深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Like Corolla but with remarkable talent~Accura Diamatic 35mmf2.8~

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さて、今宵のご紹介は工房附設秘宝館から、国産の輸出専用無銘レンズ Accura Diamatic35mmf2.8となります。
この個体、かつて新宿の中古カメラ屋の格安M42コーナーで買い求め、あまりにもヘリコイドがスカスカ、そしてレンズ内部には汚れと大量の内面反射という、とても撮影に使うような状態ではなかったのを工房でオーバーホウルして、何とか使えるようにしたものです。
分解出来ない箇所も一部有ったので、正確な構成は判りませんが、最前群がかなり強烈な凹レンズだったのと最後群が前玉に比して相当小さかったことから、レトロフォキュに属する設計ではないかと思われます。
製造はおそらく1970年代はじめで、米国の販売店網向けのOEMとして、シグマが製造したシリーズの広角ラインだったと言われています。

では、早速、実写結果を見て参りましょう。
カメラはEOS1DsMKII、絞り優先AEでの開放撮影、ロケ地は下総の国佐倉です。

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まず一枚目のカットですが、目的地の武家屋敷通りには、JRの駅からの方が格段に近かったにも関わらず、京成の方からアプローチしてしまったので、山越えで歩く羽目となり、それでも何か面白げな被写体はないかと鵜の目鷹の目探しながら歩いていたら、偶然見つけた、鬼太郎の妖怪ポストも裸足で逃げ出しそうな異様なオーラを放つ郵便受けがあったので、通りすがりに一枚戴いたもの。

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二枚目のカットですが、千葉県随一の歴史的風致地区を誇る佐原には及ばないまでも、ここの街にも江戸時代くらいから続くと思われる古建築はちらほらと見られ、京成駅前の観光案内所で教えて貰った、ルートを辿っていたら数軒、風格有る住宅が目に付き、ここは通りに面していたのと、玄関軒下の電球笠が何ともレトロな佇まいだったので、軒下まで歩み寄り、下から見上げる格好で一枚戴いたもの。

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三枚目のカットですが、通過点の目印である佐原の鎮守様の前を一礼して通り過ぎたら、即効性のご利益か、何とも、イイ面構えの古民家に出くわし、その玄関周りでひと際目を惹いた赤い花を咲かせた植栽と、その背景の水道周りの様子を一枚撮らせて貰ったもの。

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四枚目のカットですが、ほどなく目的地の武家屋敷通りに着き、一軒目で適当に撮影させて貰えばイイやということで、奮発して210円の入場券を買い、中に入ってすぐ目に付いた、素晴らしく手入れの良い母屋をバックに、慎ましく実をつけた南天の木を一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、さすが武家屋敷、濡れ縁周りのデテールにも抜けがなく、素晴らしく造作の良い、手水石と、その上に渡らせた竹、そして風雪に耐えた柄杓、そんな藤沢周平ワールドっぽい雰囲気を一枚撮ってみたもの。

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六枚目のカットですが、続いて同じ濡れ縁から屋敷内の座敷の様子を一枚撮ってみたもの。

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七枚目のカットですが、暗くて撮影にはちょっとというカンジの土間、賄い場を通り抜け、板塀と漆喰のコントラストが得も云われぬ良い雰囲気を醸し出していたので、屋敷裏側から座敷へ続くにじり戸周りの様子を一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、秋も深まり、葉もすっかり色づき、そして殆ど落ちてしまった広葉樹の枝越しにとても風情の有る茅葺屋根と屋敷周りを撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、ここも縁側ですが、先ほどの手水石の有った南側ではなく、東側の長い縁側の全景を入り口側から広角の威力を活かし撮ってみたもの、フルサイズ機は広角が広角で使えるから助かります。

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十枚目のカットですが、素晴らしく手入れの良い茅葺屋根の構造を仔細に捉えるべく、本来は古いレンズとデジタルの組み合わせでは鬼門とも言える曇天を入れたアングルで軒下から一枚撮ってみたもの。

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十一枚目のカットですが、武家屋敷を一通り見終えて、なおも、武家屋敷通りを突き当たりまで歩いてみたら、何と、雀のお宿に辿り着きそうな風情有る竹林の小径に行き当たったのでアングルを工夫して撮ってみた必殺の一枚。

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十二枚目のカットですが、その竹林の小径を下り、JR駅への道を辿りながら、なおも被写体を捜していたら、道に面した畑とも荒地とも着かない開けた土地の一角に植わっていた背の低い柿の木に幾つかなっていた柿の実が夕陽に照らされ、とても秋の風情に満ちていたので一枚戴いたもの。

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十三枚目のカットですが、個人的には本日のベストショットだと思うのですが、駅へと向う細い道が川沿いの道に合流した辺りで黄色い小さな無数の花を咲かせた植物の群生が目に留まり、ちょうど、西の方向が開けていたので夕暮の空をバックに一枚撮ってみたもの。

