深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A port of deer~鹿港旅情’13①~

新年あけましておめでとうございます。
旧年にも増して、本年もご贔屓のほど、宜しくお願い申し上げます。

ということで、今年一発目のアップは昨年末の予告通り、台湾中部の旧跡、「鹿港」をモノクロフィルムでスナップ三昧した中から厳選30枚を今週、来週の二週に分けてお送り致します。

もう一回、行程をおさらいしますと、台北滞在三日目の12月22日、台北から午前11時半ちょうどの「のぞみ」相当の高速鉄道に乗り、12時19分には、最寄駅である「高鉄台中駅」に到着したのはしたのですが、何せ、二日目の朝以降の体調絶不調状態から少し回復した程度で、歯痛と胃痛、そしてヘタしたら下痢も再発しかねないリスクを抱えた遠出だったので、調子こいて現地の名物と称する摩訶不思議な食べ物なんか食べて、台北に戻れなくなったら大変なので、まずは腹ごしらえということで、駅構内のロイヤルホストでグラタン180NT$なんか戴いて、ご丁寧に別の席の195NT$の勘定書と間違えられてたのを、バスに乗ってから気付くという、普段では有り得ない状態で着いてから1時間半近く経ってからの2時過ぎ発のバスで鹿港に向かったのです。

で、バスは途中の大きな街、彰化を経由し、約1時間掛けて、鹿港の町の「老街」の停留所に着きました。

何せ、ガイドブックは台北周辺のことしか載っていないし、会社で事前に調べたプリントは宿に置いて来ちゃったし、まさに標識と勘働きのみを頼りとする、徘徊的スナップを午後の陽も傾きかけた3時過ぎから始めたのでした。

カメラはZeiss Ikon ZM、フィルムはKentmare100EX36、レンズは前編では全てLeitz Elmarit28mmf2.8 3rd. Gen.での絞り優先AE、開放撮影です。

では、当日の行動に沿って、実写結果前編を見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、老街のバス停で降りる直前、高い位置にある窓から辺りを見渡し、人通りの多そうな裏通りを見当付けておいて、降りるや否や、そこを目指し、入口付近で賑わう露天周辺を撮ったものです。

28mmなので、かなり寄ってのカットですが、アクセサリ選びに夢中な現地の小々姐は、撮られていることに全く気付いていませんし、傍らのオモニも無頓着で、嫁入り前の大切な娘がアヤシゲな異邦人にカメラを向けられているのも何処吹く風です。

まさにこんなオープンなところが、古い港町の気風なのではないかと思った次第です。

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二枚目のカットですが、ふと迷い込んだ裏通りですが、そこそこ人通りもありますし、また露店やら、屋台やら、はたまた民家の軒先でガレージセール宜しく手工芸品なんか商っている人達で溢れていたので、この通りをそのまま進むこととし、そこでふと横に目を向け、如何にも古そうな雰囲気の路地が目に留まったので、一枚撮ってみたもの。

この後、「掏乳巷」という狭いことで有名?な路地を訪れますが、この何気なくカメラを向けた名も無き路地も、家屋の壁はきちんとペイントされ、ご丁寧なことに石畳の舗装までされていて、日本の都会にありふれた単なる家と家の隙間などではなく、ここも生活道路の一部なのだと、改めて認識した次第です。

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三枚目のカットですが、裏通りの途中で交差した表通りがちょうど、道教の廟のような施設の門前市のようになっていて、大そうな人出で賑わっていたので、その様子を撮ってみたもの。

台湾は北回帰線を境に北部は亜熱帯、南に位置する、ここ鹿港は熱帯に属しますが、この広場を行き交う人々は一様に防寒着を身に纏い、みな寒さで何処となく浮かない表情で歩いているのが印象的でした。

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四枚目のカットですが、表通りからまた奥の方に伸びる裏道へ戻り、何か面白いものは、と目で追いながら散策している際に見つけた、クラッシック飲料?の屋台です。

ただ屋台だけ撮っても面白くは無いので、地元民が通るのをじっと息を殺して待ち続け、朋友と談笑しながら歩いてくるローカルカップルご一行様のご到来に合わせてシャッターを切ったという次第です。

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五枚目のカットですが、先に撮影させて貰ったクラッシック飲料のすぐ近くに店を出す、たぶん干し豆を煮たローカルフードみたいなものを商う屋台の前で、ギャルソンの手元をじっと凝視する極小姐とオモニの姿を一枚戴いたもの。

