深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Return of an optics brought from the home town of porcelain~De Oude Delft Minor35mmf3.5~

さて今宵のご紹介は、数年前に欧州から着いたばかりでフレアたっぷり、よく言えば、何時でも誰でもノスタルジックな写真が撮れる、手っ取り早く云えば、コントラスト低くて眠たい写真しか撮れない、値段の割には全然ダメx2玉だった、このオランダは焼き物の里、初めは柿右衛門やその流れを汲んだマイセンなどの写しから始まった陶磁器で有名なデルフト産まれのスタイリッシュな銘玉を川崎は八丁畷の名工の手で徹底的にOHして戴いていたのが、なかなか登場機会が無かったのですが、今回、ちょいとした空き時間に蔵前から浅草寺という慣れ親しんだ散歩道で実写検証をしたものです。

実はこの玉、シャープで名高いTessar型で3群4枚なのですが、同じ焦点距離、同じ開放値でもある、京セラT-AFDのフグ刺しレンズことTessar35mmf3.5*と較べると、線描写は柔らかいし、発色、特に空の青の発色はマイルドで肉眼の近いし、不自然なまでのフレア退治には成功しましたが、やはり独特の描写であるような気がします。

なお、ご本尊さまの雄姿は以下でご開帳しております、
http://pwfukagawa.blog98.fc2.com/blog-entry-45.html

ではさっそく実写結果を見て参りましょう。

撮影条件はカメラはR-D1s、全コマ開放での絞り開放、絞り優先AE撮影です。

Delft35_001-1.jpg
まず一枚目のカットですが、門前仲町から大江戸線に乗って浅草にアプローチするには、蔵前で降りて歩くのが一番手っ取り早いのですが、その道すがら、数箇所の撮影スポットが有り、ここ「駒形どぜう」さんの江戸情緒溢るる店先の佇まいもそのひとつで、今回も恒例通り口火の一枚として戴いたもの。

Delft35_002-1.jpg
二枚目のカットですが、「駒形どぜう」さんの店先から男の脚で歩るけば5分もしないうちに見えてくるのが、浅草随一のランドマーク、渋谷で言えばハチ公顕彰像、新宿で言えば新宿アルタ、上野で言えば西郷隆盛像にも比肩し得る観光名所「雷門」の全景を交差点を渡る手前の位置から背景に空を入れて写してみたもの。

Delft35_003-1.jpg
三番目のカットですが、これまたマンネリとの謗りを受けかねない懸念はありましたが、まず声を掛けても絶対の断らない被写体が数ダースもたむろする好都合スポット、雷門前の車夫溜りで、一枚撮らして、宣伝すっから♪とか甘い言葉を掛けて、観光客慣れした熟練の車夫さんに声掛けてモデルさんになって貰ったもの。

Delft35_004-1.jpg
四枚目のカットですが、これまた雷門の周辺ですが、裏側で待っていると、結構な数の海外からのゲストがやって来ていて、写真を撮られることなんかお構いなしに門の中の提灯の下を思い思いに通り過ぎて行くので、暫し佇み、頃合を見計らってその様子を一枚撮ってみたもの。

Delft35_005-1.jpg
五枚目のカットですが、雷門を離れ、仲見世を進むと通りのすぐ左側に目に付く"美人茶屋"「あずま」さんの店頭でのいたいけな小姐達のかいがいしく勤労する様子をちょいと失礼と一歩前に歩み出て一枚戴いたもの。

Delft35_006-1.jpg
六枚目のカットですが、浅草寺の境内に進み、まずはお参りなどして、それから本堂から降り、周辺でモデルさんなどを物色していたら、居ました、居ました、海外からの着物コスプレ小姐二人組が・・・さっそく、この台湾は高雄からやって来たという健気な小姐二名組にお願いして着物姿を一枚撮らせて戴いた次第。

