深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Monochrome truces~Canon L35mmf2 featured by R-D1s~

さて、今宵のご紹介は予告通り、モノクロでの卓越した描写性能を活かし、改造レンズの検査・最終調整を主業務とした予備役から、モノクロ専用機に転進したR-D1sとCanonL35mmf2のコンビで以て謎の社会主義国産まれのレンズの伴走を行った際のカットからお送り致します。

結論から言っちゃえば、う~ん、どっちが主役でどっちが脇役か判らないくらい、自分では満足した働きぶりぢゃなかったかと思います。

しかし、面白いと思ったのは、被写体選び、アングル、そして寄り方、露出に至るまで、自分では意識しないで、カラーで撮る時とガラッと変えているということです。

ただ、共通しているのは絞り優先AEの全コマ開放撮影ということくらいではないでしょうか。

では、R-D1sの働きぶりを当日の行程に従って見て参りましょう。

_Canon35mmf2_001.jpg
まず一枚目のカットですが、カラー編でもありましたが、稲村ケ崎駅から江ノ電線路伝いの道の山肌に在る再生家具&インテリアのお店の庭先での一枚です。
ここでも芒越しに建屋軒先の様子を撮ってみましたが、29mmの画角に対し、35mmの1/1.5画角ですから、実質53mm程度のレンズで接近戦しているのと同様のインパクト有るカットになったのではないでしょうか。
忠実なばかりで色気が無いとも揶揄されることが有るこのL35mmf2ですが、カラーでは地味目な発色と硬い線でなかなか使いこなしも難しいですが、モノクロではほらこの通り、硬さもそれほど気にならない、イイ雰囲気のカットになっていると思います。

_Canon35mmf2_002.jpg
二枚目のカットですが、稲村ケ崎から七里ヶ浜方面に向かう線路伝いの道に面して、白尽くめでちょっとオシャレな佇まいの洋館風個人邸が目に留まったので、そのまま外観を撮るんぢゃ能が無いんで、庭先の冬に実る柑橘類の実を主役とし、洋館は背景として出演して貰ったもの。
ホントはピン合わせた手前の実の周辺の葉をもいで撮りたかったですが、さすがに他人様の庭先で勝手に果実がなっている樹に手を伸ばすのも、まさに「李下で冠を正さず」そのものズバリですから、諦めてありのまま撮ったら、やはり葉で陰り、柑橘系のテクスチャは十分表現出来なかったようです。

_Canon35mmf2_003.jpg
三枚目のカットですが、七里ヶ浜近くの海岸上の公営駐車場でかっけぇバイクをこれ見よがしに停め、本人は陽光燦々燦と降り注ぐペトンの堤防上で缶コーヒーなんか呑みながら長閑に日向ぼっこなんかしていたので、ハィ採用!とばかり、一枚戴いたもの。
このレンズ、或る程度以上の距離から撮れば、被写界深度もそこそこ稼げるようで、堤防の上のライダー兄ちゃんに合わせたら、兄ちゃんからバイクまで何とか入ったようです。

_Canon35mmf2_004.jpg
四枚目のカットですが、七里ヶ浜から再び江ノ電に乗って、江ノ島手前の腰越駅で降り、漁港に向かい、そこで漁船の雄姿を至近距離で撮ってみたものです。
こういう、標準レンズ相当の画角で広角みたいな撮り方はカラーではまず撮らないですが、いやはや、モノクロでは、結構大胆になりますね。
ピンは船名に合わせていますが、画角は53mm相当とは言え、元は35mm、船尾までのボケはなだらかですし、FRPの真新しい船体の照り返しがとても美しく表現されたのではないかと思いました。

_Canon35mmf2_005.jpg
五枚目のカットですが、江ノ島に着いてから正面階段向かって右側ルートから岩屋洞窟方面にアプローチするのは今回のみならず、いつもの倣いですが、鐘の鳴る丘方面へ続く島頂上付近の茶店街の坂道で、前を行くカップルの仲睦まじいお姿を一枚戴いたもの。
このカット、膝から下くらいの視点で撮っていますが、そう、階段を上りきらない辺りで前行く人間を狙うと、こういう島の猫の視点みたいなカットで撮れる面白さがあるのです。ただ、前を行く人間の服装は十分気を付けないと、このご時勢、大騒ぎになりかねませんが・・・笑

