深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

初夏開運☆深大寺蕎麦喰い隊'13

さて今宵のご紹介は先週の予告通り、6月末にぷらっと出かけた深大寺蕎麦蕎麦喰い隊のイベントからのアップとなります。
今回の機材は1~4枚目までは前回の浅草ロケで驚異の高性能ぶりを発揮し、今後、中古市場での払底も懸念される絶滅危惧種"Carenar55mmf1.7 by Petri"なのですが、5枚目からラストまでは、1960年代終わりの国産57mmf1.2を深川でMマウントアダプタを作成し、先のPetri製レンズ同様X-Pro1で絞りAE優先での開放撮影したものなのです。
追々本編でレンズの氏素性共々ご紹介しますから、今暫しお待ち下さい。
では早速実写結果を追って見て参りましょう。

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まず一枚目のカットは深大寺山門から、ターゲットのお蕎麦屋さんに隊員と移動する際、不運にも工房主の眼に留まってしまったいたいけな駄菓子小々姐の麩菓子一気喰いの図です。
この日は天気も良く、ご両親もキブンが宜しかったのか、撮影を申し出たら、なんとこの実の娘さんである小々姐に「ほら、写真撮ってくれるってんだから、ポーズ決めろよ!!」とか素晴らしい協力体制ぶりです。
この健気な小々姐も思い切りが良いというかノリが良いというか、一発目のカットで親御さんから、ちゃんとカメラ見なきゃダメぢゃないか!とかダメ出しされたこともあり、ニカット目はこの鬼気迫る勢いでの麩一気喰いです。
やはり、カリカリではないものの、見た目に忠実に描写するPETRIの忘れ形見は、こういうシーンでは本当に頼もしい相棒だと思います。

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二枚目のカットは食事後、腹ごなしと、茶店の美小姐店員さんに逢う前のココロの準備体操も兼ね、隊員各位も引き連れ、何と入場料を500円も徴収するという都立神代植物園に入り、リアル花々と概念的な比喩の上での花々の両方を撮るため、徘徊している際、芝生大広場の入口付近で見つけた白い可憐なリアル花を撮ったもの。
最短距離での純白の花は勿論、クリアかつリアルに描写されていますが、その背景は各種収差が入り乱れた、えもいわれぬぼわっとしたボケと化しています。
こういうシーンは近距離での爆発的収差が魅力的?なProminar50mmf2と一騎打ちさせてみれば面白かった!と後から悔しがることしきり。

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三枚目のカットは芝生でほぼ名物となりつつある「親子シャボン玉アワー」をまた見知らぬ家族が楽しんでいたので、その家長殿にかくかくしかじかでござるから、しゃぼん玉といたいけな童子の図で撮らせてよ♪と頼み込み、しからば!とのことで何枚か撮らせて戴いたうちの一枚。ホントは小々姐の斜め前から、可愛いご尊顔がばっちり写ったカットも有って、親御さんからは掲載許可も貰っていますが、秘すれば花という言葉も有り、概念的な花は想像力を働かせた方が数倍美しくなることも有り得べしなのでこのカットを採用した次第。
背景は若干ざわついていますが、身の回りのシャボン玉が被写体からの位置により色々な描写になっていて面白いと思いました。

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四枚目のカットは蕎麦喰い隊にゲストとして参加された日本写真会の長老Kさまからのご依頼により、木陰で休息を取るいたいけな双子ちゃんを陽光燦々たる芝生上に駆り出し、将来のことも考えたのか、色々と難しい注文をつけて、表情を引き出しながら撮っている姿を横から借景したもの。
このカット、若干フレアがかって見えますが、それでも、ノーフードでの開放でピーカンの芝生の上のカットですからねぇ・・・
個人的には、この幼子達のまとう微かなヴェールの如きフレアが柔らかさを演出して、このレンズやるなぁ☆と思ったくらいです。
余談ながら・・・Kさまと工房主らが、このいたいけな双子ちゃんをワーワー云いながら取り囲んで撮っていたのを、もう一組の中学生から小学生くらいの姉妹がじっと見ながら羨ましそうな表情を浮かべていたのが印象的でした。
声掛けようかとも思いましたが、ヲヤヂさんが、あまりのコワモテだったので腰が引けちゃったのです(苦笑)

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五枚目のカットは神代植物園から、そろそろお茶しながら茶店のキレイどころさ見っぺか?というノリで隊員各位と深大寺境内を撮りながら移動している時に、池を眺めて思い詰めた表情の極小姐のいたいけなお姿が眼に留まったので、傍らの親御さんに話しをつけて撮らせて貰ったもの。
ここから、某57mmf1.2のモンスターレンズの登場です。
これで正真正銘の開放撮影なのです。斜め横からの入射光によるクレセント状フレアを避けるため、浅いフードこそかましてますが、基本は、来着後、マウント修理と前後の玉をクリーニングしたままでのこの実力です。
実は台湾で国産最強の標準、計測性能ベースではノクチ50mmf1.2の225万番台のものをも凌駕するのでは、との下馬評も名高いCanon N-FD50mmf1.2Lをアダプタ経由X-Pro1で撮影していますが、輪郭のシャープさ、コントラストの高さ、発色のバランス良さ、どれをとっても日中のスナップではこのモンスターどころか、曽祖父格のFL58mmf1.2にも敵わないくらいでした。

シャープネス、発色バランス、立体感・・・全てにおいて、真の国産のノクチキラーではないかと感心してしまいました。

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六枚目のカットはおなじみ「八起」の超絶美茶店小姐です。
もう云うことないですね、元々の美しさにかて加え、表情の作り方等々、ご自分の魅せ方を120%判っていらっしゃる☆
こんな至近距離でも心優しいモンスターレンズは「美しい人はより美しく」その魅力を余すところ無く描写しています。てか、このフレーズ、ライバル会社のぢゃないですか!?

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七枚目のカットはここも定点観測ポイントと化しつつある、「八起」さんの庭先の蹲の図です。
お店でお茶とお菓子をご馳走になり、この美小姐店員さんを思い思いに撮らせて戴いて、深大寺城址公園に向かう道すがら撮ったものです。
夕陽が似合う情景こと深大寺城址はまだ15時半では午後の陽光が燦々と輝いている時刻ですが、ここ深大寺茶店街は木立の中ということもあり、この時間から、補助光源としてタングステンライトで庭先を照らしているのです。
ピンは画面向かって左側の石のふち、ここと同一焦点面のみシャープに描かれ、それ以外はややクセのあるボケと化しています。

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八枚目のカットは深大寺城址での撮影を一通り終え、次いで下の水棲植物園での撮影を行おうと隊員各位と移動し、赤紫の微細な花の向こうに見えるあずまやがどのように後ボケと化すかを知るために撮ったものです。
その結果は百聞は一見にしかず、新しい設計である筈のAi-Nikkor50mmf1.2やら、Cosinon55mmf1.2の開放での軟調の描写は何なのだろう!?と思わず首を傾げてしまいたくなるほどでした。
背景のボケは若干芯が認められはしますが、まぁ、鑑賞上煩いというほどでもないように個人的には思いました。

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九枚目のカットですが、そろそろ解散の時刻も近づいて来たため、もう一箇所くらい撮ってからお開きにすっぺ♪との声に応えるかたちで、閉館間際の水車資料館に赴いて撮ったものです。
ここでも、被写体ブレを考慮し、はなから水車は画面構成の小道具として使うこととし、むしろその補色であり、且つ秋の主役なるも初夏は所在が頼りなさげなまだ青々としたもみじの葉をモチーフとして撮影しました。
ここでも、稀代の大口径モンスターレンズは最後の一発をバシッと決めてくれました。
背景の茅葺屋根のハイライト部に垣間見られる口径食の痕跡が巨大なレンズでのスナップを表すくらいのクリアでリアルな描写だと思いました。

