深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Born for military but loving peace for ever~Fastax Raptar2"f2 mod.L39 by F.G.W.G.~

FASTAX_RAPTAR.jpg
さて、今宵のご紹介は、久々に工房作品の紹介です。
このレンズ、加工自体は3年以上前に上がっていたのですが、何せ、競合ひしめく50mmクラスでは、出番が少ない上、どうしても国内外の出張撮影だと、広角主体になってしまっていたので、なかなか登場の出番が回って来なかったというのが実情です。

米国Wollensak社製のレンズは過去にも、Oscillo Raptar51.6mmf1.5、Enlarging Velostigmat2"f2.8、Duplication Velostigmat2"f2と数回ご紹介しましたが、個人的には、同じ米国でも、限りなくドイツ製に近いテイストを持つ、Bausch & Lomb社発売の米国Goertz製のBaltar系列の方がどちらかと云えば好みなので、どうしてもそちらを持ち出してしまう、という傾向もありました。

この軍用グレーも精悍なごつい鏡胴のレンズ、既に色々な文献やサイトで紹介されているので、ここでくづくど氏素性を書き連ねることはしませんが、生まれは1950年代の米国はロチェスター、目的は、16mmの超高速撮影カメラであるFastaxの交換レンズです。

そのFastaxというのは、終戦間際から、弾道やら、爆発物の挙動等を調べるために開発された軍用品らしく、戦後は日本にも入って来て、昭和30年代初頭の故糸川博士のペンシルロケット以降のロケット研究にもBell&Hawell社のカメラ共々お役に立ったことが知られています。

構成は4群6枚のプラナータイプ、ただ、分解、清掃し、また山崎名人のエレメントの再生をお願いした後、深川基準の反射防止塗料塗布のため、中を開けましたが、4群め、即ち最終エレメントがやけに厚かったと記憶しています。

では、早速実写結果を見て参りましょう、本日は天気が大荒れに荒れるとの予報もあったため、レンズ加工に勤しみ、ブログでの写真は、今年3月の古河桃祭りのストックフォトです。

カメラはR-D1s、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

Fastax_R_001.jpg
まず一枚目のカットですが、古河桃祭りの会場は湖沼地帯だけあって、そこここにクリークが流れており、その浅瀬近傍には、手汲み井戸が有って、オモニ達が、文字通り井戸端会議している近傍でいたいけな童子達がヒマを持て余して遊んでいたので、オモニ達に声掛けて、どうぞご自由に、ということで、カメラの前に童子達を残し、横に引いたので、では遠慮なく、と一枚戴いたもの。

Fastax_R_002.jpg
二枚目のカットですが、色んな人間がクリークの浅瀬伝いに歩いてくるので、暫く、そこで被写体を張っていたら、来ました、来ました、いたいけな乳児の片手を岸から引いて、中腰でお散歩してくる初老のご老人が目に留まり、一枚撮らせてね、と声掛けて、微笑ましい光景を撮らせて戴いたもの。

Fastax_R_003.jpg
三枚目のカットですが、この玉は元々、ストロボとシンクロして至近距離の被写体を捉えるのがお仕事ですから、ピーカンの桃の花を最短距離で撮ったら、どうなるか試してみたもの。レンズはそこそこまともに捉えましたが、R-D1sのISO最低感度200とシャッター速度1/2000ではやはり露出オーバーでサチュレートしてしまったようです。

Fastax_R_004.jpg
四枚目のカットですが、池のほとりで桃の花そっちのけでスマホンでメールだのゲームだのに打ち興じる、いたいけなローカル小姐2名組が目に留まったので、せめて横顔なぞ、と借景モデルさんになって戴いたもの。

Fastax_R_005.jpg
五枚目のカットですが、桃祭り会場は元々自然を最大限生かした公園なので、当然のことながら、木製の遊具などが設置されており、まだ風雅を解するお年頃になっていない童子達は、近場とは云え、日頃、家に寄り付かないヲヤヂさんと遊べてご満悦状態のようで、このいたいけな小々姐も傍らのヲヤヂさんに声掛けたら、一人でも大丈夫だよな、とか手を離し、さぁどうぞ!と云うことなので、将来の親離れを支援する気持ちも込め、一枚戴いたもの。

Fastax_R_007.jpg
七枚目のカットですが、桃祭り会場本部テントそばのイベント広場で、大道芸みたいなのをやっていると聞き、何か面白い画が拾えれば、と思い直行したら、案の定、重ね台乗りの軽業師の兄ちゃんがちょいと可愛い極小姐が最前列に居たのを目ざとく見つけ、即席アシスタントに仕立て上げ、パフォーマンスの傍らに引っ張り出したのはイイのですが、緊張と、そもそも何やったらイイのか判らず戸惑っている姿を観客席から一枚戴いたもの。

Fastax_R_008.jpg
八枚目のカットですが、大道芸会場を後にし、またしても公園内を徘徊していたら、池の方面にヲヤヂさんの手を引き、嬉々として駆けて行こうとする、健気な童子とヲヤヂさんの微笑ましい姿が目に留まったので、自然を背景に一枚戴いたもの。