_Canon35mmf2_006.jpg
六枚目のカットですが、いつも生しらす丼をご馳走になる「江ノ島亭」さんの係累と思しきいたいけな極小姐が、愛くるしいトイプードル状の生物と戯れる図です。
引き綱を付けて、板前姿のヲヤヂさんを追って店から出てきたのはイイのですが、まだ幼いこの犬的な生き物ははしゃぎ回る習性があるようで、その引き綱が四つ脚に絡み、四苦八苦して何とかその場を逃れようと必死にもがいているにも関わらず、愛犬の惨状を我が事として認識しない極小姐がしきりに綱を引っ張るので、困った表情を浮かべたような犬状生物の表情が面白かったです。
なお、この後、「お嬢ちゃん、ワンコと一緒のこと一枚撮らしてよ!」とか面白半分声掛けてみたら、「や~だよ、だって、ヘンなカッコもう撮ってんだもん!!」とか口尖らせて答えたもんだから、はぃはぃゴメンな、とほうぼうのていでその場を後にしました。

_Canon35mmf2_007.jpg
七枚目のカットですが、「江ノ島亭」前から更に岩屋方面に進むと奥津宮が在り、その鳥居方向から、姦しい小姐達の声が聞こえてきたので、反射的に一閃、シャッターを切ったもの。
この古色蒼然とした画面の雰囲気、健康的な小姐達のいでたちがせめて小袖か何かであったなら、明治・大正期の写真と言っても通用したかも知れませんが、まぁ、これはこれ、ミスマッチも面白いカットになったと思います。
なお、シャッター切ったら、向こうも話し中にも関わらず、こっちに目線向けたので、すかさず笑顔で会釈したら、小姐二名のニコニコと笑顔で会釈の倍返しだったので、声掛けて、もっと撮れば良かったのかな、とすれ違って後悔することしきり。

_Canon35mmf2_008.jpg
八枚目のカットですが、双子ちゃんが奥津宮界隈を親御さんと飛び回って、オモニの読み上げる案内板の由来に感心したり、親御さんのスマホンで記念撮影したり、八面六脾の大活躍ぶりだったので、手水場の陰に潜み、ちょうどお二方がアニメソングなどを口ずさみながらお清めなんかしているところを一枚戴いたもの。
そこそこの距離で撮ったため、かなり被写界深度は深くなっていますが、それでも、モノクロでありながら、光沢有る化繊のパーカーみたいな衣装に身を包む双子の姿は、何か童話の一シーンを彷彿とさせてくれるような印象を与えてくれました。

_Canon35mmf2_009.jpg
九枚目のカットですが、岩屋洞窟へ降りる階段付近まで行ってから、また今度は反対時計回りで辺津宮経由、ヨットハーバー方面を目指すため歩いていたら、サムエルコッキングガルテン手前の和風茶屋にイイ加減に陽が射していたので、通行人もろとも一枚撮ってみたもの。
これだけくっきりとハイコントラストに上がってしまうと、やはりフィルムっぽくは見えなくなってしまい、デジタル臭さが顔を出すというひとつの限界サンプルになってしまったかの感アリのカットでした。

_Canon35mmf2_010.jpg
十枚目のカットですが、辺津宮から江ノ島大橋に向かう参道の中ほどで、親子連れであーんちて!をおおっぴらにやっていた方々が目に留まったので、さっそく、あの~、お父さんにあーんちて!やってるとこ撮らして貰えませんか、イヤ、怪しいもんぢゃ決してありませんので・・・とかお願いしてみたら、ホラこの通り、ということで一枚戴いたもの。
いやはや、迫真の演技ですね、ご協力有難うございました、こんな見ず知らずのアヤシゲなカメラマンの唐突な要求にもイヤな顔ひとつしないで応えて戴いて。
このカットは前カットに比べれば、だいぶ、欧州のモノクロフィルムっぽい雰囲気を醸し出しているのではないでしょうか。

_Canon35mmf2_011.jpg
十一枚目のカットですが、ヨットハーバーへ向かう道の側道、一本山際の裏通りの寂しげな様子です。
江ノ島は関東の、いや、日本でも屈指の有名な観光地で、土日ともなれば、観光客でごった返すようなイメージがありますが、この地元民の生活道路は、平日も土日も、いつもこんなカンジで、どこの海辺の町にでもあるようなありきたりの日常感がそここに漂っています。

_Canon35mmf2_012.jpg
十二枚目のカットですが、もう地方といえど大きな都市では全滅しかかっている「よろず屋」的な商店の佇まいです。
殆ど人通りのない通りでしたたが、それでも、地元民や、民宿の宿泊客、そして魚釣りにきた観光客目当てに零細商店は幾つか軒を並べており、ただ、奥に入り込んでいるのか、店先に人気がないので、たまたまヲッサンが居た店が有ったので、軒先から、一枚撮らして貰いますね♪と声掛けて撮ったものです。
何故か幼少の頃の昭和の香りが漂う懐かしいカットになったと個人的には思いました。

