深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Gran espíritu de lucha de la minoría~Minolta Super Rokkor50mmf1.8~

Rokkor50mm.jpg
さて今宵のご紹介は予告通り、工房附設秘宝館からのコレクションの登場になります。
今回のコレクションは今は亡きミノルタが1957年当時の持てる技術の全てを注ぎ込み開発したとも言われるSuper Rokkor50mmf1.8、5群7枚の変則プラナータイプの高性能ライカマウントレンズです。
これまで、RF用のミノルタレンズと言えば、ライツと共同開発されたライツミノルタCL及びミノルタCLE用の40mmf2くらいで、ライツの技術が入っているのだから、良く写って当然とくらいしか思っていませんでした。
しかし・・・EOS20Dの導入により、開発後死蔵されていたRokkor55mmf1.7の実写が出来るようになり、あまりの高性能さに驚き、その直後に行われたICS世界の中古カメラ市でたまたまこのレンズの出物が有ったので一も二もなく、買ってしまったものです。
工房秘蔵のライカマウント国産レンズといえば、黒鉢巻のトプコールS5cmf2が恐るべき解像力と浮かび上がるが如き立体感で、当時の大メーカーであるニコン、キャノンものかわの高性能ぶりを発揮し、著名メーカーだけが良く写るレンズを作っているのではない、と再認識するに到ったのですが、いやはや、今回のスーパーロッコールもこれまで国産ライカマウントレンズの中でも高価な部類に入っていたのは伊達ではないことを思い知らされました。
では、早速実写結果を見て参りましょう。今回の試写は先週末の水戸の梅祭りに引き続き、東日本大震災後の千葉、茨城の観光支援の目的も含め、古河の桃祭りに出かけて撮りおろして参りました。
カメラはLeica M8、絞り優先AE、全コマ開放での撮影となります。

Rokkor50mm_001.jpg
まず一枚目のカット、会場入口の水門金物です。実は長い間関東北部に住んでいながら、館林のちょい先の古河は通ったことが有ったにしても、何らかの目的を持って訪問したことは生まれてこの方ありませんでした。
しかし、毎日の東京駅経由の通勤時、東西線から京葉線へ抜ける通路に貼られている観光ポスターを見るのが楽しみになっており、この梅祭りに心惹かれるものが有って、何と初日に訪問することとなったのです。
駅から乗ったシャトルバスが会場外に着き、特設ステージから流れるハワイアンに心躍らせ、足を踏み入れた際、最初に目に留まったのがこの水門の金物で、シャープネス、発色、背景のボケが全て試せる、佳き被写体として撮ってみた次第。
合焦部のキレ、発色の素直さは云わずもがなですが、背景のボケの美しさと云ったら、これほどシャープなレンズでは稀有かも知れません。

Rokkor50mm_001a.jpg
二枚目のカットですが、会場を鵜の目鷹の目、モデルさんになってくれそうな、気立てと器量の良さそうな小姐を求めて徘徊していたのですが、居ました、居ました、会場本部のプレハブ小屋の後ろで、スタッフの兄ちゃん達と、田舎のラーメン談義にうち興じている、ミス系の小姐2名にロックオンし、ご歓談中の折、卒爾ながら・・・とか声を掛けて、撮らせて貰ったものです。
兄ちゃん達と歓談していた現場を押さえられた負い目からか、或いは田舎でもミスの看板背負っている責任感からか、声掛けてから、シャッター切るまで、この小姐2名はお互いのコスチュームの着こなしから、帽子のかぶり加減に至るまで相互チェックに余念なく、その成果がこのカットとなったということです。
ここでも、合焦した小姐の容姿端麗なお姿がシャープで浮かび上がるが如き描写なのは当然のこととして、特段、驚くには値しない気がするのですが、背景の桃林みたいな非点収差でぐるぐるになって小姐達のプロのお仕事を邪魔してしまうようなこともなく、画面構成を美しく見せる辺りが素晴らしい玉だな、と改めて感心しました。

