深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Like a Poltergeist!!~Porst50mmf1.2~

Porst50mm-1.jpg
さて今宵のご紹介は、予告通り、工房附設秘宝館からいきなりの大物、旧小西六製のレヴィアタンことAR Hexanon57mmf1.2と相並び、バケモノじみた描写性能を発揮するPORST50mmf1.2の登場です。

このドイツの写真機材業者PORST銘で売られていたボディ、レンズとも、80年初頭では、富士フィルムが自社製品と同じAXマウントで供給しており、この50mmf1.2もご他聞にもれず、もはや超レアアイテムと化し、同時期のニコン、キャノン、ミノルタ、アサペン、オリムパスの球面50mmf1.2よりも中古相場が高くなってしまっているフジノンAX50mmf1.2のOEM版です。

構成は7群7枚ということで、プラナー派生型が多い一眼レフ用交換レンズとしては珍しく、貼合わせ面皆無のユニークな設計となっています。

なお、このレンズ、AX→Mの非連動アダプタですら発売されていないので、またしても工房にてワンオフで製造したもので繋いでいます。


では、早速実写結果見て参りましょう。撮影条件は例に拠って例の如く、全コマ開放、ロケ地は、いずれも昨年秋の撮影で、1~7枚目までが江ノ島、8~10枚目が佃島となっています。

Fujinon50mmf12_01.jpg
まず一枚目のカットですが、江ノ島の「あの鐘を鳴らすのはアナタ」という海の見える丘の上の鐘を午後の穏かにたゆたう海面をバックに撮ってみたもの。
デジタル固有の現象として、輝度差の大きな輪郭部には、被写界深度の浅いレンズということもあり、極僅かにパープルフリンジ的な線も見えなくはないですがそれでも、これだけ、ハロもなくクリア且つシャープに写るのが、40年近く前の市販レンズというのは驚きです。

Fujinon50mmf12_02.jpg
二枚目のカットですが、この鐘の鳴る丘の鐘台座部に有る「恋人を一生拘束しまっせ」とかいう世にも恐ろしい弊習を具現した、鍵だらけのフェンスを被写界深度の浅ささを示すため撮ってみたもの。
ピンが合っているゾーンだけ帯状にキチンと結像し、当然のことながら、アウトフォーカスの前後はボケていますが、シャープさのお釣りとして、後ボケは結構ざわついた二線ボケ大会と化してしまっています。

Fujinon50mmf12_03.jpg
三枚目のカットですが、岩屋洞窟方面へ降りる「行きはヨイヨイ、帰りはコワイ」階段へ続く道沿いにある瀟洒な茶店前で、いたいけな小姐2名が入ろうか入るまいか、青春に付きものの迷いを体現していたので、これ幸いに、とお店の佇まいもろとも一枚戴いたもの。
画面は小姐達のお召し物をはじめ、反射度も低く、色も黒から暗色系統だったので露出はプラス目に掛けたのですが、そのお釣りで縁台上の白いビニールパックの餅菓子上の物質のテクスチャがフレアとともに吹っ飛んでしまいました、

Fujinon50mmf12_04.jpg
四枚目のカットですが、愛すべき写友のSundayphotograperさんが、たびたび、近所の郷社のうさぎ像を登場させてくるので、それに対する返歌として、かめ像の登場です。
最短撮影距離付近で、ピンは鼻先に合わせていますが、極めて薄い被写界深度のエフェクトで、あたかも「安堂ロイド」のウージングアウトで時空の歪から実体化してくるようにも見える面白い画になったのではないかと思いました。

Fujinon50mmf12_05.jpg
五枚目のカットですが、岩屋洞窟からサムエルコッキング園方面へ戻る双丘の階段辺りで被写体を待っていたら、如何にも健康さが売り物ですよぉという雰囲気の関西からの小姐2名が横を通り過ぎていたので、EVFで追尾しながら、頃合いを見てシャッター切ったもの。
開放から十分シャープなのは云うまでもないですが、歩行の瞬間を高速シャッターで的確に捉えていて、しかも大口径特有の擬似望遠効果でなかなか風情の有るカットになったのではないかと思いました。

Fujinon50mmf12_06.jpg
六枚目のカットですが、この江ノ島では捨て猫が多いことが有名なのですが、このサムエルコッキング園近傍もご他聞に漏れず、猫の一大棲息地になってまして、石垣の上から獲物を狙うが如き鋭い視線で睨んでいたのを睨み返しつつ、えいやっと一枚撮ったものです。
EVFの10倍クロップ拡大による精密射撃ですが、まさに猫の瞳に合わせたら、背景のブッシュも、手前の石垣もボケて、ちょっとしたネイチャーフォトのテイストになったのではないかと思いました。

Fujinon50mmf12_07.jpg
七枚目のカットですが、片瀬江ノ島の海浜公園で遊ぶ親子連れが目に留まったので、そうそう、この日は人物一回も撮ってなかったなぁ・・・とか思い、ノルマを果たすべく、「なかなかモデルさんになってくれる方が見つからなくて」とか愚痴めいたリクエストをたら、私達でよければどうぞ、と快く撮らせて戴いたもの。
ピンはいたいけな極小姐の眼で合わせていますが、何せ頑是無い乳幼児のこと、せわしなく動きますから、シャッター切った瞬間、後ろにズレ、ヲヤヂさんの幾星霜経た貫禄有るご尊顔のテクスチャの精密描写になってしまったというヲチ。