_Canon35mmf2_013.jpg
十三枚目のカットですが、もはや定番撮影スポットの感有り有りの小田急ヨットクラブの風景です。
カラーだと、クラブハウス兼管理事務所の水色をはじめ、立て掛けたヨットの淡いパステルカラーが空に映えるのですが、モノクロだと濃淡でしか表現出来ないので、また違った印象となって面白いのではないでしょうか。
でも、このCanon35mmf24のなだらかなボケによる奥行き感の表現方法には目を奪われたのもまた事実です。

_Canon35mmf2_014.jpg
十四枚目のカットですが、ヨットハーバー方面から江ノ島大橋方面のメインストリートを歩いていたら、駐車場の道路際フェンスギリギリの区画に、最新型のプジョーのスポーツクーペが停まっていたので、その先鋭的な造詣をどうしたら端的に表現出来るものかと考えて撮ったカット。
カーボンファイバー風のルーフ枠の質感、そしてグラマラスで艶やかなボディラインに映り込んだ冬の江ノ島の光景がとても対照的で面白いカットではないかと思いました。

_Canon35mmf2_015.jpg
十五枚目のカットですが、いつも店先の錆びた自転車を撮らせてもらうカフェの店先にずいぶんと古い佇まいの雰囲気有るバイクが停まっていたので、それをモチーフに一枚撮ってみたもの。
エンジン下部をもうちょい入れて、上をも少し切った構図にすれば、まるで気の利いたインテリア用ポスターぢゃね!?とか思いましたが、これが素人の悲しいところ、R-D1sのブライトフレームではなかなか近距離でそこまで厳密なフレーミングは至難の業なのです。

今回の感想としては、やっぱり、R-D1sのモノクロは面白い。しかも、見たままを忠実に写し取ろうとしてしまうカラー撮影に比べ、モノクロでは、寧ろ、目の前の空間をデザインして撮ろうと、見せ方に一捻りも二捻りも考えて工夫しますから、或る意味、頭の体操にもなりんぢゃないかと思いました。

さて、来週は海外渡航で一週間スキップ、年内はあと一回の更新となります。何が出るかはお楽しみ!! 

テーマ:モノクロ - ジャンル:写真

  1. 2013/12/15(日) 19:57:19|
  2. 街撮り写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

10枚目のカットがすべてを物語るのかな、と。

Charley944さん
お疲れです。

X100モノクロ設定のアドバイスありがとうございます。
画素縮小ってのは気づきませんでした。
良く考えれば、X100はCMOS搭載ですし、画素数も1200万画素とR-D1系列の倍ですから、半分に減らさないといけませんな。

なお、あっしもファインダーがついてないと納得いかん人の様なので、X-A1よりX-Pro1の方が魅力的に見えますわ。

さて、EOSのカットとはガラッと違うR-D1モノクロカットの印象ですけれども、元々R-D1を一緒に持って行くとそっちで良いカットを撮るじゃないですか、という突っ込みは置いといて、10枚目のカットの様に家族の情景をアップで納めるってのはRF機ではかなり難しいと思うのですけど、距離感を体で覚えている分、リズミカルに撮っている様に感じますよ。
EOSの方ではこういうカットはあまりなくて、このカメラとレンズの組み合わせではどう映るだろうかってところに重きを置いているでしょうから、どうしても違いは出ますわね。
これがX-Pro1だったらまた違ったカットになったのではないかと思うところです。

それにしても、R-D1のモノクロはすごいだろ~?ワイルドだろ~?とこのブログで記事をアップし始めてから、巷の中古品から安値のR-D1とかR-D1sが消えて行ってますよ。
どれだけ注目されているのですか、このブログ(笑)

まあ、その内モノクロ専用機に飽きて中古市場がまた賑わう頃に自分もR-D1s辺りをゲットしますかねえ。
  1. 2013/12/16(月) 20:38:17 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:10枚目のカットがすべてを物語るのかな、と。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
まずは、少しでもベストモノクロモード試行錯誤へのヒントとなれば幸いです。

それから、このR-D1sでのモノクロモード、速い、旨い、キレイでちょっとクセになりそうでヤヴァイカンジになってきましたわ。

確かに国産の古レンズの活用という観点では、少なくとも距離計連動しないアダプタを使う前提ではR-D1sの出番はまず無いのですが、距離計連動し得るレンズであれば、まさに体の一部と化してかなり難しいカットでもモノに出来るんぢゃまいか、と改めて思った次第。

でも、二人でこんなやりとりしたら、益々、市中から姿消しちゃうんだろうな(苦笑)
  1. 2013/12/17(火) 23:30:29 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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