深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A messenger from golden age ~Fujinon55mmf1.8~

Fujinon55mm.jpg
ババンババンバンバン♪ ババンババンバンバン♪てな景気の良いメロディが流れてきそうな、今宵のご紹介は、予告通り、工房附設秘宝館からの久々の登場、Fujinon55mmf1.8です。

このレンズ、今やミラーレスの台頭で、世界中で品薄になりつつあるM42レンズの中にあって、気の毒なほど注目されていなかったようです。

重厚な金属削り出し鏡胴にランタン系と思われる新種ガラスを贅沢に使い、佇まい、性能とも今でも一級品として充分通用してもおかしくない筈なのに、先般の世界中古カメラ市でも誰にも顧みられることなく、"ご奉仕品"コーナーにこれまたキレイなFujica ST701Bとセットされ、かなりのお手頃価格で並べられていたにも関わらず、最大の人出を記録したという土曜日の19時前になっても動く気配がなかったほどです。

そこで、C曲商会の社長に直談判してご好意でレンズのみ適価というか、出血大サービス価格で譲って戴き、家に連れて帰ったという次第。

1970年代初頭に作られて、齢40をとうに越したこの隠れた銘玉は、富士写真フィルムが自社のM42マウントの一眼レフSTシリーズ用として開放測光可能な、M42発展系のSTマウントレンズとして発表したシリーズの標準レンズで構成はオーソドックスな4群6枚の変型オーピック型です。

今回の試写はアダプタ経由EOS1DsMKIIによるフルサイズでの絞り優先AEの開放撮影です。ロケ地は久々の深大寺です。

Fujinon55mm_001.jpg
まず一枚目のカットは深大寺城址へ向かう道の紫陽花です。

深大寺についたのは、家の細々とした家事を片付けてからの出発だったので15時も半をゆうに回っており、閉園時間と日照角度、そして色温度から、深大寺城址での撮影から優先させねばならないため、バスを降りてすぐ、坂を上り、城址を目指しました。

すると、坂の途中でいたいけな若い小姐が少し先を喧しく歓談しながら歩いており、このお二方を上手くモチーフに使って撮れないものかと考えながら後をついて歩いていたら、ちょうど、石垣の下から色鮮やかな紫陽花が咲いていたので、小姐2名にはバックのボケとなって戴き、主役紫陽花で纏めたということです。

合焦部分は文句の付けようはないですが、後ボケに関しては、遠景のバスの窓サッシで顕著ですが、かなり二重線傾向の硬いボケ傾向のようです。

Fujinon55mm_002.jpg
二枚目のカットは閉園45分前、閉門15分前に深大寺城址へ辿り着き、早速、被写体を物色し、足元に健気に咲く、いかにも清楚なカンジの白い花が目に留まり地面すれすれにカメラを構え、その姿を捉えたものです。

合焦部の白い花は云うまでもなくキレイに捉えられていますが、何よりもこのカットが面白いと思ったのが、前オフフォーカス部分の円周状のまったりとしたボケの描写です。

Fujinon55mm_004.jpg
三枚目のカットは、偶然の僥倖というか、全く夢にも思ってもみなかったのですが、ちょうど満開だった蕎麦の花の図です。

いつものAPS-Cサイズでの撮影ではなく、フルサイズによる開放撮影でも、四隅までしっかり描写されているところに好感が持てました。

ここでも、可憐な白い蕎麦の花畑は余すところ無くその風情が描写されていると思いますが、やはり、背景の「この樹、何の樹?」は荒々しい後ボケと化しています。

Fujinon55mm_005.jpg
四枚目のカットは、いつものお馴染み、館跡の基礎石列の図です。

ピンは手前の石の上面の奥側エッヂに合わせていますが、カリカリしているワケではないですが必要且つ充分な情報を捉えています。

このカットでは、背景の列石は比較的なだらかなボケと化しています。

また、午後の傾き掛けた陽光を浴びた芝生と磨き上げられた黒御影石の質感、色合いを絶妙に描写していると思いました。

Fujinon55mm_006.jpg
五枚目のカットは城址での撮影を一通り終え、下の水棲植物園を撮り回った時、西側通路の傍らに咲く紫陽花の
花越しの園内の風景を捉えたものです。

カリカリというほどではない程良いシャープさもさることながら、コントラストは充分高いにも関わらず、紫陽花の淡い色合いと背景の緑のバランスが印象的に描かれているのではないかと思います。

ただ、木製の橋はかなり凄まじい崩れ加減で、橋と知っている人間にはかろうじて橋と認識出来ますが、素材はおろか形状さえほど原型を留めない状態です。

Fujinon55mm_007.jpg
六枚目のカットは、閉園間際の水棲植物園を後にし、メインストリートである門前茶屋通りに向かう途中、いつもの撮影スポットのひとつである、八起茶屋さんの蹲の図です。


