深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

歷史遺留下來的激情復活~Auto W Rokkor35mmf2.8~

Auto_Rokkor35mm
さて、今宵のご紹介は工房特製、旧Minolta Auto W Rokkor35mmf2.8改EFマウントとその驚愕の描写性能です。
このレンズ、オートフォーカス機であるαシリーズが出来る遥か以前、まだMinoltaの一眼レフのシリーズ名がSRだった頃、その主力レンズとして、1960年代前半に市場に投入されたもので、6群7枚のレトロフォキュタイプです。
当工房ではSRマウント(含むMC,MD)は数本EFマウント改造していますが、いつも腐心するのは、無限合わせです。
何とならば、EOS EFマウントのフランジバックが44mmジャストなのに対し、SRマウントは43.5mmと0.5mm短いので、EFマウントのレンズ側金物を注意深く削り込んで、無限を合わせなければならないからです。
またEFの内径は大きく、SRは小さいため、SRの鏡胴とEFのマウント金物を固定するのも一工夫が必要で、或る特殊な形状のリングを開発しそれを介して固定することで、オリジナル同等の精度と強度を確保することに成功しました。
では早速実写結果を見ていきましょう。ロケ地は浅草、ボディはEOS50D、絞り優先AEでの開放撮影です。

Rokkor35mm_001.jpg
まず一枚目のカットですが、浅草寺境内での定点観測地的撮影スポット、宝蔵門横手動井戸でのいたいけな小々姐の図です。
横に控える親御さんに「夏っぽい愛くるしい装いですなぁ、水汲んでること一枚撮らせて下さいな♪」とか頼んでみたら、「ハィXXちゃん、おぢちゃんが写真撮ってくれるんだって、ポンプ押して、押して」とか云ってるのに、もう完全、カメラ目線のお澄ましモード、作業そっちのけで、ピースしてクビ傾げて、目一杯のアイドルモードです。
あぁ、こんなとこにも「あまちゃん」の影響が・・・とか思って笑ってしまいました。
逆光に近い撮影条件でしたが、さすがEOS中級機、かなり光った舗装面を背景としながら、非純正レンズでここまでの露出をオートで割り出してくれました。背景はやや流れ気味ですが、鑑賞の妨げになるほどではないとおもいます。

Rokkor35mm_002.jpg
二枚目のカットですが、次なる定点スポット、焼香場でモデルさんを待ち構えていたら、若いイカしたご夫婦がいたいけな極小姐に線香の煙を一心不乱に掛けて、何やら諭していたので、あいや、暫し、と声を掛け、若いオモニと一緒のところを撮らせて貰ったもの。
ここでは、焼香場の巨大な金物越しに射し込む午後の陽光があたかもスポットライトの如く、この幸せそうな極小姐を照らしています。
背景はやや流れ気味ですが、それでも合焦部のシャープさと相俟って、被写体の二名を浮かび上がらせることに成功していると思います。

Rokkor35mm_003.jpg
三枚目のカットは、浅草寺境内のはずれ、弁天堂入口辺りの茶店前でかき氷なんか堪能する今風の浴衣小姐グループが居たので、ちょいと姐さん達、かき氷食べてるとこ、一枚撮らして貰うよ♪と声掛け、シャッター切ったもの。
ここは日陰でレンズのよっては青カブリしてしまうとこるですが、それでも若い小姐達の肌の色も、浴衣の微妙な色合いもそしてデテールまでも忠実に描写しているのはさすがだと感心してしまいました。

Rokkor35mm_004.jpg
四枚目のカットですが、仲見世を徘徊しながら、モデルさんを探していたら、居ました、居ました、若い頃のソフィーマルソ-にそっくりの別嬪の小姐が、日本文化に興味有るのか、仲見世商店のショーウィンドを熱心に覗き込んでいたのが目に留まったので、暫し様子を伺い、歩き出そうとした時にボンジュール♪などと声掛けて、撮らせて貰ったもの。
モデルが美人なのは言うまでもないですが、それ以上に午後の遅い陽光に煌く亜麻色の髪の毛のえも言われぬ美しい描写が目を惹きました。

Rokkor35mm_005.jpg
五枚目のカットですが、仲見世と伝法院通りの交差する辺りに位置するうどん屋さんの店頭を彩るほうずきの鉢植えを一枚戴いたもの。
最短距離域近くで撮った画ですが、まさにこのレンズの特徴を表している一枚と云っても過言ではないでしょう。
シャープネス、発色、背景のボケ具合い、個人的には全く文句の付けようがないと思いました。
遅い午後の陽光はかなりオレンジに近い色温度となっていますし、角度も斜めに射し込んできます。
そんな自然のライティングに引き立てられ、この晩夏の風物詩は充分な存在感を誇示したのではないかと思いました。

