深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

袖触れ合うも他生の縁~成田祇園祭'13ツアー~

さて、今回のアップは成田から先の某所からのレポートからだとばかり期待されていた方々には大変申し訳ありませんでしたが、飛行機に乗る前週に出掛けた「成田祇園祭2013」からのご紹介です。
いやはや、今回は前の晩、金曜夜9時に完成した徳国製トリプレット"Kino-Hyper50mmf3"の試運転も兼ねての成田入りだったのです。
11枚目を除く全カット、予備役である筈のR-D1sが未だ第一線級のスナップマシンであることを図らずも証明することにもなってしまいました。11枚目のみ、伴走機のX-Pro1、工房製アダプタの確性試験を兼ねてのKonica Hexanon35mmf2.8での撮影です。

Narita_gion13_001.jpg
まず一枚目のカットは京成成田駅から降りて、期待に胸躍らせ、新勝寺への参道を歩いて行ったら、歩道に腰掛けた年端もいかぬ極小姐が、上目使いでこっち睥睨しながらかき氷なんか賞味していたので、傍らの親御さんに「旨そうに食べてますね、一枚撮らせて下さいな♪」と声掛けたら「あら、良かったわね、撮ってくれるんだって!! カメラの方ちゃんと向きなさい!!」とか親御さんが指導賜り、「ん!? うっせーな、食ってんだろが!?」てなこと言いたげに多少不機嫌モードで撮影に応じてくれた画です。
さすが、第二次大戦前の映画用のトリプレット、中心部はカミソリの如くシャープですが、周りのアウトフォーカス部はぐでんぐでんに流れまくってます。

Narita_gion13_002.jpg
二枚目のカットは同じく参道を歩き進んで行くと、泣いていた極小姐を腕の中であやしていた、元イケメン風パパさんが居たので、モノは試しとばかりに一枚撮らしてね、と声掛けてみたら、え、撮ってくれるんですか、嬉しいなぁ♪てなカンジで快く撮影に応じて頂いたもの。
図らずも半逆光に近い条件での撮影になりましたが、このレンズ実は大久保の名人のところで、研磨+再コートの加工を受け、更に深川で内部の反射防止対策していたのでフード無しでもここまでの性能を発揮出来るのです。
幼子も柔肌とまだ乾ききらない涙を極めて精緻に描写していると思いました。

Narita_gion13_003.jpg
三枚目のカットですが、参道を更に進んで行くと、昔ながらのよろず屋さんみたいなお店の店先で、チャイナ服に身を包んでニコニコ笑いながら店番していた、タレパンダの化身みたいな小々姐が居たので、店先から声掛けて撮らせて貰ったもの。
ここでも画面センターの小々姐の愛くるしい表情や張りのある若々しい肌は余すところなくシャープカツリアルに描写しきっていますが、背景の小物類はぐるんぐるんの凄まじい流れようで、これがトリプレットの味付けなのか?と唸ってしまいました。

Narita_gion13_004.jpg
四枚目のカットは参道を手を繋いで歩いてくる祭装束の健気な小々姐4人組が居たので、すかさずキャッチし、並んで撮らせて貰ったもの。
このカットもかなりのピーカンでしたが、ノーフードでも見苦しいフレアやゴーストは殆ど発生せず、ただ、画面両端で若干被写界深度から外れた小々姐のご尊顔がやや甘い結像になっているのが認められます。

Narita_gion13_005.jpg
五枚目のカットですが、参道を徘徊しながら次なるターゲットを探していたら、カメラを二台も下げ、キョロキョロしている大の大人がよほど珍しかったのか、剃髪した入門したての小僧さんみたいな向かって左の童子と目が合ったら、キャッキャと歓声をあげ、こっちに手を振ってくれています。
よほど写真が撮って欲しかったのか、言葉がかろうじて通じる、右側の小々姐に一枚撮らせてね♪とか声掛けてみたら、ハィこの通り、嬉しさ一杯、晴れの日モードの写真の一丁上がり!となった次第です。

