絞り優先AE、開放での撮影です。
lucky80mm.jpg

まず一枚目のカットですが、国立博物館本館前のオブジェ、たぶん綿羊かなんかの石造が二個程好い距離、角度で並んでいたので、モデルさんになってもらったものです。石造は声掛けなくとも、問題なく撮らせてくれるからこっちも気が楽です。
EOS20Dは実は今回が初の試写で、いつもの1DsMKIIみたいにメーカー調整のスプリットマイクロイメージのスクリーンが入っているワケでもないので、ピントのヤマを掴むのに一苦労です。まさに出来の悪いコントラスト検出型
のAFカメラみたいに行っては戻り、戻ってはまた進む、を2~3回繰り返し、何とかヤマを掴んでシャッター切ったものです。
しかし、苦労の甲斐あってか、ピンを合わせた手前の石造はなかなかテクスチャもシャープに捉えられていますし、夕刻に近い赤みがかった光線状態の再現もまずまず、そして少し小ぶりのAPS-Cの素子ながら、画面四隅までの結像の均質性もテッサータイプにしては良好ではないでしょうか。
lucky_001_20130302231634.jpg

二枚目のカットは博物館の正門を出て、再び恩賜公園を通り、上野の地下鉄駅まで戻る途中、黄昏の空をバックとした池の噴水群の白い飛沫がとても鮮やかなに見えたので、手前の噴水を狙って捉えたものです。
普通肉眼では噴水の水は白いものとして認識されてしまいがちですが、このシャープなレンズと二世代以上前ですが、当時から基本性能が高かったため、ほれこの通り、噴水をピタリと止め、透き通った水滴の集合体であることを説得力持って見せつけてくれました。
また後ボケもなかなか鑑賞に堪えるレベルではないかと思いました。
lucky_002_20130302231634.jpg

三枚目のカットは噴水池を通り過ぎ、公園の中ほど、というか動物園入口の少し手前でいたいけな中学生くらいの中童子のお手玉というかヂャグラーの真似事みたいなことを集団で熱心にやっていたのを撮ったもの。
この謎の集団、何の目的か、、撮らせて貰うよ、と声掛けたら、ふぁ~ぃどぉぞぉ♪とか、こちらも見ずに二つ返事だったので、また、行きつ戻りつの人力コントラスト検出AFをやって撮りました。
その割りには、お手玉やってる本人の表情も、虚空を彷徨う手玉ともきっちり捉えられており、この旧式デジ一眼と謎のレンズのコンビは、少なくともお散歩スナップレベルではなかなか戦闘力高いことが判りました。
lucky_003_20130302231634.jpg

四枚目のカットは、中童子達のカットを数枚撮らせて貰ってから、心ばかりの礼を述べ、その場を後にし、すぐに目に留まった、南蛮人の小姐の後ろ姿が斜め夕陽に照らされ、その輪郭が後光を放つようだったので、80mmの長焦点距離を活かし、知らばっくれて撮ったものです。
このカットでは、この南蛮小姐のサラサラしたモノホンのブロンズヘアのしなやかそうな質感を良く捉えていると思いますし、ヨン様ばりのお洒落なマフラ、そしてエルメスかい?とか突っ込み入れたくなるようなハデなショルダバッグといった小物もシャープに細部まで描き出しています。
また被写体までの距離の関係もあり、背景はマイルドなボケと化しています。
lucky_004_20130302231635.jpg

五枚目のカットはまさにいつもの勘働きの賜物と云えそうな代物なのですが、ブロンズの南蛮小姐を撮り終えて、何か被写体が近づいてくるような六感が働き、ふと背後を振り返ってみれば、如何にも「装苑」とか「婦人画報」みたいな良妻賢母予備軍の小姐が装束のお手本としそうなファッション雑誌の"冬のお出かけ服"とか、"冬のお呼ばれ服"とかそういったテーマの特集記事から抜け出て来そうな質実剛健なカッコで荘厳な国立博物館の建物をバックに静々と歩いてきたのです。
これも、80mmという長焦点の利得を活かし、知らばっくれて一枚戴いちゃったものです。
衣装と建物周辺の色が地味系で見事マッチしていると思いました。
lucky_005_20130302231635.jpg

六枚目のカットは公園から駅に向かう歩道に出た時、仲の良さそうな家族がぢゃれ合いながら駅に向かって歩いて
いたのを撮ったもの。仲良し家族が楽しさのあまり周囲が見えないのをこれ幸いと思い、気取られない距離をとって追尾し、シャッターチャンスを待っていたところ、下を並んで歩くお兄ちゃんが何かおかしなことでも言ったのか、肩車の極小姐がや~ダとか云って振り返ったので、待ってましたとばかりに撮ったものです。
誰しもご幼少のみぎりにはこういう楽しい時間が有ったのかな?・・・とか思うと徒らに年を食って来た自分が妙に寂しく思えてしまいました。
ここでも背景は建物や車、人が盛大に写り込んでいますが、崩れや歪み、2線もグルグルもなく、そこそこ見易い後ボケと化したのではないでしょうか。
lucky_005a.jpg

