深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

EOSマウント Rodenstock Apo-Rodagon75mmF4

aporodagon.jpg
さてまた今宵のご紹介は工房製の改造レンズに戻ります。
前回がキヤノンのレンズ&ボディだから、キヤノン繋がりというわけでもないんですが、たまには簡単にだれでも出来るようなものも紹介したら!?という声もなきにしもあらずだったので、このところ、SLRキブンの時は、元々、お仕事兼用で買ったNikonD2Hを差し置いて連れ出す機会がとみに多いEOS-1D用に改造したレンズをご紹介です。

このレンズヘッドもとーぜんのことながら、通常の銀塩フィルム撮影用のものなどではなく、引伸機用のものを使っています。

全体は、黒のガラス繊維強化のエンプラでそこはかとなくチープな雰囲気を漂わせていますが、さにあらず、このレンズは畏れ多くも、世界に冠たる独ローデンシュトック社がアポクロマート仕様最高級グレードとして、世に送り出したスーパーレンズで、この個体自体は電子湾の夜釣りで新品同様を驚くほど安く釣り上げたのですが、新品をしかも国内で買うとなったら、目玉が飛び出て、引っ込めるのに苦労しますし、或いは卒倒してAEDの出番となるやもしれません・・・輸入ブランド品が高いのはバッグもレンズもおんなじですって・・・

このレンズ、外見はまぁ安っぽいのは致し方ないのですが、まさに水前寺清子の歌ぢゃあるまいが、中身が物凄い、アポクロマートの性能を引き出すため、5群7枚っていう橙黄色~淡黄緑域までの色消しを担当するエクストラ中玉を含む変形オーピック型です。

そして、このヘリコイドを持たないレンズヘッドをEOSにむりやりくっつけるため、工房では、某軍事大国からふんだんに輸入したL39→M42のネジ変換レンズ、BORGヘリコ、そしてM42からEOSマウントへの変換リングを使ってフランジバック等も調整してあります。

で、肝心の写りですが、テスト撮影を兼ねた初陣は散々でした・・・中には、おぉぉぉと思うようなショットもあるにはあるのですが、プラ製のレンズヘッドを絞り値表示窓をレンズ鏡胴の12時位置に合わせるため、無理矢理ねじ込んだら、どうやら、残留応力が中~後玉にかかってしまったらしく、かなりの枚数で周辺が無残に崩れたりヘンな片ボケが現れたりして、ほぼ一日を棒に振ってしまったぁぁぁ、と頭を抱えて絶叫したいキブンになってしまいました。

しかし、このレンズは強度はあるが、応力に対し弾性変形による歪みが起き易い材質なんで、ムリなねじ込みの応力さえ開放してやれば、また元の性能に戻るって寸法です。

また近いうちにリターンマッチをして、パーフェクトな作例をご紹介したいと思う次第でありました。
bike01.jpg
tukiji03.jpg
早速、リターンマッチです(笑)
やはり、前回の茅ヶ崎での親善試合では、ねじ込みが強すぎ、エンプラ鏡胴に変な応力が掛かってしまったらしく、周辺がそれはそれは醜い歪みになってしまっていましたが、今回は余裕を持って優しくねじ込んだ?おかげで、このレンズの性能の片鱗を窺わせるが如き写真が撮れたと自分では思ってます。
まず、一枚目が勿論開放で撮った門仲の駅前商店街のアーケードにさりなく置かれていた大型バイクの計器板とバックの紫陽花のボケ具合です。
なんら画像処理していないワリには金属の質感も背景とのコントラストもイイ案配になってるのではないでしょうか。
さて、二枚目、河岸を移動して、まさに魚河岸こと築地で思う存分性能テストしたうち、最もレンズの味わいが出てるし、いつもの撮影スタイルに近い作例だったので載せてみました。これも当然、開放です。
キレイ目の女子三人が歩いていたのですが、丁度、性能テストしてくれ!と言わんばかりに真ん中のビジュアル的にも一番良さげな女子が1m弱遅れて歩いていたんで、その女子にピン合わせ、他は皆オフフォーカスとして立体感を狙ったものです。

テーマ:Canon EOS&EF LENS - ジャンル:写真

  1. 2008/06/02(月) 23:52:29|
  2. EOSマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

これくらいの作業なら、私でもできそうだ・・・と思って拝見していましたが、レンズ自体が目玉が飛び出て戻せられないほど高価なもので、しかも「弾性変形による歪みが起き易い」と恐ろしいことが書いてあるので、やはり私では無理であることがよく分かりました。勉強になりました。
  1. 2008/06/04(水) 16:54:52 |
  2. URL |
  3. ファジ~ #UXr/yv2Y
  4. [ 編集]

ファジィさん
コメント有難うございます。
このレンズも電子湾ほか、海外から非正規ルートで曳いてくれば、通常の同一焦点距離の国産Lマウントレンズよりちょっと高い程度です。

なお、このレンズの下位グレードとして、"Apo-"無しのRodagonというのもあり、これもFマウントに改造して愛機のひとつであるNikon F黒でテスト撮影しましたが、ホントアポなしなの!?と自分も皆も驚くような写りでしたよ。こちらであればせいぜい$50~$70くらいです。是非、お試し下さい。

ところで、残留応力による像周辺部の崩れですが、実際はかなりきつくねじ込んだので生じたのであって、常識的な範囲の装着でしたら、このエンプラの鏡胴でも歪みは起こらないと思います。
  1. 2008/06/04(水) 21:13:31 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは。
いえいえ、撮影がうまいからでしょうか、鏡胴が安っぽくは見えません。
謎のプロトタイプ・レンズの臭いがプンプンです。