Narita_gion13_006.jpg
六枚目のカットは幼い兄弟と少しお話ししてから新勝寺方面に下って行く途中、やはり、撮って下さいとばかり、お揃いの浴衣で晴れがましく歩いてくる女子中学生3人組が居たので、これもラッキィ☆とばかりに声掛けて、往来のど真ん中で撮らせて貰ったもの。
しかし、面白いのは、小生がこうやって即興撮影会をやろうとすると、これ見よがしのカメラ爺とか婆ぢゃない、普通のコンパデジなんか持った若い人々がお裾分けとばかりに周りでモデルさん?たちを撮り出すのですね。
そこそこのギャラリーに囲まれて、この健気な小々姐達も照れながら嬉しそうでした。
一番左側の小々姐の白い浴衣の生地には午後の太陽が燦々と降り注いでいましたが、極僅かに上品なフレアのヴェールがかかったのは嬉しい誤算でした。

Narita_gion13_008.jpg
七枚目のカットは参道の石のベンチで家族でかき氷なんか賞味していたので、旨そうですね♪ いたいけなお嬢さんの食べてるところ一枚撮らせて下さいと、声掛けて撮らせて貰ったもの。
さすが撮られなれているのか、年端もいかぬ極小姐とは思えぬ堂々とした表情で、後からこのカット見ても、童子らしからぬ落ち着き払った表情に何度も笑ってしまいました。
しかし、この稀代のトリプレット、開放値がf3と暗いこともあってか、画面中央付近で合焦したエリアのシャープさ、リアルさは素晴らしいものがあります。

Narita_gion13_009.jpg
八枚目のカットは、かき氷極小姐一家の寛ぐ、道の反対側辺りでこれまた祭り装束が決まっていた親子連れが居たので、撮影を申し入れたのですが、何と無情なことにヤンママは、え~アタシ恥ずかしい!この娘はまだそんな年頃ぢゃないから、ご自由にどーぞ♪とかあっけらかんとしたもので、それぢゃお言葉に甘えて!と撮らせて貰ったもの。
親に見離された形になってしまった?この健気な極小姐は、ポーズに困った風もなく、こっちを向いて多少照れた様子で撮らせてくれましたが、産毛に一本一本までリアルに描写していますが、背後のお面はぐるんぐるん状態で大変なことになっています。

Narita_gion13_010.jpg
九枚目のカットは本堂まで上がってから、特段、イベントも無かったようなので、また下の参道まで降りて、人だかりのする方向へ歩いて行ったら、お☆居ました、居ました、昨年、本堂の境内、三重塔下辺りで個人撮影会?に応じてくれた成田屈指の美形小姐が!!ということで永の無沙汰を詫び一枚撮らせて貰ったもの。
が、現実とは無情なもので、何十人かに撮られていたらしく、はぁ、そんなことも有りましたっけ?とかかなりドライなお言葉で少しがっくし、ときてしまいました。
でも、来年こ来てくれたら、たぶん覚えてますから宜しくお願いしますね♪とかフォーローの鮮やかさは大したものでした。

Narita_Gion13_011.jpg
十枚目のカットはぢゃ、そろそろ駅方面に戻っぺか、と歩き出してすぐ、編みヘア系のちょっとおっかなげな小姐2人組が大声で気分良さげに大声で談笑しながら歩いて来たので、「あいや、暫し待たれよ!」とか勧進帳ばりに声掛けたら、え、マヂ、歌舞伎のセリフっぽくね♪とか馬鹿受けしたので、そのままのノリで一枚撮らせて貰ったもの。
ここでも、合焦位置のシャープさと背景のぐずぐず感が相俟って、独特の立体的描写を演出していますが、こんなピーカンの下でこれだけの活躍をしてくれるのは、やはり元の性能の高さ故でしょう。
しかし・・・この撮影の後、では拙者、先を急ぐ故、これにて御免!とかバイバイしようとしたら、「ちょっとお侍の兄さ~ん!!」と二人して呼び止めるぢゃないですか?
何かと思えば、仲間内の集合写真撮るからシャッター押してよ、あと兄さんの高そうなカメラでうちらの仲間も一緒に撮ってよ♪とか即席ふれ合い広場と化してしまったのです。

