深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A benchmark of my atelier's products~F.M.A.O.40mmf2.3~

FMAO40mm.jpg
さて今宵のご紹介は約二年前に開発完了しながら、それこそ影武者のように、新作レンズの伴走機のレンズとして、それらの描写性能、操作性等の比較評価用として活躍して来た、F.M.A.O.(Fukagawa Most Advanced Optic)の称号を持つ、Baltar40mmf2.3改Mの堂々お披露目です。 

何処がAdvanced(先進)なのかと云えば、ディズニースタジオのキャップが付いたガタガタのミッチェルマウントのハウジングに入った玉は、硝材は大変良さそうだったにも関わらず、手入れがされていなかったのか、前後玉は汚れ放題、絞り羽根も油まみれだったので、ハウジングからエイヤっと取り出し、バラして中のエレメントを全部クリーニングの上、コバ塗り、内面反射防止のグラファイト系塗料塗布をやって組み直し、そしてMマウント用のヘリコ&マウントアッセンブリに組み込む際の固定方法を当工房初のキャノン製L39レンズ方式としたのです。

更に、このレンズブロックには当然、フィルタ枠なんか無いですから、工房ストックのヂャンクパーツから、エクステンションリング削り出し、43mm径のフィルタを装着出来るようにしたものです。

また、このレンズブロック、Baltar40mmf2.3自体の氏素性は他の50mmや35mm同様、米国のBausch & Lomb社がハリウッドからの要求に対し、U.S.Goertz社にOEM供給を仰いだもので、おそらく1960年代半ばから後半の製造と思われる、4群6枚のオーソドックスなオーピックタイプです。

では、この工房の隠れた実力レンズの性能を見て参りましょう。

カメラはM8、ロケ地は昨年の旧正月のソウル、全コマ開放の絞り優先AE撮影です。

FMAO_01.jpg
まず一枚目のカットですが、ソウル屈指の史跡、景福宮の敷地内にある国立民族博物館へ向かう道すがらの様子です。
この日は日中でもマイナス10℃近くまで気温が下がっていて、シネレンズの性能を以てしても捉えられませんでしたが、前を歩くオモニとプチアガシ2名の3人組は相当盛大に白い呼気を上げていたのが印象的でした。
しかし、大陸の真冬の乾燥した大気は空を何処までも青く見せていたのがとても印象的でした。


FMAO_02.jpg
二枚目のカットですが、民族博敷地内の移築故民家の外観を写してみたもの。
ここでは、戸口に貼り出された「立春大吉」のスローガンにピンを合わせていますが、乾いた大気中だけあって、年月を経た木造建築の枯れた質感、瓦一枚一枚の表情を余すところ無く捉えていると思いました。また、手前の積雪も日光を照り返していましたが、それほど著しいフレアを纏った前ボケにならず、肉眼で見たものに近い雰囲気と思いました。

FMAO_03.jpg
三枚目のカットですが、民族博敷地内の石造で戯れるいたいけなプチアガシを撮らせて貰ったもの。、
博物館敷地内には児童公園みたいなものがあって、そこにも、きちんと歴史的な意匠を活かすべく、工夫が有って、メルヘンチックな石造のサークルも良く見れば、可愛らしくデフォルメされた十二支であったりして、童子達も大喜びのご様子でした。

FMAO_04.jpg
四枚目のカットですが、当日は韓国旧正月だったので、博物館敷地内でも様々なイベントやってて、その中で、韓国の伝統的お菓子を販売しているブースに滞在中で見かけた中で一番の美形アガシが居たので、テント脇から、まずご挨拶代わりに一枚戴いたもの。
誤解を恐れずに申し上げれば、このアガシ、全然韓国人っぽくなくて、日本人の留学生かとも思いましたが、韓国語で話し掛けてみれば、生粋の韓国人、で自己紹介したついでに博物館の向こう正面に出て来て貰って、ポートレィトをばっちり撮らして貰い、それが今回の写真展のひとつの目玉となったってヲチです。

