深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

I'm back~Fukagawa Anastigmat IIIa 50mmf2~

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さて、今宵のご紹介は、旅写真が入ったりで延びてしまいましたが、先に工房導入初の富士フのAE/AF純正レンズSuper EBC XF Fujinon23mmf1.4Rと伴走して改善結果をテストした、Fukagawa Extra AnastigmatIIIの改良版IIIaの実写結果をお送り致します。

このレンズ、今を去ること2013年の11月に産声を上げ、ほぼ同時にレストアから上がったPetri55mmf1.8と浅草で並行テストを行ったのですが、さすがメーカー純正レンズに、画質の均質性という、当工房では一番大事な評点でボロ負けで、暫くお蔵入りになっていました。

ところが、何かの弾みで当時の実写結果を見てみると、色収差と画質の均質性から見れば、箸にも棒にも掛からないダメダメガラクタレンズだったのですが、ただ、中央部の解像度が素晴らしく高かったので、何とかしようと考え、そして、一番最後の緩めの凸レンズを別のものに交換してクリアランスなども変更し、何とか、マイルドな描写特性に治せたのかな・・・というところです。

したがって、構成はオリジナルの設計、製造時と同じ4群7枚の、絞りから前がゾナータイプ、絞りより後ろがオーピックタイプという変則光学系のままです。

ではさっそく実写結果、見て参りましょう。カメラはX-E1、全コマ開放による絞り優先AE撮影です。

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まず一枚目のカットですが、いつも展示作品よりも目を奪われてしまう、乃木坂は新国立美術館の内部の構造を逆光でシルエット気味に撮ってみたもの。
こういう構図だと、周辺の崩れは目立たないのであまりテストにはならないですね。

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二枚目のカットですが、富士フの本社ギャルリとXシリーズのショールームの在る、ミッドタウン前のちょっとした広場の孔の開いた大きなオブヂェ越しに通行人各位が孔の真ん中に来た頃を見計らって撮ってみたもの。
前の仕様ではこういうハイライト部の周辺には、色滲みが出て、ちょいと幻滅しましたが、この仕様に変えて、だいぶ緩和されたようです。
ただ、周辺は外方向へ相当流れるような結像の崩れが認められます。

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三枚目のカットですが、場所を日比谷公園に移してに試写ですが、真っ先に目に付いた、愛くるしい武人埴輪氏にモデルになって貰いましたが、ここでも、周辺が流れに流れてはいますが、破廉恥な色滲みなどはだいぶ改善が認められます。

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四枚目のカットですが、最短撮影距離付近で公園内の馬酔木みたいな花を撮ってみたのですが、ちょいピンが甘いこともあり、結像自体が緩いですが、それでも、背景の点光源のボケ方の面白さは良く判るサンプルになったのではないかと思います。

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五枚目のカットですが、これも同じく公園内のスズランみたいな花を公園内の松本楼と苔むした古木を背景に撮ってみたものですが、風があって被写体ぶれが起こってはいますが、それでもヘンなフレアとかゴーストもなく、それなりに雰囲気の有る描写にはなっていると思います。

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六枚目のカットですが、広場を抜け、木立の中の小径を歩いていたら、突如視界が開け、池と、その中央の鶴舞う形の噴水が見えたので、これも格好のテストパターンと思い、木陰から一枚撮ってみたもの。
さすがに木漏れ日は盛大なフレアとなって、シルエットとなるべき木の葉を食ってますが、この構図であれば、周辺の流れはそれほど気にならないと思いました。

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七枚目のカットですが、池の周りを通り、野外公会堂でのイベントを横目に見ながら再び、広場迄で出たら、公園名物のベンチに様々な人々が腰掛け思い思いの時を過ごしていたのですが、就活が思うように捗らないのでしょうか、ポニーテールの白皙の若いアガシが放心状態でベンチに座っていたので、心の中で応援しながら、背景から一枚戴いたもの。
ピンを合わせた耳の周りはクリアで素晴らしい解像力を発揮してくれていますが、ほぼ同一焦点面に近いベンチの下半分はぐずぐずに崩れてしまっています。