Rokkor50mm_002.jpg
三枚目のカットは今回のイベント会場での客寄せの目玉と思われる熱気急体験搭乗の様子です。が、しかし・・・先月、エジプトであれほど凄惨な事故が起こったというのに、そのままイベントを挙行し、それに親子連れが行列して乗ろうとするという茨城県人のメンタリティには、少なからず驚いてしまいました。
ピンは黄色いヤッケのスタッフのおっさんに合わせましたが、このレンズの凄いところは、日中の撮影にも関わらず、極めて肉眼で捉えるのが難しいガスバーナーの炎をしっかり描写しています。
また、この画像からでは判別が難しいですが、ゴンドラの網目もひとつひとつくっきりと解像していました。

Rokkor50mm_003.jpg
四枚目のカットですが、会場を徘徊し、童子達のはしゃぐ声が聞こえる方角に足を運んだら、丁度、手押し井戸で水を汲んでいた極小姐二人組みが居て、カメラ向けたら、わ~アタシも入れて~♪、じゃ、お2人一緒に井戸の前で、ということで撮った一枚です。
木陰の井戸の前なので、光の加減はベストとは云えず、従って、いたいけな極小姐お二方の顔色も本来の健康的な柔肌の色合いとはいきませんが、木陰で目にする人肌そのものの発色で、変にデジタル臭さが掛かっていないぶん、見たまま正直な描写と言えるかも知れません。
ここでも、背後の遠景は、滑らか且つ牧歌的にボケており、芝生の上の色とりどりの衣装と相俟って、とても絵画的で面白いと思いました。

Rokkor50mm_004.jpg
五枚目のカットは、将来の井戸端会議の予行演習?をしていた極小姐達と別れ、また会場である古河総合公園内を徘徊している時、遠くに熱気球会場を望む沼のほとりの景色がなかなか味わい深かったので一枚撮ったものです。
このカットでは無限に合わせて気球付近を狙っていますから、目の前の沼岸及びそこから迫り出している桃の枝は前ボケとなりますが、どうでしょう?ここでも決して馬脚を現したりはしていないですね。
手前の沼の中の水草が浮き出た水面や左手の草の生えた岸も、ほわっと蕩けるカンジのボケで、まさに近視の人間が眼鏡を外した時のような極めて人間の視覚に近いカンジのボケを見せてくれているのではないかと思いました。

Rokkor50mm_005.jpg
六枚目のカットですが、沼のほとりを散策していたら、水際で楽しそうにお話しをしていた父娘さんがいたので、ここでも卒璽ながら、ブログネタに協力して下され♪とか声掛けて、娘だけでイイですか?いやいやそんな冷たいことを云わず、お父さんもお願いしますよ、拙者がヘンな人だったらどうするんですか!?とかきつめの冗談かましたら、そうですね、そこまで云われるなら一緒に入りませう、とか冗談とも本気ともつかないやりとりして、モデルさんになってもらったものです。
ここでも、父娘さん両方の表情から肌、そして衣服のテクスチャまで余すところなくシャープに捉えていますが、背景は非点収差による見苦しいぐるぐるは殆ど認められないものの、やや芯が残ったざわつき加減のボケに見えなくもないカンジになっています。
Rokkor50mm_006.jpg
七枚目のカットは人力車体験乗車後の極小姐を車夫さんのたむろする屯所の前で撮らせて貰ったもの。
会場である総合公園の中で唯一の高所、築山の中腹辺りで遊ぶ童子越しに気球の上がり下がりがでも撮ろうかな、とか考えていた目の前をいたいけな極小姐を載せた人力車が猛スピードで駆け抜けて行きました。
こりゃ、格好のシャッターチャンスだわい♪とか思い、せっかくやる気を出した童子にわりぃ、用事が出来た、一人で遊んでて!とか声掛け終わるか終わらないうちに、カメラ2台提げ、久々の全力ダッシュ!人力車が屯所に到着する数メーター手前で横に並び、ほぼ並走し、ゴールイン、息が上がっているのを必死に堪え、い、一枚撮らして、ブログにネタですよ♪とか云ってみたら、周りを取り巻く車夫のおっさん達が、お嬢ちゃん達、凄い人気だよ、元イケメンが写真撮らせて~!とかダッシュで追いかけてきたんだよ♪とか営業トークで巧みにお取次ぎ、和やかな雰囲気の中で撮ったものです。
ここでも、車夫のおっさんは前ボケと化していますが、極めてナチュラルなボケ加減なので、柔和な表情も充分に見て取れるのではないでしょうか。

Rokkor50mm_007.jpg
八枚目のカットはこういうイベント出張撮影ではお約束と化している、ミス嬢の個人撮影会です。
極小姐達を撮らせて貰ったあと、車夫各位にお礼を述べ、また会場徘徊の旅に出て、ひとしきり、人物やら風景やら花など撮り、さて、そろそろ16時も回ったから、バスで駅に戻ろうかいな・・・とか思いながら、人力車の屯所前を通ろうとしたら、ミス桃娘の小姐二名がこれから、人力車に乗って会場巡回の旅に出る!とか云うハナシになってて、そぃぢゃ、出発前に撮らしてよ♪とか直談判し、ポーズ決めて貰って撮ったものです。
実は、このお二方1セットの他に同じコスチュームの二人1セットがもう一組居られるのですが、今回はこちらと相当ご縁が有ったようで、桃林の前で一回、人力車上で一回と結局二回も撮ってしまいました。
ここでは、M8もきれいな若い小姐(ヘンな使い方ですが・・・)に照れたワケでもなく、白いタスキに測光を惑わされ、アンダー目の露光になってしまいましたが 、それでも、若くて溌剌した、気立ての良さげな雰囲気は充分伝わってくるのではないでしょうか。
また、ここでは背景の林のボケはなだらかで、いかにも絵画的です。

今回の感想としては、ミノルタ恐るべし・・・あのあほんだらハネウェルとの訴訟で多額の賠償金を支払う羽目にさえならなければ、日本のカメラ業界はもっと面白い展開になっていたのでは?としきりに残念に思った次第。

さて、来週は、攻守交替、工房作品いきます。乞うご期待!!

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2013/03/24(日) 19:59:52|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

なんか久々にCさんの本領発揮って感じで
レンズのボケの素直さとシャープさかあいまって
やさしい写真に仕上がっていると思いました。

ここまて゜ボケが素直なレンズは
なかなかないですよね。

被写体が自然な感じて
特に人力車のカットが素晴らしいと思いますよ~~~~

  1. 2013/03/25(月) 21:06:36 |
  2. URL |
  3. やまがた #-
  4. [ 編集]

Yさん
有難うございます。
このレンズは久々にお金を出して買う価値の有る銘玉だと思いました。
シャープなだけなら幾らでも有りますし、今日びは一見シャープのようで、実はコントラストと彩度を上げているだけで拡大してみたら馬脚が出た・・・なんてのもありますが、ここまでシャープさと発色の素直さ、そして前後のボケのなだらかで美しい、バランスの良い玉は珍しいのでしょうね。
この数十倍も値段が高いのに背景がぐるぐるになって見苦しいような玉を珍重する向きもありますが、小生には美しく写らない玉に高いお金を払うという趣向が到底理解出来ません(ホントは買えないひがみ???)
  1. 2013/03/28(木) 00:07:09 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

