深川精密工房 [Fukagawa Genauigkeit Werke GmbH]

深川精密工房とは、一人のカメラマニアのおっさんの趣味が嵩じて、下町のマンション一室に工作機械を買い揃え、次々と改造レンズを作り出す秘密工場であります。 なお、現時点では原則として作品の外販、委託加工等は受付けておりません、あしからず。

Passionate desire for revival ~ Kanuma Authentic Festival 2015/鹿沼祭2015便り~

さて、今宵のご紹介は、先週の予告通り、後ろ髪引かれる思いで、金曜の晩を待たずして撤収した佐原の翌日に訪れた鹿沼ぶっつけ祭り2015からのレポートになります。

読者各位もTV、新聞、そしてWebのニュースで、9月の台風による鬼怒川水系の氾濫でこの静かな田舎町も多大なる被害を受けたことを思い出されたことと思います。

本当は、同一日程の佐原に金、土、日と滞在して夜祭も徹底的に撮りたい気もしたのですが、2011年の夏に佐原では春先の巨大地震の傷跡も癒えないにも関わらず、夏祭りを敢行し、復興に向けた地域住民の意識鼓舞、そして連帯の確認を図るとともに、「来て戴くことが何よりの支援です」という極めて先進的かつ謙虚なメッセージで以て、ここが観光都市であることを全国に発信し、工房主もその意気に感じて、2009年以降、夏、秋訪問している佐原に震災の年も遠慮なくお邪魔したのですが、今年は鹿沼が災害の傷跡も癒えないまま、お祭りを決行するというので、きっと、佐原の熱いお祭り野郎達も、どうか今年は鹿沼へ行って、世界中に情報発信してやってくれ!と云うだろう、とふと思い、今シーズンは鹿沼をメインにした、ということなのです。

鹿沼には、10日の朝11時に入り、同行のお仲間の方と7時過ぎまでみっちり撮ってから、宿の手配をしてある宇都宮までJRで移動し、名代の餃子レストランでささやかな打ち上げを行い、翌日は単独で夕方まで撮ったといのが、大まかな行程です。

ではさっそく、その鹿沼での行動に沿って、逐次、実写結果を見て参りましょう。

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まず一枚目のカットですが、鹿沼と云えば、左甚五郎の伝説を持ち出すまでもなく、日本屈指の、いや世界に誇る精緻な彫刻屋台、山車が街のシンボルではないかと思いますが、駅からランチ場所へ向う道すがら、大通りの停車していた山車の行列の後方から、彫刻越しに前の山車と慌しく出陣準備を行う社中の人々を撮ってみたもの。
カメラはX-Pro1、レンズはVario-Sonnar28-85mmf3.3-4、開放による絞り優先AE撮影です。

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二枚目のカットですが、若い頃はさぞや、小姐泣かせの粋でいなせな遊び人だったような面影を残す鼻筋の通った初老の男性が、ひっかき傷も生々しい顔立ちそっくりのお孫さんを抱いて、色々と彫刻の説明なんかしながら、自分の町内の山車の辺りを徘徊していたので、声掛けて一枚撮らせて戴いたもの。
カメラはX-Pro1、レンズはVario-Sonnar28-85mmf3.3-4、開放による絞り優先AE撮影です。

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三枚目のカットですが、大通りを市役所方面に歩きながら、適宜、これは、と思うシーンを山車の行列の横を通り過ぎながら撮っていったのですが、見事な山車の彫刻もさることながら、今日の晴れ舞台に年に二日しか着ることはないであろう法被や祭り装束でバッチリ決め込んだ小姐達の艶やかな姿も捉えなければ、お祭りの来た意味が半減してしまいます、ということで、まず第一発目は気風の良さげな小姐2名が冗談飛ばし合い、出車までの寸暇を惜しまず語らい合っていたので、声掛けて、自らの山車の前でお揃いでモデルさんになって貰ったもの。
カメラはX-Pro1、レンズはVario-Sonnar28-85mmf3.3-4、開放による絞り優先AE撮影です。

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四枚目のカットですが、いつものランチスポット、名代鹿沼蕎麦の「佐野屋」さんで同行のお仲間とともに至高の鴨つけ汁蕎麦と茸飯を戴き、身も心も温まり、いや松岡某並みに熱くなり、気合いを入れて大通りの祭りを撮りに戻れば、丁度、今宮神社に向って山車の移動が始まっており、渾身の力で引く社中の姿が目に留まったので、抜き撃ちの一閃、その勇姿を捉えたもの。
カメラはX-Pro1、レンズはVario-Sonnar28-85mmf3.3-4、開放による絞り優先AE撮影です。

