深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Newest born but doubtlessly classic~Classic Nokton35mmf1.4SC~

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さて、今週のご紹介は、先週の予告通り、信州は中野市のりんご畑ならぬ、今や押しも押されもせぬ、世界のカールツァイス社の実質的な写真用レンズ量産工場となっているコシナ製Classic Nokton35mmf1.4SCのレポートをお送り致します。

このレンズ、今を去ること2008年1月に、コシナが、自社の光学技術を世に問うべく、歴史的なレンズ構成を最新の光学設計技術と硝材で再現する、というセンセーショナルな触れ込みでリリースしたもので、要は、ライツの歴史的にも、中古価格的にも評価の高いズミクロン8枚玉の構成で、その上位機種たるズミルックス35mmf1.4のスペックを実現したというものです。

個人的には、コシナ自体が某コピー機メーカーと組んでプラスチック製の安物光学機器を量産したり、歴史的なレンズの名前使って、そこそこの性能で、仕上げや耐久性はイマイチのようなラインアップ組んでたりと、あまり良い印象を持ってはいなかったのですが、3~4年前にZMマウントのビオゴン25mmf2.8を買ってみて、その造り、そして描写も、ライツ製品にひけを取らないレベルであると感じ、そして今年の潮来あやめ祭り向けの明るい中望遠の新調にクラシックヘリア75mmf1.8を買い求めてみれば、ツァイス製品にも匹敵する描写と造りの良さに驚かされ、次の獲物として狙っていたのが、この明るい準標準、35mmf1.4だったのです。

では、マルチコートとモノコート、同じ値段なのに、何故、好き好んでモノコートを買ったのか、ただのモノ好きなのか・・・さにあらず、買い求めた某量販店で、見本品、販売用在庫品の数点を仔細に検分したところ、何と驚くべきことに、後ろ玉の大きさ、曲率が他の個体と全く異なっていて、あたかも別誂えの光学系であるかのような仕様に思えたのが、新入荷のSC、即ちモノコート版だったからです。

では、その驚異の描写性能、深大寺での行動に沿って、検分して参りましょう、カメラはX-Pro1、全コマ絞り開放、絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、Tessar35mmf3.5T*に次いでテスト撮影を行った、深大寺窯さん店頭の陶製タヌキの置物の整列姿で、ピンは手前から二匹目の目に合わせています。

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二枚目のカットですが、ここも同じく、深大寺窯さん店頭の陶製風鈴が涼しげに並ぶ様子をモチーフにお店を背景として撮ったもの。

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三枚目のカットですが、ここも例に拠って例の如し、深大寺窯さんと並ぶ「美人小姐茶店 八起」さんの庭園の道路際に置かれている蹲の涼しげな様を一枚撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、ここも毎回お馴染み、深大寺城址公園に登って右奥、ちょうど深大寺側の隅っこの方に慎ましく群生している、「巨大昭和枯れすすき」ことバンパグラスの穂越しに空を入れて、「この樹、何の樹、気になる樹」方面を撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、まさにお待たせといった感無きにしも有らずの、深大寺城址の館跡を示す柱石のモニュメント列を斜め手前から撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、至近距離のみならず、イメージサークルの縮む、無限近くでの被写体も見てみないと、デジタルとの相性を語ったことにはならないので、城址公園の南方向に少し歩いて、公園名物のなんちゃって「この樹、何の樹、気になる樹」を入れた公園広場の全景図を撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、或る意味、今回の撮影で一番やりたかった被写体、構図で、秋の深大寺名物のひとつ、彼岸花の最短距離での描写で、運良く、珍しい白彼岸花が咲き、それが、群生の列の先頭に植わっていたので、白を主役として撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、深大寺城跡公園から降りて来て、下の神代水生植物園の水田の畦にもあちこちと彼岸花の美しい群生が見られたので、鳥避け網と城址公園へ登る道の雑木林を背景に、これも最短域付近で撮ってみたもの。

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九枚目のカットですが、これもお馴染み神代水生植物公園名物のミニ湿原を跨ぐ観覧歩道のウッドデッキの質感再現とボケの推移を見るべく、遠方に伸びる方向に向けて撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、神代水生植物園は4時入場終了、4時半閉鎖ですから、ほどほどに切り上げて、もう一方の撮影スポット、門前茶店街に戻り、いつも如く、人工光源が目立つ頃合いになった八起さん店頭の、秋風になびく「ラムネ」の幟をモチーフに繁盛する店頭を背景として撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、同じく八起さん店頭の山門側、ちょうど深大寺窯さんの店頭前辺りから、各種団子、饅頭類を慌しく調理、販売している妙齢の小姐に秋の夕陽が当たってイイ案配だったので、一枚戴いたもの。

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十二枚目のカットですが、ここも秋の撮影スポット、手打ち?蕎麦「嶋田屋」さん店頭のコスモス植栽と羅漢石像の図、小生が撮ってた背後から、ミラーレスやら、スマホンやら持った老若男女の観光客や物見遊山客までもが並び、同じアングルで交替して撮りだしたという、極めて判り易く一般受けする構図での一枚です。

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十三枚目のカットですが、山門脇に一対並ぶ石灯籠のうち、Tessar35mmf3.5T*は山門向かって右を撮ったので、こちらは左のものを下の茶店街を背景として至近距離撮影してみたもの。

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十四枚目のカットですが、金正男みたいなちょっと人相風体の宜しくない中年パパが、なかなか愛くるしいいたいけな極小姐を連れて茶店街を散策していて、門前茶屋さん店頭で鬼のように親子で試食している様がなかなかユーモラスで印象的だったので、横からさっと一枚戴いたもの。

