深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A common sence was denied~Minolta MC Rokkor 55mm f1.7 mod.EF~

Rokko55mm.jpg
さて今宵のご紹介は、昨日、春の陽気に浮かされて、風の向くまま、気の向くまま、常磐線のどん行列車に乗って、水戸駅のひとつ手前、偕楽園の臨時駅まで出かけ、新作レンズのテスト・・・というか元々EOS1DsMKIIで使おうと思い改造していたのが、バックフォーカスの関係で使用不能と判り、半年以上、防湿庫の片隅で忘れ去られていたのが、新導入のテストベッド、EOS20Dに装けてシャッター切ってみれば、アラ不思議、何の問題もなく、軽快なシャッター音を立てて、記録していくことが判ったので、急遽、EOS二桁Dシリーズ用として開発し始めたパイロット機なのです。
勿論、理論上はミノルタのSRマウントはEOS EFマウントよりフランジバックが短いですから、補助レンズ入りのアダプタを噛ませねば、EOSでは使うことが出来ないことになっていますが、そこは深川の長年積んだ研鑽の賜物、加工・計測技術で何とかし、無限から最近接まで全くオリジナルと遜色無い機能を持つEFマウントのレンズとしたのです。
この緑のコーティングも美しいMC Rokkor55mmf1.7は1970年代の半ばまでに作られたことは判っていますが、何せ会社が合併後撤退してしまい、正確な資料・データの類いがネット上でも見当たらず、5群6枚の変型プラナータイプでミノルタ独自開発の新種ガラスを用いた世界初のマルチコート「アクロマチックコーティング」が施されたことぐらいしか判りません。
では、早速、偕楽園での実写結果見て参りましょう。カメラはEOS20D、絞り優先AE、全コマ開放撮影です。

Rokkor55mm_001.jpg
まず一枚目のカットは偕楽園駅に午後2時前に着き、まずはホームで梅娘さんに歓迎されてから、偕楽園東口から入ってすぐの目の前に拡がる、一面の梅林の白や薄紅色の梅花の艶やかな様に感動して一番手前の枝にピンを合わせて撮ったもの。
EOS20Dの背面モニターは小さく、それこそ「写っているかいないかぐらいしか判らない」とも揶揄されましたが、このカットは別の機器で拡大sて見るまでもなく、良く撮れているのは判りました。
ピンが合っている枝はもちろんシャープですが、背景のボケが熟練した画家による油彩のそれのようで、とても好ましいレンズだと思いました。

Rokkor55mm_002.jpg
二枚目のカットですが、東門から外周を巡る道を歩いていたら、いたいけな極小姐が背伸びして枝を引き寄せ、その芳しい香りを嗅ごうと奮闘しているところを一枚戴いたものです。この横で、ご両親も笑いながら腕組んで見ていて、小声で写真撮ってもイイですかぁ?と聞いてみたらお二方とも笑顔でウンウンと頷いてくれたので、千人の味方を得た思いでシャッター切ったもの。
ピンは極小姐の耳で合わせましたが、ここでも合焦面はシャープで、背景はホワっとぼけてくれるので、モダンレンズらしからぬ妙な立体感を感じることが出来ると思います。

Rokkor55mm_003.jpg
三枚目のカットですが、吐泉玉とかいう白い大理石みたいなものから地下水が噴出している観光名所を見に行く途中、南側に視界が開けた高台が有ったので、そこから、庭園の一部を箱庭的に写してみたもの。
陽射しはかなり強めではありましたが、極原始的なものとは云え、一応はマルチコートを施してある、当時の最先端レンズ、その実力は今も侮るなかれ、このようにすっきりとしながら、バランス良い発色と程好いコントラストと細密感で、水戸黄門の雅号「梅里」をイメージさせてくれるような画になったのではないかと思います。

Rokkor55mm_004.jpg
四枚目のカットですが、梅娘が居そうなイベントのメイン会場を探して会場を徘徊していたら、こういう春の陽射しの下には付き物の肩車親娘がやって着ました。ヲヤヂさんはキョロキョロと梅の林を眺めていて、肩の上の極小姐はそんなことお構いなしにあちこちに視線走らせていますから、カメラを二台も提げて、得物を鵜の目鷹の目の如く追い求める工房主と目が合った瞬間に感じ合うことがあっても不自然では有りません。そこで、ヲヤヂさんの気もそぞろなうちにこの極小姐に離れたところから笑ってそっと手など振ってみたら、嬉しそうに笑って肩の上で体など揺さぶり始めたので、このヲヤヂさんもただならぬ椿事にやっと気付いて、どうしたの?とか聞いたりしました。
そこで、すかさず、イイ天気ですね、親子団欒、とっても素敵ですなぁ、そこで一枚撮らせてね♪と声掛けてみたら、あにはからんや、この様子で極小姐はかなり気取ったお澄まし顔でのカットとなった次第です。
ここでもピンのあったおしゃまな極小姐の表情がシャープかつクリアに描写され、一方、背景の梅林はまた印象画の絵画の如くほわっとボケているので、なかなか立体感、臨場感有るカットになったのではないでしょうか。

