深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A Princess from injury box~MC Rokkor28mmf3.5mod.EF~

Rokkor28mmmod_EF.jpg
さて、今週のご紹介は、ちと予定が変わり、工房作品のご紹介いきます。
モノは、ご存知、MC Rokkor28mmf3.5でヂャンク扱っている中古カメラ屋さんであれば、昨年くらいまでは結構目に付く玉でした。
先にご紹介した55mmf1.7同様、会社が写真関連から一切撤退してしまっているので、カメラの発売年とそれに装着されていたレンズの特徴から、このレンズの発売年を推定するよりほかありませんが、X-1やX-Eに近似したデザインのRokkorレンズ群が装着されているのをよく見かけますから、このレンズも1970年代初頭とみれば良いでしょう。構成は"SG"の名の示すが如く7群7枚のレトロフォキュタイプです。
では、早速実写例みて参りましょう。昨日、今日と雨だったため、先の古河桃祭りからの秘蔵カット?です。
カメラはご多分にもれず、このところ出動回数の多いEOS20Dでの絞り優先AEでの開放撮影です。

Rokkor28mm_01.jpg
まず一枚目のカットですが、前回ご紹介した方々とは別の組の「古河桃娘」の小姐各位です。
実は、このレンズ、短いフランジバックの関係でEOSマウント化がなかなか難しく、この当時はまだ無限まで辿り着くのが難しく、だいたい10m程度までしか無限が届かないことが判っていたので、それならば、ということで近接の人物スナップで攻めたわけです。
28mmf3.5という一見しょぼいスペックではありますが、実写結果はほれこの通り、背景は綺麗にボケてますし、小姐達は髪の毛の生え際までシャープに描写され、その切り立った輪郭は立体写真を彷彿とさせます。

Rokkor28mm_02.jpg
二枚目のカットは「古河桃娘」さん達の屯所からお礼を言って離れ、園内を散策中に真紅のバラみたいな梅が目に留まり、しかもその背景が牧歌的な里山風景だったので、キレとボケを味わうべく、最短に近い位置でその梅の小枝を撮ってみたものです。
ここでも、真紅の梅は切り取ったかの如くシャープに描写されていますし、その背景はと云えば、良くありがちなぐるぐるや2線ボケもなく、上手い油彩画のようなテイストでのボケと化しています。
正直、40年も前のテクノロジー侮るべからず、と思いました。

Rokkor28mm_03.jpg
三枚目のカットは園内中央付近の築山の麓で、近場の枕木にピンを合わせて、上にいくほど段々にボケていくという空気遠近法の応用を試してみたもの。
まさに無限方向が苦手状態のレンズ活用の苦肉の策ではありましたが、ここでも、このレンズの行儀の良さを再確認することなりました。
広角レンズには有りがちな四隅の流れや崩れなども認められず、APS-Cの撮像素子ながら、広角らしくなかなかダイナミックな構図となっているのではないでしょうか。

Rokkor28mm_04.jpg
四枚目のカットですが、築山の下の南方向にも沼があり、その畔にかつての古河公方屋敷跡を表す花崗岩の石柱が立っていたので撮ったものです。
ここでも、石畳状の足元を撮ってみて、四隅の流れ、歪みをチェックしましたが、全くと云って良いほど認められず、ただ、気になったことと申せば、背景の石柱と建物の廊下の柱が少々流れ加減のボケとなったことくらいです。
全般的には、曇天下でモノトニーな光景をシックに描写しています。

Rokkor28mm_05.jpg
五枚目のカットですが、「公方広場」の脇の建物の吹き抜け廊下でセミシルエット化している親子が居たので、少し離れたところから、逆光のテストも含め、知らばっくれて撮らせて貰ったものです。
ここでは、やはり「緑のロッコール」の通り名に恥じない国産初のマルチコートが威力を発揮し、このようなシーンでも一切の露出補正無しで人物のデテールまで把握出来るほどしっかりと描写出来ます。ただ、若干、右上の屋根が流れるほどにはいかないまでも結像が甘くなっているのが気になったくらいです。
或る意味、このEOS20Dの露出の正確さに助けられているところも大きいのではないかと思いました。
まさに往年のライバルが手を組んだ成果だと思いました。

Rokkor28mm_07.jpg
六枚目のカットですが、先に撮らせて貰った「古河桃娘」人力車組の出発風景を斜め後ろから追い縋って撮ったものです。
ここでも"近距離に強いレンズ"の威力を遺憾無く発揮し、桃娘さんの髪飾りを付けられた髪の生え際からうなじまでジャストミートです。
一方、20cmも違わない位置なのに、人力車後部脇の提灯はボケボケです。
ただ、このカットでは背景の樹木の枝が、非点収差の悪戯か少しぐるぐる加減で残念です。

今回の感想としては、ヂャンク棚で誰にも顧みられることがなく置き去りにされていた美しいRokkorが、永年のライバルの助けを借りて、その佇まいに違わぬ描写を見せてくれたのでは、と思いました。