面白いことに小生が一枚撮り終わって、その場を立ち去ろうとしたら、周りの観光客と思しき人々が、思い思いに手にするスマホンでこの屋台の様子を撮り始めたのでした。

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六枚目のカットですが、裏通りを進んでいたら西側に寺院を中心としたお祭り広場みたいな場所があり、そこの入り口辺りでわた飴なんざ味わう童子が居たので、目も合ったことだし、歩み寄ってみたら、向こうも「ヲっさんも味わいたいんかいな?」とか言いたげに、わた飴片手に近寄ってきたので、傍らのヲヤヂさんに声掛けて、OK! OK!ということで、一枚撮らして貰ったもの。

この童子、なかなか撮られ慣れしているというか、その胆力は相当なもので、見知らぬ異邦人がかなり至近距離でカメラを向けて、異国の言葉で「ほれ、こっちゃさ向いてけろ!」とか声掛けているのにも関わらず、全く動じず、わた飴越しに鋭い視線を投げて来ているのですから。

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七枚目のカットですが、その素人のど自慢大会みたいな特設ステージさえ設置されたお祭り広場にて、長閑に遊ぶローカル小々姐越しに清時代のものと思しき古建築を撮ってみたもの。

この小々姐達も、先のわた飴同時のい負けず劣らず豪胆なもので、28mmレンズでかなりの接近戦で撮っているにも関わらず、何処吹く風で、シャボン玉遊びなんかしているのですから大したものです。

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八枚目のカットですが、やはり同じ広場のはずれの乳母車の上でゴキゲン状態の双子ちゃんをあやすオモニに声掛けて、その様子を撮らせて貰ったもの。

日本ではお子さんの写真撮らせてとか声掛けると、時にはヒステリックに「何で撮るんですか!?」とか過剰反応する親御さんもまま居りますが、ここ台湾では「好、是!」ということで快諾して貰えることが殆どです。

しかし、万国共通なのは、お年頃の小姐に撮らせて、とか声掛けると「ハズぃからやだよ!」とか頻度の差こそあれ、断られることがままあることです(苦笑)

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九枚目のカットですが、同じく広場のほとり、とある物販店の壁面にもたれ、華南固有の訛りか、げこげこ聞こえる中国語でスマホンにがなり立てていた小姐の通話の終わりを見計らい、一瞬、虚脱状態となった隙を突いて、写真撮らしてと声掛けてモデルさんになって貰ったもの。

さっきの電話での厳しい表情は何処へやら、日本から写真撮りに来たとか云いながら撮らせてもらえば、ほーら、こんな笑顔で画面に納まってくれました。

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十枚目のカットはこの広場の南側に清の時代の倉庫をリニュアルしたと思しき、建造物が在ったので、冬空の高い雲も入れて一枚撮ってみたもの。

モノクロフィルムは、カラーに比べ、情報量という観点では圧倒的に不利ではありますが、どうでしょう、この100年以上の風雨を耐えた漆喰の壁の模様、テクスチャ・・・時間の長さを無言ながら雄弁に物語っているように思えました。

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十一枚目のカットですが、広場を後にし、また元の「老街」のバス停方面へと別の裏通りを辿りながら、思いつくまま街並みを撮影していたら、一旦通り過ぎた家族連れのわんぱく坊主がダッシュで戻って来て、ヘンテコなポーズしながら、如何にも、撮ってけろ!と目配せするので、苦笑しながら一枚撮ったもの。

この後、飛び入りモデルの童子に手を振って、「謝々」とか声掛けたら、わんぱく坊主はよほど嬉しかったのか、両手を上げて振り回し、「ひゃっほ~ぃ」とか奇声を上げながら、ぴょんぴょん飛び跳ねながら、一家の元へと駆け戻って行ったのでした。

もしかして、日本人とはバレバレで、B級ゆるキャラ「ふなっしー」のモノマネでもてなそうとしたのかも知れません(苦笑)

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十二枚目のカットですが、ホスピタリティに富んだ?童子の登場に度肝を抜かれながらも、裏通りを注意深く歩いていたら、如何にも古そうな木戸にこれまた古風な筆跡で詩歌みたいな対句が書かれていたので、周りの煉瓦造りの塀ないし壁と一緒に撮ってみたもの。

こういった古い時代の痕跡がそこかしこに点在するのが、まさにここ鹿港の真骨頂であり、同じく台北からの日帰り観光地として並び称される九份ですら、観光地化が進み、まず一日徘徊しても、見つけることは困難で、もっと山奥で俗化していない金瓜石の地元民の暮らす集落の裏通りくらいにしか残っていないのではないかと思いました。