Rokkor55mm_005.jpg
五枚目のカットは、親娘連れに礼を言って別れた後、園内を徘徊している時、芝生の彼方で春の陽射しを楽しむ家族連れが目に留まったので、よっしゃ、ボカしたろ♪とばかり、手前の梅の枝にピンを置き、芝生の上の家族連れは印象派の油彩の背景みたいに蕩けてしまったものです。
ここでも梅の荒々しい肌はかなりシャープに結像していてリアルに浮かび上がっているかのようですが、一方、背景の家族連れは、非点収差の悪戯も有ってなのか、ボケと微妙なデフォルメが掛かっていて、これはこれで面白いカットになったのではないかと思いました。

Rokkor55mm_006.jpg
六枚目のカットは本日のハイライト、女子高生による公開野点の風景です。
普通、女子高生など、東北であろうと、東京であろうと、なかなか写真なんか撮らせてくれないことが多いですが、ここは、先生、父母公認。最初は遠慮してカメラ構えてたら、「東京からの方ですか? 前へ前へどーぞ、どーぞ♪」てなカンジでかなり他の観光客から目立つ位置に罰ゲームみたいに立たされ、撮り放題だったのです。
ここで、この生まれ変わった往年の銘玉は底力を発揮してくれました。そのパートナーが先行するニコンを追って、接戦を繰り広げていたライバル会社キャノンのデジタル一眼というのがまた劇的で面白いと思いました。
背中に午後の傾きかけた陽射しを背負ったいたいけな女子高生はあたかも後光が射したかのように背景から浮かび上がって見えます。また発色もとても素直で好感持てると思いました。

Rokkor55mm_007.jpg
七枚目のカットはまさに今回の訪問の目的である、ミス梅まつりの個人撮影会です。水戸黄門のコスプレヲヤヂの片棒担ぎを終え、控え室だか屯所だかに引き揚げる途中、まさに脱兎の如きダッシュで追い縋り、「あいや、暫し待たれい!」とか声を掛けたら、怪訝な表情の美形のお二方、「是非是非撮らして!観光客が大勢来ることが茨城への支援になるなら、モデルになるお嬢さんがたも、撮ってブログでPRする拙者も、協力して支援活動してることになるんでねーの?」とか説得したら、笑顔でOKしてくれたので、ではお言葉に甘えて♪と撮ったもの。
ね、約束果たしてPRしたでしょ☆

今回の感想としては、う~ん、ミノルタの光学技術恐るべし・・・一応、改造前に当工房で中身を開け、エレメントのクリーニングと内面反射対策、そしてグリスの入れ替えまではやりましたが、恐らくこの年代の標準レンズであれば、日独含め、当時も間違いなくトップクラスの性能ではなかったかと思います。

さて、来週はローテで行けば、工房附設秘宝館のコレクションのご紹介となりますが・・・う~んヘビィローテーション♪

テーマ:旅行の写真 - ジャンル:写真

  1. 2013/03/17(日) 20:54:32|
  2. EOSマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<Gran espíritu de lucha de la minoría~Minolta Super Rokkor50mmf1.8~ | ホーム | 無印良品之王~Cosina55mmf1.2PK~>>

コメント

やはり行かれてましたか、梅まつり

お疲れです。
駅の掲示板に梅まつりのポスターがあったので、行ったかなと思いましたが予想通りでしたね。

それにしてもこの時期のミノルタがすごいのか、はたまた往年のガラスレンズ故の性能の良さかはわかりませんが、2・4・6枚目のピントの合い具合は目を見張るものがありますね。これぞメイドインジャパンという感じで。

7枚目の写真では微妙に向かって右側の女性が輪郭ぼやけている様にも見えますけど、これは立ち位置によるものなんでしょうねえ。

あっしも早いところ気管支炎を直して撮りに行かないとなあと思いつつ、静養してまする。
  1. 2013/03/24(日) 09:41:04 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
あはは、さすがお察しの通りで。
東京駅の東西線通路のポスター見てると近場で面白そうなら、独り身の身軽さゆえ、ついつい、飛んで行ってしまいます(笑)
そりゃそーと、ミノルタのSRマウントの玉、まさに今が狙い目ですぜ・・・
FDがM3/4やらNEX、そしてFuji-Xマウントアダプタの功徳で市中から払底しつつある今、同じくデジ一眼で使えなかったSRマウントの玉が捨値同然で叩き売られているのは如何にも不自然なカンジがします。
実は、この成功に気を良くして、SR⇒EFの3号機まで製造に入っています。
是非、健康を取り戻したら、EOSの二桁D持って、春の関東を撮りに出かけましょう。
でも、それまではムリせず、静養に努めて下さい。
  1. 2013/03/24(日) 23:45:13 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/tb.php/315-072362c8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる