深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Frankenstein's creation may present us nostalgic experiences?~ Fukagawa experinental opt.37mmf2.8~

Franken38mmf28-1.jpg
さて、今宵のご紹介は、なかなか実写トライアルが出来ないため、お披露目が伸び伸びになっていた、当工房の試作レンズ、”フランケン1号”こと試作37mmf2.8レンズのご紹介になります。

まず、一見するとスタイリッシュなパンケーキタイプの蒼いコートも美麗なヤサ男系レンズが何故”フランケン”なのかを説明する必要があります。

このレンズ、実は色々と試作を行うための買い込んでいたコンパカメの中のNikonAF35の後期型、テッサータイプの35mmf2.8を外して先に複数個ライカマウント距離計連動化してきたT-AFD Tessar35mmf3.5同様にMマウント改造化しようとしたのですが、あにはからんや、最後群にカビが有り、その根がどうやらコーティングを食い破り、硝質まで行ってしまっているようなので、これはもう再研磨でもしないと使い物にならない状態で、それ以上にレンズブロックハウジングがおそらくは硬質ポリプロピレン系の黒色プラスチックであったことで、一気に戦意喪失、ボディから外したまま、暫く放っておいたのですが、或る時、ふと閃いて、そうか、50mmクラスでは普通にやってる、スワップやりゃイイんぢゃね?ってことで色々試したところ、コニカC35AFの3群が一番しっくり来たので、それを用いて、ニコン製の1、2群ともども、工房謹製の真鍮削り出し黒色ニッケルメッキ+グラファイト無反射塗装のレンズブロックハウジングに再収納することとしたのです。

ただ、今回はまだ各エレメントのクリアランスなどがまだ最終確定ではないので、距離計連動の斜行カムは切っておらず、ミラーレスでのテストとした次第。

では、早速、浅草界隈でのテスト結果を見て参りましょう。撮影条件はカメラがX-E1で、もちろん開放の絞り優先AEです。

Franken38_001-1.jpg
まず一枚目のカットですが、いつも通りの深川からの浅草へのアプローチ通り、銀座線から雷門最寄の出口に上がり、雷門周辺で何枚か撮ることにしているため、今回もそのセオリーに従い、雷門周辺でシャッターチャンスを狙っていたら、いたいけな極小姐の姉妹がカメラを構えるヲヤヂさんを尻目に立ったまま頭を寄せ合い、可愛らしい内緒話を始めたので、ここぞとばかり一枚戴いたもの。

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二枚目のカットですが、ナイスシーンへの遭遇に気を良くして、雷門周辺で引き続きシャッターチャンスを待ち構えていたら、営業活動の一環でしょうか、車夫のオッパーが、湘南の海から転戦してきたような年端も行かぬカポーを言葉巧みに「タダでシャッター押して上げますよ♪」などと口八丁手八丁で記念撮影なんかおっぱじめたもんだから、中国人観光客の本歌取りで、後ろから便乗して一枚戴いたもの。

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三枚目のカットですが、雷門スタートだと必ず立ち寄る撮影スポット、仲見世と交差する通りにある扇子屋さんの軒先に鉢植えのほうつきが吊るしてあって、なかなか佳き風情だったので、打ち水なんかやってた店のアヂュモニにお世辞のひとつも言いながら一枚撮らせて貰ったもの。

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四枚目のカットですが、或る意味、このレンズの異常な描写特性を端的に表すカットではないかと思いましたが、仲見世の遥か彼方の浅草寺宝蔵門のチタン瓦屋根にEVFの10クロップ機能をフル活用し、精緻にピンを合わせて撮ったつもりだったのですが、ほーれご覧の通り、何故か、4~5m先を行く、初老のヂェントルマンの白いシャツのシワまでかなり忠実に描写してしまっているという摩訶不思議なもの。