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十五枚目のカットですが、これも山門へ登る石段下向かって右側に植わっていたすすきの穂にピンを合わせて、無辜の民が山門を潜ろうとせんとするさまを勝ち構えていて、捉えたもの。

さて、今回の感想ですが、う~ん、正直、買わない理由が無くなっちゃいました・・・言い方換えれば、タガが外れかねない、とも云えそうです。

今までは、新しいレンズであれば、AE-AFのものを買うのと変わりないし、そちらの方が決定的瞬間を撮れる確率は高まるので、今出来のネオクラシックレンズなんざ買う価値無しと思い込んでいたのですが、よくよく考えてみれば、ライツのネオクラシックなら買うのに何故コシナはダメか、という内なる声に、やれ写りが違うだの、やれモノとしての出来が・・・とか尤もらしい理由をこじつけてきたのですが、やはり良いものは良い・・・次もまとまったお金が入ったら、広角で何か一本欲しいと思っています。

さて、次回のご紹介は今週末、「Charleyとレンズ工場」のウンパルンパならぬ、愉快な仲間達と冒険した本郷菊坂町での街撮りレポートをお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2014/10/05(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
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コメント

先輩、Nikton違います!

Noktonですがな。

そんなわけでウンパルンパの一人です(笑)
いや、今回のNoktonClassic35/1.4SCは驚きました。
後玉の構造がなんかこうデジタル対応に向けて改良したかのような印章を持ちました。
中国や韓国等東アジア系のライカユーザーに大好評な様ですし、もしかするとヨーロッパでもライカレンズに手の出ないカメラマンに人気あるのではないかと言う気がします。

写りも現代レンズなのに、懐かしい色合いを持っていたりと使っていて飽きないレンズという気がしました。
自分も普段使いでCOLOR-SCOPAR35/2.5VMマウントを使ってますけど、飽きない理由はこの辺りにあるのかもしれませんね。

いや食わず嫌いはいけませんね。
7枚目や8枚目の彼岸花の色の鮮やかさや立体感を見ると、あの値段でこれなら買って損はないなあと思いました。

それにしてもコシナも設計変更の旨アピールすればいいものを。
もしやツアイスレンズ生産工場となったことで、ツアイスのレンズ生産に伴う品質管理や検品能力もコシナは向上したのでしょうかねえ?
今年のCP+の時のコシナの営業はプアすぎてどうしようかというところでしたが、レンズの性質が良いのであれば何とか売れてほしいものですね。
せっかく今や珍しくなった距離計連動レンズを手ごろな値段で発売してくれている貴重なメーカーでもありますし。

で、次はNokton50/1.1辺りを狙われますか?
それとも35/1.2辺りを??
  1. 2014/10/05(日) 21:20:23 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

このレンズ、35mmF1.2と勿論比べた事があるのですが
発色は1.4のが上だったのですが
ボケの暴れ方がどうにも使いこなせない感があって
F1.2のほうにした経緯があります。過去に。

で、件のF1.4Cですが、発色も何故かモノコートのほうがよくて
(当時はよく知らなかったのです。いまもですが、コーティングは深川様に教わりました)
「なんでモノコートのがいいんだろう...」て思ってました。

ただ、35mmF1.2ホントに馬鹿みたいに重いんですよ...格好良いすよね1.4...
  1. 2014/10/05(日) 21:22:32 |
  2. URL |
  3. JY #mQop/nM.
  4. [ 編集]

Re:先輩、Nikton違います!

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
まずはご指摘深謝、晩飯から戻って速攻で直しましたがな(笑)

で、このレンズですが、店頭で聞いたり話したりして、昨晩はお話し出来ましたが、こういう衆人環視のもとでは書けないことも色々有って、自分で比較し、目で見て確かめ、そして実際に撮ってみないと判らないということが唯一の真実なのでしょう。

確かに昔のLマウントコシナレンダーは酷かった・・・名前だけ古典レンズのもの使って、鏡胴の仕上げも安っぽく、精度もなんか個体差有ってアヤしく、しかも、鏡胴内エレメント間のゴミは写りには関係ないですから・・・とか自ら安かろう悪かろうに収斂しようとしているかにも思えました。

ところが、やはりあのクラシックヘリア75mmf1.8のあのキレとボケ、そしてツァイスZMシリーズと大差ないモノとしての作り、これは買いだな、と直感したワケです。

そして中野に買いに行って、馴染の店員さんと品物の検分やって、もしや?と思い買って帰って試してみれば、先の石岡祭りの日陰の獅子舞の描写が示す通り、ホンモノの掘り出し物だったってことです。

そうですね、次は、28mmf2が、関心有りますね、これは、ライカでも最新モデルのズミクロンだったかで40万円以上しますから、その8分の一程度の国産レンズが何処まで拮抗出来るか、それも楽しみなのですよ。
  1. 2014/10/05(日) 22:11:13 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

JYさん
有難うございます。
実は35mmf1.2Asph.にも関心が無かったワケではないのですが、何せ、最新のレトロフォキュタイプに非球面とか、UDみたいな最新硝材を駆使して作ったものは、OTUSとか、シグマのアートライン50mmf1.4の兄弟みたいなカンジがして、ちょっと手が出にくかったのもまた事実です。
要は古典の文法に則って、何処まで性能を追求出来るか、これが、「Asph.」の称号の代わりに「Classic」の称号付いているレンズへの期待なのであります。
従って、これまで買ったコシナのヴォイクトレンデルは三本ありますが、皆、Classicラインなのであります。
しかし、次は、まさにライツの最新ラインアップに真正面からガチ勝負の意欲作、Ultron28mmf2行こうかなとも思っています。
  1. 2014/10/05(日) 22:19:17 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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