深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

An amazing manufactured optics~Super EBC XF Fujinon23mmf1.4R~

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さて、今宵のご紹介は趣向を変えて、工房というより主人の裏家業、会社の広報活動での写真撮影用機材として、久々に新規導入した現代のAE/AFレンズです。
工房では、おもにMマウントアダプタを用いて、自家製改造レンズやライツ等の古典レンズ撮影用にX-Pro1を導入し、今やM8からメイン機材の地位を禅譲され、国内外での撮影ツアーには必ず欠かせない相棒になっていますが、実は買ってから2年以上も愛用していたのに純正のAE/AFレンズは一本も保有していなかったのです。
何とならば、仕事のプレス撮影用はニコンのAE/AFがD2Hs用に18mmから300mmまで揃っていますし、EOS1系列でもシグマで28mmから300mmまで同様に揃えていたので、趣味用としては、AE/AFレンズ自体に魅力も、必要性も感じなかったからです。
しかし、今回は、久々のD2Hsによる新聞記事用写真が悪条件の撮影会場とは言え、あまり得心のいくものではなかったため、そのリカバリーショットたる、詳細インタビュー立会いでのポートレ撮影用として、一番使い慣れた機材で万全を期すため、取材前日に購入したものなのです。
発売は2013年10月、構成は 8群11枚でそのうち一枚、絞り直後の凸レンズが非球面となっており、メーカーのアナウンスによれば、APS-C機でもフルサイズ同等以上のボケを楽しんで欲しいので、開放からフル性能を発揮出来るような設計になっている、とのことです。
要は、一般的にf5.6付近で最高性能を発揮する一眼レフ用のレンズとは異なり、ライツやツァイスのレンジファインダ用レンズと同じように開放から性能を発揮するという思想で造られているということなので、開放しか撮りたくない、工房主はその思想性に嬉しくなってしまいました。
では、さっそく、その現代の設計技術の恩恵を100%享受したスーパーレンズの描写性能を先週土曜日の行動に沿ってみて参りましょう。カメラはX-Pro1、全コマ開放でのAE/AF撮影です。

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まず一枚目のカットですが、当日の一番最初の訪問地は乃木坂に在る「新国立美術館」で、その開放的なガラスと鉄骨を用いた前衛建築をこの現代の銘玉が果たしてどのように捉えるのか、逆光気味の悪条件もものかわ、数カット撮ってみたうちのベストショット。

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二枚目のカットですが、「新国立美術館」は特にお目当ての展示もやっていなかったので内部と外観の撮影のみ利用させて戴き、乃木坂の本当の目的地「かおたんらーめん えんとつ屋」へ向うことにしていたのですが、その道すがら、ガラス細工の趣きそのままの、美術館の佇まいを木立越しに捉えてみたもの。

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三枚目のカットですが、青山墓地東側の道を下り、墓地下の目指すラーメン店で10年ぶりに懐かしい澄んだスープの妙味を堪能し、一休みして元気が出たところで、次なる目的地、ミッドタウンの富士ギャラリーへ森ビル前経由向う途中、六本木通り沿いで見つけたヴァーヂンアトランティック関係と思われるおっさーれ~なカフェの真っ赤な看板を広角のパースを少し効かせて撮ってみたもの。

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四枚目のカットですが、ヴァーヂンカフェを過ぎて、六本木通りを少し歩いていくと、またしても、とあるカフェの店頭の路上に低く身構え佇んでいる金属の獣の姿を認め、嬉しくなって、一枚戴いたもの。

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五枚目のカットですが、ぐるっと、乃木坂、六本木エリアを歩いて、次なる目的地、富士フィルムスクエアに訪問し、X-Pro1の生みの親の方と心行くまで歓談を楽しませて戴き、乃木坂駅に戻る前にミッドタウン前の植栽をローアングルから撮ってみた一枚。

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六枚目のカットですが、乃木坂から千代田線に乗って、次なる目的地、日比谷~有楽町~丸の内エリアを目指し、まず一番最初に訪問した日比谷公園際に建つ古いオフィスビル前に人待ち顔で所在無さげに佇むアイビールックを決めた白人男性を遠く植栽越しに捉えてみたもの。

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七枚目のカットですが、今にも空が泣き出しそうな午後遅くの日比谷公園でしたが、それでも、名物のベンチには、様々な人々が、時間潰し、待ち合わせ、休憩、予定・メール確認等々と思い思いの目的で腰を下ろしていたので、その様子を会社訪問の合間に読書に勤しむいたいけな就活生のアガシにピンを合わせて捉えてみたもの。