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五枚目のカットですが、仲見世と交差する通りにも注意を払って宝蔵門方面へ歩いて行ったら、居ました居ました、また手を伸ばして自撮りの真似事をしている良い子達が・・・ってことで、浴衣のヤンキー小姐に声掛けて、幾つかのアングルでスマホンで撮って上げた代わりにモデルさんになって貰ったもの。

Franken38_006-1.jpg
六枚目のカットですが、いつものコース通り、伝法院通まで来たら、左、即ち田原町方面へ曲がり、通りを徘徊しながらシャッターチャンスを探すのですが、今回も、お好み焼屋兼鼈甲屋さんの店先に佇み、レンズ交換とストロボのデューザーの調整なんかやってる浴衣小姐一名込みの若い台湾人男女グループが居たので、中国語で話し掛け、調整している間に小姐を一枚撮らしてね、とお願いし、モデルさんになって貰ったもの。

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七枚目のカットですが、伝法院通りと通称”ホッピー通り”の交差点南側にあるテイクアウト専門の団子・餅系軽食のお店に韓国人アガシ二名が立ち寄って、それはそれは流暢な日本語でお買物なんかしていたので、関心して見ていたら、横で、かなり大きな佳能の数位照相机でバシャバシャと撮り始めた中国人数名が居たので、ぼぉっとしてる場合ぢゃねぇぞ、と正気に戻り一枚撮ってみたもの。

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八枚目のカットですが、伝法院通から北に曲がり、通称”ホッピー通り”を徘徊しながらシャッターチャンスを探していたら、居るわ、居るわ、土曜日とは言え、真っ昼間から、モツ煮だかモツ焼だかをアテに一杯引っ掛けてる人民各位が・・・ってことで、ここは無難に少し離れた路上から、店頭で一番目立つ白いTシャツの兄ちゃんのやや尖り気味の耳にピンを合わせてさっと撮って、ぱっと立ち去ったもの。

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九枚目のカットですが、またしても"ホッピー通り"を北に向い歩いていたら、飲み屋街では却って目立つ、白提灯で、そのものずばり「生ホッピー」ってこれ見よがしに書いたものが店頭に高く掲げられているぢゃあーりませんか?ってことで、ここはかなり近くまで寄って、おのぼりさんのフリして一枚撮らして貰ったもの。

Franken38_010-1.jpg
十枚目のカットですが、奥山へ戻る方向の通りとの交差点まで歩いて来たので、ふと振り返ってみれば、この真っ昼間から良からぬ不健康な雰囲気漂う?"ホッピー通り"を如何にも「僕達、タダのお散歩デース、真っ昼間から飲酒なんてね~」というクールなオーラを漂わせた年輩カポーが清々しく闊歩してきたので、通りの佇まいとの対比も面白いので、抜討ちざまに一枚戴いたもの。

今回の感想ですが、たまにはこういう不出来なレンズと、出たとこ勝負のスナップ散歩も愉しいかも、ということです。
でもこの後付け替えた、同じく工房製準オリヂナルレンズの性能が余計素晴らしく感じてしまったぁ・・・(苦笑)

さて次週は、会社の出張にかこつけて西国巡礼の旅にでますので、もしかしたら、5年ぶりくらいに瀬戸内旅情出るかも・・・乞うご期待!!
  1. 2015/09/06(日) 19:59:44|
  2. Mマウント改造レンズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

こりゃまたすごい疾走感で。

charley944さん
お疲れです。
コメントありがとうございました。
こちらも後で返事書きます。
あれですよ、こちらは最近土日も家でレポート書きばかりやってて中々外に出られませぬ。
次の週末こそはX-Pro1持って出かけたいですわー。

さて、今回の記事ですけど、フランケン1号が大分すっきりした写りになりましたね。
でも疾走感もすごい強調されるようになった感じで。

中央のピントがしっかりあっているのに周囲の流れ方がすごいので、凝縮された時の中で撮影者だけが動いている様な、そんな疾走感を感じました。

いつもなら1,5,6枚目の写真に注目するはずなのに、どうも今回は7-10枚目の写真の方がこのレンズの写りに合った情景だなあと思った次第です。
癖はありますがその分流れる夜景とか撮るととんでもないインパクトがありそうな気がしました。