Rokkor35mm_006.jpg
六枚目のカットは伝法院通りを浴衣のカップルが仲良さそうにそぞろ歩きして通り過ぎて行ったので、ダッシュで追い縋り、すかさず一枚戴いたもの。
ここではかなりの逆光ですが、当時のMinoltaのコーティング技術の賜物か、ゴーストどころか、鑑賞上有害となるフレアも認められず、コントラストも必要充分で晩夏の夕暮固有の空気をドラマチックに描写しているのではないかと思いました。

Rokkor35mm_007.jpg
七枚目のカットは仲見世から一本東に入った某所に在る白塗りガス配管勢揃いの図です。
ここはビルの谷間なので直射日光が射し込むことはまずありませんが、時刻に寄って光加減が変わり、また、ピントの位置により前後のボケ具合いが判るので、例の扇屋さん店頭と並ぶレンズテストスポットです。
手前から三本目のバルブにピンを合わせていますが、合焦部のシャープさは云うまでもなく、前ボケもナチュラルで心地好いと思いました。

Rokkor35mm_008.jpg
八枚目のカットは伝法院通りを粋でいなせに浴衣を着こなした小姐がガイジンさんに捕まって路上撮影会をさせられていたので、それなら拙者もということで、解放された直後にダッシュで駆け寄り、卒璽ながらと一枚撮らせて貰ったもの。
このカットもまさにレンズの優秀さを如実に物語っているのではないでしょうか。
被写体の二名の小姐があたかも背景から浮かび上がるように描写されており、また肌の色、表情ともまるでハイヴィジョン撮影の画面をキャプチャしたかのような雰囲気だと思いました。

Rokkor35mm_009.jpg
九枚目のカットは、伝法院通りから雷門に戻る途中の仲見世路上で見掛けた南米系の小姐2名にボンジョルノ♪とか声掛けて、モデルさんになって貰い一枚戴いたもの。
ここでは前の浴衣小姐二名と違い、背景が北側とは云え光る空なので、さすがに被写体が浮かび上がる如き、とはいかないまでも、いたいけな小姐達の弾けるような肌やしなやかな亜麻色の髪など、このレンズはあますところなくデジタルの眼として捉えてくれたのです。

今回の感想としては、ほんの数千円のレンズがちょいと手を加えれば、ほらこの通り。
しかし・・・これでまたAuto-Rokkorの値段が上がってしまうと。実に複雑な心境ではあります(苦笑)

さて次回は同じ浅草を舞台に同じく国産レンズの描写を検証してみましょう。乞うご期待。

テーマ:EF_mount mod. lens - ジャンル:写真

  1. 2013/08/25(日) 20:46:28|
  2. EOSマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

そうですよw
私、NEXで使ってましたし。
「あーEFでも使えるんだー...ふーん」とかスルーしてましたよ。
0.5mmどうしてたんだと。まったくもう。

と、レンズの描写は極普通、よく写りますねしかし、キヤノン社の色解釈との相性は悪そうだな、というの感想を持ちました。同じマゼンタがつよくても、ライカは悪くないのになぁ、と。白飛びがはやくトンでしまってるのはキヤノンのせいですね。これ、Ektar100だったらよさそうですけど、どうなんでしょう。

しかしまぁ...私は常々、35mmをAPS-Cで使う画角は難しいと思っているのですが、よく収めてくるなぁ、と。そっちのほうに、感心します。私はどちらかというと撮り屋なので、やはりそちらに目がいきます。
  1. 2013/08/26(月) 03:14:25 |
  2. URL |
  3. JY #mQop/nM.
  4. [ 編集]

八枚目などはレフ板で光を起こしたコマーシャル写真の如く、非常に見事な描写だと思います。

肌色もあっさりしていて、80年代以前レンズの誇張がない、良質で国産ならではの色再現だと思います。

かつてのシネプロミナ―等・日本製ならではのあっさりした色再現が廃れ、zeissとかの誇張された暖色系色彩が日本での高級品指向の主流になってしまったのは、かえすがえすも残念なことだと思いました。
  1. 2013/08/26(月) 17:26:08 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

あれ、35mmが先に。

Charley944さん
お疲れです。

てっきりこの前のオートロッコール100mmを出してくるかと思ったらこっちできましたか。
光加減を間違えなければきれいな肌色出してきますね。ただ間違った時にはJYさんが書かれた通りとっちらかる気がしますが。
逆光気味だと弱いのかもしれませんね。

