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深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

同時與美麗島離別~Taiwan Tour 2014 Winter①~

さて、お待たせ致しました。
今回の更新は、一週間のお休みを戴き、先月のソウルに引き続き、格安海外旅行シリーズで台北の旅3泊4日からのレポートです。

暮れも押し迫った12月20日の12時50分発の便で羽田から一路台北は松山空港へ飛び、17時過ぎに先に入国していた大学時代の友人と台北駅で待ち合わせ、まずは故宮博物館を見学し、そして翌日はまず台湾新幹線に乗って台中経由、鹿港へ、そして三日目は万年世界遺産候補?の東洋のマチュピチュ+東アジアのポタラ宮殿との呼び名も有る(工房主が勝手に付けた(笑))水南(正しくはさんずいに水)洞の精錬工場遺跡を回ることとしたのです。

今回の台湾ツアーは二回に分けてお送り致しますが、まず一回目として、二日目の昼の鹿港の路地裏探検、そして、友人の宿のすぐ近くの龍山寺エリアの夜市でのスナップをご紹介致します。
機材は、カメラが全カットX-Pro1、レンズが1~11枚目までがUltron28mmf2、12~16枚目がCanonL50mmf1.2、撮影条件は全コマ開放による絞り優先AE撮影です。
では、さっそく行動ルートに沿って実写結果を見て参りましょう。

Taipei14_001.jpg
まず一枚目のカットですが、バスで鹿港の老街前のバス停で下車し、前回同様、一番手っ取り早い、確か「後車巷」とかいうな名前の路地を進み、そこで、まず目に留まった生活臭溢れる、何処かの家庭の裏庭の様子を一枚、塀越しに戴いたもの。

Taipei14_002.jpg
二枚目のカットですが、その路地を暫く進み、何らかの廟の近くまで来たら、ちょいと開けた広場みたいなとこがあって、その南側の古い煉瓦作りの壁面に一見、ガラクタの不法廃棄、よくよく見れば、壁面への前衛アートが飾られており、そのなかなかの雰囲気に感心し、一枚戴いたもの。

Taipei14_003.jpg
三枚目のカットですが、これも同じく老街の「後車巷」を友人とあてどなく好奇心に任せて、時折、立ち止まってシャッター切りながら歩いていた時に目に留まった路地というか壁の隙間みたいな通路で、後で出てくる「摺乳巷」並みに幅が狭い上、こちらは片側が旧態然とした煉瓦造、片側がモルタルに真新しい緑のペイントという対比が面白いため、一枚戴いたもの。

Taipei14_004.jpg
四枚目のカットですが、付近での昼食後、再び、廟の在る広場までやって来ると、前回同様、休みの日ということもあってか、自転車などに駄菓子を積んだ物売りが出ていて、世界万国共通の通り、いたいけな童子がその周りにたかっています。そのうち、アイスキャンデー売りが少し間隔を置いて出ていたのですが、両者、人気度が明確に異なっていたため、口八丁手八丁、人気の有る方の爺さまのお店の様子を一枚戴いたもの。

Taipei14_005.jpg
五枚目のカットですが、広場を抜け、一本西の通りから南の方向へ歩きがてら面白げな路地を見つけながら撮って歩くという前回通り、というかいつもの手法に友人にも付き合って貰ったのですが、先ほどの路地同様、片側が旧態然とした煉瓦造、片側が後年になってリノベされたモルタル造の壁なのですが、その壁に嵌った鉄格子のペンキの明るいブルーにその住人の方の美意識を感じ、一枚戴いたもの。

Taipei14_006.jpg
六枚目のカットですが、これまた前回同様、路地裏のスクーターのカットで、ちょっと南欧の街の裏通りを感じさせる煉瓦とモルタルの無機的な薄暗い路地に二台の古風なデザインのスクーターが佇む姿が何となくお洒落な雰囲気だったので、低アングルから一枚撮ってみたもの。