なお、無限方向の再加工は昨日完了し、月面までシャープに写るくらいに改善されました。

さて、来週はGWで一周飛ばし、帰って来てからの特集をお楽しみに♪

テーマ:日本の祭り - ジャンル:写真

  1. 2013/04/21(日) 21:05:41|
  2. EOSマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

国産で現代に近いほど、個性を忖度しずらいです。だからなのか、国産のこのテは国内でも意外と良品が安かったりするのだと思います。今は円高だし、現代へ橋渡しになるような評価できる国内回帰が進んでほしいものです。(ここらで「輸入超過」になると資金的にも今後がこわそうなわたしもハンセイ…)

フルサイズでない20Dでの実写だそうなので、更にムツカシイですね。

でも、実はわたしの最初に新品で使い始めた一眼レフレンズは、50mm標準レンズ代わりに28mmf3.5を使っていたので、最近一連の「28mmf3.5特集」は懐かしい気持ちでした。


レトロの硝子空間の大きい特徴かどうか、色味があっさりした感があります。その辺が、わたしが使っていた濃いめのSMC-Pと違ってます。しかもあのアンジェニューとも違いますが、硝子へのおカネの掛け方の違いでしようか???(レンズ構成も変わっていますね)

一枚目と最後のカットの少々荒れ気味の背景が、モノクロで使用しても適度な背景分離を誘発して、カラーでも微妙な露出加減で背景の際立ちから前景をきちんと分離できるという、広角でもボケ感を十分に楽しめる良品だと思います。あとはこのボケ癖を許容できるかどうかが絞り込むかどうかにかかっているような。


昨今の大口径ズームだと、背景はひたすら滑らかか形状の不明な歪みのような印象しかありませんし、もっとも今日では、28mmクラスで背景ボケを楽しむ写真も少なくなってきたかもしれませんね。
  1. 2013/04/25(木) 03:40:04 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

M3/4やら、NEXやら、当工房でも導入済のX-Pro1やら、実質的にマウント制約が皆無のミラーレス機登場のお蔭で、今までジャンクも完全可動品も似たような値段で並べられていた(≒買う人が居ない)国産のセミクラッシックレンズが急に脚光を浴び、広角と大口径単玉を中心に急速に店頭から姿を消しているのは、もう既にお感じのことと愚考致します。

が、そのセミクラシックレンズの中でも人気には濃淡あり、会社が存続しているニコン、キャノン、ペンタックスなどは全般的に相場も上がり基調で、焦点距離別でも歯抜けが出だしてきたのですが、こと会社自体がカメラから撤退してしまったようなところのものは、概して人気が無かったようです。

その際たるものが、今般のRokkor一族であり、真面目なモノ作りがシェア拡大競争に巻き込まれていくうち、だんだん堕落していくという傾向を顕著に見せながら、とうとう消えてしまったため、それが良品でも同じ焦点、開放値のペンタックス、オリンパスの玉以下の値段などという体たらくであった由縁ではないでしょうか。

しかし、モノは試しとは云ったものです、最初にRokkor55mmf1.7のヂャンク寸前のものを買って帰り、それをEFマウント化しようと思わなかったら、そして改造完了し、EOS1DsMKIIに装着しようとしたら、シャッター切れなかったので、いつもの短気を起こし、部屋の下を流れる運河に投げ込んでいたら・・・きっとこの28mmf3.5も、またこの後に控えるPlanar50mmf1.4もSumilux50mmf1.4をも凌駕し得る国産の雄を改造することもなかったと思います。

そういった意味では、ほんの気まぐれで買ったEOS20Dが素晴らしいレンズ道楽ライフの第二章の扉を開けてくれたといっても過言ではないかも知れません。

このブログを楽しみのして戴いている方々にも、気まぐれが新たな感動と好奇心へのゲートウェイとなることも有ることをお伝えしたかったのです。
  1. 2013/04/25(木) 23:10:30 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

何だかねえ・・・。

ここでこういう作例出ると、中古市場でロッコールが払底するかもしれませんよ(笑)

それにしてもMマウントロッコール50mmと言い、ヘキサー35mmと言い、コニカは性能の良いレンズを作っていたのに、カメラ業界から撤退したのが惜しまれますねえ。
  1. 2013/04/29(月) 19:52:56 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:何だかねぇ・・・。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

そうなんですね・・・何で辞めちゃったのかなぁ?
このミラーレス全盛期にレンズ供給だけでも残しとけばブランドイメージも保てたのにねぇ・・・かつてのカールツァイスみたいに。

しかし、この往年の両雄合作の写真機事業を買い取った今のS社では、良いレンズはあくまで自分とこの使い捨て電子機器の販促ツールであり、それ自身もプラ製機構部品など多用し、かつての高額耐久消費財であったレンズとは別物の思想で作られているようですから、ボディは移り変わっても、レンズだけはいつまでも大切に使い続けられていく・・・という事はもはや夢のまた夢になってしまったのでしょうね。蛇足ながらN社のD7XXXのセットレンズでさえもはやプラ製マウントですから・・・・
  1. 2013/05/02(木) 00:05:48 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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