Fastax_R_009.jpg
九枚目のカットですが、祭り会場である公園の中央部にはかなり大きな築山?があり、そこには大人の膝よりちょい高い程度の植栽が植えられ、その植栽の間に上下左右のけもの道みたいなものがあり、下で見ていると、時折、追いかけっこでもしているのでしょうか、いたいけな童子達が喚声を上げ駆け下りてくるので、その様子が面白げだったため、下で待ち構えて一枚戴いたもの。

Fastax_R_010.jpg
十枚目のカットですが、築山の西側斜面にはかなり切り立った岸のクリークがありますが、そこを挟んで追いかけっこをしていた、いたいけな童子達が居たので、クリークを跳躍するところでも捉えてやろうと、張ってたら、案の定、大声ではしゃぎながら走って来て軽々と飛び越えるいたいけな小々姐が居たので、一枚戴いたもの。

Fastax_R_011.jpg
十一枚目のカットですが、西側出入り口、即ち、シャトルバス発着場所近くのステージでは、よさこいパフォーマンスみたいなものをずっとやっていたのですが、応援隊と思しき、お揃いのコスチュームに身を固めたけなげな極小姐2名の姿が目に留まったので、横顔を一枚戴いたもの。

Fastax_R_012.jpg
十二枚目のカットですが、お祭り会場からバス発着場に歩いて行く途中に田園風景のような景色があったので、これもまた一興ということで、近接撮影用と云われて来たこのFastaxの無限域での性能を見るため、一枚シャッター切ってみたもの。

今回の感想は、コマ収差なのか、内面反射がまだ残っているからなのか、厳密には断定出来ませんが、50mmf2クラスではちょいと甘めの結像で、カリカリの手が切れるような輪郭描写が大好物の工房主の趣味では、なかなか出番が回ってきそうにないですが、使い方によっちゃ面白い玉かも知れません。例えば、台湾の古建築巡りにR-D1sのモノクロモードでお供したら、とか。

さて、次回は攻守交替、工房附設秘宝館から何かご紹介します、乞うご期待!!
  1. 2014/08/31(日) 19:59:42|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

さきほど、high speed photo・・・で現役時代の今回レンズ使用状況を見てきました。カメラがwollensakだったので必然的にfastax-raptarだったのでしょうけれど、どのような特質をこのレンズに開発の技術者たちは与えているのか興味を持つような、それほどに特殊な映像でした。

今回、ここで日常的なスナップ画像を見ると、ピント合致以外・ぼやけ部分のウエイトが画面を多く引き立てるという使い勝手が、このレンズの目的外という事に更に興味を持ちました。

といっても製版用よりかは日常距離感がありそうですし、とても面白そうなレンズだと改めて思った次第です。

色はバルター風な色濃い様子なのでアメリカ好みなのか、他国製でこれと目的を同じにするレンズがあれば色比較に、あるいは開放近くの滲みやきつめの描写やボケの荒れ具合と、比較してみたいものです。

ともかく、今回のレポートで欲しくなってしまった一本でした。
  1. 2014/09/01(月) 19:06:32 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん

有難うございます。
このレンズ、まだそれほど知名度高くないのと、現役時代に潤沢に製造供給されたらしく、電子湾ではお手頃なお値段でそこそこ見かけます。

ましてや、偉大なるアニキ分のOscillo-Raptar51.6mmf1.5という超弩級の高性能珍品レンズと比較されがちなので、結構買いやすいと思いますよ。

でも、仲間内(かつての)で唯一、有償レンズ改造を引き受けていた、溝ノ口の「海の家工作所」が廃業してしまったので、9月から距離計連動改造の旗印を挙げた、あざみの野ヒゲヲヤヂさんのところにお願いするのがイイかも知れませんね。

ところで、云われて、過去の作例を見渡してみれば、ヲーレンザックの玉は、プラナータイプでもテッサータイプでも、トリプレットでも、R-D1sでは似たような赤、茶、緑系統のしっとりした発色をするのは、ロチェスター製の硝材の影響かも知れませんね。
  1. 2014/09/01(月) 22:46:45 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

これまたすんごく鮮やかな!

Charley944さん
お疲れです。
じっくり拝見いたしました。
7枚目のカットの色の鮮やかさがすごく印象に残ります。
しかし、2・10・12枚目辺りは同じレンズ課と思うくらい落ち着いた色合いで、赤系統の色が被写体に入った時に思いっきりブーストがかかるのかなと思いました。
うちのR-D1xGだとここまでブーストかかったかなあ??
次回撮影会で比較してみたいですね。
場合によってはR-D1xGよりR-D1sの方が良い色合いになるという結果が出たりして?
  1. 2014/09/06(土) 00:38:49 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。

この特殊な硝材を使ったレンズの分光特性もあるのでしょうが、R-D1sの極めて忠実な「レンズの味」の再現性も効いていると思います。

昨日も大久保の某名人のところで、「もう製造終っちゃったでしょう、どんなに良いカメラでも修理が保証されていなくてはねぇ・・・」という話しが出ましたが、ホント、エプソンが経営判断上ムリでも、どこかの裕福なメーカーでこの正常進化版を出して欲しいものだと思います、それがN社であっても、F社であっても、もちろん、お隣の国のS社であっても意に介しません。
  1. 2014/09/07(日) 13:51:41 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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