深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

A clumsy optics meets fashonable town~W-Nikkor28mmf3.5~

Nikkor28mmf35.jpg
さて今宵のご紹介は、地味ながら開放から眼をひん剥くような高性能を発揮する、日本光学製の銘玉W-Nikkor28mmf3.5いきます。
このレンズ、実はタイから帰ってきて、向こうのカメラ屋がなんでも餞別代わりということでタダ同然で譲ってくれたContaxIIaの交換レンズが欲しかったのですが、ツァイス製で28mmなどというとf8とかピンホール並みに暗くて食指が動かなかったので、35mm以下は事実上互換性有るということで買ったもので、もうかれこれ15年以上前には所有していたことになります。

しかし、ContaxIIa自体が使いずらく、その内爪の標準レンズですらニコンS2で問題なく使えることが判ると次第に稼動が落ち、また、内側のレンズブロックハウジング兼距離計連動シャフトが太過ぎるためベネズエラ製S-MカプラでMマウント化は容易に出来るものの、Mマウントボディ側のコロが上手く動かず、結局は同じ28mmではやはり高性能のCanon28mmf2.8とElmarit28mmf2.8三代目に出番を譲っていた、というのが実情です。

発売は1952年のニコンSマウント、ライカLマウントの2タイプ、構成は4群6枚の対称型で両外側の1群ずつが貼り合せといういわゆるトポゴンタイプです。

では、さっそく、今回も当日の行動に沿って、実写結果を見て参りましょう。ロケ地は先週の代官山へ移動する前の中目黒から西郷山公園下までです。カメラはX-Pro1、全コマ絞り開放による絞り優先AEモードで撮影しています。

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まず一枚目のカットですが、さすがおっされ~な東急沿線の街、中目黒、駅前の景色からして他の沿線とは違う!ということで、キースヘリングか草間彌生かと思えるようなデザインで、重厚な金属板をレーザーかヲーターヂェットで切り抜いたようなイケてるオブヂェが目に付いたので、緑濃き駅前の佇まいを背景に一枚戴きました。

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二枚目のカットですが、これまた中目黒駅前の景色ですが、ここでも金属板を切り抜いた抽象的なオブヂェが壁面一杯に飾り付けられている地下自転車駐車場へのらせん通路中央のエレベータシャフトとその背景にある、どことなくバベルの塔っぽい雰囲気を醸し出す区内屈指の高層マンション「アトラスタワー」の威容をモチーフに一枚撮ってみたもの。

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三枚目のカットですが、中目黒駅の南側、古くからの商店街へ続く道に面したところに建っている、築うん十年?の老舗の酒屋さんの軒先の、えもいわれぬ風合いを醸し出す銅製の雨樋と重厚な木造の店舗建屋の佇まいを捉えてみたもの。

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四枚目のカットですが、中目黒駅前から中目黒川沿いに次なる目的地、西郷山公園を目指そうと歩き出してすぐ、東急系ショッピングマートの駐輪場で、いたいけなプードルともシーズーとも見える犬が自転車のカゴに放置され、震えながら、声を限りに飼い主を呼んでいたようなので、あまりにいじらしく、つい近寄って、頭など撫でたついでに一枚戴いたもの。

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五枚目のカットですが、目黒川伝いの道路を歩いて行ったら、前々から「Exile」なる芸人集団のメンバーがよく目撃されるという橋の近くにうら若き小姐、アガシの類いの姦声が聞こえてくる一角が有ったので、気になって確かめに行ったら、そのものずばり、「ExileStation」なる吉本劇場とかAKBシアターに喩えられるような歌舞音曲の類いを演じて木戸銭徴収するような施設が出来ていて、やはり芸人の影には女人有り!ということで健気な小姐、アガシの類いがたむろしていたので、正々堂々向こう正面から一枚戴いたもの。

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六枚目のカットですが、勝手知ったる目黒川沿いの散歩道、だいたいの撮影スポットは何となく頭に入っているので、その辺りを注意深く睥睨しながら歩いていくと、有った、有った、マンション1階部分の鉄筋コンクリートの壁面にあたかもマッサンがウイスケを仕込む時に使った樽木の如き枯れたカンジの木材のデコレーションがおっされ~な雑貨店の軒先に何らかの蔓性植物が冬の木漏れ日を浴びてイイ影を落としていたので、ほぼ最短に近い距離で一枚戴いたもの。

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七枚目のカットですが、ここも前カットと同じマンション1階の定番撮影スポット、鉄道時計?をメインのモチーフとして背後の川沿いの道や隣の建物の軒先に置かれたベンチで暫しの休息を取るヂモテー各位を後ボケとして写し込んでみたもの。

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八枚目のカットですが、川沿いの道を更に上流に進んで行くと、或る橋の袂に、いたいけな巨大ムク犬が繋がれたまま、行き交う善男善女をせわしなく眼で追いながら、飼い主の戻りを待っていたので、またすかさず近くへ歩み寄り、頭など撫でて敵意が無いことを示し、いざ!とばかり少々離れて一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、目黒川沿いの散歩道を福砂屋東京工場/店舗のところで右に折れ、西郷山公園を目指すのですが、その途上にとても素人家とは思えない、武家屋敷と前衛住宅をDNAレベルでごっちゃにしたような面白い建物があり、その玄関?横の低めに仕上げられた蜜柑の木と信楽焼風の甕の取り合わせが何となくアーティスティックに見えたため、ちょいと失礼と監視カメラに一礼して一枚戴いたもの。

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十枚目のカットですが、そこそこ急な坂道の階段を登って、西郷山公園の頂上広場に出ると、居ました、居ました長閑にシャボン玉なんざ楽しんでいる若い夫婦者とその童子達が目に付いたので、さっそく小走りに駆け寄り、旧レンズのテストやってるんで、シャボン玉やってるとこ撮らして、とか頼んだら、即快諾、ハイポーズ!となったもの。

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十一枚目のカットですが、ここ西郷山公園では結構、ヂモテーで鷹揚な人々が遊びに来ていて、細かいことは気にしないようなので、白人の家族と日本人の家族が、公園内の遊具で無心に遊ぶいたいけな白人童子をネタにスマホンで写真撮ったり、はやし立てたりして愉しげに過ごしていたので、ここにもダッシュで駆け付け、拙者にも一枚撮らせては貰えまいかと、うろ覚えのイタリア語で話し掛けたら、あっけなく、イーですよ、ドゾドゾ♪と云うことで一同苦心してポーズさせて撮った必殺の一枚。

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十二枚目のカットですが、西郷山公園から代官山駅方面へと続く旧山手通りに抜ける出入口の正面には、有名なフレンチのグランメゾン、「マダムトキ」の瀟洒な一軒家が眼に留まりますが、その手前歩道脇でニューヨークスタイルのホットドッグバンが店を開いていて、頭をキレイにGIカットした白人の中年パパさんが逆マッサンとばかりに公園内のベンチで待つ優しそうな日本人の奥方といたいけな童子にホットドッグと飲み物なんざ購っているところを撮ったものです。
でも、お金を払う時、顔を上げ、マダムトキの建物を暫し眺め、また下を向いたのは、いつかは愛する家族と最高級のグランメゾンでゆったり食事をしたい、と願ったからでしょうか。

今回の感想ですが、やはりミラーレスという暗箱はやはり写真に於ける革命ではないかと思いました。何とならば、距離計連動で使おうとすれば、専用ボディでのフィルム撮影に伴う難行苦行がつき物で、ライカMタイプのデジタルRFでは距離計連動機構が働かず、撮影には使い物にならなかったのに、そもそも距離計連動を必要としないミラーレスであれば、クロップ拡大機構をフル稼働させれば、絶対焦点面での撮影になるので、光学系の100%近い実力が発揮出来る・・・

いずれにせよ、この21世紀の魔法の暗箱によって、その真価を改めて発揮する銘玉が次々出てくるのではないかと期待しています。

さて、次回更新は、これまた工房附設秘宝館から、徹底的なOHを受け、居眠りレンズの汚名を見事、その真の実力で払いのけた欧州は焼き物の里からやって来た35mmのテッサータイプの玉のレポートお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2015/02/08(日) 21:00:00|
  2. 深川秘宝館
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