七枚目は上野駅まで着き、地下鉄駅へ続くJRガード下のスロープ前で、斜めに差し込む夕陽を浴びた先ほどとは別の家族の後姿がとても美しく、暖かそうに見えたので、一枚戴いたもの。この時、光加減を考えながらシャッターチャンスを狙っていたら、ちょうど、家族の間を背中丸めた季節労働者が足早に通り過ぎる姿が見えたので、シャッター切ったもの。
実像が見えるデジ一眼の光学ファインダはこういう時、EVFによるライヴビューとはまた違ったシャッターチャンスの捉え方をし、時として意外性の有る面白いカットが撮れるのではないかと思った次第。
背景の季節労働者の慌しい姿と幸せそうな親子連れの対比がなかなか面白いカットになったのでは、と思いました。
lucky_006.jpg

今回の感想としては、う~ん・・・使い捨ての電気製品化したと言われるデジカメですが、この20Dとか、某社のD1系列とか或いはもはやディスコン間近とも云われるR-D1s系列とか出たての頃のものは、まだまだしっかりとメカを作り込んでいるので、モノとしても質感も、写すということの基本性能も高いです。

そしてこの初期の真面目なモノ作り精神の結晶みたいなデジ一眼が、新宿の裏通りの店の棚の片隅で誰にも顧みられることのなかった実直なレンズの実力を引き出したのではないかと思いました。

さて、来週は工房附設秘宝館からコレクションの紹介参ります。何が出るか乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/03/03(日) 21:00:00|
  2. EOSマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

レンズが良いのかEOS20Dが素直なのか。

これまでの作例と比べると、市販レンズですと言っても通じそうなすっきりした仕上がりですね。
絞り解放で滲みも出ず、色も素直な描写ってのは、仰る通り出自が産業用レンズなのかもしれませんね。

それと20Dの描写力もあるのかもしれませんね。

このレンズと40Dとか50Dの組み合わせならどうなんだろうと思うところです。
  1. 2013/03/07(木) 21:21:45 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

レンズ銘が記載している事もあって気に4なって、更には今回作例の素直な写りにも興味持ってネットで調べたら、有楽町あたりに店を構える会社の出品でのネット通販で、引き伸ばしレンズの外箱に収まる件のレンズを発見しました。(市販の引き伸ばし用レンズとして存在するのは間違いなさそうです)

20Dは35フルサイズではありませんが、確認できる範囲の背景の素直な写りに、引き伸ばし用途だけで無いような想像はわたしも持ってしまいました。

el-nikkor75mmもたしかテッサータイプだったので、それとの比較で用途の傾向が判明しそうな予感もしましたが、比較するとすれば、コシナ・ツァイスZMの85㎜f4も気になるところです。それにしても、むしろ一般撮影用といってもよいようなトーンの良い柔らかな写りにも感心させられます。

わたしもたまたま20Dを所有していますが、一度だけヤシコンのレンズをアダプタを用いて付けただけで
懲りてしまいました。
しかしながらこれだけ写るならと、ヤシコン以外のほかのレンズに挑戦したい気分になりました。それとも今回のレンズとの相性が良いのか…。



  1. 2013/03/10(日) 01:40:33 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

Re:レンズが良いのかEOS20Dが素直なのか。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

このレンズ、今回の撮影はあくまで試写だったので試験機として買った20Dでしたが、近いうちにご本尊であるEOS1DsMKIIで撮影します。
たぶん、フルサイズ且つ1600万画素での撮影でその真価は発揮されるでしょう。馬脚が出るのか、或いは更なる実力が白日の下に曝されるのか・・・

でも、今週アップしたCosina55mmf1.2もEOS20Dでの撮影ですが、この初期のAPS-C機にはやはり心惹かれる写りだと思いました。

確かR-D1sと20Dは同じ世代だったと思いましたが、どちらもメカの作りの良さ、画作り、まだまだ手探りながら新しいモノを作ろうという気負いを感じました。

たぶん、実用機として50Dも近いうちに買うと思いますが、一番先に買ったデジタルEOSが1Dで、次が1DsMKIIでAPS-C機には関心なかったのですが、この10年前の最先端機にはまさに目からウロコ状態で惚れ込んでます。
  1. 2013/03/10(日) 23:24:07 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

そうでしたか、このレンズ、某有楽町の会社の通販で出ていたのですね、引伸用として。

しかし、良く写ります、こんな値段で叩き売られるのが気の毒で、しかもそれでも誰も手を出さなかったのが不思議なくらい。

レンズって出自、そう、銘板で売り買いされるものなのでしょうね。

でも、今週アップしたCosina55mmf1.2しかり、性能と値段、そしてブランドバリュ-は必ずしも一致しないのですね。

それにしてもEOSのD二桁は素晴らしいです。
こんなコンパデジ並みの値段で叩き売られていた20Dでさえ、まだ出たてで試行錯誤のモノ作りだったためか、メカの作りもファインダもとても良いですよね。

これからは、不二技研さんと小生のところで、EOS EFマウントによる往年の銘、無銘レンズの発掘を逐次行っていきますのでこれからも可愛がってやって下さい。
  1. 2013/03/10(日) 23:34:47 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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