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八枚目のカットですが、日比谷から有楽町に面したエリアには宝塚関係の施設が多いので、ずいぶんと洒落た店舗も多いのですが、その中でも日比谷シャンテ前の曲面ガラス張りのスタバはなかなかフォトヂェニックなお店でローアングルから撮ろうとしていたら、男勝り、という言葉がしっくりきそうな就活生の小姐がカメラを構えた小生もものかわ、ずんずんとお店の会談を上っていったので、これ幸いと一枚戴いたもの。

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九枚目のカットですが、日比谷シャンテまで来たら、必ず撮らねばならないものが幾つかありますが、やはりその筆頭はゴジラのミニチュアの像でしょう、ということで、休日の午後にも関わらず、先客が全くおらず周囲が閑散とした状態でのゴジラ像を撮ってみたもの。

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十枚目のカットですが、日比谷での撮影は雨も降りそうになってきたので程々にし、有楽町経由、丸の内方面に向うべく、JRガード下随一の撮影スポット、有楽町のトンネル状居酒屋の前を通り過ぎようとする若い夫婦者の後をつけ、間合いを図ってノーファインダでレリーズ切った渾身の一枚。

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十一枚目のカットですが、丸の内三大観光スポットと呼ばれるうちのひとつ「ブリックスクエア」こと三菱一号館レプリカの中庭で、雨もパラついてきたため、人も少ないなか、あじさいのみが生気を取り戻したかのようであったので、同じく、小雨に濡れ、色合いを深めた一号館のレンガの壁を背景に一枚撮ってみたもの。

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十二枚目のカットですが、シーズン真っ盛りで、しかも雨を受け、絢爛豪華に咲き誇る紫陽花の反対側で、盛りも過ぎ、ひっそりと散り時を待つかの如き、一輪白バラの姿も、もののあはれを十分に誘ったので、これまた一号館のレンガ造りの威容を背景に惜別の念を込め、一枚撮ってみたもの。

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十三枚目のカットですが、よくお昼時に顔本のオマケ用にスマホンで撮っている、ビルの谷間の欧州風看板の様子をこれまた、広角レンズのパースをかなり効かせて仰角で空を入れたほぼ逆光状態で撮ってみたもの。

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十四枚目のカットですが、看板を撮り終え、さてと周囲を見回したら、小雨がパラついてきたにも関わらず、旅行費用を一円でも元取ろうというのか、ゲコゲコと聞こえる南の方の中国語を大声で話す小姐二名が相合傘で愉しげに一号館中庭から大名小路を大手町方面にそぞろ歩きしていったので、そっと後をつけ、ノーファインダで撮った渾身の一枚。

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十五枚目のカットですが、大陸からのゲコゲコ小姐達の愉しげな姿を見送ったあと、ふとマイプラザ前を見たら、かっけぇBMWが鎮座ましましているぢゃあーりませんか、これ幸いと、全体がバランスよく入る位置まで摺り足で移動し、雲が行き過ぎ、空が一瞬明るさを増したかの瞬間に撮ったもの。

今回の感想ですが、これ、マヂヤヴァィです・・・シネレンズだ、産業用レンズだ、とかご大層な能書きの高い古レンズや、現代のものでも、エルンストライツやら、カールツァイス銘が付いていなくとも、開放からAE/AFでこれだけのカットが撮れてしまう・・・普段の何気ない生活ゾーンでこれですから、ハノイや台北、香港、マカオに持ち出せばまず撮れないものはなく、得心の行くカットの歩留まりも飛躍的に増えることでしょう・・・でもそうしないのは、やはり曰く因縁有る故レンズで、しかも自分で拵えたもので、失敗はあっても、得心の行くカットが撮れた時の満足感、そんな結果たる写真そのもの以外のファクタもこれまた撮る楽しみだからなのかも知れません。

さて、次回は小改良によりだいぶ性能改善した工房オリヂナルレンズの描写をご紹介致します、乞うご期待。
  1. 2015/06/14(日) 22:44:20|
  2. 深川秘宝館
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コメント

Xシリーズが仕事カメラに大変身(笑)

charley944さん
お疲れです。

まさかまさかのXFレンズじゃありませんか。
D2Hsの撮影結果が思ったより良い結果にならなかったというのも驚きですが、それを受けてXF23/1.4の登場になるとは。
当方仕事カメラで最近X100sを使うことが出てきたのですが、やはりフジノンレンズは写りが安定してますね。
記念写真をフジのカメラで撮る写真館が多かったのも頷けます。

それと驚いたのは開放から全開性能で撮影できるというコンセントであるということ。下手に機能を強調するより、富士フィルムはその辺りをちゃんと強調した方が良いのではないでしょうか。

仕事でも趣味でもきっちり良い写真撮れるXFレンズって良いですね。これからX-Pro1やX-E1が仕事でも活躍しそうです。

趣味で使うことはこのレンズあまりないでしょうが、1,4,5,10,11枚目の写りは好みですし、何かの時の抑えの切り札としてバリバリに存在感を出しそうですね。

そういや、AFレンズを深川精密工房で紹介するのってあまりなかったですよね。今度換算35㎜/1.4ということで、NoctonClassic35/1.4SCと比較してみても面白いかも。
  1. 2015/06/15(月) 23:44:31 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:Xシリーズが仕事カメラに大変身(笑)

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
返事が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
実は、仕事で使うという前の晩、純正のAE/AF買うのであれば、35mmf1.4とこの23mmf1.4のどっちか一本は欲しい、さて、どっちにすべか?ということで中野のぺこちゃんカメラの暖簾くぐるまで、考えに考えあぐねて、35mmf1.4はヴォイクトレンデルの満足度が予想を遥かに越える出来だったので、まぁ、急いで買わずともイイやとか思い、こっちを買い求めたのですが、いやはや、次の週末にたまたまお会いした、Xプロヂェクトのプロマネさんから伺った通り、開放から最高の描写性能を出すことを最優先課題で開発したというだけあって、仕事以外ではまず開放でしか使わない小生としては、まさにハラショーと飛び上がり、六本木の街中でコサックダンスを踊り出してしまいたくなるような出来栄えでした。
80点主義が多い大メーカーの純正レンズと比して、このマニアックなマイナーシステムはまさに下手に触れば怪我するくらい尖ってて、今後を期待させてくれると思いました。
  1. 2015/06/19(金) 22:47:22 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

おはようございます。

最新のデジ専用レンズという事で、まずは購入おめでとうございます。

じつは、先日の土曜日に、ホンの2~3分だけS社のメーカー設計の方とお話ができました。この方は渋谷と代々木でゲストとしてお話できた944さんも懇意の、まだ若い設計技術者の方です。
最新レンズ設計は、鏡胴外でのレンズ駆動が、インナーフォーカスAFを始めとする設計技術で殆ど伝える必要も無く、ガラスの選択も従来とは格段に種類を選べる事での利点は、少なくともズームに付いてはまったく過去のレンズ設計が参考にならない、・・・と。それでは単焦点は、というところでお開きになってしまって・・・。

ところで、そういった中ではフジさんは取り分け単焦点については強いです。ここでの23mmというのもf1.4ということで、わたし手持ちの22mmf2(T2.3)という1970年代設計のレンズでは到底到達しえないスペックです。21㎜の広角よりも、使い勝手からいえば、どちらかというとキャノン24mmf1.4Lが近い感覚かもしれなませんね。

一枚目、二枚目という辺りが、使い勝手よさそうな雰囲気がわかります。建築物でも、かなり繊細な線を写し出すような感があってしかもこれがf1.4というと面白そうです。車のシャープさも良く写っています。6枚目の建物の反射具合も良いですが、前景に花のある写真全体の画質も文句の付けようが無さそうです。f1.4ということでは、右側の木がぼやけ気味というところでしょうか。あとは、ゴジラの前景やバイクの背景の木が少々不安定なボケを呼んでいる位でしょうか、繊細な描写が木や花とかの比規則な対象には少々クセが現れてくるような・・・。といっても、これがf1.4の開放だとすれば一般的には特殊な撮影条件の範疇でしょう。

わたしも自分の22㎜f2レンズをオーバーホールしたく、それから、再び比較してみたいです。
  1. 2015/06/23(火) 04:12:02 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
そうですね、このレンズ、スペック的にはキャノンN-FD24mmf1.4Lに近いと思いますが、さすが最新の硝材とコンピュータ設計技術の格段の進歩で、このレンズは開放から最高の描写性能を発揮し、絞りは殆ど被写界深度のコントロールだけに用いるような設定になっているようです。
しかし、この美味しいレンズをこれだけコンパクトに使えるには、撮像素子のサイズがAPS-Cであるからこそであって、この性能をフルサイズ、つまり135判のイメージサークルをカヴァー出来るデジタル配光特性を持たせると体積では倍になろうということでした。
そういった意味ではこのフジのX系列は専用レンズを使えば二倍美味しいってことなのかも知れません。
  1. 2015/06/25(木) 23:11:12 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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