ファインダー像が抜群でしたよね。
こういうレンズの存在が、貧乏人を一眼レフのドロ沼に引きずり込むのですね。怖いです。
あと、"残留応力"なんて言葉初めて目にしました。
このブログは、言葉の泉でもあります。
  1. 2008/06/04(水) 22:57:13 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
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中将姫光学さん
コメント有難うございます。
う~ん、そうですね、まずコトバ遣いを訂正せねば、「一目では安っぽく見えはしないものの、手にとると、あまりの軽さからがもたらすチープな感触に不安さえ感じてしまう・・・」といったところですか。
いえいえ、実物を手にとって感じるチープなフィーリングまで画像で伝えられないのは、まだまだ写真もウデが未熟ってことぢゃぁないでしょうか(笑)

貧乏人を一眼レフのドロ沼に引きずり込む・・・ご自分もかのk氏をデジRFの深海底に引き込もうと日夜画策しておられるクセに(笑) 相互乗り入れもまた愉し、ですか。

コトバの泉ですか・・・近頃、会社で言い訳資料ばっか作ってるから、生来の口達者に一段と磨きがかかったのかも知れませんネ(爆)
  1. 2008/06/04(水) 23:25:17 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

昨今伸ばしレンズの中古価格は悲惨に低いのですが、それでも輸入物はなかなか敷居が高いものです。
先日Apo-RodagonD75/4を入手、こいつは等倍付近で最高性能というより、等倍を外れると急激に像が崩れるので引き「伸ばし」には使うなと(笑)いふ但し書きが。Dというのは等倍複写専用の意味があるのですね。非常にラディカルな設計方針です。
  1. 2008/06/05(木) 22:14:39 |
  2. URL |
  3. れんずまにあ #RGJnsXQk
  4. [ 編集]

れんずまにあさん
ありがとうございます。
Rodagonっていうシリーズは引伸用だと思っていたのですが、Duplicateの"D"ですか・・・
う~ん、ますます奥が深いデスネ。
となると、一般撮影に使って、無限まで撮ったらどうなるのでしょうか。
でも、Rodenstockはストイックな会社ですから、使うなとは言っても、並みのレンズよりはまだまだ凄い写りなんぢゃないでしょうか・・・
  1. 2008/06/05(木) 22:32:11 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

こんばんは、お邪魔します。
なるほど、質感やその温度まで伝えるのが得意なレンズなのですね。
しかし、立体感がすごく出ている訳ではありませんし、発色もどちらかと言えば地味な印象があります。
引伸ばし用ということで、このレンズそのものは個性を主張せず、撮影レンズの特徴が最大限発揮されるような設計だったのかななどと素人臭く想像してみました。

女性のうなじが、あまりにも艶っぽいのがたいへん魅力的ですが、反面で二線ボケの強烈さも好き嫌いを分けそうです。
貴重なレンズの特徴をさらけ出した作例を見れたことに感謝です。
  1. 2008/06/13(金) 01:02:05 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん
早速のコメント有難うございます。
そーなんです、思ったより色が地味なのと、近距離の被写体の後ボケはともかく、或る程度距離の有る被写体の更に遠い後ボケはニ線気味になるのです。

まず後ボケについては、思うに50cm以内くらいでの像投影でベストの性能を出すために特化して設計したため、或る程度の距離までは破綻が目立たないものの、それ以上の距離になると、おそらく、球面収差が過補整気味になるので、見事な?ニ線ボケが現われるのではないでしょうか。
そして、発色ですが、露出がどういうわけかちょっとアンダー気味ではありますが、あくまで見た目にニュートラルです。
よく、「記憶色」と「記録色」という用語が使われることがあり、特に前者は、人間は実際に見たものより鮮やか目にその色を記憶するそうですが、このレンズはまさに中将姫光学さんの慧眼通り、色を足さないかわり、引きもしないという極めて忠実なレンズなのだと思います。
このレンズは確かに好みが分かれると思いますが、
それ以上に遣い手、シチュエーションを選ぶ、或る意味での"クセ玉"だと思います。
  1. 2008/06/13(金) 13:44:02 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

詳しく説明いただき、ありがとうございます。
前回、文章表現がおかしかったですね。
否定的に書いていたように読めますが、実はこれは凄いレンズなのではとの予感を感じていたのです。
設計思想から一定距離以上のボケが荒れてしまうという点などを除けば、非常にリアルな描写を見せる新即物主義的なレンズなのではないでしょうか。
派手目な発色や立体感は、一見すると素晴らしいし面白いですが、いささかオーバーに不自然に感じることもあります。
charley944さんが仰るとおり、撮影時に自分が見たものを忠実に再現してくれることを求められる方にとって最高のレンズだと思います。
その意味で、好き嫌いを分けるレンズではなく、使用者を見極めるレンズと言えるのではないでしょうか。
  1. 2008/06/15(日) 12:17:54 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

有難うございます。
或る意味、このレンズはストイックと言えるかも知れませんね。
何とならば、写真に芸術というレッテルを貼ろうとしたら、そこには、事実に対する何らかの誇張や、変型が必要となってくるワケですし、そこまで深く考えなくとも、ぱっと見、ハデで浮き立つような画作りするレンズに魅惑されがちです。
かくいう小生も、街撮りとなると、ついつい安易に艶やかな発色傾向にあるVario-Sonnarとか、Vario-Elmar、或いはディスタゴン18mmf4などに頼ってしまいがちです。
  1. 2008/06/15(日) 22:48:03 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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