深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Looking like enough classic but fully advanced~Voigtländer Ultron28mmf2~

Ultron28mmf2-01.jpg
さて、今宵のご紹介は、超弩級レンズの飛び入り記事への差し替えがあったため、一週遅れで、期待の星、デヂタル世代のネオクラシックの旗手とも云うべき、長野県産Voigtländer銘のUltron28mmf2のご紹介いきます。

このレンズ、云わずと知れた、Lマウント時代のVoigtländer銘Ultron28mmf1.9Asphericalの後継機種として、Mマウントで開放値を0.1落とし、しかも非球面の採用を見送ってリリースされました。

ただ、その一見、グレードダウンとも思える、地道な仕様変更の結果、1センチ近く短くなったコンパクトな外観と、レンズ枚数を寧ろ増やした(7群9枚→8群10枚)ことによる収差補正メカニズムの変更(レトロフォキュ→対称)により、非球面不採用では最優秀との呼び名も高い、ライツのElmarit28mmf2.8三代目をも凌駕し得るが如き凄まじい描写性能を開放から叩き出します。

また、デヂタルとの相性という観点では、先の台北ツアーでも大活躍をしましたが、今回、陽加減の難しい午後の下町で、APS-HのCCDを持つ、一世代前とは言え周辺画質にはシビアなM8と組むことで、その性能の一端でもご紹介出来れば、と思い、今回の記事を企図した次第。

では、早速当日の行動に沿って、実写結果を見て参りましょう。ロケ地は清澄白河から押上経由両国、撮影条件は全コマ開放による絞り優先AEです。

Ultron28mm_001-1.jpg
まず一枚目のカットですが、撮影前に清澄白河と森下のほぼ中間西部にある、「みや古」さんにて、名代深川めしご膳を戴き、しかるのち、下町の「アンデルセン人魚姫像」とも呼ばれる?大川沿いの「松尾芭蕉坐像」を捜して移動途中の雄大な大川河畔の光景を河口付近に向って一枚撮ってみたもの。

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二枚目のカットですが、大川端の松尾芭蕉の庵が在ったとされる場所の程近い堤防上の設けられたちょっとしたミニ史跡公園みたいなところに鎮座まします句聖芭蕉の坐像で、この時間だと、一番見栄えが宜しい大川方面を背景にしてくだんんの像を撮ろうとするともろに天空の太陽が画面に入り込んでしまうので、影に入りつつ、何とか太陽を正面からずらし、背景がそこそこ見られる位置を割り出し、しかも手フードでハレ切りしての撮影でした。

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三枚目のカットですが、前カットの芭蕉像のちょうど反対側、方角では北東方向の民家壁面にくっついた形で設けられた、木賊(とぐさ)と古めかしい甕の図で、ちょうどひとつの構図の中で斜めに日向と日陰が区切られた格好になっているので、面白いと思い撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、永年の課題、芭蕉の座像を大川をバックにして撮る、なんちゃって「アンデルセンの人魚姫」写真を成し遂げた満足感一杯に次なる目的地、清澄白河駅前のアールデコ調長屋商店街の撮影に向うべく、萬年橋を南に渡る際、ちょうど光線の加減により、鋼の質感がかっちり捉えられるような気がしたので、一枚撮ってみたもの。

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五枚目のカットですが、萬年橋を渡り、深川稲荷神社の前を通って、清澄通りに向う大通りで、やはり句聖芭蕉に縁が有ると云う古刹が在って、なんとそこの銅製の屋根というか屋上部分から張り出したオブジェが蛙が何かの葉にとまった格好を180°引っ繰り返した配置で、これも青空をバックになかなかの見栄えだったので、軒下までお邪魔し、一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、ここも深川に居を構えて数十年、やはり気になってはいたものの、なかなか写真を撮るのに適した時刻に訪れたことが今だかつてなく、今回が初の撮影となった、清澄白河駅前というか、清澄庭園に張り付いた格好のアールデコ調の長屋兼住宅の様子です。

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七枚目のカットですが、清澄白河駅から大江戸線に乗って、次なる目的地というか撮影ルート、両国~スカイツリー~押上~両国のため、両国駅を降り立ってすぐのシャッター通り商店街の閉まったままの薬局前で、子供達に囲まれて華やかなりし頃の夢を見つつまどろむが如き、SS製薬のマスコット遊具の姿を一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、両国から適宜シャッター切りながら散策すること30分弱、やっと東京スカイツリーの真下に着き、藍白という、白をベースに極僅かに藍色が混ざった色に塗られた、高張力鋼の極厚・極太鋼管のトラス構造物が夕陽に染まり、無機物とは思えないような何とも云えない温かみの有る色加減で屹立していたので、またしてもその雄姿を下から収めてみたもの。

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九枚目のカットですが、スカイツリーの展望台行きエレベータ乗換え地点の屋上広場で、黒人の親子が記念撮影なんかやってたんで、声掛けてお邪魔をするのもなんなので、ちょいと失礼とばかり、オモニの後ろに回り込み、便乗撮影とばかりに一枚戴いたもの。