Narita_gion13_012.jpg
十一枚目のカットは大きなスポーツバッグみたいなものを体の前面に提げて歩いてくる不可思議な小姐二人組が居たので、「卒璽ながら、レッドブルのキャンペーンガールがたとお見受け申すが・・・」と声を掛けたら、あら嬉しい、ここまで誰も気付いてくれなかったし、声も掛けてくれなかったんです、とか満更でもないご様子だったので、それでは拙ブログでの宣伝も兼ねて、いざ一枚参ろう♪とか適当に撮らせて貰ったもの。
しかし、またしてもの路上撮影会で周りに人だかりも出来、これに気を良くした向かって左の小姐からレッドブルのエナジードリンクとノベルティグッズなんか貰ってしまい、なんかとても嬉しいキブンになってしまいました。
今回のアップではカットのみ、Konica Hexanon35mmf2.8をアダプタ経由のX-Pro1での撮影ですが、やはりモダンなレンズは発色、シャープネス、そして画面の均質性、背景のボケ具合いといい実に上質です。が、反対に云えば、若干没個性と言えなくもないです。

Narita_gion13_013.jpg
十二枚目にカットは話しは前後しますが、本堂に登る途上に放生池という、生き物を話して功徳を積むという宗教施設が有るのですが、帰りに金色の鰻の見物をしていた一家が居て、そのお揃い浴衣のいたいけな姉妹が愛くるしかったので、親御さんにお願いして一枚撮らせて戴いたもの。
左右の背景はやはり流れていますが、それでも中央部被写体のシャープさ、コントラストの高さ、発色のバランスでリアリティに優れたオールドレンズと言う評価はあながち誇張でもないのでは、と思いました。

今回の感想は、このところ毎年、成田祇園祭に出かけていますが、年を追うごとに、皆さん撮影に協力的になって戴いている感ひしひしで、来年もますます楽しみです。

さて、次回は美しい麗しの島、南海の楽園"フォルモサ"からのレポート二週連続一挙公開と参ります、乞うご期待!!
  1. 2013/07/16(火) 00:33:06|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

相変わらず隠し玉がすごい。

Charley944さん
お疲れです。

又も新レンズですね。
Kino-Hyperって名前からしてパワーがありそうですが、写真もパワフルですね。
夏の日差しが良い感じに入っていて、夏祭りの雰囲気がこっちも伝わってきます。
3枚目の写真もポートレートなら背景のグルグルもあって良いかなと思うところです。

しかし、仰る通りこのレンズの作例の中に、一枚だけコニカヘキサノン35mm/2.8が入ると違いが出てきますね。自分はこっちの色合いも好きですけど。特に肌色ののりはさすがコニカだなあとも。

それでも、12枚目の写真を見てしまうと、ハイパーも良いかなと思ってしまいます。
本当にこういうレンズをどこから見つけてくるのか、その嗅覚の鋭さに脱帽です。
  1. 2013/07/16(火) 22:39:27 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:相変わらず隠し玉がすごい。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
このKino-Hyper50mmf3、名前は勇ましいですが、その姿は小っちゃくて、エナメルの鏡胴も可憐な、あたかも欧州の銀幕文化華やかなりし頃の貴婦人のような佇まいのトリプレットです。
な~に、ゲルツの古くて珍しそうな玉を、このところ取引ある欧州の某USERさんが、改造したら作例を提供するとの約束で、安く譲って貰ったまでのことです。
さすがに12枚目のカットを送って上げたら、手放しで感動してくれたようでした。
なお、コニカはこの往年の貴婦人のダイナミックでありながら精緻な写りと比べてしまうと、極普通の玉に見えてしまうから不思議です。
それにしても、1970年代の玉をつけた現役世代のミラーレスと1920年代の玉を付けた3世代以上前の電子レンジ・・・ほぼ互角の戦いってのがまた面白くはないですか???
  1. 2013/07/17(水) 21:37:39 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

また一つ善行を

施されたようで、素晴らしいですね。

おっしゃる通り、このハイパーレンズと比べるとコニカのヘキサノンは国産ならではの「すっきりくっきり系」に見えてしまいますね。
オートニッコールやFDと比べると暖色系に見えるのですけどね。

それと、X-Pro1とR-D1が光の入り方によっては互角ってのも面白いですね。こういう作例があるからでしょうか。未だに中古でR-D1の系統は高値ですねえ。X-Pro1は10万円台を切ったというのに。
本当にR-D2的なカメラ、富士フィルムかソニー辺りが出しませんかねえ。
  1. 2013/07/17(水) 22:19:29 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:また一つ善行を

