深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Redoni la malnovan ĉerizarbo~Konica Hexanon AR 50mmf1.4~

AR_Hexanon50mm.jpg
さて今宵のご紹介は、予告通り工房附設秘宝館からのコレクションのご紹介となります。
この、コンパクトながら如何にも性能良さそうな硝質と作りのよい鏡胴が魅力的な、旧コニカ製のARシリーズ一眼レフ専用レンズは1970年代の後半に登場し、何と6群7枚というエルンストライツの広角レンズも真っ青もんの贅沢な構成を誇っていました。
が、やはり国内では当時でもN、C、M、P、そしてO社の強固な販売網には食い込むことが出来ず、このARシリーズは欧米中心に海外に活路を見出そうとしたようで、当工房のARシリーズは何と全部里帰り品を示す金色の楕円シールが貼ってありました。
ところで、この通好みの高性能レンズシリーズ、性能に比して中古価格では、のちの結婚相手、旧MinoltaのSRマウント並みに惨憺たるものです。
例えば、この50mmf1.4、N社の同世代のAi玉であればこの状態で軽く1万円はするでしょうが、何とその半額程度で前後キャップ付きの美品が買えるのです。
何故かといえば、フランジバックが40.5mmとまともな実用性ある一眼レフのマウント規格の中ではぶっちぎりに短く、要は、アダプタで他の一眼レフ、特にレンズ遊びのプラットホームとしてデファクトスタンダード化しつつある、C社のEFマウントにアダプタ経由でも付けられないからです。
そこで、当工房では、買うと高いし、ちょうどイイパーツも有ったので、距離計非連動のAR⇒Mのアダプタを製造し、F社の純正アダプタを介し、X-Pro1で使うこととした次第です。
では、その実力のほどを浅草~アキバロケで見て参りましょう、カメラはX-Pro1、絞り開放でのAE撮影です。

AR_Hexanon50mm_001.jpg
まず一枚目のカットですが、浅草撮影では定番と化した、某Hヤタカメラボ付近の雑居ビルの壁面配管の図です。
ピンは手前から二本目の管の四角いヘソに合わせて撮っています。
元々、フレアが出易い被写体を最短付近で撮っていますから、挙動が分かり易いと思いますが、四角いヘソの付近はカリカリではないにせよ、必要かつ充分な情報を持った結像となっていますし、前後のボケもなだらかで、個人的には上出来ではないかと思いました。

AR_Hexanon50mm_003.jpg
二枚目のカットですが、仲見世sでモデルさんを探して徘徊していたら、人形焼だかを売っているお店の前で美味しそうに食べている、西洋産のいたいけな小々姐がいたので、早速、傍らの親御さんに声掛けて、一枚撮らせて貰ったものです。
青い眼をしたお人形は、アメリカ生まれのセルロイド♪~などという古い童謡が頭をよぎるようなシーンで、近接での開放撮影による全体的に極僅かの柔らかなフレアがこの美しい亜麻色の髪の小々姐の姿をより効果的に描き出したのではないかと思います。
一方、背景はと言えば、これは、好き嫌いはありましょうが、ライバルとなる、Auto-Rokkor58mmf1.4、そしてPetri55mmf1.4には及ばず、芯が残り、結構ざわざわしてしまったなぁ・・・という感想です。

AR_Hexanon50mm_002.jpg
三枚目のカットは仲見世から一本東に曲がった、ちょうど旧Hヤタカメラ遺構の在る通りをもう少し東に歩いたところにあった茶店風のお店の窓付近がえも云われず、イイ風情だったので一枚戴いたものです。
午後遅くの時間の撮影ではありましたが、通りを斜めに射してくる陽光のため、被写界深度より前に位置する葉はかなりフレアっぽい前ボケと化していますが、一方、どういうわけか、ガラスの奥に位置する素朴な画風の水彩画はガラス面の反射の影響を殆ど受けずに精緻に描写されています。

AR_Hexanon50mm_004.jpg
四枚目のカットは、仲見世を浅草寺の宝蔵門辺りまで歩いていたら、門前のベンチ付近で、親子4名、それぞれ思い思いのイケてるる帽子を被った、若い家族連れが目についたので、早速撮らしてよ、と交渉したところ、「あ、ウチらイイんで、子供達だけ撮って貰ってイイすか?」とか嬉しいお申し入れで、ぢゃ、お言葉に甘えて、と一枚戴いたもの。
このカットもX-Pro1のEVFで10倍のクロップ拡大でピンを追い込んでの撮影ですが、それでも全体的な仄かなフレアによる開放での甘い描写が、えも云われぬ、イイ雰囲気を醸し出しているのではないでしょうか。
ここでも背景はやはり芯の残ったざわつき感の有るボケになってしまったことがやや残念ではありますが。