Delft35_007-1.jpg

七枚目のカットですが、浅草寺境内を後にし、そろそろ雷門前デニでお茶でもしようかいなと宝蔵門方向を振り返れば、ちょうど良い光線具合いだったのと、手前に色んな扮装の民草各位が居られたので、一杷一絡げに宝蔵門と五重塔の威容を背景に一枚撮ってみたもの。

Delft35_008-1.jpg
八枚目のカットですが、仲見世通りの東側々道を歩き出したら、浅草寺のすぐ近くの弁天堂の鐘楼の在る築山界隈で、如何にも近場の幼稚園児ですよと云わんばかりのお仕着せを纏ったいたいけな童子達が3オクターブ以上高い喚声を上げ、追いかけっこみたいな遊びに打ち興じていたので、光線具合いの宜しいところで一枚戴いてみたもの。

Delft35_009-1.jpg
九枚目のカットですが、ハヤタカメラボの在る通称鉢の木ビルの通りから浅草駅方面に進むと、小間物というか民芸調の土産物屋を商う数軒の商家がありますが、その一軒の店先で結構強めのタングステンライトに照らされた錦縫製の飾り物みたいなものがあったので、至近距離撮影のテスト材料として一枚戴いたもの。

Delft35_010-1.jpg
十枚目のカットですが、側道を通って雷門まで戻り、仲見世の特徴有る赤い店舗長屋を見返した時、なかなか遠近感的に良い構図だと思い、また北方向ではあるものの、かなり明るめの空が屋根に切り取られて画面に入ることから、ハイライトとシャドーの描き分けをみたいと思い撮ってみたもの。

Delft35_011-1.jpg
十一枚目のカットですが、宝蔵門の袂には時間を問わず、常に国内外の老若男女がたむろしていますが、ちょうどこの時間には、西に傾いた太陽が色温度の低めな斜めからの陽光を射てくるので、その光で輪郭が光っている、げこげこ聞こえる中国語を話すいたいけな小姐のお姿を一枚戴いたもの。

Delft35_012-1.jpg
十二枚目のカットですが、同じく雷門下で、シックに和装を着こなした大年増のご一行様が年甲斐もなく、スマホンやらガラケーやらホームセンターの特売か何かで買ったと思しき、稀有なコンパデジでお互いに撮っては、きゃぁx2と黄土色くらいの嬌声を上げて盛り上がっていたので、背後から近づき、極力プライバシー保護の観点から後ろ姿のみ頂戴したもの。

今回の感想ですが、クラシックレンズの評価というものは、やはり、設計時の初期性能が残っていないという前提を十分理解した上で実写して行い、可能であれば、設計時の初期性能を十分に想定出来、それに戻せるような技能を持ったクラフトマンの手に委ね、適切なメンテナンスを行った上で評価すべきではないかと云うことです。

さて、来週のアップは横浜パシヒコで今週末行われたCP+での実写レポ、但し、新製品ではなく、親類の形見として貰った、これまた国産の銘玉に着いたばかりのアダプタをかまして激写した、会場各ブースのいたいけな小姐&アガシ達・・・ですが、そちらをお送り致します、乞うご期待!!
  1. 2015/02/15(日) 21:00:00|
  2. 街撮り写真
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  4. | コメント:4
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コメント

珍しくカメラとレンズのカットがないですね。

charley944さん、お疲れです。
土曜日はご参加いただきありがとうございました。
当方、水曜日からの出張疲れと重なって左足首が痛いですわ(笑)

今回は珍しくレンズのカットがないですね。
そのうち出てくることを楽しみにしてます。

さて今回は浅草寺境内のテストレポートですが、川崎チューニングの影響か眠気なんぞかけらもない写りですね。
近接戦闘時のボケで初めてオールドレンズらしさが出るかなって感じで、5枚目と8枚目は言われないとオールドレンズで撮ったとはわからないですね。
これを改良と言うべきかそれとも無個性化したと言うべきかは迷うところですけど、浅草寺境内の色合いには合っていると思いました。

