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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

古代先進的製造商的遺產~AUTO YASHINON5cmf2mod.FD~

AUTO_YASHINON50.jpg
さて今宵のご紹介は、何にしようかなとか、昨日の中古カメラ市@銀座松屋≠牛丼・定食屋を徘徊しつつ考えたのですが、X-Pro1にくっつけたミランダやペトリと伴走し、そこそこ良さげなモノクロ撮ったにも関わらず、自分の中で半ば忘れかけていた鏡玉が有ったので、急遽、それをお披露目することにした次第。

モノはM42マウントのAuto Yashinon5cmf2をどうしても、モノクロフィルムで撮りたかったのですが、これ以上、不要不急のボディを増やしたくなかったので、うちにあるボディのどれかをM42マウント改造でもしようか、とか考えていたのですが、かつて、FマウントのZunow50mmf1.8を後玉干渉のため、FDに再マウント化したことがあったのを思い出し、当工房の銀塩一眼レフではNikon F、F3Pと並び信頼性の高いCanon F-1N ODで使う前提で脱着可能なマウントパーツを開発し、それをレンズ側に装着し、FDマウント化したのです。

発売は1960年代初め、今は亡き富岡光学製の4群6枚のプラナータイプのモノコートレンズです。

物の本によれば、このレンズには富岡が海外への販売用としてTOMINONブランドでも外観周りのデザインを変えたものを販売していたようです。

富岡光学と言えば、まさにかのCarl Zeiss銘のレンズのOEM製造を任されたくらいの技術力だったので、ボディ、レンズ一貫製造メーカーのものとはまたひと味もふた味も違った描写であることを期待し、改造して実写してみたものです。

では、昨年秋の深大寺でのストックフォトから実写結果見て参りましょう。

カメラはCanon F-1N OD 絞り開放、フィルムはKodak T-MAX100のフロンテアCD-R経由取込みです。

AUtO_YASHINON50_001.jpg
まず一枚目のカットですが、深大寺山門前でいたいけな小姐が千歳飴状の物体を持って、親御さんに撮って貰っていたので、あいや卒璽ながら拙者にも・・・ということでお願いして一枚撮らせて貰ったもの。

なかなかマイルドな写りで、背景の山門も通行人の爺さんもなだらかにボケてイイカンジだと思います。

AUTO_YASHINON50_002.jpg
二枚目のカットですが、山門前の茶店街を西方向に進んだ木立の中のちょっとした広場でフリマみたいなイベントやってて、そこで、話の筋より、話者のヂェスチャの方がまだ面白いような紙芝居をやってて、それでもかぶりつきでずっと離れない、いたいけな童子の姿が心を打ったので、後ろからその同胞愛に溢れる姿を一枚戴いたもの。

ピンは小僧さんのモジャモジャ頭に合わせていますが、このくらいの位置だと、開放でも紙芝居アジュモニまでかろうじて被写界深度に入っているように見えます。

AUTO_YASHINON50_003.jpg
三枚目のカットですが、同フリマでニットだったか、革製品だったかの手工芸品で何かの奨励賞を取ったとの触れ込みがあるブースに観客が集まって、眼を凝らして観察する姿が、戦後の闇市に暮らしの糧を求めて集う人々の姿に重なって見えたので、一枚戴いたもの。

ピンは体を折って、机上の製品?を凝視する老小姐に合わせていますが、光線の加減もあってか、ほぼ同距離の横のアジョシのジャケットのテクスチャ描写が印象的に思えました。

AUTO_YASHINON50_004.jpg
四枚目のカットですが、これもフリマ会場にて、手作りのニット製品を商うブースでちょうど商談成立、物の受渡しの決定的瞬間を捉えたものです。

ピンは売り子のアジュモニの手付近に合わせていますが、登場人物二名がかろうじて被写界深度に入って、作画的にはよしとしたいところですが、背景が非点収差の影響で大ぐるぐる大会と化してしまったのがちと残念でした。

AUTO_YASHINON50_005.jpg
五枚目のカットですが、フリマ広場の北側、茶店街に続く参道に面した位置に出ていた、操り人形みたいなものを置いてはいるが、いったい、何の目的でそこにいるのか、今いち存在理由がはっきりしないブース前でいたいけな極小姐に人形に関する説明を行っているところを一枚戴いたもの。