AR_Hexanon50mm_005.jpg
五枚目のカットはやはり宝蔵門の近くの別ベンチで、よく見かける犬連れのヲヂさんがいたいけな極小姐に「犬は友達だぉ♪ ほぅら、触ってあげてごらん、笑うんだから・・・」とか言葉巧みに犬の遊び相手なんかさせてるもんだから、親御さんをはじめ関係者一同に、ぢゃ一枚いっときましょうね♪とか妙な合いの手かまして戴いたもの。
このカット、結構動きが激しく、EVFのクロップ拡大では追いきれず、結局、通常ヴューモードで見切り発車的にシャッター切ったのですが、それでもかろうじて被写界深度には収まっていたらしく、健気な極小姐の犬との戯れの平和な様子がふんわりと画面から伝わってくるのではないでしょうか。
何故か、このカットでは背景のアスファルト舗装はマイルドなボケと化しています。

AR_Hexanon50mm_006.jpg
六枚目のカットですが、浅草を後にし、久々に未来的な鉄道であるTEX(つくばエクスプレス)でアキバまで移動し、とっぷりと陽が暮れかけた、電脳とヲタク達の街アキバの路地裏を撮ってみたものです。
ピンは路地の奥に置きピンとし、EVFの通常ヴュ-モードでチェックしていて、人物が被写界に入ったと思われた
瞬間にシャッター切った数枚のうちの成功作です。
たぶん、こういうカットは、いかなデジタルが高感度に強いとはいえ、やはりf1.4クラス以上ではないと、雰囲気を写し取るのは難しいのではないかと思いました。
やきとり印の提灯の仄かな滲みと路地の両脇に雑多に詰まれた什器類が醸し出す昭和的ノスタルヂー、それと対極に在るような最新アニメのポップ看板、そこを歩いてくる二人の漢はまさにヲタクそのもののアイコンのような気がしました。

AR_Hexanon50mm_007.jpg
七枚目のカットですが、駅西側のロータリー付近に移動してイルミを背景にAKBの研究生の小姐の後姿でも撮ろうかいなと思い、シャッターチャンスを待っていたのですが、なかなかやって来ず、その代わり、堅気の女子高生みたいな小姐の二人組みが姦しく語らい合いながら、ネオンを背に傍らを通り過ぎて行ったので、EVFの通常ヴューモードによる超粗フォーカシングでシャッター切ったもの。
それでも、やはり大口径の功徳か、シャッター速度がそこそこ得られているらしく、追いつこうとして早足の左側小姐は被写体ブレしていますが、右側の小姐はほぼジャストミート状態で、画面トータルとしてはせわしいこの街の空気を写し取ったが如き躍動感を滲ませたカットになったのではないでしょうか。

今回の感想としては、国産レンズはまだまだ宝の山です、しかも陽の当たらない不遇のカメラ、レンズはまだまだ、心ある写真愛好家の差し伸べる手を待っていると思います。
工房では、まだまだ紹介して行こうと思っています。え!値段が上がったらどうしてくれるかって?(苦笑)
いえいえ、今が不当に安いのです、もっと適正な評価に戻して上げましょうよ。

さて来週は、工房作品を三連休最終日の月曜アップでお送り致します。乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2013/09/08(日) 17:45:11|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<豊穣の秋~石岡のお祭り2013~ | ホーム | Milagro nació del mestizaje~Auto Tele Rokkor 100mmf3.5 mod.EF~>>

コメント

あ、やっぱり世代が違う。

charley944さん
お疲れです。

レンズ特性というか僕が撮った写真と傾向が違う気がしたので 、レンズをアップで見てみたら、そちらの方が新しい世代のようですね。

自分の馴染みのコンフォトカメラさんの話ですと、AR35/2.8でも四世代くらいに大別されるらしいので、もしかするとそちらのレンズの方が新しい世代かもしれません。
そっちの方がすっきりした印象に見えますね。ポートレート系の写真だと特に顕著にその特性が出ているように見えました。
同じ焦点距離とf値でも、微妙な改良は行っていたのではないでしょうか。その結果が自分の写真との写り具合の違いにつながっているように思いました。
I先生当たりなら、この辺の世代差についてのデータをお持ちかも知れませんが、今度お会いした際に聞いて見たいですね。
コニカのレンズを買う時は口径とf値だけでなく、外観も含めた確認は必要かなという気がしました。

それにしても、コニカARレンズの世代間格差みたいなものは、これだけでも調べる楽しさがありそうですね。
  1. 2013/09/09(月) 21:24:28 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:あ、やっぱり世代が違う。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
そうですね、特に貴兄の個体とは前ボケのテイストが全然違い、またフレアの出方もノートPCのしょぼいLCDでも識別出来るくらい違いますね。

ただ、こんなことを申し上げると、またしても個人的な思い込みでしょ・・・とか揶揄されそうですが、やはり設計、量産が先行していたPetriの、開放ではコマフレアを僅かに残しながら、画面全体に亘って均質な描写特性を行き渡らせる、という、昔の中心部のみ解像度番長とは一線を画した心優しい家族ユース向けの設計思想?をひっそりと受け継いでいるのではないかと思いました。

あとは、かつての国産非主流のもう一方の雄、ミランダがどんな写りを見せてくれるかがお楽しみです。
  1. 2013/09/10(火) 20:40:29 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/tb.php/339-42b23ac1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

charley944

Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる