深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

深川ウルトロン50mmf2

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ハイサイ愛読者各位。今朝は、某友誼電站でウルトロン50mmf2の旅情シリーズやってますんで、協賛企画として、当工房製のウルトロン50mmf2改L39をご紹介さぁ。
このレンズは言わずとしれた、Voigtlender社製のProminent35用の標準レンズのひとつで、50mmF1.5のノクトン、同F2.8のカラースコパと専用バヨネットマウントで簡単に交換可能となってます。
しかしながら、これらのレンズはいずれも、構造上、ヘリコイドを持っておらず、カメラ本体の繰り出し機構で焦点を合わせる構造となっています。

このプロミネント35用の標準レンズはいずれも写りに定評があって、クラカメの森に迷い込み、レンズ沼に足を踏み入れた者は誰しも使ってはみたいと思うのですが、このボディが必ずしも評判が良くなくて、一旦買ってみても馴染めずに手放す、或いは初めからこの怪奇的な構造のボディに恐れをなし、手を出すことをためらってしまう・・・そんなこんなでこの天上の甘露の如き銘玉達は、極めて高価なL39版を買うか、或いは一部の業者に依頼して改造して使うかの何れかしかなく、なかなか世に真価が知られることがなかったのです。

当工房の創設前に信州製のプロミネント35マウント→Sマウントアダプタを買って、ノクトン50mmf1.5を愛機SPで使用していたことがありますが、なかなか思った通りピンが来ず、半ば失望してレンズにそのアダプタ付きで捨て値で叩き売ってしまった苦い経験があります。

しかし、或る時、そこそこキレイなウルトロン50mmf2付きのプロミネント35の難アリ中古を電子湾で釣り上げ、分解してマウントリングを外した時、閃くものがあり、無調整で3つの交換レンズヘッドが使えるマウントアダプタを開発したのです。これが、先にご紹介した、現在深川ノクトンに付けている一号機のアダプタで、回転式ヘリコイドを使っています。
今回ご紹介したものは、その時の知見を活かし、工房創立後、導入した工作機を駆使し、直進ヘリコイドの素材を使って製造した3号機です。

さて、このウルトロン50mmf2の写りですが、RD-1Sによる開放での作例2件をご覧頂くとお判りになりますが、極めてシャープで、色のバランスもコントラストも程良く、ボケもとても素直で、まさにクラカメの50mmf2クラスでは、好みはありましょうが、屈指の性能だと思います。
たぶん、同じシーンをいつものコニミノスーパーセンチュリアで撮っていたら、色ノリがもっとこってり濃密で更に階調再現性とコントラストの均衡点の高い写真が撮れたのではないかと思います。

いずれにせよこの銘玉を慣れたボディで気軽に街撮りに連れ出せるので、工房を創設して良かったと思うことしきりです。
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こちらの作例は先日、ローライQBMディスタゴン50mmf1.8のテスト撮影時の随伴としてBESSA R3Aで浅草を撮ったスーパーセンチュリア100EX24による作例です。勿論、どちらの画も開放による撮影です。
フルサイズ?でも画面の隅々まで破綻出ないですし、色の出方、立体的な描写はあまり変わりがないと思います。

テーマ:ライカ・マウント・レンズ - ジャンル:写真

  1. 2008/06/15(日) 12:26:43|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

こんにちは。

いつも貴重な鏡玉をご開示いただき勉強させていただいています。

決して貴工房のレンズテストにクレームをつけているのではないことをご理解いただきたいのですが・・・いつも頭の中でくすぶっている疑問があるのでご教示ください。

 50mmのレンズをR-D1sで撮影すると、75mm相当になっちゃいますよね。そしてレンズの真ん中だけ使っていることに・・・。
4X5でも使えるというヘクトール135mmをライカ判で使うのと理屈は同じなのでしょうか?
レンズの味というものをどう考えればいいのでしょうか?
本当にそのレンズの特性を示しているのか?

R-D1sでライツのレンズを使うたびに考えてしまうのです。
  1. 2008/06/17(火) 18:41:26 |
  2. URL |
  3. ファジ~ #UXr/yv2Y
  4. [ 編集]

ファジィさん
こんばんは。コメント有難うございます。
ご質問の件ご尤もだと思います。
しかしながら、結論を申し上げてしまうと、このレンズは、相当MTFのカーブが高止まりに寝ているらしく、35mmフィルム比で中心から65.3%を使うRD-1Sでも、フィルムと画質がそれほど変わるところがなく、レンズのテイストが活かされています。 思うにフィルムの持つ投影像への感受性の良さに対し、それが劣るCCDでは真ん中から65.3%のところだけ使って、ほぼイーコールになったのではないでしょうか。