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十枚目のカットですが、スカイツリータウンの展望台行きエレベータ乗換え地点の屋上広場には、臨時オープンと思しきスケートリンクがあり、その北方向の寒そうな空をバックにスケートリンクの看板にピンを合わせ、全景を撮ろうとしたら、いきなりひゃぁ~とかいうズタ袋を裂くような悲鳴とともに、いたいけなうら若き小姐が工房主の目の前に飛び込んで来たので、偶然とは云え、面白い構図となったもの。

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十一枚目のカットですが、夕焼けをバックに十間川に水面に映るスカイツリーの優雅な姿など撮ろうと、頃合いを見計らって、スカイツリータウンから押上駅を経て、亀戸方面へ向って歩く途中、これまた夕陽を照り返すスカイツリータウンのビルの雄姿を下から撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、十間川の北側には、スカイツリー効果の地価上昇もものかわ、まだ古い店舗や住宅がぽつぽつと残っていますが、その川沿いの古めかしいモルタル造のイエローベージュの店舗兼住宅の前を家路を急ぐ、冬支度の健気な母娘が自転車で通り過ぎて行ったので、これ幸いと一枚戴いたもの。

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十三枚目のカットですが、川面に映るスカイツリーの雄姿を捉えるべく、橋が有るたび、スカイツリー方面を眺め、ついでファインダを覗くのですが、いやはや28mmの広角でM8のAPS-H換算の画角では37mm程度になってしまうため、300~400m程度離れた程度ではとても、水面の全景と実態の全景を写し絵としてひとつの画面に収めることは難しく、程々のところで、川を跨ぐ歩道橋が在ったので、そこの上から一枚撮ってみたもの。

Ultron28mm_014-1.jpg
十四枚目のカットですが、スカイツリーの全貌の撮影も終え、んぢゃ錦糸町でスィーツでも食べてから両国まで歩きまっしょう♪ということで、押上方面から錦糸町のランドマークであるオリナスの高層ビルを目印に適当な道筋を辿って移動する途上で、妙に西方面に開けた裏通りがあったので、「止まれ」をモチーフに一枚撮ってみたもの。

Ultron28mm_015-1.jpg
十五枚目のカットですが、錦糸町駅前ロッテホテルでのスィーツタイムの後、両国まで徒歩で移動する途上、緑の壁面と
大きなガラスのショーウィンドに並べられた色とりどりの洋酒、そして大胆な屋号の真っ白けなペイントが面白かったので、一枚撮ろうとしたら、店の人が出て来て写り込んじゃったって図です。

今回の感想としては、うーん、先の75mm、35mm、そして今回の28mmと、何処かのホームセンターのキャッチコピーぢゃないですが、「お値段以上・・・」という言葉が最適のように思えます。

少なくとも、鏡胴の材質や仕上げ、刻印は言うに及ばず、操作フィーリング、硝材やコーティングの色合いまで、工房で保有する唯一のコシナ製ZeissレンズであるBiogon25mmf2.8に全くヒケを取りません。

そして、写りはご覧の通り、M8とのコンビで丸一日、開放で撮影しても、全く馬脚を出さないどころか、肉眼で見た以上にドラスティックで迫力あり、繊細な画を吐き出してくれます。

まさにまた次のレンズも欲しくなる出来栄え、個人的にはそう結論付けました。

さて、次回のご紹介は、久々の工房作品とは云っても、だいぶ前に出来上がっていて、なかなか発表の順番が回って来なかっただけというのが実のところですが、距離計連動の広角レンズでのおっされ~な街撮り行きます、乞うご期待!!
  1. 2015/01/25(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
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  4. | コメント:2
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コメント

前回二点(ズームと大口径)が「難題」(今でもその描写特質を考え中)でしたが、今回は直ぐにエッジが際立ったとても特徴のある画像に惹かれました。

それはたぶん良好な解像力のお蔭だろうと予測していますが、f2という事を忘れてしまう出来だと思います。

あとは、特に斜光から夜間へのシャドウを含む再現の良い描写が見事です。

気になる点としては、背景ボケはまだまだ実質が良くわかりません。それは、距離の於き方がセンサ万別ですし、輝度の違いとか条件が多すぎるからだと思っています。

ロットの特性は・・・不明ですが、じつは、これのf1.9タイプは中玉のコーティングに悩まされました。f2にも癖があると心配ですが、非球面の神経質さが無い分だけ安心となだめています。そのあたりはどのようなものでしょうね。



わたしも所有のAPS-Cカメラで目下f2タイプでガンバッテいますが少々中だるみでして、今回はとても参考になりました。



  1. 2015/01/26(月) 22:47:56 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
そうですね。
このレンズの特徴と云えば、まず解像力、そして画面全体への画質の均質性ではないでしょうか。
もちろん、モダンな高いコントラストや逆光への比類無き強さも有りますし、ホント、こんな値段でこんな性能のレンズ売っててイイの!?とか心配してしまいそうなくらいです。
ボケについては、台北ツアーでも試しましたが、比較対象がC.NOKTON35mmf1.4SCなので、まぁ妥当か否かはともかくとして、かなり滑らかで好ましいものと思っています。
この前身の28mmf1.9Adph.を含め、Lマウント時代のモデルは買いませんでしたが、少なくとも、Mマウントになってからのレンズは4本買いましたが、ハズレは一本も無しで、満足しています。
  1. 2015/01/26(月) 23:08:38 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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