Fujinon50mmf12_09.jpg
八枚目のカットですが、江ノ島訪問の翌週、写友Sundayphotograperさんと月島、佃界隈撮ってたとき、佃の舟溜りの救命用浮き輪がイイ年月経てたので、オブジェとして一枚撮ってみたもの。
ここでもEVFによる10倍クロップ拡大モードでの精密射撃ですが、全くf1.2クラスに付きもののハロがなく、却って、背景がシャープさのお釣りとも云える、芯有りのざわついたボケというのが意外性有って面白いと思いました。

Fujinon50mmf12_10.jpg
九枚目のカットですが、佃では超有名な中華の名店「麗江」さん店頭に整列した甕汲み出し紹興酒の空き甕をオブジェとして撮ってみたもの。
まさにこの甕の行列みたいなものが腕の優劣が出るような被写体ではないかと思い、いつも、出かけるたび、違うレンズで撮る角度や構図変えて、練習のつもりで撮るよう心がけています。

Fujinon50mmf12_11.jpg
十枚目のカットですが、「麗江」で甕を撮ってた遥か先、佃小橋上で七五三の記念写真撮ってた家族が居たので、ダッシュで駆け寄り、親御さんに出演交渉し、モデルさんになって貰ったもの。
しかし、作業服来た、目つきの鋭い中年ヲヤヂに巨大なレンズを向けられ、本能的に危機感を感じたか、傘を持つ両手で何かガードしているような、また硬い表情のカットになってしまったのが残念でした。

今回の感想としては、やはり高性能EVFが売り物でミラーレスにあっては比較的大ぶりでホールド性の良いX-Pro1でこそ、何とか街中スナップで使えますが、やはり被写界深度も極端に浅く、またX-Pro1の1/4000ではピーカンの日中では苦しいかも知れないようなので、難度の高いレンズだと改めて思った次第です。

さて、来週はローテ通り、工房作品のレンズ紹介いきます、何が出るかはお楽しみ、乞うご期待!!

テーマ:街の風景 - ジャンル:写真

  1. 2014/02/14(金) 23:00:49|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

ありゃ、あの時も持ってこられてましたか。

Charley944さん
お疲れです。
新潟はすんごい吹雪でした。
湯沢のスキー場も閉鎖されるくらいの大雪で、あっという間に至る所に降り積もってましたね、雪。

それはそうと、PORSTは50/1.2も出していたのですか。結局フジノンのOEMってことで片が付いたのですね。一昨日見せていただいた時も、室内撮影でしたがハロがAR57/1.2よりも出ず、きれいに映ってましたし、条件次第では勝てる様にも思いましたねえ。
フジノンAXマウントのアダプターさえ出れば、こういうレンズもお手軽に使えるのですけどねえ。
昨日CP+でKIPONのツイードのコート来た若社長にプッシュしとけばよかった(笑)

あと四枚目の亀の写真は良いですね。
調神社のうさぎと好対照です。
ここのところ多忙でどうにも動けないですが、3月入ったら撮りに行くかなあ。うさぎ。
  1. 2014/02/17(月) 22:07:00 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:ありゃ、あの時も持ってこられてましたか。

出戻りフォトグラファーさん

そうそう、レヴィアタンことAR57mmf1.2やら、FL58mmf1.2ほど図体もフィルタ枠もバカでかくないので、ついつい見落としがちですが、鹿沼の祭りで夜景も撮りましたし、このところ、X-Pro1での夜間や室内撮影ではこのリトルモンスターの活躍が多いですよ。

ホント、ちょっと見、f1.4クラスにも見えてしまうコンパクトな鏡胴のどこにこんな高性能が詰まっているものか、と呆れてしまうほど、良い玉ではないでしょうか。

これから、春のイベントシーズン本格化で、益々大活躍の予感です。
  1. 2014/02/18(火) 22:00:37 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

画質的にはf1.8~2クラスなのに、ハロや滲みのないf1.2の硬質な画質に驚きます。

色合いが天候のせいもあるでしょうけれど、わたしの手持ちではokc1-50-1に似た派手な色を抑えた感があり、被写体の構想を練らないとクールすぎるきらいもあります。

肝心のf1.2を生かした夜景や、極端な低感度が必要なのですが大口径での晴天下撮影などはどのような結果になるのか、これにも興味深いです。

開放でなら6枚目のネコなどが、たしかに色味も抑えて硬質なネイチャー風で、面白いです。
また、9枚目のようなモノを写すのも、絞ったらテクスチュアも際立ちそうで、従来あったf1.8クラスの万能性をf1.2で成し遂げたという感もあります。

このあとでは、時代はAFレンズが主流になり、こうしたしっかりしたレンズが無くなったのかもしれませんね。

AFその後と云えば、地味な色合いが、cosina mマウントの50mmf1.1を思いおこさせます。レンズタイプが全く違うのでしょうけれど、描写傾向違いが比較するとオモシロイです。
  1. 2014/02/20(木) 14:21:50 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

確かに同時代のNikkor Ais50mmf1.2やCosinon55mmf1.2と比べると、ほんと球面エレメントだけで構成されとんのかいな、このレンズは!?と突っ込みたくなるほど、球面収差もコマフレアも少なく、コントラストなど、X-Pro1で撮る限りでは、Canon N-FD50mmf1.2Lやら、Leitz
Noctikux50mmf1.2よりも高く、よりモダンな描写である印象を受けます。

或る意味、この先鋭的な万能レンズのライバルが、世界中を見渡しても、同じ日本の、しかもフィルムメーカーである小西六製のAR HEXANON57mf1.2くらいしかない、というのがとても面白いと思いました。
  1. 2014/02/20(木) 23:12:56 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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