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十三枚目のカットですが、この木戸の詩歌?の数十メーター先にも古めかしい煉瓦積みの塀というか壁面が裏通りに面して残っており、ここもえもいわれぬ佳き風情が漂っていたので、一枚戴いたもの。

マカオでもそうでしたが、異国の路地裏のこんな100年以上も経っているような煉瓦積みの壁面の傍らに佇んでいると、ヨーロッパの石造りの街並みの裏通りともまた異なる不思議な郷愁に囚われるのですが、これがまた時折、ふと海外へ出かけたくなる衝動の根源のひとつなのかも知れません。

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十四枚目のカットですが、煉瓦造りの壁面の前で暫し、感傷に浸っている小生の前を華南訛りのげこげこ中国語で盛大に語らい合いながら通り過ぎて行く一団が居たので、無人の裏通りばかり撮るのも芸が無いので、即席後姿モデルとなって貰ったもの。

後で見返してみれば、遠景のビルの姿、画面中央奥のビル屋上のアンテナ、そして手前建物壁面の室外機が無ければ、清の時代にタイムスリップした現代人、みたいなモチーフとなり、もっと面白かったのではと思うことしきり。

Lukan_015.jpg
十五枚目のカットですが、周囲に注意を払いながら裏通りを歩いていたら、交差する路地で、買い物帰りと思しきローカル夫婦者二名が、買い物袋を渡しがてら、何かしら話し込んでいて、その影が淡く路地に伸びていたのがイイ感じだったので一枚戴いたもの。

この時点ではまだ一時間も経っていなかったのですが、思ったことは、日本ではまだ木造建築が主体のため、延焼予防ということで、古い木造密集地帯は防災の錦の御旗のもと、次々取り壊され、区画整理で一見、広々、整然とした町並みに産まれ変っていますが、ここ鹿港では大陸型の寒冷、少雨、低湿度を前提とした北京辺りの建築様式をそのまま持ち込んだらしく、石造ないし煉瓦造が主体なので、少なくとも延焼の危険性は極めて低いため、今に至るまで歴史的建造物は、生活道路としての狭い路地共々生き延びたということなのでしょう。

さて、次回更新は鹿港後編ということで、同じくZeiss Ikon ZMにKentmare100EX36を詰め、Angenieux35mmf2.5改M、そしてフィルム初体験のKowa Prominar50mmf1.4改Mでの撮影結果をお送り致します。乞うご期待。
 

テーマ:旅の写真 - ジャンル:写真

  1. 2014/01/05(日) 19:56:32|
  2. 旅写真
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いかん、行きたくなってきた。

台湾、良いですね。
皆さん撮られ慣れているというか、警戒感がなくて良い表情が、その瞬間がしっかり収まってますわね。

その割にフィルムの影響なのか、それともElmaritの影響か、フィルム・ノワールっぽい雰囲気も出てますし。特に街区の撮影で。

今までの台湾旅情シリーズとは一味違う印象を持ちました。
やはりRF機だと、目線が合うからかコンデジと間違えられるからかは判りませんが、自然体ですよねほとんどの表情が。

それにしてもこういう写真を眺めていると台湾に行きたくなって行けませんわ。
早いところ諸々の用事を3月までに片づけてしまわないとねえ。

話変わりますけど、15枚目は影をもっと濃く出す方が良いのかそれともこれくらい淡い影の方が良いのか迷いますね。
  1. 2014/01/06(月) 21:28:52 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:いかん、行きたくなってきた。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

そうですね、声掛けて撮ろうとすると却って恥ずかしがって逃げ出しちゃう童子達もいるのですが、知らん顔してカメラ向けても、ご覧の通り、妙に度胸が据わっているか、かなり「空気の眼」みたいな雰囲気で撮れることが多いですね。

某国みたいに、撮る前までは親が知らん顔してて、シャッター押した途端に金切り声でヒステリックに、何で撮るのか、すぐ消せ!とか騒ぎ立てるような、馬鹿げた現象は皆無です(笑)

次週のアップでもその典型例が挙がりますが、この国の人たちは、基本的に写真に撮られることは好きと考えて差し支えなさそうですし、それでこそ、気味地良く撮影旅行なんざ出来るのではないでしょうか。

貴家族旅行でもちょっと足を伸ばして、那覇より先の台北なんか行かれたら、楽しいんぢゃないかと思います。

それから、最後のカットですが、難しいんですよねぇ、影を濃く見せようとしたら、現場で眼で見たのとは異なり、人物二名が完全にシルエットになっちゃうし・・・

自分ではこのくらいが妥当な落としどころではないかと思っています。
  1. 2014/01/07(火) 23:48:13 |
  2. URL |
  3. charley944 #-
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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