本来ならば、センチュリアで撮って、FCDに焼いてから載せるという手順とる筈だったんですが、某友誼電站ではRD-1で作例をアップされているんで、イコ-ルコンディションで画質を較べて頂こうと今回はイレギュラーな掲載となった次第です。
論より証拠で、ベッサR3Aで撮った作例を追加致しますので、ご講評を賜れれば幸甚に存じます。
  1. 2008/06/17(火) 22:03:18 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

やっぱりウルトロン、非常に好い写りですね。
アダプターのおかげでプロミネントのレンズは救われていますが、ほとんどがノクトンの作例ばかりで、意外にウルトロンは知られざる存在でしたが、すばらしいレンズと確認させていただきました。
ノクトンでも感じたのですが、発色が地味というか落ち着いていて、ずっと見ていて飽きない目に優しい絵になるように思います。
また、他のF2クラスと比べて深度が深いレンズのように感じます。
開放から使えるスナップに最適のレンズといえるのではないでしょうか。

あれっ? このウルトロン、不思議なフードとフィルターが付いていますね。
営業上の問題がなければ、種明かしをお願いします。

わたしも、ファジ~さんの書かれた疑問に同感で、これと常に格闘している状況です。
いま、ほぼ100%R-D1を使っていますと、各レンズの周辺の描写が確認できず、レンズの特徴を得意になって語っている自分に大きな疑問を感じています。
しかし、一方で35mmシネなどのレンズではフルサイズで4隅が黒くなってしまうことを逃れているということですので、これは積極的に利用すれば埋もれてしまうレンズを掘り起こすことにもなっているはずで、良し悪しをひとくくりにできないという解釈も生まれてくるでしょう。
いろいろなフォーマットで試してあげるというのが、レンズにとって仕合わせなことなのだと思いますが、謙虚な姿勢であればR-D1で表現できる範囲の中で楽しむのもありか、と思うようにしています。
  1. 2008/06/21(土) 08:33:40 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

中将姫光学さん 
満を持してのコメント有難うございます。
確かにウルトロンはノクトンの陰に隠れて地味な存在ですが、実力はこの時代の変形ガウス型では、トップクラスだと思います。

解像力こそ空気レンズと新種ガラスの力を借りたズミクロンに一歩譲りますが、発色バランス、階調再現性、立体感、使ってみてその良さが判ります。
仲間内でこのアダプタを使う方々は、初めはノクトンを使うために入手したのですが、ものは試しにとウルトロンを使ってみて、その素晴らしさに主従逆転してしまったという話しを結構聞きます。

さて、RD-1(S)でレンズの味が判るかという、登場当時からずっと行われてきた議論ですが、小生は全くの別物だと思っていて、フィルムでの写りはこうだが、CCDではこうなるという受取り方をしているので、そのどちらもレンズの持つ一面だと思っています。

例えば、Arri用の40mm未満のものでは、銀塩だとイメージサークルが若干足りなくて、ちょうど楕円の黒いフレームの画像になってしまいますが、これも撮影シーンによっては、表現手段として使えますし、RD-1Sであればフルカバーになるので、どちらがレンズの本当の味なのかということではなく、まさに一台二役なのだと思っています。

それから、この45mmという中途半端な口径についている、奇妙なカタチのフードですが、まさに中将姫光学さんおなじみのMS-OPT特製のシステムフードってヤツで、フィルターの変換リングも兼ねていて、奥のネジが48φ、一番先端が確か52φだかの二つの口径が使えるアイデア商品です。 この品物は、たまに遊びに立ち寄るハヤタカメラボで買い求めました。 まぁ、値引き交渉も含め、ご本人に伺ってみてはいかがでしょうか。
  1. 2008/06/21(土) 13:10:44 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

ご教示ありがとうございました。
そうです。言いたかったのは、イメージサークルでぎりぎり35mmフルに足りないレンズがスティルの世界で葬り去られるのを救っているということが1つ大きいと思っています。
ただ一方で、中心部分の収差を取り除くために周辺の描写を犠牲にしたというレンズについては、周辺を確認できないR-D1では絶対的な判断ができないという事実は忘れてはいけないでしょう。
歪曲収差についても、よく分かりません。
それら認識しつつ、素人なりに楽しんでいければいいかという感じです。

フードの件、知りませんでした。
お礼いたします。
  1. 2008/06/25(水) 19:59:14 |
  2. URL |
  3. 中将姫光学 #sKWz4NQw
  4. [ 編集]

ありがとうございます。
また、人によって、銀塩メインかデジタルメインかによっても、それぞれのレンズの価値感が変わってくると思います。
小生は銀塩メインでたまにRD-1Sを使うので、寧ろ、デジタルで以って手持ちのレンズの新しい側面を発見するといったカンジです。

フードの件、お役に立てたようで何よりでした。
  1. 2008/06/25(水) 23:11:04 |
  2. URL |
  3. charley944 #SFo5/nok
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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