ピンは極小姐の頭の髪の毛付近で合わせましたが、登場人物3名の顔かたち、表情までは余裕で判別出来ますが、ここでも背景の木立はまたしてもぐるぐる大会となってしまいました。

AUTO_YASHINON50_006.jpg
六枚目のカットですが、深大寺と言えば「ゲゲゲの鬼太郎」、満を持しての登場です、と云いたいところではありますが、恒例のヴィジュアル系茶店「八起」さん店頭のいたいけなパートタイム労働者小姐のお姿を、お饅頭の購入と引き換えに一枚撮らせて戴いたもの。


小姐はそこそこマイルドにイイ案配に写っていますが、背景の木漏れ日たるや・・・非点収差、球面収差、そして口径食と、まさに収差のオンパレード、技術の富岡もなかなかワイルドだぜぇ☆とか思わず笑ってしまいました。

AUTO_YASHINON50_007.jpg
七枚目のカットですが、これもヴィジュアル系茶店「八起」さん敷地内の鹿おどしの様子を撮ってみたもの。

ピンは当然のことながら、竹筒の先端に合わせていますが、このマイルドでクセ玉というしょうもない愛すべき古玉は、筒に注がれる水流の迸る雫を見事捉えているのが感心しました。

AUTO_YASHINON50_008.jpg
八枚目のカットですが、深大寺境内の手水場にいたいけな極小姐連れの若夫婦が何も知らず、幸せ一杯胸一杯の表情で足取りも軽くやって来たので、ハィ、ここで逢ったのも何かのご縁、可愛いお嬢ちゃんの手を洗うとこ、一枚撮らしてやって頂戴ね、と眼が笑っていない笑顔でお願いし、はぁ、というカンジのリアクションだったので、一枚戴いたもの。

ピンは極小姐の顔で合わせたつもりだったのですが、何せ相当薄暗い手水場内の被写体に対し、背景の砂利地面は照り返しがきつく、いつものクイックフォーカシングが思い通りにいかず、かなり前ピン気味でギリギリ入ったかな、というレベルの合焦でした。

今回の感想としては、いやはや、このAuto Yashinon5cmf2って、先般のDSB50mmf1.9の直系のご先祖様の筈ななのに、難しい・・・今度、同じ条件で以て、EOS50Dにアダプタ経由でデジタルカラー撮影で試してみようかな。

さて、次回のアップは昨日、秘密結社ノンライツRF友の会のイベントで築地、月島、佃を撮り歩いたので、二台のうち、どちらかの画をアップ致しましょう。 乞うご期待!!
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テーマ:CANON FD改造レンズ - ジャンル:写真

  1. 2014/02/23(日) 21:57:41|
  2. Canon FDマウント
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

T-MAX100ですか!?

てっきりケントメアとかそっち系かと。
全体的に戦前の写真ぽい色合いと雰囲気が良いですね。
3枚目のカットなんてまさに闇市の様な雰囲気が出てますね。
こういうの好きだなあ。
6枚目のいつものお嬢さんもモノクロだとこういう風に映りますか。
また違った趣がありますね。
ちょっとコントラスト高目なようにも見えるのですが、T-MAX100だからでしょうか、それともレンズ故でしょうか。
8枚目もちょっと硬い感じですね。
DSB50/1.9のご先祖様と思うのですけど、設計思想が違うのでしょうかねえ。それともネオパンで撮影すると正解が出てくるとか。
当時どのフィルムをベースにしたかが知りたいですね。
うーん、T-MAX100まだ売ってたっけ?
明日会社帰りに大宮のビック見てこないと。
  1. 2014/02/23(日) 23:19:39 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

T-MAX100ですよ♪

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。

そうなんです。先般の台湾/鹿港でのモノクロ撮影用の条件出し様に色々とフィルム買い込んであったうちのT-MAX100を事前の深大寺には持ち出してテストしていたのです。

ほんわりとイイ案配のトーンのKentmareに対し、このT-MAXはかなりガチムチマッチョなダイハード的な硬い写りだと思いました。

今回は比較的コントラスト低めのAuto-Yashinonでこの硬さですから、もっと解像力もコントラストも高い、ロシア製の産業レンズで撮ったらどんなだろうか?とも思いました。

でも、気楽に撮れるので、自分にはKentmareが一番似合っているのではないかと考え、R-D1s以外でモノクロ撮るときは入手性も良いKentmare、次いでFomapanの100で行こうと思います。
  1. 2014/02/25(火) 23:12:39 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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