来週はご出張とのこと。
いつものズーム+ハイスピードレンズの組み合わせなのか、はたまた意表を突いたレンズの出番が来るのか、楽しみにしております。
  1. 2015/09/06(日) 23:50:17 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:こりゃまたすごい疾走感で。

出戻りフォトグラファーさん
有難うございます。
そうですね、実はピント基準機のピント面をマグニファイアで見ても、APS-Cサイズ素子で撮ったものを裏面LCDで見ても、この流れ感はあまり実感なく、PCのモニタで見ると、どっか~んとなる意外感があり、またこれだけのシュルストレーミングかホンフェかというくらいのクセ玉でそれなりの満足感行くカットが撮れたりすると、良く撮れて当たり前の玉に比べ、満足感が高かったりします(笑)
  1. 2015/09/07(月) 23:44:54 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

テッサ―の後群は、それだけで古典的な『風景用レンズ』を構成するようなアクロマート(色消し)一群二枚レンズなので、それを交換するとどうなるのかという、面白さがあります。

テッサ―は、それまでのレクチニアやアプラナートと違って、前群と後群が互いの収差を打消しあっているそうなので、それぞれのパワーの持ち分が見えてきそうな感じがしました。

後群の「風景用レンズ」は開放だとソフトレンズですので、大抵は開放でご利用される944さんの作例ですと、今回のレンズでの作例は前群のパワーの方が強いのかななんて、想像してしまいました。

レクチニア・レンズタイプ大勢の古典的であっても、異色だったシュタインハイルのアンチプラネット一連のシリーズは、どちらかというとその後のテッサ―のような考え方に近いので、良像画面を超えると直ぐに画質が低下し、なんとなくそんなレンズに近い感じがしました。(もっとも、明るさを最大限に追求したペッツバールも、反転テッサ―にも見えますが…。)

更にもまた、このレンズを簡易的な組み替え式にして、それぞれのレンズ群で画質の変化を楽しめる作りにでもなっていると、デジタルカメラでの即席モニターでより身近にレンズの収差変化が楽しめそうで、深川の「新製品」としても期待したいです。
  1. 2015/09/10(木) 04:35:17 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

そういえば、焦点距離が37mmに伸びているのですね。よく調査したものですが、同じタイプのレンズの、収差(?)で焦点距離が圧縮や拡張するなんて、不思議なものです。あとは、それぞれ二つのメーカーの持つ「色合い」がミックスしていて、色味を伺う眼力のテスターのような、脅威感があります・・・。
  1. 2015/09/12(土) 19:30:49 |
  2. URL |
  3. treizieme ordre #-
  4. [ 編集]

treizieme ordre さん
有難うございます。
残念ながら、せっかくのご丁寧な解説ですが、そもそもレンズの歴史とか発展の経緯、体系みたいなものには全く興味が無いので、”馬の耳に念仏”状態です(苦笑)
また基本的にレンズはワンオフですから、これをエレメントとか前後アッセンブリを変えて収差の出方を変えて楽しむ、などということもたぶんないかと思います。
ひたすら、クリアでハイコントラスト、そして画面の均質性を求めているので、それに逆行するような手間隙はかけたくないのです。
で、焦点距離の変化ですが、前群が35mmf2.8、後群が38mmf2.8のものを中心部の結像を見てクリアランス取ってますから、その間の何処かにはなるだろうと想定はつきましたが、実際にピント基準機で1km程度先のビルの輪郭と1m先のインデックス棒の結像位置の差を計測すれば、元レンズの35mmよりは長く、38mmより少し短かったので、概算で37mmとしたワケです。
  1. 2015/09/15(火) 23:55:31 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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