今回の感想としては、やっぱり、シーズンオフでも撮影スポットの財源は定期的に訪れて、定点観測しなきゃならんなぁ・・・ってこと。

しかし、この万能に近いモンスターレンズ、海外ロケまで連れ出すか?と問われたら、色々と厄介なことがありそうで考えてしまいそうです。

来週は、恒例、日本の夏祭りシリーズ第一弾"成田祇園祭2013"から、傑作選をお届けします。乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/07/07(日) 23:37:31|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

セレナーも良いけど、もう一つの方も良いですね。

Charley944さん
お疲れです。

4枚目のカットを見て、セレナーでも肌色がきれいに出るなと思ったのですが、6枚目を見たらより自然な色の出方になっていて驚きました。
これもジャパンオールドレンズなのでしょうけれども、びっくりするほどきれいな色彩ですね。

昔の日本はこういうモノづくりをしていたのですねえ。
ISO14001だの9001だの認証を取得してもこういう製品作りには何ら反映しない気がしてなりません。
画一的なものはできるのでしょうが、こういうモンスターレンズはもう出てこないでしょうねえ、今の日本の生産現場ですと。
  1. 2013/07/08(月) 20:55:14 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:セレナーも良いけど、もう一つの方も良いですね。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
Carenarの驚愕の性能は先週つまびらかにされてはいますが、今回の深大寺でも遺憾なくその描写力を発揮してくれたということで、これはこれでとても貴重なことだと思います。

さて、もう一方のレンズは、事情が有って、その素性を明らかにすることは今はまだ出来ないのですが、このクリアでリアルで鳥肌が立つような描写が60年代末の国産のf1.2の玉の開放なのですから、種を明かせば、あっという間にオイルショック前の日本製レンズを投機対象くらいにしか考えていない中華圏の連中の餌食になってしまうだけですから、今暫しご辛抱を・・・苦笑

しかし、この現代レンズも羨むような高性能で個性的なレンズを世に送り出したメーカーは何れももうこの世にはありません。

まさにこれが大東亜戦争で日本が負けた原因且つ、バックヤードビルダーから身を起こし、今世紀、世界最大のカメラメーカー且つ、元国営製鉄と元冶金財閥系製鉄会社が合併してもなお、売上高、経常益でも及ばない超大企業になったC社隆盛のセオリーでもあるのです。

要は、個々の要素技術で優れていてもシステム工学に裏付けられた全体的戦略に欠けるプレイヤーはいつも中長期的には劣位となり、何れは破れ退場せざるを得ないという非情の掟です。

日本もドイツも個々の戦術兵器は優れ、名将と呼ばれる指揮官も複数存在したのに、戦争を総合的見地からスケジュール化、定量管理化し、それらに基づいたリソースの時間的、地理的最適配分という戦略が立てられなかったので、しまいに力尽き、負け去ったというのです。

翻って、まさに大量生産化、電子化、ユニット・アッセンブリ化による熟練工不要化でコストを下げ、大量のCM投入で市場を席捲されたら、ただひたすら情熱と技術力で勝負!という真面目なメーカーはひとたまりもありませんでした。

因みにC社の合理主義は戦勝国米国から帰化し、日産の顧問となったゴーハム克人というデミングプログラムの伝道師みたいな方からの指導によるものということです。

でも、ブランド戦略でニッチ市場を生き永らえたライカ社みたいなしたたかさを持つ国産光学メーカーも有ってもイイと今でも思っています。
  1. 2013/07/08(月) 22:45:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

素性を明かせないほう、
ちょっとmixiのメッセあたりでお願いしますw
  1. 2013/07/11(木) 14:40:43 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

JYさん
カメレス申し訳なし。
例のブツ、惜敗だったようで、残念でしたね。
でも、ご縁があれば、適価で舞い込んで来ますって♪
  1. 2013/07/17(水) 21:28:05 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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