オリジナルは5万円くらいですね。

charley944さん
おつかれです。

来ましたね、W-Nikkor28㎜。
予想よりはるかに良く映るのでびっくりです。
下手なレンズ買うならこれとS-Mアダプターを確保してミラーレスで使うと良い感じになりそうですね。
Nikkorレンズだからでしょうか。
いつものレンズよりすっきりくっきり映っている様に思えます。しかし、M8だと距離計連動がうまく行きませんか。
距離計連動を考えるとフォクトレンダーウルトロン28/2.0になるのでしょうね。
こちらはミラーレス前提と言うことで。

10、11枚目の子供たちの表情は流石の一言です。
それにしても中国語、韓国語、英語だけでなく、イタリア語まで行けるとは。そちらにも驚きです(笑)

次週、焼き物の里ってことはデルフトとかその辺でしょうか?来週も楽しみですね。
  1. 2015/02/08(日) 21:39:03 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #JC4vvGP6
  4. [ 編集]

Re:オリジナルは5万円くらいですね。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
えーオリヂナルが5万円ってことは、W-Nikkor35mmf2.5の相場よりもまだちょい安ぢゃあーりませんか!?

まぁ、値段はさておき、このレンズ、アダプタさえあれば、ミラーレスを相棒として眼の覚めるが如きシャープでハイコントラストなカット量産してくれますので、マストアイテムでしょうね。

そりゃそーと、たまにガイドブック等でカンニングはしますが、日常会話くらいなら、仕事の関係で仕方なく覚えたドイツ語、タイ語はほぼ問題無いですし、簡単な観光関連のフレーズなら、貴兄云われる通り、中国語、韓国語、そしてイタリア語くらいまでなら何とかなります(汗)

で、来週の出番はまさにあのオールメタリックの甘食パンの再登場です(笑)
  1. 2015/02/08(日) 22:56:48 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

ずいぶんシャープな画像に驚いています。これが開放なら尚更で、手持ちのニッコールを、これを当面の目標に画質を検討してゆこうかと思いました。

色再現は、ライツのズマロン28㎜f5.6に似ている感があり(1,2,4,6)、全体的にもハロ等で白らっちゃけないでいるところがすごいです。

10枚目はニコンっぽい明暗差が大きいですが、11枚目の順光ではとても良好な色ノリが良いです。


わたしは、かのリーマンショック時にアメリカから来たらしい28㎜を運よく安く白黒二本安く買えましたが(値段は忘れました)、どちらもどうも直ぐにハロで白っぽくなる癖にメゲていました。なによりも解像力再現が弱そうで、画像拡大ピント時にnexのピーキングサインが発生しませんでした。黒はそれなりに絞ると良好だったので、個体差かと思っていました。

今回の画像を踏まえ、O,H,を検討材料にいたします・・・。
  1. 2015/02/11(水) 22:19:13 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
思うに28mmって焦点域、各社モデル間の描写も大いに異なり、個性を発揮しますが、また同一モデル内の個体間のバラツキも大きいのでではないでしょうか。
それは35mmを下回ると、経年劣化、或いは修理時の調整にもよる影響がより大きく効いてくるからなのではないでしょうか。

いずれにせよこの個体は、35mmで云えば、ほぼ同時期に購入したツァイスオプトン製の35mmf3.5のプラナーにも似た細めながらとても硬めで力強い線描写と極めてコントラストと彩度の高いくっきりした発色で、欠点というか残念に思ったのは開放値がf2.8を下回ったことくらいでした。

今回、アダプタ利用でX系列ミラーレスで使えば、とても好みの画を吐き出してくれることが判ったので、海外遠征を含め、もっと使って上げたいと思いました。

しかし、35mmf2.5のSマウントで昨日、新たなモンスターが産声を上げてしまったので、やや影が薄れてしまったのもこれまた事実です・・・
  1. 2015/02/12(木) 23:42:23 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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