Taipei14_007.jpg
七枚目のカットですが、次なる撮影スポット、おそらく鹿港一の有名観光スポットである「摺乳巷」へ移動途中に目に留まった煉瓦造の壁と錆び付いた鉄格子、そしてそういった古いものとは対照的に生命力を象徴するかの如く、壁面から生える羊歯科の植物の青々とした葉をモチーフに一枚撮ってみたもの。

Taipei14_008.jpg
八枚目のカットですが、摺乳巷まで来ると、前回同様、前客万来で、子連れの若いオモニが極小姐二人に路地内を走らせ、その様子をスマホンの動画などで撮っていたので、「可以拍照吗?」と声を掛けておいて、数枚撮らせて貰ったうちの一枚。

Taipei14_009.jpg
九枚目のカットですが、摺乳巷を後にして、次なる目的地「九曲巷」を二人掛かりで地図を引っ繰り返したり斜めにしたりで探し出し、初めて訪問出来たので、適当にシャッター切って徘徊しながら見つけた、いかにも石造りの古い街並み然とした路地の様子。

Taipei14_010.jpg
十枚目のカットですが、同じく九曲巷のメインストリートから一本曲がって、何かの史跡へ抜ける近道みたいな看板があった奥の民家の壁と窓の様子が午後の陽当たり加減によるグラデーションで絶妙のテクスチャ感を醸し出していたので、一枚戴いたもの。

Taipei14_011.jpg
十一枚目のカットですが、九曲巷から出て、お茶でもしようということになり、老街の裏通りを歩いていたら、午後遅くの陽がイイ案配に道教の廟みたいな建物の入り口を照らしていて、そのくすんだ朱色の木扉とそこに貼られた新年を寿ぐための真新しい赤いお札、そして手前の植栽の緑の配色のバランスが絶妙に思えたため、一枚戴いたもの。

Taipei14_012.jpg
十二枚目のカットですが、バスと台湾新幹線を乗り継ぎ、再び戻った台北の街は龍山寺エリアの夜市探検の途上、なかなか風情のある赤い看板を掲げていた、アヒルだか鵞鳥だかの煮込み料理を商っていた屋台の前を通る人間を無差別スナップしようと待ち構えた刹那、いかにも今風の台湾の若いカポー然としたお二人が天下泰平とばかり、買い食いした串団子的を手に通り過ぎようとしたので、一枚戴いたもの。

Taipei14_013.jpg
十三枚目のカットですが、夜市の奥まったエリアにあるオープンな店構えの食堂みたいなお店で無表情のまま、背中を丸めて黙々と食事をする初老の男と、その後ろで、笑顔でテイクアウトの食事を買求める健気なアガシ、もとい小姐の対比が、ふと交差する人生のようで、とてもドラマチックに見えたので、店先から一枚戴いたもの。

Taipei14_014.jpg
十四枚目のカットですが、ここも夜市の中のオープンエア的な食堂で、台湾料理の小吃(スナックみたいな軽食)を店内で食わせたり、テイクアウトさせたりするお店のようで、常連と思しき兄ちゃんと店の主人と思しき兄ちゃんが白熱電灯の下、食事を用意しながらしみじみと語らい合う姿がほのぼのと感じられたので一枚戴いたもの。

Taipei14_015.jpg
十五枚目のカットですが、夜市の路上のお店を探検して歩いていたら、ハローキテーのヘルメットを被ったまま買い食いしようとしていた親娘が居たので、カメラを向けても動じる気配が全くなかったため、大胆にも至近距離でその愛くるしい表情を一枚戴いたもの。

Taipei14_016.jpg
十六枚目のカットですが、これまた夜市に出ていた屋台での1コマですが、肉の串焼きみたいな食品を商う、なかなか若いお二人のお店は人気が有って、お客さんがひっきりなしに取り巻き、活況を呈していたのですが、その人ごみにまぎれて、健気に働くお姿を一枚戴いたもの。