FMAO_05.jpg
五枚目のカットですが、博物館正面で突っ立ってると、結構、老若男女、民族衣装であるチョゴリを着て博物館に入ったり、出て来たりしていたので、カメラを2台提げた不振な外国人のヲッサンと思ったか、小生の周りで遊びながら、こっちをチラチラと見ていたプチアガシ姉妹のオモニが来たのを良いことに声掛けてモデルさんになって貰ったもの。
そんな経緯ですから、撮影に協力的なのは云うまでもなく、後から来た爺サマという老人が、達者な日本語で「孫達は日本が本当に大好きなんですよ、お隣の国同士なんだから、仲良くするのが一番ですよね、ホント」とか笑顔で正論を述べ、それぢゃ失礼します、と一家で歩き去って言ったのが印象的でした。

FMAO_06.jpg
六枚目のカットですが、景福宮の外に一旦出て、塀沿いに歩いている途中見かけた、スナックの屋台周りの様子です。
ソウルもやはりアジアだけあって、街中、至るところでこういう食物やら、帽子、ストッキング、或いは海賊版も含めたスマホンのケースみたいなものが、舗道上や道路の隅に出ているのを見かけます。
この屋台は、五平餅みたいなものと、豚串、みたいなものをグリルで炙って、道行く人々に売っていたようです。

FMAO_07.jpg
七枚目のカットですが、景福宮の南門である、光化門前の衛兵と一緒に記念撮影をしていた中国産極小姐の姿をカラフルな衛士もろとも撮ってみたもの。
いつ韓国に行っても感じるのですが、本当にこの国の色使いは、同じアジアの中でも特異ではないかと思いました、キンキラ文化とも思われるタイですら、こんな1km先からでも見分けが付くようなコスチュームの衛士なんか居ないし、ましてや、中国、日本はもっと地味です。
しかし、NHKの韓国時代劇「トンイ」など観ていると、同じようなカッコの衛士が頻繁に出てくるので、今の世の観光用にデフォルメしているのでもなさそうです。

FMAO_08.jpg
八枚目のカットですが、光化門から少し東に移動し、光化門を遠景に入れた周辺写真を撮ろうと待ち構えていたら、如何にもソウルの冬支度!てなカッコで足早に歩き過ぎるアガシを見かけたので、追いかけて声掛け、モデルさんになって貰うのも、午後には飛行機に乗って帰る身にはもどかしく、ちょいと追尾して、背後から一枚戴いたもの。
冬支度がバッチシ決まったアガシの姿は極めてシャープに描かれていますが、背景の光化門も、更にその後方の雪景色の小高い山の様子もなだらかにボケ、イイ案配の画になったのではないかと思いました。

実はこのツアーの後、機材の点検、整備をしていたら、さすがに気温マイナスとスチームガンガンの地下鉄駅構内やデパートなどを行き来したので、このレンズも中のエレメントに曇りが残り、条件によっては不本意なフレアが頻発するようになってしまったので、しばし休息中だったのですが、昨年、大掃除後の手持ち無沙汰にまたバラして大掃除したら、蒼い眼をしたお人形はアメリカ産まれのセルロイド♪ばりに美麗な状態になったので、また今週から大活躍です。

さて、来週は4日から始まる「第7回ノンライツRF友の会 写真展@日本カメラ博物館Club25」出展作品のオンライン大公開を行います。乞うご期待!!

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2014/02/02(日) 17:33:56|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

青の色が良いですね。

Charley944さん
お疲れです。
これM8だと換算で60mm位の焦点距離でしょうか。

ここのところ自分もBALTARでの作例を出してますが、これはまたちょっと違った色合いですね。
青がきれいに出るのはすごいなあと。
雪景色のソウルが色鮮やかになるのは、さてM8のCCD故か、はたまたBALTARのおかげかと考えてしまいます。
しかし、それだ結露の激しいところに持って行ったらレンズだけでなくM8本体も結構大変だったのではないでしょうか。

