深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

~ミラノの伊達男~WegaIIa

wegaIIa_02.jpg
今宵のご紹介は、結構、アクセスが伸びたのに気を良くして、またまたイタリアモノの登場です。
このカメラは、イタリアのA.F.I.O.M.[Apparecchi Fotografici Italiani Officine Meccaniche]社が1953年から55年にかけて製造したバルナックライカ型のレンジファインダー機で、レンズはトリクサー5cmf3.5アナスティグマットという3群3枚のいわゆるトリプレットタイプで、外見が酷似している本家本元?のエルマーないし、テッサーの3群4枚に較べると、貼り合わせ部がなく1枚少ない構成になっています。

まずデザインに関して言えば、さすが、ファッションの総本山、モードの発信地のミラノの会社が売っていただけあって、細部に至るところまで、ライカとは異なり、人の目を気にして誂えてあるカンジがします。
特に面白いのが、底蓋を外すと、内部には何と贅沢にも縮緬塗装が丁寧にかけられているのです。
ライカでは、見えないところは、機能本位とばかり、フツーの黒艶消し塗料を使っているのとは、対照的で、こういうところもラテンとゲルマンの差なのかな・・・とも思いました。

次にメカですが、ファインダはこのタイプの機種に一般的な距離計&ファインダの二眼式になっていて、バルナックライカや国産のライカコピーなどと較べる、二つの窓が離れているので、慣れないうちは気になりましたが、結構、二重像のコントラストも高く、また倍率も高い距離計と歪みもなくクリアなファインダのおかげでテキパキとスナップを撮るのにも十分だと思います。また、シャッター速度は1000分の1秒まで用意されているので、f3.5のこのレンズで街撮りをする分には、常に開放で撮り続けられるので、とても都合がイイようです。シャッター音は、古いバルナックや、キャノンのV型以前のレンジファインダー機の如く、ガタン!というカンジではなく、もっと静かでショックは少ないです・・・う~ん、イタリア製メカ恐るべし。

そして、一番気になるトリクサーの写りですが、3枚玉だと、歪曲収差が抑え切れず、周辺など甘くなってしまうとも思ったのですが、先のイリア5cmf3,5同様、シャープで色ノリもよく、しかも、1枚少ない分の美徳として、ヌケが良いカンジが勝っているとも思いました。
しかも、このレンズは、完全なL39互換なので、本家本元のバルナック、Mボディにつけても良いし、勿論、BESSA R3A、HEXAR RF、そしてRD-1Sにつけても他のレンズとは一味異なった写りが楽しめるのが嬉しいです。
特に良く似た外観のエルマー、シムラー、そしてW.サックヴェロスティグマート、キャノン、ニコン、ヘキサーと5cmf3.5クラスの味を較べるのはとても興味深いことだと思います。

テーマ:レンジファインダー - ジャンル:写真

  1. 2008/05/17(土) 23:41:56|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

おはようございます。
今回は改造レンズじゃないものが登場しましたね。
しかし決して普通じゃないレアモノで、トリクサー5cmf3.5アナスティグマット・・・とても魅力的です。エルマーそっくりさんですが、トリプレットというのが面白いですね。
イタリアものは、奥が深そうです。
  1. 2008/05/19(月) 07:36:01 |
  2. URL |
  3. ファジ~ #qsR3JKcA
  4. [ 編集]

ファジィさん
おはようございます。
コメント有難うございます。
ハイ、今回は、改造レンズではなく、工房付設の秘宝館からの出展となります(笑)
だいたい1回おきに改造レンズ、コレクションと交互にご紹介していきたいと考えています。

ご慧眼の通り、今回のものも結構レアらしく、まず中古カメラ市などでもなかなか出てきませんね。
同じノンライツでも、リードや、カードンがそこそこ中古屋さんで見かけられるのとは大きな違いです。

この個体は、海外のセミプロの方からオリジナルの緑色のボックス入りで格安で譲って戴きました。

確かにイタものは奥が深いです。
かなりの機種は出ているのですが、それぞれに数が少ないらしく、また、時期によってバリエーションがあったりして、全部集めようと思ったら、身代潰してしまうかも知れませんね(爆)

トリクサ-も先にご紹介したイリアも、実にイイ写りをします。シャープなだけでなく、程よいコントラスト、色のヌケ、特に暖色系の発色の柔らかなニュアンス等々非凡な芸術性を感じさせてくれます。

ことによると、ドイツ人が記録のためにカメラを作ったのであるなら、イタリア人は絵筆の代りにカメラを作ったのかも知れないと思ったりもしました。
何せ、本体自体がもはや工芸品ですし・・・
  1. 2008/05/19(月) 10:33:19 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

伊達男の名を冠するだけに、いつも以上にレンズを美しく引き立てて撮影されていますね。
コーティングの反射が最高に美しく、これは写るぞという期待感でいっぱいになります。
しかし、先日のイリアーでもそうでしたが、なぜにレンズ周りにメーカー名が入っていないのか気になります(わたしのOgmar 90mmF4は、しっかりOficine galileoと入ってますよー)。
カメラの革は、イタリア製だけにライカより質が高そうですね。
またファインダーまわりに段差がないので、プロトタイプめいた秘密機っぽい雰囲気が漂っています。
でもそこはわたしの嫌いなイタ公。
きっと気まぐれな写りに、故障頻発の信頼の置けないカメラに違いありません。
  1. 2008/05/20(火) 22:59:52 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

ありがとうございます。
ははは、見抜かれてましたね・・・確かに見栄えはイイんですが、コイツは精密機械としては、及第点ギリギリ、特にフィルム装填がかなりシビアで、ちょっとでも入れ方が曲がってたりしようものなら、即、筍巻きで愉しいスナップを修羅場としてくれます(笑)
しかし、レンズはことのほか優秀なんで、ほかのLマウント機で活躍する機会が多いですね。
  1. 2008/05/20(火) 23:50:14 |
  2. URL |
  3. charley944 #lICd2zaU
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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