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五枚目のカットですが、大通りを撮り歩きながら南北に歩き、その途中で交差点脇の寺の門前の石段に大人顔負けの祭り装束もバッチシ決まったいたいけな童子達が居たので、傍らの親御さんに声掛けて、その晴れ姿を勢揃いで一枚撮らせて戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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六枚目のカットですが、今宮神社での出陣式まではまだ時間があるので、大通りで停車中の山車周りでこれは!と思うシーンを拾って行ったのですが、特に面白かったのは、金棒曳きの小姐達は、その役柄、そしておそらくはメイキャップのもちも考慮してなのでしょうが、行進中は笑うことは有り得ず、ひたすら仏頂面でしゃらり、しゃらりと山車、その社中を率いて通りを歩くだけなのですが、オフタイムでは、やはり、いたいけな年頃の多感な小々姐、箸が転んでも笑う年頃ですから、少しでもリラックスさせようとの心使いから、軽い冗談など飛ばす大人の若衆を前に大げさなヂェスチャとともに談笑する姿を振り返りざまに一枚戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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七枚目のカットですが、大通り上の山車を縫うように歩きながら撮っていたら、若いオモニがちょっとお転婆そうな極小姐をおんぶしながら、同じ年頃の社中の女衆と歓談していて、背中の極小姐がヒマそうにしているのが目に留まっていたので、景気づけも兼ね、声掛けて、おぶさっているところを満面の笑顔で撮らせて貰ったもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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八枚目のカットですが、若い母娘に撮影協力への心からのお礼を述べてから、山車から山車へと撮り歩いていたら、その途中でやはり退屈したのか、若いヲヤヂさんに後ろ向き抱っこされながら、退屈そうに指なんかしゃぶっていた、いたいけな極小姐と目が合ったので、まずこちらも笑顔にならねば、ということで精一杯の笑顔で、撮るよ♪と声掛けたら、退屈そうな表情から、こんな好奇心滲ませた表情で一枚撮らせて貰えたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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九枚目のカットですが、大通りから今宮神社での出陣式に向け出立の準備に慌しい山車周りの社中各位が行き交う合間に、いたいけな童子達は、緊張した演者の装いから、ふとその無邪気な地の表情を垣間見せることがあり、これを見かけた瞬間に捉えられることも、お祭り撮影での醍醐味のひとつなのですが、仏頂面がデフォルトの金棒曳きの小々姐も、その床机に健気な幼い妹が歩み寄って来た時には表情が緩み、何処にでも居る幼い姉妹の姉の顔になったので、その瞬間を狙い撃ちしたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十枚目のカットですが、また被写体を求め、大通りの上に停車し、出陣式への出立準備を行う各山車を巡っていたら、某公共放送のテレビの朝の番組ですっかりお馴染みになった「え~びっくりぽん!!」がよほど気に入ったのか、大げさなヂェスチャとひょうきんな表情で、そのセリフを連呼し、周りの大人や社中の年上の小姐達の関心を惹く小々姐の様子が面白かったので、人垣越しに一枚戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十一枚目のカットですが、15時過ぎのお茶タイムを経て、夕刻に行われる今宮神社での出陣式へ同行のお仲間とともに向い、そこで陽の暮れかけのミックスライトから、完全な日没後の人工光源までの光線状態で撮り続けましたが、やはり見栄えがして、比較的撮影がし易いのは、まだ残照が有るうちに山車に灯火を点すタイミングで、この貴重な時間にそれぞれの山車のデテールや出陣式前の待ち時間に社中の仲間と寛いで談笑する演者の姿を撮るのがコツで、今回も本殿前で提灯に明かりを点した屋台の至近距離に入れてもらい、その風情有る佇まいを撮らせて貰ったもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十二枚目のカットですが、すっかり陽も落ちて、神社境内の水銀灯、祭りのために増設されたHIDランプスタンド、そして山車自体の提灯やLEDプロジェクタライトという色温度も照射角度も様々な光源で照らされた、かなり難度の高い撮影環境ではありましたが、先の江ノ島ツアーではツァイスのDistagon35mmf2.8にやられっぱなしで精彩を欠いた感なきにしもあらずのR世代ライカのエースレンズが極めて優秀なEVFを誇るX-Pro1の助けを借り、夜祭の風情を余すことなく捉えてくれた一枚。
カメラはX-Pro1、レンズはR Summicron 35mmf2.0、開放による絞り優先AE撮影です。

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十三枚目のカットですが、同じく今宮神社での出陣式で出立を待つ山車の横で、他の町会の勇壮な出立を目で追う健気な小姐の後ろ姿がとても美しかったのですが、角度的に水銀灯の強い光源が水平より少し斜め上から射し込むという極めてシビアな条件で諦めかけたのですが、昼間、撮影前にお参りした今宮神社のご利益の一部か、その小姐が少し後ずさりしたら、ちょうど頭で光源を皆既日食する格好になり、とても美しいセミシルエットになったので、ここぞとばかろ一枚戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summarit 50mmf1.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十四枚目のカットですが、翌11日の日曜日の朝、宇都宮の東武駅横のホテルで目覚めた時には、そこそこの降雨だったのですが、午後からは雨が上がるとの予報とこれまでの”ハイパー晴れ男”である自らの実績を信じ、そのままJR鹿沼駅まで向ったのですが、到着してから12時半近くまでは小雨が降ったり止んだりでなかなか駅の待合室から出られなかったのですが、明るくなった空の色と気温の変化を信じ、駅を後にし、市役所方面へ続く東西の街道を歩いていたら、程なく雨は上がり、鬼怒川支流の黒川の氾濫の爪痕も痛ましい河川敷を跨ぐ橋を超えたところで巡行前の山車の一行に遭遇し、山車を眺めていたら、世話役の方に話し掛けられたので、昨晩泊って、朝、宇都宮からまた出て来た旨話したら、どうぞ、どうぞということで、床机に座り歓談していた金棒曳きの小々姐二名を呼んで、撮らせて戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summaron M 35mmf3.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十五枚目のカットですが、山車のメインの運行会場である大通りまで辿り着いてみたら、まだ路面は濡れてますが、さすが、復興に繋げようというこの祭りにかける心意気は凄まじく、まだ空は重い曇天であるにも関わらず、山車の上のビニールカバーを剥がしに掛かっていて、その慌しい出立前の準備の合間にもお年頃の小々姐である金棒曳きさん達は、声援に駆け付けてくれた同じ年頃の小々姐達の歓談に余念がなく、その和やかな様子をちょいと距離置いて広角で一枚に収めてみたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summaron M 35mmf3.5、開放による絞り優先AE撮影です。

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十六枚目のカットですが、これもまた雨上がりの大通りでのシーンですが、祭りでの山車の運行の支援者である、町内の鳶職の長老が、屋根の上の防水シート撤去作業と空模様を眺めながら、時折、報告や相談にやってくる手の者に的確に指示を与えていたのですが、その貫禄有る後ろ姿を山車をバックに一枚戴いたもの。
カメラはLeica M8、レンズはLeitz Summaron M 35mmf3.5、開放による絞り優先AE撮影です。

今回の感想ですが、いやはや、世界遺産への申請というタイミングもあって、災害からちょうど一ヶ月しか経っていないというのにも関わらず、街の人たちの祭りにかける情熱、そして何時の世も変わりない、いたいけな童子達の屈託無い笑顔、そして、その鹿沼の元気な姿を是非この目で見ようと関東周辺から大勢押し寄せた観光客、良い方向に事前の予想は裏切られました。

今までは、少なくとも観光客の動員数という観点では、江戸から交通至便の川越は別格として、佐原、栃木、そして石岡という関東の著名山車祭りのグループの中では、比較的こじんまりとやっていて、演者と見物客の一体感が醍醐味だった、このローカル感、手作り感満載の祭りも少し距離が離れてしまうのかなと思うと少し寂しい気持ちもしましたが、一方、故郷、上州太田世良田の祇園祭りもここ鹿沼を手本にメジャー昇格して欲しいと思ったのもまた偽らざる心境です。

さて、次回は先送りした、国産APS-Cの先駆的レンズのレポート、秋の深大寺からお送り致します。乞うご期待!!
  1. 2015/10/25(日) 17:25:27|
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コメント

祭りの迫力が伝わってきました。

charley944さん
お疲れです。
4・7・9枚目が祭りの迫力を伝えてきますね。

豪雨災害があってもこの迫力なら鹿沼も大丈夫かなと思いました。

川越は確かに東京から近いので観光客は増えましたけど、祭りの終了後の客さばきは下手ですね。
電車も混むし、踏切に突っ込んで東武線を止めるとかまあ、土日の夜はえらい状況でした。

この辺りをどうクリアするか、その上で交通関係のアクセスをスムースにするにはどうすべきか、って辺りが次の課題かもしれませんね。
  1. 2015/10/25(日) 21:57:53 |
  2. URL |
  3. 出戻りフォトグラファー #aYDccP8M
  4. [ 編集]

Re:祭りの迫力が伝わってきました。

出戻りフォトグラファー さん
有難うございます。
そうですね、前月にあれだけのダメージを物理的、精神的にも蒙った筈なのに、どこの町会でも見かけるいたいけな童子達は、みな屈託なく陽気で、小さいながらホスピタリテーに満ち溢れ、まさにこのような交通面でハンデを抱えているにも関わらず、二日間で28万人だかの観客動員を叩き出し、世界遺産にもノミネートされるに相応しい、祭り、そして街の人たちの心意気の象徴のようだと感じ入りました。
来年は是非ともご一緒しましょう。
  1. 2015/10/28(水) 00:15:39 |
  2. URL |
  3. charley944 #yjwl.vYI
  4. [ 編集]

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Author:charley944
今を去ること60年前、古き佳き江戸情緒の残るこの深川の地に標準レンズのみを頑なに用い、独特のアングルにこだわった映画監督が住んでいました。その名は小津安二郎。奇しくも彼の終いの住まい近くに工房を構え、彼の愛してやまなかったArriflex35用標準レンズの改造から始まり、忘れかけられたレンズ達を改造し、再び活躍させます。

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