幻のミノルタ・スカイ用レンズといって良いほどの先進的な距離計連動用のレンズだったのでしょうか、次の世代を担うようなレンズだったのでしょうね。

このレンズも、先の一眼レフ用のように背景ボケが明快という気がしました。

ミノルタは、国内よりも海外の方が人気があったような感触がしますが、レンズも中庸な旭光学やプロ用に重点を置いた日本光学との中間的な存在というような気も…。

これもピントは良いし、でも先日の55mmf1,7一眼用のエッジ際立った描写よりも少々柔らかい気もしました。

前後にボケを配する時にはとても魅力的なレンズだと思いますが、色がちよっと渋いです。これは好みの問題かもしれませんね。晴天だったどうなのだろうという興味も湧いてきます。あるいは、外人さん向けの色調整なんてことないでしょうか、この頃のミノルタカメラの海外出荷依存度なんて気になりました。
  1. 2013/03/29(金) 02:48:35 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

確かにこのレンズ、実は相当変わっていて、Lマウント用より設計というか実機化が早いSuper Aとかいう半レンズ交換式のレンズシャッター機の玉は何故か、緑の反射が有る擬似マルチコート、即ちアクロマチックコートなのですが、それより後にL39用にリニューアルした本製品は同時代のキャノンやライツなどの玉と同じようにブラウン&パープル系のコーティングなのです。

で、本題。何故、擬似マルチコーティングのMCロッコール55mmf1.7と殆ど同じ構成、硝質のはずなのに、何故向こうの方がシャープに見え、発色も彩度が高めに見えるのでしょうか?

それはひとつにEOS20DのCMOS撮像素子とM8のコダックのCCD撮像素子との前面補助光学系も含めた光学特性との相性が大きいのではないかと見ています。

一般的にコダックのCCDは青の感度を上げるためにシリコン化合物であるフォトダイオードのB相当の単素子にインジウムスズ化合物をドープしているような話しもありましたし、日本メーカーはその青の感度補償は電気的にやっているのでしょうから、そのあたりも微妙なマッチングに関わっているのかも知れません。

でも・・・ミノルタの古レンズが小生の心の琴線に触れたのは間違いなく、2000円~3000円も出せば、そこそこキレイな玉が買える現在、先月から今月にかけて、MC,MDで28~58mmまでで7本近く買い込んでしまい、標準シリーズはf1.7に引き続き、f1.4が完成間近、f2もマウントパーツ待ちの改造予定です。
  1. 2013/03/30(土) 23:35:57 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

やはり日本製レンズはすごい。

さっきビオターの作例を見た後だからでしょうが、ボケがうるさくないし、見ていてどの作例も飽きませんね。

色合いも自然で、変な色かぶりとか起きてませんし、こういうのを見ると日本製のマニュアル一眼レフ用レンズでNEX-7用に一揃いセットしたくなりますね。
折角整理したというのに(笑)

しかもあのM8で色が破たんしないというのは大きな発見だと思いましたよ。
これでライカ(おそらくL?)マウントと言うのが素晴らしいですわ。

ミノルタのレンズは素晴らしいものが多かったと聞きますが、これもそうだと思いました。
  1. 2013/04/07(日) 17:41:31 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

確かに一般則で云えば、レンズは新しい方が、設計技術も硝材の種類も多くなりますから、同じようなパッケージングであれば性能は良くなってしかりです。

しかし・・・90年代以前の国産レンズに関して申し述べれば、大凡、後のモデルになればなるほど、コストダウンとか小型軽量化の目的でイメージサークルについてもギリギリまで絞り、或いは検査基準のストライクゾーンの面積を拡げた結果、それほど性能の良くないものも出回るようになったのか、前のモデルの方がガラスをゆったり使っているカンジで、感覚的には隅々までクリアに写ることが有るようです。

翻って、この旧ミノルタ製品ですが、おそらく、同時代の国産レンズは勿論のこと、ライツ、ツァイスの同カテゴリーのものより優れているのではないか、と思いました。

シャープネスではキャノンやトプコールの50mmf2クラスのものも比肩し得るのではないかと思いますが、色バランス、画面内の画質均質性、そして前後のボケの気持ち良さ、敵うものはちょっと見回しても見当たりません。ホント、前回のICSで佳き買い物したと思っています。

見つけたら即買い!と自信持ってオススメ出来ますね、この玉は。
  1. 2013/04/08(月) 22:45:23 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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