さて、明日から帰省のため、後編は年明け4日となってしまいますが、今年一年、ご愛顧有難うございました。
読者各位におかれましては、良い年を迎えられます様、不肖工房主、心より祈念致します。
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  1. 2014/12/29(月) 00:11:59|
  2. 旅写真
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  4. | コメント:4
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コメント

この組み合わせだとこう映りますか。

X-Pro1とULTRON28mm/2.0の組み合わせがこうもはまるとは。
キヤノン1.2も良い感じに映ってますが、28mmウルトロンのクリアさがすごいなあと。

路地なら28mm、夜市の様に通りの広いところなら50mmで行くのが良い感じですね。

その辺り自分ももっと考えて撮らないとなあ。

それでは良いお年を。
  1. 2014/12/29(月) 10:31:08 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

こんにちは。
細密工業などで躍進中の台湾へのツアーということで、楽しみな写真群でした。

コンクリートや石や煉瓦の重厚な路地が、とても地震や火災に強そうな地域になっていると、なぜにここまで要塞のような仕様になっているのか、不可思議な通りですね。
それでも、たまたま写真になりそうな路地を狙ったせいなでしょうか、意外と日当たりが良いというのに気づきました。採光の取り方に、こうした建物群がなにかしら工夫があるのでしょうか。

広角には定評のあるウルトロンということですが、今回はSキャノン50mmf1.2が主役に様に際立っているようです。

最後の16枚目のカット、左側にぼやける甘いボケ具合やニュートラルな女性の肌色が目を引きます。電球の灯が、少し画面を際立たせているのは、古いレンズを使うマニアにとってはたまらないポイントになっていると思います。これがあるから、わたしも古典レンズ撮影はやめられないものです。

15枚目のカットも、シャドー部も落ち込みの無い、モノコートらしい柔らかい再現性は、なかなか現代的なコートでは出し切れない性格だと思います。

夜の店先の郷愁誘う景色には、高度成長期終盤以前の東京でもどこでも見かけたような景色でしたが、それらはスーパーやコンビニの無機質な風景と交代してしまいました。こうして改めてみていると、対面で商品の品質をお互いが確認したり、あいさつ程度の無駄話の中にも、明日への為の生きるための知恵が隠されているかもしれません。人同士がよりあう、懐かしい風景だと思いました。


今回が今年の最後の発表だそうですが、一年間どうもご苦労様でした。



  1. 2014/12/29(月) 18:45:35 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

Re:この組み合わせだとこう映りますか。

出戻りフォトグラファーさん

有難うございます。そして明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

さて、今回はレンズ選び的には、ヘンな拘りを捨て、コシナの新品レンズ群を主力に据えて大成功ではなかったかと思います。

開放からのヌケの良さ、シャープで程好いコントラスト、まさに今の時代の主力たるズームでは味わえない、描写と機動力による作画への寄与ではないかと思いました。

また、CanonL50mmf1.2の安定した孤高の描写は、海外ロケ等では、なくてはならない押さえではないかと再認識した次第です。
  1. 2015/01/04(日) 22:55:31 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。そして明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

そうですね、この鹿港という街、かつては港が物流、そして漁撈で繁栄したというだけあって、街の造りは重厚でかつ、お金を掛けてよく考えられた構造になっています。

例えば、狭い通路は強い季節風の侵入を防ぎ、更に防火を考え、壁も塀も石や煉瓦で覆い、更に盗賊対策として、ところどころに堅牢な扉を設けた袋小路なども設けてありました。

さて、レンズですが、ハノイで大活躍した国産屈指のハイスピードレンズCanonL50mmf1.24は今回も大活躍してくれました。

きっとまた海外へロケに出ることがあれば、先発に入れること必定と考えています。

ところで、良く言われるのは、台湾は昭和40年代以前の日本のメンタリティのまま、現代のIT・社会インフラをかぶせたようなものだと、ということです。

ですから、この夜市の情景が目を惹くような、日本では絶滅の危機に瀕した人々の間合いみたいなものがそこここで見られるということなのでしょう。
  1. 2015/01/04(日) 23:04:49 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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