午後のこのくらいの時間になると、木漏れ日とタングステン光のミックスで、とても良い案配にこの水成岩削り出しの蹲を絶妙のライティングで照らし出すのです。

ピンは向かって右側手前の石の内側エッジに合わせていますが、ここでもとても鮮鋭でリアルに描写しています。

またこのくらいの距離と構図であれば、荒々しいボケも目立たず、まとまった作画となったと思います。

Fujinon55mm_008.jpg
七枚目のカットはお待ちかねの声掛け運動、美少姐のスナップです。

半年以上、深大寺からは足が遠ざかっていましたが、いやはや、こんな美形が茶店の看板を勤めていたとは・・・

このところの常套手段ではありますが、一番安い「蕎麦まんじゅう」を一個買って、そのついでに一枚撮らせてね♪と持ちかけると、こんな商売をやってるだけあって、ビジュアル的にも相当自信有るのでしょう、かなり撮られ慣れたご様子でこのポーズです。

あくまで個人的感想ではありますが、この美小姐、これまで撮影の応じて戴いた茶店娘の中で、歴代最強、競合並み居る浅草のきび団子娘達に遠征試合を挑んでもまず負けることはないだろうと確信致しました。

願わくば、また別のレンズで何枚か撮らせて戴きたいです♪

Fujinon55mm_009.jpg
八枚目のカットはいたいけな極美小姐にモデルさんになって頂いた八起茶屋さんのお隣の深大寺窯店頭に飾られていた陶製風鈴の図です。

個人的には、磁器とか、ガラスみたいな元々硬い質感を持つ被写体を撮る時は、このくらいのシャープネスが心地好いのではないかと思いました。

お店がもう時間で店仕舞いのため、暗くなっていて、ちょうど良い背景となったのではないかと思いました。

なお、この風鈴を吊るしている紐が2本に見えるのは、2線ボケではなく元々2本で結わえてあるのです、念のため。

今回の感想ですが、40年前のレンズとは云いながら、フルサイズのデジタルでここまで写るのはさすがです。

ただ、国産の50mmf2クラスで最強かと云えば・・・そうではなく伴走機50Dに付けていた、ケロケロレンズの凄まじくバランスの良い描写が際立ったというのが本音の感想ではありましたが・・・お祭りシーズンに登場しますので、乞うご期待。

さて、次回も工房附設秘宝館から、今回同時テストした玉の描写をお送りする予定です、これまた乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/06/17(月) 00:09:38|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

昔の、写真工業のM42特集だったか、フジノン85mm f?が、かなり高いコントラストで印象深かったですが、これもビシッときていますね。
28mmf3.5も、大倉某氏・モノクロでの見事なコントラストを見せた作例を記憶しています。

いつもながらですが、この55mmはタクマーとソックリなので、同じ生産ラインに乗ったことがあるのではないかと、妙な想像をすることが多いです。

もともと数が少ないのか、わたしも一本しかフジノンM42は所有していませんが、コーティングは違うものの、やはりこれもタクマーに外形はそっくりです。


これだけコントラストがあってさっぱり系だったら、やっぱり最後のカットがわたしも好みです。

(・・・件のモデルさんはどのようなレンズが最良か、沢山レンズを所有していれば、そんな事を考えるのも楽しいものですね。)
  1. 2013/06/20(木) 20:22:52 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

実は一眼レフ用の富士の玉はこれが初めてで、クリスタの試作品が2本、L39フジノンの50mmf1.2のプロトが一本、そしてL39通常品フジノンが50mmf2とf2.8があるのに、自分でも意外な気がしました。

尤も、M42の玉はアサペンと東ドイツないしロシアのものしか買ったことがなかったので、この掘出物は小生にとってのかなりの新機軸と言っても差し支えないかも知れません。

ただ、写りに関していえば、やはり、良く出来たロボット暗箱、EOSデジタルの素質に負うところが大きいと思います。

24x36のCMOSはまさにデッドフラットで、銀塩機の圧板でフィルムを押さえて感光させるのに較べれば、受光面での反射は考慮しても、やはりレンズの性能をシビアに引き出すのではないかと思いました。
  1. 2013/06/21(金) 23:06:17 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

安定のフジノン

X100を使っていて、フジノンレンズの魅力は何となく見えていたつもりでしたが、こういう形で使うとまた違いますね。
この作例を見ていると色合いもベルビアっぽい時があり、デジタルカメラとの相性も悪くないなと思いました。
でも古いフジノンレンズって中古であまり見かけないんですよね。あるところにはありそうですが。
  1. 2013/06/26(水) 21:40:34 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re;安定のフジノン

有難うございます。
まさに写真の主語はレンズであり、そのレンズが100%に近い性能を発揮出来るのが、プロ仕様のフルサイズデジタルではないかと思います。
そんなEOS1DsMKIIとのマッチングがフィルム時代には精彩を欠いたレンズの魅力を引き出したのではないかと思いました。
なお、M42フジノンの良いものは、上野方面にそこそこあるみたいですよ。
  1. 2013/06/27(木) 23:44:33 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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