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十四枚目のカットですが、JR駅まで辿り着き、さて中に入って、江戸表へ戻ろうかいな・・・とかもういっぺん街の方を見渡したら、なんと、駅前の倹しいロータリーに季節はずれのひまわりが結構な数咲いていたのが目に留まり、そこそこの交通量が有ったにも関わらず、ダッシュで渡り、一番、背景が煩くなさそうなアングルで一枚撮ってみたもの。

さて、今回の感想ですが、正直、ここまで出来るとは思っていませんでした。
コーティングもテカテカ光るカンジですし、それは最前面のみならず、小さな最後面も同様、確かにハイライトがきついアングルではフレアというか、内面反射によるコントラストの低下が著しいカットも何枚かありましたが、この時代のレンズに共通の特徴というか、日陰、或いは夕暮れ時になると、現代の最新レンズにも勝るとも劣らない素晴らしい描写を発揮してくれ、車に喩えれば、まさにカローラも攻めたら凄い走りだった・・・という印象でした。

さて、次回は工房作品から何かご紹介致しましょう、何が出るかは乞うご期待!!
  1. 2014/11/02(日) 21:07:51|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

シグマも良いですね。

この手のレンズですと、ヤシカ系統に外しなしってよく言ってましたけど、シグマも良い感じですね。
アキュラって書くと、ホンダの輸出用ブランドネームっぽいですが、この名称を残してシグマが今も輸出用レンズを作っていたら面白かったでしょうね。
販売チャンネルが複雑化しそうなんでアレですけど、輸出用ネームのレンズで中身がシグマのxxと一緒なんて話題で盛り上がったかもしれません。

今回は佐倉のカットでしたけど、曇天でも発色が損なわれなくて12~14枚目が良い色に見えました。
シグマも侮れませんねえ。
  1. 2014/11/04(火) 21:32:24 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:シグマも良いですね。

出戻りフォトグラファーさん

有難うございます。

そうですね、少なくとも、このシリーズについては、海外でもすこぶる評判は良いようです。

じつは、このピントリングのローレットもゴムとかプラではなく、なんとアルミの切削品にチェッカリング切って、艶消しアルマイト加工したものですし、全般的に金物の材質、加工が、その他"SIGMA"銘の広角、特に曇り頻発で評判悪かった28mmf2.8などと比して遥かに凝っていて、やはり米国のOEM先からの別注品だったからかなとも思いました。

そもそも、このアンバー系のコーティングは、ヤシカやトミオカ、そして70年代半ば以降の新種ガラスが出回るようになってからのモノコート、典型的にはキャノンの50mmf1.4とかFL,FDの50mmシリーズそしてヤシカのレンズなどに見られるもので、当時のブルー/パープル/オレンジ系のSIGMA銘のものとは、全く別物のようにも見えますので、仕様は先方で設定して、SIGMAはその通りに愚直に作って出していただけなのかも知れませんね。

いずれにせよ、このシリーズの28mmのものも欲しくなってしまったので、今、電子湾で魚探掛けてます(笑)
  1. 2014/11/04(火) 23:01:21 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

初期のシグマは、フラッシュ用やら絞りが通常よりも深く設定できるといった特徴があったようですが、このモデルはそれよりも古い製品なのでしょうか。レトロ風というのも、いかにも古そうな設定ですね。

色は曇り日でもあったせいか派手さが無く、三枚目の菊(?)や8枚目の地味でシンプルな色彩は好みです。

以上を含め、5枚目の妙にキリキリしたボケも、感好を誘います。

13枚目は、シャドーつぶれも無く、ざわめくボケも心地よいいです。


最近ではフルサイズのミラーレスもありますが、こうした廉価レンズは日本よりも海外の方が盛り上がっているような感じもします。こうした製品を網羅できる雑誌や情報網がなかなか見当たらないのが、残念なものです。

そしてなによりも、微妙な差異を発見できる優秀なカメラも選択の中に多く欲しいものです。
  1. 2014/11/05(水) 17:30:18 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。

そうですね、結構、デザインも古めかしいですし、コストダウンという名の質感放棄も関係ない時代の、JCIIが目を光らせてた頃の輸出専用モデルですから、たとい、無銘に近い製品でも、基本性能は結構高いものだったのかも知れません。

このAccuraってシリーズ、日本では注目度皆無ですが、米国では結構知名度有るらしく、電子湾での相場は国内よりだいたい2割がた高いし、大切に使われたのか、程度の良い製品も多いようですね。

或る意味、レンジファインダの呪縛を自分で解いたので、こういう、無銘ながら、13枚目みたいに心を惹き付けるようなカットを撮ってしまうような基本性能の高いレンズを、昔からの相棒、EOS1DsMKIIの力を借りて発掘していきたいとも思いました。
  1. 2014/11/06(木) 00:14:09 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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