個人的には5枚目の売り子さんの横と言うか背後で煙草を吹かすおじさんの視線が気になりました。

さて、次回はCP+レポートと言うことで国産名玉があの売り子さんたちをどう捉えたか楽しみにしてます。
  1. 2015/02/15(日) 22:49:28 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:珍しくカメラとレンズのカットがないですね。

出戻りフォトグラファー さん
さっそくのお越し忝く存じます。
また、昨日はお昼過ぎから、夜も遅くまでガイド兼世話役有難うございました。

まずレンズの佇まいですが、いっぺん状態悪い時のレポート上げてましたから、レンズの姿はもうイイかなと横着こいてたばかりですが、一応、前回のアップの写真のURLを本文記事に追加しました。

それから、これがレンズを味を消してしまった後か否かという問題ですが、おそらく、眠いとか低コントラストとかいうこのレンズに付き物の通り相場は、おそらく、経年劣化と適切なメンテを受けていなかったことによるものだと思います。

URLから到着当時の撮影結果と較べて戴ければ一目瞭然とは思いますが、ちょっとハイライトが入った途端に線香の煙で燻されたみたいに白くモヤが掛かったような被写界など本来、記録目的で生を受けたレンズには害悪でしかない属性ではないでしょうか。

ただ、個性を殺してしまったかと云えばそうでもなく、まさに貴兄ご慧眼の通り、近接戦、そう9枚目の小間物屋の店内が渦巻き状のボケになりかけているところが、まさにオールドテッサーのオールドテッサーたる所以であり、いくらコントラスト改善してもフレアを出にくくしてもこの持って産まれたDNAは変えようがないのでしょう。

なお、来週はあの苗族の美少姐のカットも大々的に登場しますので、お楽しみに♪
  1. 2015/02/15(日) 23:35:15 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

再びデルフトのテッサ―タイプでの掲載、ごくろうさまでした。
いつだったか、築地でデルフトの35㎜を使ったモノクロを掲載していた様でしたが、今回、クリーニング後というレンズには、少なからずそのシャープさに驚きました。

テッサ―タイプで35mmという焦点距離自体めずらしそうですが、まず筆頭にというニコンのS用に供給されていたニッコール35㎜f3.5のカラー写真はあまり見た記憶もありません。あとは、ライカのエルマー35㎜もかなり古臭いモノクロ画像位しか記憶にありません。
ということで、意外とテッサ―タイプの35mmは少なく、近代的なものとしては、先日のヤシカでコンパクトカメラにあったくらいでしょうか。
ワイドタイプのテッサ―では、廉価でかつ実用程度の性能を維持するためには、フジナー150㎜f6.3と大判でも開放値が暗くなってしまうようです。古くはオリジナルzeissテッサ―も開放値はf6.いくつだったか・・・、そのかわりイメージサークルは広かったと聞いています。
けっきょくは、ピンボケ部にグルグル気味にぼやける非点収差がかつてはそうとう嫌われたのではないかと、テッサ―広角が少なく、まもなくガウスタイプに移行したというのはそのような理由だったのではないかと推測していますが・・・。しかもテッサ―で3.5より明るくするのはかなり厳しかった(リスクを背負う)ようですね。


今となっては、9枚目のような少々背景が歪んで流れ気味のほうが郷愁をさそうようで、それなりに好ましいものです。たしかに、眼にしやさしい写りにもみえます。

二枚目も屋根なんかとてもシャープに見えますし、6とか10とか12も、どことなくエルマー35㎜を少し近代化した感があって好ましいです。


近代化といえば、45㎜にヤシコンテッサ―がありましたが、35㎜までワイドの広角でなかったですね。
  1. 2015/02/23(月) 00:26:50 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
そうですね、今回の川崎八丁畷の手厚い加療のおかげを以て、本来の性能を取り戻したと考えられるこのスタイリッシュな銘玉は、眠いとか煤けたような写りとか云う経年劣化によるネガティブな評価を完全に払拭し、"使える"レンズになったのではないでしょうか。
これで、また国内外の中古相場が高騰してしまっては本末転倒かも知れませんが・・・(笑)
  1. 2015/02/25(水) 23:37:57 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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