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八枚目のカットですが、日比谷公園から帝国ホテル前を通り、日比谷シャンテ前まで歩いて来たら、いつものゴジラ像が珍しく観光客に取り囲まれていなかったので、XFフジノンでキチンとしたカットを撮って、こちらでは、画面の流れを逆手に撮って、怪獣映画風に演出しようと考え、遠方のクレーン先端にピンを合わせ、アンダー目の露光でゴジラをシルエット風に撮ってみたもの。
こういう使い方だと前ボケがとても柔らかく均質で、面白い使い方が出来るのではと思いました。

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九枚目のカットですが、日比谷から有楽町に抜け、ここも銀座界隈ではプロ、アマとも有名な撮影スポットとなっている、ガード下のレトロ居酒屋ホールの中を狙い、真ん中のスキンヘッドの怖そうなヲヂさまに心の中で手を合わせて、EVFの中でピンも合わせて一枚戴いたもの。
ホントは低めのコントラストのモノクロでの表示が良かったかも知れませんが、こういうシーンというか構図だと周辺崩れても、前ボケがマイルドで同一焦点面の被写体が中央付近に寄っているので、演出的にはアリかなと思いました。

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十枚目のカットですが、さすがに有楽町駅前も電気ビル前までくれば、フランチァイズも同様ですから、観光客にも余裕で声掛けられますから、さっそく、電気ビル前の花壇に腰掛けて観光地図なんか読んでいた外国人一家の、なかなか洒脱なカンジのヲヤヂさんにハンドメイドのレンズのチューニングのテストにお子さんを一枚撮らしておくんなさいと声掛けたら、ノープロブレム!ということで、一枚撮らして貰ったもの。
真ん中の極小姐の目にピンを合わせて撮りましたが、ほぼ同一焦点面に居た、兄ちゃんの顔がやや流れ気味なのが残念でした。
発色はだいぶ良くなっていると思います。

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十一枚目のカットですが、これが今回の最大の謎なのですが、信号待ちの白いサマーレ-スの清楚な小姐の後ろ姿を狙って撮ったのですが、その甲斐あって、頭からベルトくらいまでは満足行く解像力を発揮してくれていますが、そこから下はお約束通りのぐずぐず、しかし、遥か彼方のビックカメラ前の交差点で待つ人々はかろうじて顔の造作が見分けられるくらいに解像されているのです。
もしかして、ピンが合う位置が複数あるのかな、とか不思議な感覚を覚えたカットでした。

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十二枚目のカットですが丸の内仲通りを大手町方面に歩いていたら、オフィスビルの1階部分で営業しているカフェレストで、随分とシュールで洒脱なオブヂェをテーブル上にデスプレイしていたので、傍らのギャルソン氏に声掛けて一枚撮らして貰ったもの。
このカットでは、滲みも周辺の流れも全くと云って良いほど気にならず、ふつうに使えるレンズぢゃね?とか思ってしまいそうです。

今回の感想ですが、まだまだ改善の余地有り、構成的にはIV号の前後別の用途のレンズのエレメントを組み合わせたオーピック形式が一番性能良く出来たのは検証済みなのですが、ただ、こういう面白い形式は改良の楽しみがあるので、ヒマ見つけては直して、経過報告していきたいと思いました。

さて次回のご紹介は、先般、四万温泉のお供に行った、あの子はもう16年近く付き合ってるのに、まだ1回もここで紹介してなかったぁ・・・ということで、近場でフルサイズ機で以てロケしてご紹介します、乞うご期待!!
  1. 2015/06/28(日) 19:58:57|
  2. その他Lマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
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コメント

自作ですか、これ?

いやもう、すごいなあという一言です。
趣味も極めればここまで行くのですねえ。
JUPITER-8のボディを流用されたのでしょうか。

フレアの出方は愛嬌として、こんなオリジナルレンズが手元にあると心強いですね。

さらなる改良が楽しみです。
  1. 2015/07/08(水) 21:03:55 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:自作ですか、これ?

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
そうですよ、前群をジュピタ8Mのものを使っていることもあり、鏡胴の目に見える部分はジュピタ8Mのものを細工して、ヘリコ&マウントアッセンブリに繋げています。
確かに使いようによっては面白いレンズですが、この後、構成を変えた改良版が出来ているので、思い出したらぼちぼち改良していこうかと思います。
  1. 2015/07/09(木) 23:03:24 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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