換算50mmだから先日の浅草撮影会の時よりも寄っているんでしょうね、被写体に。

ただなあ、何かこう様子見しつつ撮っている様にも思うのですよ、3枚目のカットは珍しく情景として女性を捉えてますし。もしかして次の表現をさぐっているとか??
  1. 2013/08/26(月) 22:10:52 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。

まぁ、発色はしょせん好き嫌いと思ってますから、あながち小生はこの色合いは気にならないというか嫌いではありません。

尤も、虹彩の色で白色の基準色温度が異なるらしく、4850°Kを白色基準にして、彩度をM+1にしているので、レンズとボディの相性というよりは、このセッティングの好みか否かも知れませんね。

とか云いつつも・・・白飛びはカメラのせいも多少あるのですが、R-D1sのクセでいつも露出を+0.3~1くらいにしているのですが、セル当りの受光面積が極度に小さい50Dでこれやっちゃうと、すぐサチッて飛んでしまうのかも知れません。これは同行の熱湯断亭さんにも指摘されたことですが。

なお、このレンズ、後端部がかなり出っ張っちゃてるので、フルサイズであるフィルムEOSでは使えないので、どうしてもEKTER100との相性を試すなら、EOS-Mアダプタ使い、単独距離計使って、Leica M型かZeiss Ikon ZMで実写してみるよりほかなさそうです。
  1. 2013/08/28(水) 23:05:38 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

まさにこの時の浴衣のお二方が、先週末の浅草ミニ撮影ツアー最後での大成功に繋がったのではないかと思っています。

伝法院通りは都心近くにおいてはかなり特異な位置関係に在って、夕陽の時刻になると、遥か彼方のROXビルしか高いビルがないので、かなりストレートに暖色系の陽光が斜めに射し込んで来て、六枚目の浴衣の二人みたいに西に向かい背景から撮れば、夕焼けのセミシルエット、そして夕陽を順光とすれば、ほらこの浴衣のお二方のように天然のベストライティングで若さ溢るる肌の質感をあますとこなく再現したカットがモノに出来るのではないでしょうか。

しかし、こういったパフォーマンスをみせられると、ついつい、国産レンズの河岸で二匹目、三匹目のどぜうを探したくなっちゃうのが人情かも知れませんね♪
  1. 2013/08/28(水) 23:12:55 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

Re:あれ、35mmが先に。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

そうです、先入れ、先出しが棚卸資産管理の原則です(笑)

実は、こっちの35mmは浅草ツアーの前の週に単独にロケハン行ってた時に撮ったものなんで、こっちを先に出しとかないと、出番を失っちゃうおそれがあるので、予想に反し、隠し玉?として登場させたワケなんですよ。

しかし、まぁ、スナップ中心にやってると、難しいですよね、一にチャンス、ニにピント、三、四が無くて、五にやっと露出って思っていますから、露出の当たり外れや多少の発色の乱れくらいで、ベストシーンをお蔵入りさせてしまうのはどうかな・・・というのが偽らざる心境なのです。

ところで、三枚目のヤラセ的カット、別に珍しいことでもないので、新機軸ということではないです。

たまたま、かき食べてるとこ撮らしてと言ったら、ハイどうぞと答え、ぢゃ撮りますよとか声掛けても、仲間内の歓談に打ち興じて、目線を含めたカメラ向け演技をしてくれなかっただけということなのです、舞台裏は(苦笑)

まぁ10月に入ってお祭撮影ツアーご一緒すれば、こういうシーンにも遭遇することがあるでしょうから、対処の仕方もおのずと判って戴けると思います。
  1. 2013/08/28(水) 23:23:17 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

あれ?

6枚目のカット、良く見ると中央女性の向かって右斜め上に二か所フレアっぽいものが見えるのですが、これって逆光の影響なのでしょうか。

あまり影響あるものじゃないと思うのですが微妙に気になったのでコメント追加しました。
  1. 2013/09/02(月) 21:01:55 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:あれ?

出戻りフォトグラファー さん
再びのコメント深謝です。

この女性の花飾りに向けて虚空から射す六角形の光の輪のことですよね?
これは、かなり強い光が斜め上から射し込んだことにより発生するレンズ境界面上のゴーストですね。
このレンズ、f2.8でも絞りの羽が極僅かに光路に顔を覗かせているので、口径食気味にこういう六角形のゴーストが出てしまうのです。
ホントはフード使えば、もっとコントラストも上がり、すっきりした写りにはなったと思います。
  1. 2013/09/03(火) 22:53:03 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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