こちらは雪景色にはもっぱらX100とかX-Pro1ですね。あれなら結露にも強そうですし。
  1. 2014/02/03(月) 00:12:26 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

素性が良いせいなのか非常に緻密な描写で、ぼやけた背景まで緻密感を感じます。

コーティングが古いせいかそれほど現代的な抜けの良さ感はありませんが、コントラストが適度なので冬の斜光でも色のス抜け感がほとんど見られないのが、画面描写を均一にして見やすいものです。
それでも、照り返しの反射光にも強いものですね。

バルター風のこってりした黄色とか赤系の色とかが、とても特徴的だと思いました。

個体差ってやっぱり大きいなーと、再確認した次第です。
  1. 2014/02/03(月) 19:55:29 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

Re:青の色が良いですね。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

そうですね、原色系の勿論艶やかに発色してますが、遠い空の蒼のグラデーションにも魅せられたのもまた事実です。

たぶん、中を開けて、全面、八丁畷の修理業者さんご提供の特製クリーニング液でクリーニングの上、前、後玉のコバ塗りを行い、絞りアッセンブリ前後の黒染め真鍮金物剥き出し箇所にグラファイトコートしたのがかなり効いているのではないかと思いました。

でもやっぱり、コダック製CCDとUS.Goertz製のシネレンズという米国製品同士の相性も良かったのではないかとも思いました。
  1. 2014/02/03(月) 22:21:21 |
  2. URL |
  3. charley944 #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
確かにハイパーロモ35mmf2の破壊的なまでの解像力、発色の艶やかさと並べてみれば、年齢相応の描写力の差は顕著かも知れませんが、それでも、貴兄の云われる通り、程好いコントラストや画面全域に亘る画質の均質性、そして色バランスの中庸さがとても心地よい鑑賞感をもたらしてくれるのでは、と思いました。
  1. 2014/02/03(月) 22:25:23 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

懐かしい風景で、初めてソウルに行ったのは遥か昔で未だ抜き打ちの空襲警報が鳴る時代でした、景福宮の敷地内にある国立民族博物館の傍で突然サイレンが鳴って車居ないし人も居ない状態でしたが理解出来ずに歩いていたら民警に怒られた思い出が有ります。
其のころから観ると相当整備修復等が為されたのでしょう?
色の使い方は日光東照宮の陽明門に通じる物が有ると当時は思いましたが、

でもさすがのバルター、原色に近い色の発色は見事です。
  1. 2014/02/04(火) 16:59:48 |
  2. URL |
  3. hiro #xPR/ZykM
  4. [ 編集]

や、韓国というか朝鮮には布を染める技法が無くて、入ったのは日本統治時代なので、ドラマとかは全部脚色です。史跡といっても朝鮮戦争でほとんど灰燼と...

しかし、赤が赤、青が青にでるレンズでしかし、六枚目の瓦上の雪のように、突然微細なコントラストを出す...うーん。素晴らしいです。
  1. 2014/02/05(水) 11:41:01 |
  2. URL |
  3. JY #1Nt04ABk
  4. [ 編集]

hiroさん
有難うございます。
亀レス申し訳ありませんでした。

写真展ご来臨、重ねて御礼申し上げます。

おかげさまで写真展も無事終了し、早くも次の8月の写真展のプラン構想に入ってます(笑)

そうですね、実は小生もソウルへの訪問は27年ぶりくらいなのですが、全く別の街みたいなカンジでしたね。

さて、また27年経った頃、この不世出の銘玉が捉えるソウルはどんな街になっているのやら・・・
  1. 2014/02/09(日) 23:29:26 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
写真展お疲れさまでした。

そうですね、Baltarはドイツやイギリスのシネレンズに比べたら知名度低いですし、それこそ、50万円以上する銘玉、珍玉がひしめく中では、かつてはロシア物と同程度の安値で細々と商われていましたが、この写り、まさに独力で鉱脈を発掘したキブンでした。

またこんなカンジの発掘が出来ることを心から願っています。
  1. 2014/02/09(日) 23:32:59 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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