出戻りフォトグラファー さん
再び有難うございます。
なーに相手は、ヤク中がヤクの売人やってるみたいなヲっさんさんで、商売そっちのけで珍しいレンズがどう写るのか?てなことを知るのが3度のメシより好きみたいです。
因みにこのUSER某氏からはもう一本、面白げな玉を廉価で譲り受けていて、それも同タイミングで大久保の名人の手でレストアを受け、深川でファインチューンを施していますから、これもマウント付けて、距離計連動化出来たら面白いことになりそうですよ。

ところで、今日、中野のぺこちゃんカメラ店行きましたが、面白い値付けでしたね、R-D1xが新品で13.8万円だかで、NEX6が5.98万円、同7が7.48万円、X-Pro1が新品で9.8万円、X-E1が5.78万円、のX-M1が5.58万円ですと・・・

要は性能はともかくとして、R-D1系列は仕入値が高い所以もあるのでしょうが、いまだに高い値付で、並んでいるのですから。

そうそう、某コピー機屋さんのMマウントユニットなんか3.48万円で店頭在庫限り(=製造中止?)ということでしたね。

R-D2に相当すると言われた電子レンジファインダ機ですが、開発コード、SP-D、ないし Zeiss Ikon-DPで企画されていたとか噂されていた、真の意味でのハイブリッドファインダ機、二重像合致式OVFとEVFが同じアイピース内で切り替わる方式を持つフルサイズないし、実は一番使い前が良いAPS-H機が出たら、M Tipo240なんざ恐るるに足らずなんですが・・・笑

でも、やるとしたら、ソニーでもフジでもなく、APS-Cではありますが、キャノン辺りが今年秋のフォトキナ対策の隠し玉として持ってるとかという、EOS Meかそのシリーズ最上位機種EOS M7で乗っけてくるかもしれません。
  1. 2013/07/17(水) 23:46:38 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

今回は、非常に面白かったです。

ゲルツのフーフでも設計したのでしょうか、特異な名称もすごいですが、コートまでして最上の画質を追及したというのが、結局はその画像を見飽きることがありません。

シュナイダーのラジオナーだと、その新種ガラスのせいもあってトリプレットとは思えない画像と語られますが、ハイパーはたぶんそれ以前の旧ガラスというcooke以来の味付けが残っているような感があります。

素朴でシャープというたぶん古典レンズマニアにとってはたまらない画像で、cookeのポートレートレンズが入手困難高騰レンズであることからもわかるように、このテのマニアはRolleiでもわざわざトリオターを選ぶような連中なのです。

まるで初期のモノクロ・サイレント映画のスチルのような背景で、柔らかなトーンでなおかつ色再現も見事な画像を拝見できるとは、やはり新鮮な驚きを禁じえません。

再コートも逆光での再現性の良さを謳い、最上の人物撮影用レンズへと再研磨されたとあれば、とても幸運な現代に甦ったハイパーです。

この機会に、レンズ会社はセンサー用レンズの転用のようなガラスの枚数を競うような設計法からの脱却の機会を、今後のカメラ・レンズ文化の為にも再考してほしいものです。
  1. 2013/07/18(木) 20:37:37 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

今回のレンズ
正直、ここまでやるとは思っていませんでした。

やはり小生も、多エレメント、新種ガラス信仰に憑り付かれていて、旧ガラスのトリプレットはクラシックな写りでこそあれ、シャープネスやら、ヌケみたいなものは期待しでたイケナイものだと思い込んでばかりいたのでした。

が・・・やはり大久保の名人は凄い、このレンズのレストアをお願いしてから、マウント改造しないまま、次のを持って行ったら、「急がないんで、どうしてもあの小っちゃいトリプレットの写りを見せて下さい!」と強く懇願されたのです。たぶん、きっと良く写るという、名人の長年の勘が働いたのかも知れません。

そこで、ご存知の通り、工房取はこのところ60年代から70年代にかけての国産一眼レフ用改造にうつつを抜かしていたので、心を入れ替え、技術の粋を凝らして、性能、外観とも満足し得るレンズに仕立て上げたのです。

同時に上がってきた、イタリア製のPantachar40mmf2.3のコピ-?も追って改造したいと考えています。
  1. 2013/07/21(日) 00:14:04 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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